
昔はちょっと病気が重くなるとすぐに注射をしたものですが、最近は重症の脱水とか吸入だけでは治まらない喘息発作とかのケースで点滴をする以外は、あまり注射をすることはなくなってきています。こどもの注射といえば予防接種ぐらいなものでしょう。

でも、愛育幼稚園の園児達にお褒めの言葉をいただいた頃はまだパスカルの原理に気づいていませんでした。その当時の私の痛みを和らげる方法というのは、まず針を刺すときに皮膚を指で強くつまんで痛みを与え、気持ちがその痛みの方に向いている間に一瞬のうち(早ければ早い程よい)に注射をすませてしまうという方法だけでした。これは現在でも使っています。けっこう有効です。
もう一つの方法は注射をする部位です。この場所は、一般的に予防接種の注射をする部位(腕の斜め後ろ)とほとんど変わらないのですが、私の場合そこよりもやや後ろの、肉が一番タプタプしているところに注射をします。これも現在使用中で有効です。
そしてこれにパスカルの原理を加えた方法が加わってさらに私の注射は痛くなくなりました。ヒントを与えてくれたのは愛育病院小児科で私と一緒に働いていた若い女医さんでした。
その当時愛育病院では上の写真の左から2番目、2.5ml用の注射器に23ゲージという太さの針をつけて注射を行っていました。ある時その女医さんが、「もっと細い針を使ったほうが痛みが少ないのではないか?」と疑問を投げかけてきたのです。なるほどと思って25ゲージという、もう一段階細い針で試してみました。確かに針を刺したときの痛みは細い針のほうが少ないようでしたが、針が細い分注射の時間がかかるし、力も必要なのでけっこう疲れるのです。一瞬のうちに注射をすますという私のやり方とは合わないようでした。それで私はまた元の太さの針にもどしてしまったのですが、「細い針のほうが痛みが少ない(かもしれない)」という思いは頭のどこかに残っていたのです。
パスカルの原理に気づいたのは、私がこども診療所を開設してから。女医さんからの疑問の約5年後のことでした。

細い針のほうが痛みが少ないというのであれば、針を細くした分、あるいはそれ以上に注射器を細くしなければいけなかったのです。愛育病院では同じ注射器で針だけ細くしていました。だから力が必要で疲れてしまったのです。

ところが、何事もそう簡単には完成しないもので、同じ量の液を注射する場合、注射器が細くなればなるほど、液を押し込むピストンは長い距離を移動させなければならないのです。その間に注射器がぶれたりすると、針も皮膚の下でぶれるわけですから、その痛みたるや太い針の痛み以上のものになってしまいます。
でも、解決法はわりと簡単でした。ピストンが動いている間針がぶれないように、注射をする部位と注射器をしっかりと固定するということです。もちろん私の技術力が問われるところですが、私はさらに一工夫して、注射を受けるお子さんをお母さん(保護者の方)だけに押さえていただくことにしたのです。
注射のときにお子さんが泣くのは、注射の痛みもさることながら、他人に抑えこまれることへの恐怖感が大きいのです。押さえているのがお母さん(保護者)であればこの恐怖感を和らげることができ、ひいてはお子さんの動きも少なくなると考えたのです。そして結果はその通りでした。
そこで、次の段階として、ほとんどマニュアル的にしっかりと押さえていただける方法を考え出しました。「こうやって、こうやって、こうやって、はい、そのまましっかり固まっててください」というだけでしっかりと固定のできる形(体位とでもいいましょうか)です。え?その体位を説明しろですって?それは企業秘密です。お出でいただけば一目瞭然です。
こうしてこども診療所の痛くない注射は完成しました。ある時、それまで他の小児科で予防接種を受けていたお子さんがこども診療所で予防接種を受けられました。お母さんが「ここは予防接種なのに静かですね。前のところはこども達の泣き声が響き渡っていました。」とほめてくださいました。
その辺のところも近々書いちゃいましょうかね。
インフルエンザの予防接種を受けようと思っています。
内科で摂取するか、産婦人科・小児科で接種するか悩んでいます。
どちらの方が痛くないでしょうか。
科によって決まるわけではありません。
腕のいいお医者さんが見つかるといいですね。
>YABOO!JAPANさん
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>痛いか痛くないかは医者の腕一つです。
>科によって決まるわけではありません。
>腕のいいお医者さんが見つかるといいですね。
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