2010年07月28日

肺炎球菌ワクチンすべて(11)

vac100r.jpg 大変お待たせいたしました。このところ日本脳炎の勧奨接種再開や子宮頸癌ワクチンの新規採用などが相次ぎ、なかなか肺炎球菌ワクチンのことまで手が回りませんでした。約1か月ぶりですが乳幼児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」を接種するかどうかを判断する基準の参考その2をお届けします。


《何歳まで接種すればいいの?》

age_ipd.jpg まず、右の図をご覧ください。こども診療所のスキャナーが使えなくなってしまったため、パンフレットを撮影しましたので図がゆがんでいますがご了承ください。何を示した図かといいますと、髄膜炎を含む肺炎球菌による重症感染症(IPD)がどの年齢層に多く発症するかを示したもので、0歳から90歳代までが含まれています。

 小児では1歳代をピークに10歳になるあたりまで分布しています。赤い棒グラフになっていて、髄膜炎が中心となります。大人では30歳代から増え始め、70歳代をピークに分布しています。青い棒グラフになっていて、高齢者では肺炎が中心になります。

 一目見て、小児ではヒブ菌による髄膜炎より高い年齢まで発症していることがわかります。そのために「プレベナー」は生後2か月から9歳まで(9歳を含む)接種可能となっています。

 接種可能な年齢の幅は広いですが、グラフをよく見ると、5歳から9歳までは一括して示されており、その総数は4歳代の発症数より少ないことがわかります。

 ということはヒブ菌同様5歳未満のお子さんに多い病気ということもできますが、10歳までは起こりうる(もちろんそれ以上になってもゼロにはなりません)病気だと考えたほうがよさそうです。

 そこで、何歳までは接種したほうがよいのかという疑問が生じるわけですが、確実にいえることは「早ければ早いほどよい」ということで、何歳になったら必要ないという答えを出すのは不可能だと思います。

 「プレベナー」の接種回数は、2歳以上は追加接種なしの1回ぽっきりです。現時点では公費の補助がありませんから、全額自己負担になりますが、1回ぽっきりなら受けておいたほうが安心かなという考えも成り立つでしょう。

 いつものことながら、受けるか受けないかは保護者の方ご自身で決めていただくことだと思います。


《何歳まで効果があるの?》

 右上のグラフでは、IPD(侵襲性肺炎球菌性疾患)はゼロ歳代から90歳代まで起こりうることになっています。では、こどもの時に接種した「プレベナー」は高齢者になっても有効なのでしょうか?

 その答えは現時点ではまだわかりません。

 「プレベナー」が使用されてからまだ10年程度しかたっていませんので、それ以上の期間有効な抗体価が維持されるかどうかはまだ未知数なのです。それに、以前にもお話ししたように、「プレベナー」は「こどものIPDさえ予防してくれたらそれでいいよ」という条件で作られたワクチンですから、そこまで期待するのは無理かもしれません。

 それから、高齢者用の肺炎球菌ワクチンは基本的には1回接種ですが、アメリカでは追加接種の必要性が議論されています。「プレベナー」とは別のワクチンですが、やはりそんなに長期間の効果は期待できないのかもしれません。


《7価?10価?13価?》

 何度も申し上げましたが、「プレベナー」は7価の肺炎球菌ワクチンです。でも、7価でこどものIPDの約80%は予防できそうだということも申し上げました。

 しかし、高齢者用の肺炎球菌ワクチンは23価です。なるべくたくさんのタイプが含まれたワクチンのほうが安心のような気がします。

 では、乳幼児用にはそのようなワクチンはないのでしょうか?

 いえいえ、ちゃんとあるんですよ。

 「プレベナー」はワイス社が製造しているワクチンです。そのほかにグラクソ・スミス・クライン社では10価の肺炎球菌ワクチンを製造していて、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどですでに承認されています。また、ワイス社でも13価のワクチンを開発して、アメリカとヨーロッパで承認申請を出しています(このところ忙しくて承認されたかどうかの情報を確認してありません)。

 また、7価の「プレベナー」に含まれているのは、欧米人に多いタイプで、13価ワクチンに追加される6価のほうがアジア人には多いタイプだという未確認情報もありますが、あくまでも未確認情報です。

 残念ながらこれらのワクチンがいつから日本で使えるようになるかは全くわかりませんので、肺炎球菌ワクチンの接種を受けようと決めている場合には、現在使用されている7価の「プレベナー」でなるべく早く接種を済まされることをお勧めします。

 接種を受けるかどうか迷っておられる方は、もう少し待ってこれらのワクチンの動向を確認してから決定するということでもよいかもしれませんが、いつまで待てばよいかは全くわかりません。



 さて次回からはいざ接種を受けようと決断したらどうするかという話に移っていきます。接種を受けるかどうかを決めるのは、何度も申し上げますが、保護者の方ご自身です。




posted by YABOO!JAPAN at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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