2017年05月30日

インフルエンザ1桁台に!

mizueyubisashi.jpg 「江戸川区感染症定点観測」(区内31か所の定点指定医療機関での患者発生数報告)の5月15日から5月21日までの集計結果です。

 ついにインフルエンザの報告数が小児(5例)も成人(2例)も1桁台になりました。小児と成人の報告数を合わせても1桁台(5+2=7例)です。インフルエンザの流行は終わったと言ってよいと思います。

 今週報告数が2桁増加した疾患は溶連菌感染症(+30例)、先週2桁増だった感染性胃腸炎(-22例)は今週2桁減に転じました。

 溶連菌感染症は2週続けての2桁増で、報告数3桁に届きそうですが、過去に3桁になったことはありません。それでも溶連菌感染症としては大流行と言えます。ご注意下さい。

 この週2桁以上の報告数があったのは、インフルエンザが全く消え去り、先週より1疾患少ない3疾患でした。順位は次の通りで変動はありませんでした。

第1位《1》感染性胃腸炎 ↓↓(報告数169)
第2位《2》溶連菌感染症 ↑↑(報告数78)
第3位《3》プール熱(報告数18)

 《 》内の数字は先週の順位、数字0はその週の報告数が1桁だった疾患です。(矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています/報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区全体の医療機関からの報告数ではありません)

 定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹風疹百日咳の3疾患とも報告数は今週もゼロでした。このブログの更新を再開してからですと14週連続となります。

 定期予防接種の対象になった水痘は、本来こちらに移動するべきですが、まだまだ発生数が多いので、当分は順位をお知らせする疾患として扱います。今週の報告数は先週と同じ5例でした。


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2017年05月29日

熱性けいれん -シーズン1-

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 先々週のこども診療所医学講座で「熱が病気の直接の原因になることは小さな子の熱性けいれん以外にはありません。」と申し上げました。では熱性けいれんとはどのようなものなのでしょうか?そしてまた熱性けいれんというのは果たして病気なのでしょうか?

 今回はこの熱性けいれんを採り上げますが、今日はまず熱性けいれんがどのようにして起きるのかについてお話をいたします。

 人間の脳というのはたくさんの脳細胞でできています。それぞれの脳細胞はいくつかの他の脳細胞と連絡を取り合って、全体としては緻密なネットワークを形成して脳としての働きを維持しています。脳細胞の数やネットワークの緻密さは3歳過ぎには大人の80%程度が完成していると言われます。でも、このネットワークを上手に使う方法や、ネットワークに故障が起きないように調整する能力はまだまだ未熟です。

 この未熟な脳のネットワークに高熱が作用すると、ネットワークの一部が断線したりショートしてしまったりして故障を起こし、脳が異常な信号を発信してしまうことがあります。人間のからだの大部分は脳からの信号によって動いていますから、脳から異常な信号が届けばそれに合わせてからだのほうも異常な動き(運動)をしてしまいます。これが熱性けいれんです。脳に起こった故障は一時的なもので、短時間で修復されます。修復されたあとの脳は全く正常であとに異常や長期にわたる後遺症を残すことはありません。

 この「自動的に修復してあとに問題を残さない」という点が熱性けいれんの特徴で、細菌やウイルスあるいは細胞破壊物質などによって脳細胞そのものに異常が生じて起きるけいれんとは本質的に違います。熱性けいれんでは脳細胞に故障がおきるのではなく、脳細胞のネットワークに一時的に故障が生じるのです。

 熱性けいれんが起こりやすい年齢は1歳少し前から6歳頃までですが、3歳を過ぎると次第に起こしにくくなります。それは脳細胞のネットワークを上手に使う方法や、ネットワークに故障が起きないように調整する能力が次第に高まる(成熟していく)ためと考えられます。生後6ヶ月すぎぐらいまでの赤ちゃんは滅多に熱性けいれんを起こしません。それは故障を起こすほど脳細胞のネットワークができていないからです。また7歳過ぎてのけいれんはたとえ高熱があって熱性けいれんの特徴を備えていても、一応は脳そのものに何か問題(脳炎や髄膜炎、てんかんなど)がないかをチェックします。それは7歳すぎになれば脳のネットワーク故障を高熱から保護する働きがほぼ完成して熱性けいれんは起きないはずだと考えられるからです。

