2012年09月19日

不活化ポリオワクチンの接種(2)

曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


先週の木曜日、9月13日の夜、江戸川区医師会で「第2回不活化ポリオ予防接種講習会」が開催され、私も出席いたしました。

第1回は単独不活化ポリオワクチン(以下「単独ワクチン」)使用開始前の8月6日に開催され、先週このページでお知らせしたような内容と、江戸川区独自の事業として秋の経口生ポリオワクチンの集団接種を8月末に繰り上げて行うことや、単独ワクチン導入後の経口生ポリオワクチンの位置付けや扱いなどについて、江戸川区健康部健康サービス課の担当の方との質疑応答がありました。

今回は、単独ワクチン接種開始後約2週間という時点での開催でしたが、単独ワクチンの接種に関しては今のところ大きな問題は起きていないようで、話の大部分は11月1日導入予定のDPT三種混合ワクチン+不活化ポリオワクチン(以下「4価ワクチン」)に関するものでした。

そこでこの講座の第2回も4価ワクチンを中心に、それに伴って起こりうるいろいろな事例についてお話ししていこうと思います。


《接種間隔についての補足》

その前に単独ワクチンの接種間隔について補足させていただきます。第1回の本講座での説明は次のようなものでした。

定期接種ですから接種間隔についても規定があります。基本的な接種間隔は次の通りです。
初回免疫:3〜8週間の間隔で3回接種
追加免疫:初回免疫終了後6か月以上の間隔をおいて1回接種

ただし、単独ワクチン導入後約3年間は、混乱を避ける意味で規定の接種間隔から外れてもよいことになっています。
ですからすでに経口生ポリオワクチン輸入不活化ポリオワクチンの接種を受けているお子さんでも、間隔を気にせず残りの接種を受ければよいということになります。
実際には、ポリオワクチンは生であれ不活化であれ、接種間隔の上限はありません。ただ、初回免疫の間隔をあまりにも長くあけてしまうと接種を忘れてしまうおそれもありますから、それなりに・・・ということでしょう。

「接種間隔に上限はないのになぜ3週から8週の間に接種しなければいけないの?」という疑問を持たれた方も多いと思います。

接種間隔に上限がないというのは医学的にはその通りです。ただ、11月から導入される4価ワクチンでは初回免疫を3〜8週間隔で3回接種しなければいけないDPTワクチンの間隔によって制限が生じます。それでバラバラな基準で混乱が生じないように接種間隔を統一しておこうというものなのです。

ですから単独ワクチンに関しては向こう約3年間接種間隔の上限は気にしなくてもいいと思います。

しかし、4価ワクチンの場合、導入した時点からこの接種間隔を厳密に守らなくてはいけなくなります。このことはまたあとで詳しくお話ししますが、ご注意下さい。


単独ワクチン+DPTワクチンか?4価ワクチンか?》

9月1日に単独ワクチンが導入された。これだけだったら話は簡単なんですね。「今までは飲むワクチンだったけど今度から注射になりますよ」・「今までは2回の接種だったけど今度から4回の接種になりますよ」・「今までは年2回会場に出かけていって接種を受けてたけど今度から1年中いつでもかかりつけの医療機関で接種が受けられますよ」。この3点で説明はおしまい、です。

ところがここに「11月1日からポリオとDPTを一緒に接種できるワクチンが登場しますよ」が入ってきたものですから話が複雑になってしまったわけです。

ここ数年新しいワクチンが次々と導入され、1歳未満の赤ちゃんは「予防接種だらけの人生」になった感があります。そこへ持ってきて単独ワクチンが導入され1歳までに注射の回数が3回も増えるとなると注射されるほうも大変だけれど、連れて行く親のほうも大変というわけですね。

「わずか2か月待てばポリオとDPTを一緒に接種できるワクチンが登場して注射の回数は半分ですむのだけれどすでに届いている単独ワクチンの説明書にはなるべく早く受けろと書いてあるし、いったいどうすればいいの?」

