
今回からワクチンそのもののお話を始めるわけですが、前回からだいぶ時間がたってしまったので、まず、今までのお話のおさらいをしようと思います。
《肺炎球菌ワクチンのおさらい》
まず、肺炎球菌ワクチンには2種類あるということをお話しました。乳幼児に使用するのはジフテリアトキソイドとの結合型肺炎球菌ワクチンです。日本で発売されたのは、商品名を「プレベナー」という7価のワクチンです。
この「7価」という言葉の意味を覚えていますか?
一口に肺炎球菌といっても、細菌を包んでいる莢膜(きょうまく)というカプセルの違いによって、肺炎球菌には約90種類のタイプがあります。そのうちの7種類に対して有効なワクチンという意味です。
90種類のうちたった7種類

そして、「プレベナー」には、免疫補強剤(アジュバント)としてアルミニウム塩が含まれています。すでに使用されているDPT三種混合ワクチンにもアルミニウム塩が含まれていますが、Hibワクチンには免疫補強剤は含まれていません。
このアルミニウム塩のため、DPT三種混合ワクチンは」注射をした局所の反応が強くなりやすいことが知られています。「プレベナー」でその辺のことがどうなっているかはこれからお話する内容です。
また、肺炎球菌感染症についてもお話ししました。
肺炎球菌による細菌性髄膜炎はHib菌による細菌性髄膜炎より数は少ないけれど、死亡あるいは後遺症を残す率はHib菌とほとんど変わらないこと、肺炎球菌は髄膜炎以外にも様々な小児の重症感染症を引き起こしていることなどをお話ししました。
そして最後に、肺炎球菌感染症の治療のお話では、抗生物質に対して耐性菌が増えているために、「病気になってから治療するのではなく、病気にならないよう予防の手段を講じよう」という発想の転換が必要になっているということ、つまりワクチンによる予防を第一に考えようというというところで、前回までのお話は終わりました。
そしてこれから新しいお話に入るだろうとお思いでしょうが、今日はウォーミングアップということで、続きは次回のオ・タ・ノ・シ・ミ!
どうもすみません。