 熱性けいれんは高熱の時に起きると申し上げましたが、同じ高熱でも起きるときと起きないときがあります。理由の一つは、熱を出した原因となっている病気の違いです。たとえば、突発性発疹は熱性けいれんを起こしやすいウイルスとして知られています。このウイルスは脳を刺激しやすい特徴を持っています。一生に一度だけ熱性けいれんを起こしたというお子さんの半分以上はそのときの病気が突発性発疹だったという調査結果もあります。その他にはしかや水ぼうそうも熱性けいれんを起こしやすいウイルスですが、これらのウイルスは熱性けいれんだけでなく脳炎や髄膜炎を起こしやすいので注意が必要です。

 もう一つの理由は、熱の上がるスピードの違いです。仮に39℃で熱性けいれんが起きると仮定した場合、36.5℃の状態から半日ぐらいかけて徐々に熱が上がった場合と30分ぐらいであっという間に熱が上がった場合を比べると、急に熱が上がったときの方が圧倒的に熱性けいれんを起こしやすいのです。脳のネットワークに限らず、小さなお子さんのからだはすべて急激な変化に対応する機能が十分ではないからです。

 また、熱性けいれんを起こしたお子さんのご家族を、叔父・叔母・いとこぐらいの範囲で調べてみると、60%から70%ぐらいの割合でご家族のどなたかが熱性けいれんの経験をお持ちです。その点多少は遺伝的な要素もあると考えられています。

 今週は「熱性けいれんがなぜ起きるのか?」という点に絞ってお話をいたしました。次回は熱性けいれんそのものについて詳しくお話ししたいと思います。



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2017年05月27日

週間診療情報(5月29日から6月4日まで)

kanban600.jpgこども診療所の来週の診療日で特にお知らせしたい情報です


個々にお知らせした日以外は
いつもどおりの診療です


診療時間の変更や臨時休診などは毎週掲載しています
受診前に確認なさることをお勧めします
(1か月の予定は月初めにホームページに掲載しています)



5月29日(月)   午後臨時休診です
           午前の診療は行います




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2017年05月23日

やっぱり増えた感染症

mizueyubisashi.jpg 「江戸川区感染症定点観測」(区内31か所の定点指定医療機関での患者発生数報告)の5月8日から5月14日までの集計結果です。

 この週はゴールデンウィークが終わった週で、先週のデータがその影響を受けていたということを物語るかのように多くの疾患が増加しました。日常の流行状況に戻ったとも言えます。

 前の週では19疾患全体の報告数としてー122例という大幅な減少をお伝えしましたが、今週は+82例の増加となっています。

 そういう状況の中でも小児インフルエンザは−2例、成人インフルエンザは増減なし(±0)でしたから、インフルエンザの減少傾向は続いていると見てよいでしょう。

 今週報告数が2桁増加した疾患は感染性胃腸炎(+56例)、溶連菌感染症(+12例)の2疾患でした。2桁減少の疾患はありませんでした。

 この週2桁以上の報告数があったのは、プール熱が加わって先週より1疾患多い4疾患でした。順位は次の通りです。

第1位《1》感染性胃腸炎 ↑↑(報告数191)
第2位《2》溶連菌感染症 ↑↑(報告数48)
第3位《3》小児インフルエンザ(報告数14)
第3位《0》プール熱(報告数14)

 《 》内の数字は先週の順位、数字0はその週の報告数が1桁だった疾患です。(矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています/報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区全体の医療機関からの報告数ではありません)

 定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹風疹百日咳の3疾患とも報告数は今週もゼロでした。このブログの更新を再開してからですと13週連続となります。

 定期予防接種の対象になった水痘は、本来こちらに移動するべきですが、まだまだ発生数が多いので、当分は順位をお知らせする疾患として扱います。今週の報告数は先週より3例増えて5例となりました。


