2016年02月18日

育児講座22「パパと赤ちゃん」

oxfam.jpg 育児講座とはいっても決して堅苦しいものではありません。また、直接育児に役立つような知識というわけでもありません。世間でまかり通っている育児の情報に「ホントかいね?」と疑問を投げかけ、ちょっとした考え方の変化で育児が楽しくなるようなそんな記事を掲載しています。


     第22回  「パパと赤ちゃん」

 ある国会議員のおかげ(?)で、男性の育児休暇への注目度が上がっています。そして、厚生労働省というお役所の政策会議の名前でさえ「イクメン」という言葉が使われるぐらいですから、ナンノカンノと言われながらも、子育てのシーンに登場する父親がどんどん増えてきていることは確かです。

 しかしこの父親が育児に登場するきっかけというのはなかなかむずかしいものらしく、親切な育児書には必ず登場のきっかけが書かれています。それは入浴と遊びです。だからといってすべての父親がかっこよく登場するわけではありません。なまじこういうきっかけが書いてあるために、やらなきゃ文句を言われる、やったらやったで中途半端だと文句を言われる父親も少なくありません。

 この困難を克服し、ときには挫折しながらも赤ちゃんへのアプローチを続けるパパに、現代の世間の風潮は厳しすぎます。もっと気ながに温かい目で見守ってあげるべきです。こういうのは私が男だからでしょうか?

 「もっと育児知識があればもっと楽に赤ちゃんと接触できるはずだ」と考える方もいらっしゃるでしょう。ホントにそうでしょうか?

 生まれたばかりの赤ちゃんの手のひらに触れると赤ちゃんは必ず握り返してくれます。「おい、うちの子天才じゃないか。オレが父親だってわかるみたいだぞ。」これでいいのです。そばで奥さんに、「何言ってるの。それは原始把握反射っていって、生まれたばかりの赤ちゃんは手のひらに触れたものは何でも握りかえすのよ。」などと言われた日には感動が薄れてしまうじゃないですか。

 パパと赤ちゃんの出会いには感動が大切なのです。赤ちゃんはたとえ無知であっても感動のあるパパが大好きなのです。感動と大好きの人間関係ができてから育児知識を詰め込んでも決して遅くはないでしょう。

 ところでまったく話は変わりますが(毎度のことで)、るんるんウルトラの父がいて、ウルトラの母がいて、そして太郎がここにいる。るんるん

 覚えてますか?そうです「ウルトラマン太郎」の主題歌です。なにもウルトラマン太郎の歌を引き合いに出すまでもなく、父と母がいて子どもがいるという図式は古今東西当り前のことでした。ただ、それぞれの役割というと、今までは育児はほとんど母の仕事で、父親の影はきわめて薄いものでした。でも本当に薄かったわけではなく、昔のホームドラマのセリフによく出てきたように「お父さんに相談して」とか「お父さんに怒ってもらいます」とか、最高裁判所みたいに最後に登場して最終決定を下す存在(役割)が父親だったのです。それはそれでなかなかに責任のいる仕事ではあったのです。

 それを親父の権威だと考える人にとってはウルトラマン太郎の家庭のようにいつも父がいて母がいてそして子どもがそこにいるというドラマの展開は自分の権威が失墜したように感じられて不愉快きわまりないことになるでしょう。

 しかしそれは余りにも一面的な見方であるといわざるを得ません。水戸黄門のように放送時間残り15分になると待ってましたとばかり「この印篭が目に入らぬか」とくる真打登場型のドラマもあれば、インディ・ジョーンズのように主役が最初から最後まで大活躍というドラマだってあるのです(古いなぁ)。どちらもそれなりに楽しめるし、どちらが好きかというのは単なる好みの問題でしかないでしょう。

 今や父親は水戸黄門ではなく、家庭におけるインディ・ジョーンズになりつつあるって考えるのはどうでしょう。最初から最後まで活躍するよう役柄が決められているのです。

 家庭における父親の役割が変わったことの背景に女性の社会的地位の向上という要因があるのを見逃すことはできません。家庭における最高裁でありたい男には、男社会に進出してきて男の領分をおかす女性を快く思えるはずはありません。だからその裏返しで男が育児に参加しなければならないということは男の地位の低下としか考えられないのです。

 このような考えの根には、社会は家庭より優越した存在であるという思い込みがあります。しかし社会と家庭は本質的に違うもので優劣関係で論じられるものではないのです。

 女性が社会に進出したと考えるのと同じ発想で男が家庭に進出したと考えることはできないでしょうか?そう考えれば、男の家庭的地位は着実に向上しているのです。それがインディ・ジョーンズに与えられた家庭的役割なのです。

 インディ・ジョーンズなどとおだてはしましたが、残念ながらパパは主役にはなれません。育児アカデミー賞の主演女優賞はもう母親と決まっているのです。主演男優賞など始めからありません。目指すのは助演男優賞だけなのです。

 パパは主演女優賞のママと一緒に子育てができてこんな幸せなことはないと本気で思わなくてはいけません。そしてその感謝の気持ちを赤ちゃんに伝えることから、パパと赤ちゃんの深い絆が創られていくのです。

 ホントかいね!
posted by YABOO!JAPAN at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所育児講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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