2010年12月01日

日本の予防接種体制への提言(12)

vac100r.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 いよいよ今回は「日本の予防接種体制への提言」その最終回です。

 今回は日本の予防接種スケジュールについての提言です。


「予防接種スケジュールの再編」

 ここ数年の間に遅ればせながら日本でも生後2か月から接種可能なワクチンが承認され、また、法的にはもっと低い年齢から接種可能だったにもかかわらず、接種票の配布を遅らせていたワクチンの接種票配布が早まったりと、予防接種スケジュールが変化しつつあります。

 しかし、系統だったスケジュールの再編がないために、「早ければ早いほどよい」みたいに誤解なさっている方も多く、はっきり言っていま日本の予防接種スケジュールは混乱気味です。

 たとえば、はしか+おたふくかぜ+風疹+水ぼうそう混合のワクチン(MMRVと呼ばれます)が日本に導入された場合なら、これら4種のワクチンはいまでも1歳過ぎからの接種になっていますから、大きな混乱は生じないでしょう。

 それがたとえば、DPT(ジフテリア+百日咳+破傷風)+Hib+ポリオ(不活化ワクチンの注射による接種です)+B型肝炎のような6種類の混合ワクチン(B型肝炎を除いた5価のワクチンもある)が導入されるようなことになったら、いまの予防接種スケジュールは大幅に見直さなければならなくなるでしょう。

 諸外国でこのような多価混合ワクチンが比較的容易に導入できるのは、元々の接種スケジュールの枠組みに組み入れやすいからです。元々の接種スケジュールというのは、WHOが推奨してきた接種スケジュールで、この枠組みを取り入れていた国々では先進国とか後進国の区別なく多価混合ワクチンを早期に導入できています。

 その枠組みというのは、BCGを行う国ではBCGは生後1か月以内に、DPTとポリオ(注射でも飲むワクチンでも)は2・4・6か月に同日接種、1歳過ぎてからはしかというのが基本です(はしかは今ではMMRが基本になっています)。ここに、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンやB型肝炎ワクチンが加わっても何となくすんなり入っていけそうですよね。

 日本は昔からWHOのいうことを聞かない国で、日本独自ということが好きだったので、こういう事態になって困ってしまうわけですね。

 今後ワクチンの種類が増えていくことはまず間違いないでしょうから、多価混合ワクチンの開発は必須ですし、ある程度の同日接種もやむを得ないでしょう。しかし、接種を受けるお子さん本人の負担や、接種会場までお子さんを連れて行く保護者の方の負担、さらには労働として接種を行う医者(外国では予防接種士という職業?資格?や、ある程度の資格を持った看護師による接種も行われています)の負担までも考えれば、日本でも予防接種スケジュールを根本的に再編する必要が緊急の課題としてあるのではないでしょうか?

 それをせずに、新しいワクチンの導入だけを進めても、混乱が広がるだけではないかと心配している私です。確かに色々と新しいワクチンが導入され始まっています。でも、今の接種スケジュールが変わらない間は、無理のないスケジュールで接種することも重要だということを認識していただきたいのです。

 多くの人々が新しいワクチンに飛びつくような現状は、マスコミの報道の仕方にも問題があると思っています。

 「○○ちゃん、△歳、いつも朗らかで活発な女の子(男の子)でした。去年の□月の夜、急に発熱し、翌朝かかりつけの医者に診てもらったところ、髄膜炎の疑いがあるということで病院を紹介され入院。細菌性髄膜炎という診断が下され直ちに治療が開始されましたが、○○ちゃんの容態はよくなるばかりか悪くなるばかり。◇日間も意識のない状態が続き、熱が下がって元気になったかに見えましたが、後遺症が残り・・・(中略)・・・何とかワクチンの存在を知らなかったお母さんはこう語っています。」

 ほとんど決まり切った報道の仕方です。

 事実なんだから報道内容に文句をつける方がおかしいといわれればそうなんですが、こういうやり方では視聴者の心情に訴えることはできても、そのワクチンを我が国に導入するための力にはならないのだと言いたいのです。

 誤解を恐れず敢えて言いますが、病気にかかってしまったお子さんやその家族の方のお気持ちは十分お察しいたしますが、マスコミにとってはお涙頂戴の話の種でしかなくなってしまうのです。もっと悪く言えばそのお子さんをさらし者にして視聴者の興味を引こうとしているだけだと言いたいのです。

 こういう状態でワクチンが導入されれば、「髄膜炎ってコワ〜イ病気なんだよ。でもワクチンを接種すれば大丈夫」という風にインプットされた人々の心の中では「怖い怖い」が先走って、我先にとそのワクチンの接種に殺到するという状況になってもおかしくはありません。

 それが、複数ワクチンの同日接種が意外にもすんなりと我が国で受け入れられてしまったことの背景にあるのではないかと私は考えているのです。


【日本の予防接種体制への提言その5】

 WHOの言うこともちゃんと聞いて多価混合ワクチンや同日接種に対応できる予防接種スケジュールの再編を早急に行おう!

 それまでは「無理せず・焦らず」の気持ちを持って予防接種を受けよう!

 


posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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