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2017年05月22日

こどもの発熱 ー熱が続くと将来こどもが出来なくなる?-

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 前回の記事の中で「男の子の高熱が続くと将来こどもが出来なくなる」という迷信を2人の親御さんからうかがった、そういう迷信を聞いたのは長い医者生活の中でも初めての経験だった、ということを申し上げました。
 
 宿題にさせていただきましたので、早速調べてみました。

 まずは皆さんと同じようにインターネットで検索してみましたら、けっこう出てくるんですねぇ。出てくることは出てくるんですが、ほとんどすべてと言っていいほど対象は成人男子、つまり大人の男ですね。男の子ではどうなのかという記事は私が調べた範囲では見つかりませんでした。

 そこでまず成人男子の高熱と不妊について私の考えも交えて調査結果を報告します。

 男性の精子は睾丸(精巣)で作られます。(昔は睾丸というのが主流の呼び方でしたが、近年は精巣が主流になっています。そこでここではこれから精巣という呼び名で統一します。)精巣は女性の卵巣に相当する臓器ですが、女性の卵巣が体内にあるのに対して、精巣は体の外にあります。これにはちゃんとした理由があります。

 精巣は通常の体温よりもやや低い温度環境の中で活発に精子を作ります。だから体の外にあるのです。逆に言えば精巣は熱に弱いという見方も出来ます。ですから高熱の環境下に置かれると精子を作る能力が弱くなります。でもそれは高温の環境下で仕事を続けるとだんだん仕事の能率が落ちるのと同じで、環境が改善されれば仕事の能率も元通りよくなっていくものなのです。

 どれぐらいの時間があれば元通りの能率になるかは個人差があると思いますが、能率の落ちた精子工場(精巣)もやがては元通りに回復するもののようです。ですから一時的には妊娠の確率は下がるもののそれがずっと続くわけではなさそうです。

 一方、おたふくかぜによる男性不妊についてはどうかといいますと、大人になってからのおたふくかぜはこどものそれよりも重症化しやすく高熱に見舞われることもあると思います。ですが、高熱だけであれば一時的に精子の数や働きが落ちてもいずれは回復可能と言えます。

 不妊が心配されるのは、おたふくかぜウイルスが精巣に侵入して精巣炎を起こしたときです。前回高熱と脳障害のお話の中でも触れましたように、「脳の病気だから脳がやられる」のと同じで、「精巣の病気(精巣炎)だから精巣がやられる」わけです。でも実際にはその頻度はあまり高くはありません。

 それでは男の子の場合はどうかといいますと、男の子の精巣が精子工場として目覚めるのは6歳頃と考えられています。しかも始めのうちはそんなに活発に精子を作りませんから、精子の数がどうとか働きがどうとかを調べることは出来ません。ただ、大人と同じように考えれば、高熱だけであれば一時的に精子製造に影響が出るかもしれないがあくまでも一時的で回復可能ということだと思います。

 おたふくかぜに限らず、細菌やウイルスなどによって精巣炎が起こり、精子を作る細胞に永続的な問題が起きた場合には、その程度によって精子の数や働きに問題が生じる(男性不妊の)可能性はあるということだと思います。

 前回の記事では、高熱による男性不妊を迷信だと決めつけてしまいましたが、全くの迷信ではなかったようでした。その点お詫びいたしますが、「脳の病気だから脳がやられる」、「精巣の病気(精巣炎)だから精巣がやられる」という構図は同じものでした。



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2017年05月20日

週間診療情報(5月22日から5月28日)

kanban600.jpgこども診療所の来週の診療日で特にお知らせしたい情報です


個々にお知らせした日以外は
いつもどおりの診療です


診療時間の変更や臨時休診などは毎週掲載しています
受診前に確認なさることをお勧めします
(1か月の予定は月初めにホームページに掲載しています)



5月23日(火)   午後の診療開始が遅れます
           保健所(健康サポートセンター)の乳児健診業務のため
           午後3時30分からの診療となります


