2010年07月30日

「必死剣鳥刺し」を観てきました

f-7tori.jpg 昨日は木曜日で午後休診だったので、両国にある本所警察署まで運転免許の更新に行った帰りに、錦糸町の楽天地シネマで、藤沢周平の短編小説を映画化した「必死剣鳥刺し」を観ました。

 藤沢周平モノの映画は「たそがれ清兵衛」以来欠かさず観ていますし、このブログでもいろいろと紹介しています。「たそがれ清兵衛」・「隠し剣鬼の爪」・「武士の一分」は山田洋次監督の三部作で、それ以外の「蝉しぐれ」・「山桜」・「花のあと」はそれぞれ別の監督の作品です。三作とも山田洋次監督の作には及ばないながら、「花のあと」の中西健二監督だけは山田洋次以外でも藤沢周平作品を映画化できるというのが私の感想でした。

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 というところで今回の「必死剣鳥刺し」はどうだったかと言いますと・・・。(ネタバレあります)

 見終わってあまり後味のよくない映画でしたね。映画化された他の6作品に比べると、主人公が最後に死んでしまうという点が全く異なっているので、同列で論じることは出来ないものの、他の6作品が終わったときに何かしらほのぼのとしたもの、あるいは幸せの予感みたいなものを感じさせるのに対して、この作品で感じたのは殺伐としたむなしさのようなものでした。

 例によって原作を読んでいませんので、原作がそうなっていたのか、監督があえてそのように演出したのかはわかりません。でも血しぶき飛び散る最後のあたりはむごたらしささえ感じてしまいました。

 他には、(1)ストーリー展開に緻密さが欠ける点、(2)キャスティングがステレオタイプでテレビの時代劇みたいだったことなど、見終わって不満の残る映画でした。

 たとえば、(1)に関していえば、主人公(写真左)が愛する妻(写真中)を病気でなくした虚しさからか、家臣に悪評高い藩主の側室(下段の写真中)を城中で殺害するに至る経緯を察することができるような描写がきわめて少ないことや、出戻りで実家に戻らず主人公の家に居ついている亡妻の姪(写真右)そのものも、また主人公との関係性も描き方がきわめて雑な点とか・・・。

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 それから、(2)に関していえば、側室の言いなりの馬鹿殿藩主(写真左)、藩主の寵愛をいいことに藩政に口を出しやりたい放題のわがまま側室(写真中)、一癖も二癖もありそうな中老(写真右)と、写真を見ただけでもそれが伺えるキャストが、まあその通りに演技していて、「水戸黄門」顔負けのベタさです。我が愛する海坂藩、そこの藩主様をこんな風に描いちゃいけませんよ。他の作品に対して失礼です。プンスカ!

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 他にも、庄内弁が全く出てこなかった点やら、ラストシーンでの亡妻の姪のセリフの不自然さやら、細かいことを言い出せばきりがありません。

 それにもう一つ、主人公が蟄居するお蔵の窓にガラスが入っていたかもしれません。「あれっ?」と思ったのですが、ほんの一瞬だったのでよくわからず、その後二度と写らなかったので確認のしようがありませんが、江戸時代の蔵の窓にガラスが入っていたなんてまずあり得ないことです。

 撮影の時に「どうせ一瞬だからわかりゃしないよ」と考えたのだとしたら観客を馬鹿にしていると思います。もしこれからご覧になる方がいらっしゃったら、気をつけて見て下さい。もちろん私の思い過ごしかもしれません。

 でも一つぐらいはよかったところを書いてあげなければね。

 時代劇ファンの私は常々思っているのですが、大勢対一人の斬り合いのシーンで、一人に対して斬り掛かっていくのはいつでも正面にいる一人だけなんです。大勢いるんだから一斉に斬り掛かればあっという間にやっつけられるに決まっているのに、後ろから攻めるのは卑怯だとか、見せ場があっという間に終わってしまうからとか、色々理由があるにせよ、とても不自然に感じていました。

 ところがこの映画では、後ろにいる奴もおっかなびっくり、へっぴり腰で刀を振り回して主人公に傷を負わせていました。これが絶対自然だと思います。このシーンはリアルで気に入りました。

 色々文句を言いましたがそれでも、「蝉しぐれ」(市川染五郎主演)よりはましでした(NHK時代劇の「蝉しぐれ」は秀作)。それに、一緒に見た相棒は「結構おもしろかったよ」とのたまわっていました。


ラベル:藤沢周平
posted by YABOO!JAPAN at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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