2015年08月06日

育児講座11「男の子と女の子の育て方」

oxfam.jpg 育児講座とはいっても決して堅苦しいものではありません。また、直接育児に役立つような知識というわけでもありません。世間でまかり通っている育児の情報に「ホントかいね?」と疑問を投げかけ、ちょっとした考え方の変化で育児が楽しくなるようなそんな記事を掲載しています。


第11回  「男の子と女の子の育て方」

 男女平等思想の広まりと深まりの中で、男の子も女の子も同じように育てられるべきだという考え方と、子どもにとって父親の存在と母親の存在というものは別々の意味を持つものなのだから、男の子にはそれなりの、そして女の子にもそれなりの育て方があった方がよいという考え方とが論じられることがあります。

 これらの議論の前提となっている「男女平等」ということを通して、男の子と女の子の育て方を考えてみたいと思います。
 
 日本における男女平等は、男女雇用機会均等法の成立や中学校の家庭科男女共学という形で少しずつ実を結びつつありますが、現実には今の世の中完全に男社会だと言わざるを得ません。女性はその中で永年低い地位に甘んじてきたわけですが、進歩的な女性が男社会にくさびを打ち込む形で女性の地位向上に努力した結果、少しずつながらも女性の権利が拡大してきたわけです。これから先も完全な男女平等へ向けて女性の権利闘争は続いていくでしょうし、男性の側からも男女平等を真剣に考える人々が出てくるでしょうが、女性の権利の拡大によって到達する男女平等というものが本当の意味での男女平等なのかと考えてしまうことがあります。

 育児相談をやっていますと、赤ちゃんが小さいうちは発育がどうのとか栄養がどうのという相談が多いのですが、子どもが一歳半を過ぎるころから、言葉の問題や性格の問題が増えてきます。いつまでも人見知りがなおらないとか、子どもが大勢集まっているところへ入っていけないとか、人におもちゃを取られても取られっぱなしだとか、内気というか消極的な子どもは親を悩ませてしまうわけです。特に男の子の場合には「これから先の競争社会で生き抜くには余りにも頼りない」と思って不安になってしまうようです。

 ところがある時、女の子のお母さんがそういう相談を持ちかけてきたので、「どうして内気じゃいけないの」と聞きましたら、「これからは、女性も社会に出て男性に互して生きていくのだから、そのためにはもっと外向的で積極的にならなければいけない」という答えが返ってきました。

 「まさにその通り、あなたの信念を貫いてがんばんなさい」と言いたいところなんですが、こういう考えってなんかおかしいと思いませんか。

 外向的・積極的っていうのは、昔ながらの「男らしく、女らしく」でいえば、どっちかっていうと男の属性に入っていたものです。女の子が「男らしく」なって男社会に入っていくという図式は、たとえ男と女が同等の権利を持ち、同等の力量を発揮できるようになったとしても、その社会は、生物学的に男であって社会的にも男である「男」と、生物学的には女だけれど社会的には男になってしまった「男」によって動かされる「男」社会なのではないでしょうか。

 男女平等というのは、女が「男」になることで作られるものじゃないと思うのです。

 男も女も同じになるということと男女平等はまったく別のものなのです。男は男、女は女だからこそ男女平等の意味があると言った方が正しいでしょう。男の子と女の子を同じように育てたからといって男女平等が実現するわけではないのです。

 それよりもっと大切なのは、子どもたちが育っていく環境がどれだけ男女平等を実現しているかでしょう。そう考えると、今の環境が男女平等には程遠いことに愕然とします。

 子育てする夫婦がいくら平等の関係にあっても、世の中全体が全然平等じゃありませんから、いくら男の子と女の子を同じように育てても、子どもの心には男女不平等の現実のほうが強く焼きついてしまうでしょう。だったら、男女平等の前提に立った子育てより、不平等の現実を踏まえて、平等の実現に努力する親の姿、あるいは社会の人々のそれこそ後ろ姿を子ども心に焼きつけた方が、その子が自分でものを考えるようになってから大きな力になるはずだと思うのです。

 生物学的には、オスがいてメスがいるのは子孫を残すためです。生物としての人間とて例外ではありません。男がいて女がいるのは子どもを産むためであって、父性だの母性だのとは関係ないことのはずなのです。この生物学的な性的役割分担(立場としては平等)と社会の中での性的役割分担(今まではこれが差別だった)をきちんと整理してから男女平等を捉えないと、男の子と女の子の育て方も見当違いの方向に進んでしまうかもしれません。

 戦前の「男は兵隊、女は銃後」でもなく、高度成長期の「男は会社、女は家庭」でもない「男は男、女は女」があってもいいのではないでしょうか。



posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所育児講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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