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2017年05月16日

ゴールデンウィークの参考データ

mizueyubisashi.jpg 「江戸川区感染症定点観測」(区内31か所の定点指定医療機関での患者発生数報告)の5月1日から5月7日までの集計結果です。

 この週はゴールデンウィークがすっぽりと収まった週で、医療機関の休診も多く、ほとんどの疾患で大幅な報告数減少が見られています。流行の流れという点から言えば、ゴールデンウィーク中の参考データとお考え下さい。

 その中で2桁の大幅減少となっ疾患は感染性胃腸炎(-61例)、小児インフルエンザ(-21例)、溶連菌感染症(-20例)の3疾患でした。成人インフルエンザはついに報告数1桁(9例)となってしまいました。

 登録された19疾患の中で、ごくわずかながら増加を見せたのは突発性発疹(+1例)と不明発疹(+3例)の2疾患のみでした。報告数は共に1桁です。

 その結果、19疾患全体の報告数としてはー122例という大幅な減少となっています。

 この週2桁以上の報告数があったのは、成人インフルエンザプール熱が1桁台に後退したため、疾患数としては先週より2疾患少ない3疾患でした。順位の変動はありませんでした。

第1位《1》感染性胃腸炎 ↓↓(報告数135)
第2位《2》溶連菌感染症 ↓↓(報告数36)
第3位《3》小児インフルエンザ ↓↓(報告数16)

 《 》内の数字は先週の順位、数字0はその週の報告数が1桁だった疾患です。(矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています/報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区全体の医療機関からの報告数ではありません)

 定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹風疹百日咳の3疾患とも報告数は今週もゼロでした。このブログの更新を再開してからですと12週連続となります。

 定期予防接種の対象になった水痘は、本来こちらに移動するべきですが、まだまだ発生数が多いので、当分は順位をお知らせする疾患として扱います。今週の報告数は先週より6例減って2例となりましたが、あくまでもゴールデンウィーク中の参考と考えたほうがよいでしょう。

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2017年05月15日

こどもの発熱 ー熱が続くと脳をやられる?ー

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 「もう5日も熱が下がらないんです。こんなに熱が続いて脳をやられませんか?」
最近はやや少なくなりましたが、昭和の頃(その頃私はすでに医者だったんですexclamation×2)にはこのようにご心配なさる方がけっこういらっしゃいました。私の答はこうです。

 「熱は何か病気があるから出ているんです。つまり熱は病気の結果なんですね。熱が病気の直接の原因になることは小さな子の熱性けいれん以外にはありません。問題は熱を出している病気が何かということです。扁桃腺だということがわかっていれば、熱がたとえ1週間続いても扁桃腺は扁桃腺、脳の病気になることはありません。もちろん最初はウイルス性の風邪で熱が出ていたのだけれど、途中でそのウイルスが脳に侵入して脳炎などを引き起こすことはあります。でもそれは熱が続いたためではなく、ウイルスが脳に侵入したために起こった(脳の病気だから脳がやられる)ことなんですね。お宅のお子さん場合、病気は○○で脳の病気ではありません。ですから脳がやられる心配はありません。でも5日も熱が下がらないということは今飲んでいるクスリが効いていない可能性がありますから、クスリを替えてみましょう。」

 そして例によって聞かれもしないのにベラベラしゃべり始めます。「脳障害を起こすような病気には高熱をともなうものが多いんですね。主に中枢神経系の感染症といわれ細菌やウイルスが脳に侵入して脳炎・髄膜炎などを起こすものです。現代ではそれらの病気は原因や治療法がわかってきていますが、昔はこの手の病気はたいてい『熱病』と呼ばれていました。ですから、高熱=熱病=脳障害というふうに結びついてしまって、『熱が続くと脳をやられる』という迷信がはびこってしまったんです。」

 話はまだまだ続きます。「特に日本では、平清盛が熱病にかかり、長いこと高熱にさいなまれたあげく『気がふれて死んだ』というふうに伝えられていますから、よけいに『高熱が続くと脳をやられる』という迷信が根強いんだと思いますよ。平家の怨念は現代まで続いているんですね。怖いですね〜。」

