2017年06月19日

熱性けいれん -シーズン4-

clinic.jpg 月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 熱性けいれんはその場限りのもので後遺症を残さないとは言っても、医者の私でさえ見るのがつらい状態ですから、できればけいれんを起こさせないようにしたいものです。

 熱性けいれんの予防には”ダイアップ”という坐薬を使います。万能ではありませんが正しく使えばかなりの効果が期待できます。今回はこの"ダイアップ"を中心とした熱性けいれんの予防についてお話します。

 ダイアップはジアゼパムというクスリの商品名で、ジアゼパムはもともとけいれんを止めるクスリとしてかなり古くから使われていました。内服薬と注射薬しかありませんでしたが、医療機関に到着した時点でけいれんが治まっていないケースではすぐにこのクスリが静脈注射されました。しかし、小さなお子さんがけいれんを起こしている最中に細い血管にキチンと針を入れるのはとても難しく、ダイアップが登場したときは「これでだいぶ楽になる」と思ったものです。

 このように当初治療薬として登場したダイアップが、しばらくすると熱性けいれんの予防に使われるようになりました。ジアゼパムには内服薬もありますが、内服だと効果が出るのに時間がかかり、急激な熱の上昇のときに間に合いません。しかし坐薬であれば効果は早く始まり、しかも注射と違って一般の方でも簡単に使うことができます。

 では、ダイアップが使われるようになる前の予防法はどんなものだったのでしょう。

 「熱性けいれんは熱があるときしか起きない。だったら熱を下げてしまえばよい。」というのが予防の基本でした。今から思えばずいぶん乱暴な理屈ですが、熱さまし(解熱剤)を使って熱を下げ、また熱が上がり始めたら再び熱さましを使う。という原始的な方法しかなかったのです。しかし、このような方法では、一旦下がった熱が再び急激に上昇したり、家族全員が寝てしまってから熱が上昇したりするとけいれんが起きるのをを止めることができませんでした。でも他に方法がなかったのです。

 ダイアップが予防の主流になってからは基本的な考え方は大きく変わりました。「熱があっても、また熱が急に上昇しても熱性けいれんを起こさせないぞ!」というのが基本です。ですからダイアップを使うときには原則として熱さまし(解熱剤)は使いません。

 また、ダイアップが主役ではあっても、チカチカする蛍光灯やテレビを避けるといった予防法も決して影が薄くなったわけではありません。

 こんなケースもあります。夜中にお子さんが急に熱を出し心配になった親御さんが自分の車にお子さんを乗せて夜間診療所に向かう途中でけいれんを起こしてしまうという例です。

 街路灯だけが灯っているような暗い夜道では、街路灯の真下を走るときは明るく、街路灯と街路灯の間では暗くなり、ちょうど光の点滅と同じ効果が生まれてしまいます。これがけいれんを引き起こしてしまうのです。夜間走行時夜車(セダン)にはお子さんの目にこの街路灯の明暗が入らないようにする注意も必要です。

 ずいぶんと長くなってしまいました。今回は熱性けいれん予防の一般論ということで、ダイアップの具体的な使い方はまた次回とさせていただきます。

 


posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(3) | TrackBack(0) | こども診療所医学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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