2014年11月12日

痛くない注射の秘密(課外編)

vaccine.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 どんなに工夫をしても、注射が注射である限り、皮膚に針を刺すという宿命から逃れることはできないわけで、全く痛みがないというわけにはいきません。それに、痛みの感じ方は個人差がとても大きいので、ちょっとでも痛いと泣いてしまう子もいれば、相当痛くてもせせら笑っている子もいます。

 また、注射の痛みには、針を刺すことの痛みだけではなく、いくつかの要因があります。今回は痛くない注射の課外授業編として、その辺のところをお話ししてみます。

 まずは注射液(ワクチンなど)そのものによって起こる痛みです。注射液には酸性・アルカリ性の度合い(pH)とか、浸透圧とか、濃度とか、粘調度とか、液体であるが故に持っている物理化学的な性質があります。

 人間のからだも70%は水分ですから、液体としての性質を持っています。注射液の物理化学的性質と人間の体液の物理化学的性質が同じであればその液体が体内に入ってもそれほど痛みは感じません。

 一般的にいえば、不活化ワクチン(四種混合やインフルエンザなど)のほうが生ワクチン(MR、水痘、おたふくかぜなど)より、痛みが強いようです。特に肺炎球菌ワクチンは針の痛みよりワクチンがしみこむときの痛みが強く、たいていのお子さんは注射針を抜いてから泣き出します。お子さんを泣かさずに肺炎球菌ワクチンを注射し終えたときは「やったね!」という気分です。

 次は痛みに対する恐怖心です。

 痛みに対するというより、注射そのものに対する恐怖心は3歳以上の年齢にならないと湧いてきません。「痛くないから大丈夫」とか「この注射すると病気にならないよ」とか言ってごまかそうとしてもなかなか恐怖心を消し去ることはできません。

 恐怖がなくなるのは注射が終わったときです。そこで私は色々説得を試みるより、無理矢理でも注射をすませてしまうという方法を選んでいます。普段の診察の時はお子さんのいうことを辛抱強く聞くようにしていますが、注射の時ばかりは、ほとんど暴力的な医者に変身します。

 それから、赤ちゃんと上のお子さんが同じ日に注射(予防接種)を受けるときには、上のお子さんを先にするようにもしています。赤ちゃんの注射を見ている間に恐怖心をさらに募らせることになってしまうからです。ときどき「下の子は注射のこともよくわからないから先にお願いします」というご要望もありますが、わからないからこそ見ていても平気なのだと考えています。

 とまあ、色々工夫をしながら「痛くない注射」を目指しているわけですが、それでも注射ってやなもんですよね。昔、病院勤めの頃、病院全体の職員健診の責任者となったときなんか、採血されるのがいやで逃げ回っていて、「責任者がそれでは困ります」とお叱りを受けたことがありましたっけ・・・。



posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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