 最初に示したような心配が減ってきたのは、若い人たちが「源平の戦い」なんてものにあまり興味を示さなくなってきたせいもあるのかもしれませんね。

 とまあ、皆さんが心配なさるのは脳のことだけだと思ったら、つい最近「熱が続くと将来こどもが出来なくなる」という迷信を2人の親御さんが心配なさっていました。大きくなってからおたふくかぜにかかると不妊になるという話はあながち迷信ではないのですが、私も40年以上小児科医をやっていますが、熱が続くとこどもが出来なくなるという迷信を聞いたのは長い医者生活の中でも初めての経験でした。

 平清盛にはちゃんとこどもがいましたから、「熱が続くとこどもが出来なくなる」というのは平家の怨念ではないですね。でもどうやってこのような迷信が生まれたのか私には見当もつきません。私に与えられた宿題だと思ってこれから調べてみます。


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2017年05月13日

週間診療情報(5月15日から5月21日まで)

kanban600.jpgこども診療所の来週の診療日で特にお知らせしたい情報です


個々にお知らせした日以外は
いつもどおりの診療です


診療時間の変更や臨時休診などは毎週掲載しています
受診前に確認なさることをお勧めします
(1か月の予定は月初めにホームページに掲載しています)



5月16日(火)   午後の診療開始が遅れます
           松江小(校医)の健診業務のため
           午後3時30分からの診療となります

5月20日(土)   午後の予防接種
           毎月原則として第3土曜日の午後
           予防接種だけを行っています
           一般診療は行いません
           時間は
           午後1時30分から午後3時までです
           前日までにご予約下さい


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2017年05月12日

全体減少・感染性胃腸炎のみ増加

mizueyubisashi.jpg 「江戸川区感染症定点観測」(区内31か所の定点指定医療機関での患者発生数報告)の4月24日から4月30日までの集計結果です。速報とはいえませんが、流行の流れはお伝えできると思います。

 この週は週末が連休となりましたが、1年の中でも時々あることなので、疾患報告数に対する大きな影響はないと思われます。

 そのような前提で疾患報告数を見てみますと、全体としては減少傾向にあります。特に先週急増を見せたインフルエンザは、この週小児も成人も2桁の減少となっています。そんな中で感染性胃腸炎だけは2桁の増加を見せています。

 その他の疾患では、1桁台の増加ながらプール熱が報告数2桁となりました。プール熱は夏風邪グループの一員ですが、このまま2桁の報告数を維持するかどうかは何とも言えないと思います。

 この週2桁以上の報告数があったのは、突発性発疹がまたもやわずか1週間で1桁に後退し、プール熱が新たに加わり、疾患数としては先週と同じ5疾患でした。順位の変動もありませんでした。

第1位《1》感染性胃腸炎 ↑↑(報告数196)
第2位《2》溶連菌感染症(報告数56)
第3位《3》小児インフルエンザ ↓↓(報告数37)
第4位《4》成人インフルエンザ ↓↓(報告数11)
第4位《0》プール熱(報告数11)

 《 》内の数字は先週の順位、数字0はその週の報告数が1桁だった疾患です。(矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています/報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区全体の医療機関からの報告数ではありません)

 定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹風疹百日咳の3疾患とも報告数は今週もゼロでした。このブログの更新を再開してからですと11週連続となります。

 定期予防接種の対象になった水痘は、本来こちらに移動するべきですが、まだまだ発生数が多いので、当分は順位をお知らせする疾患として扱います。今週の報告数は先週よりさらに4例増えて8例になってしまいました。定期予防接種の対象疾患として、報告数2桁だけは避けてほしいところです。


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2017年05月08日

こどもの発熱 ー坐薬と飲み薬どっちが効くの?ー

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 私は解熱剤をあまり処方しない医者ですが、それでもお母さんの不安や希望が強かったりすれば、熱さまし(解熱剤)を差し上げます。そのときに「熱さましというのは名前からいえば熱を下げるのが仕事のクスリですが、本当は熱のためにつらい思いをしているお子さんを一時的にでも楽にしてあげようというオクスリです。ですから、熱の数字が下がらなくても、それまで眠れなかった子が眠れるようになったら、熱さましは十分に仕事をしたとほめてあげてくださいね」と説明しています。

 そして、「熱さましには飲むクスリと坐薬があります。どちらにしますか?」と尋ねます。心の中ではお母さんから来る次の質問を予想しながら・・・。

 来ましたexclamation次の質問。「飲むのと坐薬、どっちがよく効きます?」。待ってましたと私の答。「口から飲んでもおしりから入れても薬の効き目は同じです。でも、坐薬のほうが飲み薬よりキモチ早く効き始めます。」「へ〜、どうしてexclamation&question」という質問も聞かず勝手にしゃべり続けます。「口から飲んだクスリは食道を通り胃を通って小腸に入ってから吸収されて効き始めます。だから効き始めるまでに時間がかかるんですね。その点坐薬ですと入ったところがすぐ直腸ですからその場で吸収される、つまりすぐ効き始めるということです。」さらに訊かれもしないのにしゃべり続けて「坐薬は飲み薬に比べてすぐに効くけど効き目はやや短いんです。100m競走ダッシュ(走り出すさま)とマラソンモバQの違いなんですね。」話題は陸上競技の話になっていきます。

 エ〜ッ!なんで陸上競技になっちゃうのがく〜(落胆した顔)exclamation&questionとお思いでしょうが、まあお聞きください。

 「100m競走のトップとビリのランナーのタイムはほとんど違いませんね。多くて1秒ぐらいですね。ところがマラソンレースのトップとビリのタイムを比べたら、ヘタしたら1時間以上も開いてしまうことがありますよね。坐薬はおしりから入ってすぐゴール(クスリの効き場所)、だから100m競走ダッシュ(走り出すさま)。飲み薬は口から入って食道・胃・十二指腸を経て小腸のゴールに入る長距離レース、だからマラソンモバQ。最初に吸収されたクスリ(トップ)と最後に吸収されるクスリ(ビリ)をランナーにたとえれば、坐薬は短時間で全部吸収されるけれど、飲んだクスリはトップからビリまで(全部吸収されるまで)時間がかかる。だから、同じ量のクスリであれば全体としての効果は同じだけれど、坐薬は短期決戦型、飲み薬は長期戦型と言えるんですね。でも口で言うほどはっきりはしませんけどね。」と、ここまで一気にしゃべって「さあ、坐薬と飲み薬のどちらにしますか?」

 この話を聞いたあとの選択では、坐薬を選ぶ方が3分の2ぐらいです。やはり皆さん熱でつらい思いをしているお子さんふらふらを少しでも早く楽にしてあげたいわーい(嬉しい顔)と願ってらっしゃるのですね黒ハート



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2017年05月06日

週間診療情報(5月8日から5月14日)

kanban600.jpgこども診療所の来週の診療日で特にお知らせしたい情報です


個々にお知らせした日以外は
いつもどおりの診療です


診療時間の変更や臨時休診などは毎週掲載しています
受診前に確認なさることをお勧めします
(1か月の予定は月初めにホームページに掲載しています)



5月 9日(火)   午後の診療開始が遅れます
           保健所の健診業務のため
           午後3時30分からの診療となります


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2017年05月02日

小児インフル急増!!!

mizueyubisashi.jpg 「江戸川区感染症定点観測」(区内31か所の定点指定医療機関での患者発生数報告)の4月17日から4月23日までの集計結果です。速報とはいえませんが、流行の流れはお伝えできると思います。

 減少を続けていたインフルエンザですが、この週小児インフルエンザが逆に急増しました。このことはメディアなどでも採り上げられていましたが、江戸川区でも同様の現象になっているようです。成人インフルエンザのほうは2週続けて1桁台の減少でしたが、この週には2桁台の減少を見せています。小児も成人もA型とB型の比率に関しては大きな変動はありませんでした。

 こども診療所でも先週インフルエンザの患者さんが受診されましたが、すべてB型でした。しかし、その後インフルエンザの患者さんはパタッと止まってしまいましたので、小児インフルエンザの急増は一時的なものだったかもしれません。それにしても今後の動きはしっかりと見ていかなければならないでしょう。

 その他の疾患では、感染性胃腸炎溶連菌感染症が2桁台の増加を見せています。突発性発疹がまたわずか1週間で報告数2桁に返り咲きました。

 この週2桁以上の報告数があったのは突発性発疹の返り咲きで5疾患となり、順位では成人インフルエンザ溶連菌感染症小児インフルエンザの3疾患、先週の第2位から第4位までの疾患に順位の変動がありました。

第1位《1》感染性胃腸炎 ↑↑(報告数178)
第2位《3》溶連菌感染症 ↑↑(報告数59)
第3位《4》小児インフルエンザ ↑↑(報告数57)
第4位《2》成人インフルエンザ ↓↓(報告数25)
第5位《0》突発性発疹(報告数13)

 《 》内の数字は先週の順位、数字0はその週の報告数が1桁だった疾患です。(矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています/報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区全体の医療機関からの報告数ではありません)

 定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹風疹百日咳の3疾患とも報告数は今週もゼロでした。このブログの更新を再開してからですと10週連続となります。

 定期予防接種の対象になった水痘は、本来こちらに移動するべきですが、まだまだ発生数が多いので、当分は順位をお知らせする疾患として扱います。今週の報告数は先週より2例増えて4例でした。


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2017年05月01日

こどもの発熱 ー熱とお風呂ー

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

  お子さんが熱を出して診察にいらした方の多くは、帰り際に「熱があったらお風呂いい気分(温泉)はやめといたほうがいいですか?」とお訊きになります。日本では昔から「熱があったら風呂はだめ」が常識でした。ところが30年ほど前から「西洋では熱があると水風呂に入れる」という情報が入ってくると、熱とお風呂の関係が混乱し始めます。

 私はその頃まだ新米からやっと中堅の仲間入りしたぐらいの小児科医でしたが、やはり気になって色々調べました。その結果、病院などでは緊急に熱を下げるために水風呂を使うことはあっても、一般家庭ではそんなことはやっていないということがわかりました。日本でも緊急に熱を下げなければいけないときに、こどもの体中にアルコールを塗りたくってしまうことがあります。アルコールは揮発性ですからすぐに蒸発してしまい、そのときの気化熱がこどものからだから熱を奪ってゆき熱が下がるのです。熱を逃がすということですね。

pingushower.jpg それはともかく、熱があるときにお風呂に入ってもよいのかだめなのかの話に戻りましょう。「熱があったらお風呂はやめといたほうがいいですか?」というご質問に私は「熱があるときお風呂にはいること自体は絶対ダメというほどのことでもないけれど、本人がいやがるようなそぶりを見せたら絶対にやめておきましょう。また、湯船にはいるのは避けてシャワー程度にしたほうが無難です。どうしてかというと、日本のお風呂の温度は高すぎるんです。普通日本人がお風呂と感じるのは40℃以上なんですね。37〜38℃だととてもお風呂とは思えない。だから、たとえば39℃の熱がある子が日本のお風呂に入るとお湯の温度のほうが高いですから温められてよけい熱が上がって右斜め上しまうんです。西洋人みたいに37〜38℃のお風呂に入れば今度はお湯の温度のほうが低いですから冷やされて熱は下がります右斜め下が、日本人にとっては水風呂みたいなもんですから湯冷めしてよけい病気が重くなってしまうかもしれません。そういった意味で熱があるときはぬるめのシャワーぐらいにしておいたほうが無難だということなんです。

 西洋のお風呂の温度は37〜38℃、日本のお風呂は40℃以上。これは文化の違いですからそう簡単に切り替えられるものではありません。いくら生活が「欧米化」しても感覚的なことってすぐには変わらないんですね。



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