これが一つの困惑です。そしてもう一つの困惑は、すでにDPTワクチンかポリオワクチンのいずれかあるいは両方の接種をスタートさせてしまったお子さんの場合です。こういうお子さんの中にはDPTワクチンとポリオワクチンの残りの接種回数が同じというお子さんもいれば、残りの回数が違っているお子さんもいます。

残りの回数が同じであれば、まだどちらのワクチンも全く接種していない小さな赤ちゃんと同じように考えることができますから比較的話は簡単です。残りの回数が違っていると「注射の回数はなるべく減らしてあげたいけど、11月まで待って4価ワクチンで残りを接種するとDPTとポリオのどちらかが回数超過あるいは回数不足になってしまうし、すでに届いている単独ワクチンの説明書にはなるべく早く受けろと書いてあるし、いったいどうすればいいの?」

こちらの困惑にはいろいろなケースがあって複雑な問題でして、私自身理解はしているもののまだうまく説明できる自信がありません。ですから今回は基本的なことだけをお話しして、様々なケースにおける考え方は次回以降に持ち越しとさせていただきます。

基本的な事柄として接種票の扱いについてお話しいたします。

11月に4価ワクチンが導入される見通しはかなり確実なものになっているとはいえ、導入が遅れる可能性もなきにしもあらずです。ですから、現時点では法定接種年齢(月齢)に達したお子さんに対しては単独ワクチンとDPTワクチンの接種票は別れて送られてきます。

そして厚生労働省の方針としては「原則として初回免疫の最初に使用したワクチンと同じワクチンを最後まで使用する」ことになっています。

ですから、単独ワクチン+DPTワクチンでスタートした場合は途中で4価ワクチンが導入されても最後まで別々に接種を受けて下さいということです。この「原則」というのが曲者で、どこまで原則を貫き通すのかは曖昧です。

区の説明では、どうしてもという希望があれば単独ワクチンとDPTワクチンの接種票を4価ワクチンの接種票に交換することも考慮するそうです。この交換には保護者の方が直接区役所の健康サービス課に出向く必要があります。医療機関に単独ワクチンとDPTワクチンの接種票をお持ちになり、これで4価ワクチンを接種してくれとおっしゃられてもお受けすることは出来ません。

ただ、単独ワクチン4価ワクチンではポリオワクチンに関してはワクチンを製造する素となるウイルス株が異なります。単独ワクチンはソーク株を、そして4価ワクチンはセービン株というのを使用しています。予防接種においてはなるべく同じ株で作られたワクチンの接種を続けることが望ましいのは確かです。

ちなみに、経口生ポリオワクチンに使用されているのはソーク株です。

逆に、4価ワクチンが導入されて4価ワクチンの接種票が送られてきたけれど、使用経験の浅いワクチンをこどもに接種するのは心配だなどの理由で、単独ワクチンとDPTワクチンを別々に接種したいとお考えの場合、保護者の方が直接区役所の健康サービス課に出向かれれば柔軟に対応するとのことです。

また、4価ワクチン接種開始前に百日咳にかかってしまったお子さんの場合、百日咳の予防接種は不要になりますので、単独ワクチンとDT二種混合ワクチンでの接種となります。この場合にも保護者の方が直接区役所の健康サービス課に出向かれて接種票の交換をしていただくことになります。

接種票の交換はすべて区役所での業務となります。各医療機関では対応できません。


ということで今回は本当に基本的なことだけのお話になってしまいました。次回以降少しずつ具体的なお話をしたいと思います。




ラベル:ワクチン
posted by YABOO!JAPAN at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私の子供はまだポリオ未接種です。
不活化ポリオは米国式で4歳に追加接種した方が免疫が付くと目にしたのですが、これは本当なのでしょうか?
この方法で接種しようと思うと、3年以内にポリオの接種が終わりません。
それでも構いませんが、4回目接種の時にワクチンがあるのか心配です。
11月から4価ワクチンが出てくると、いずれ単独の不活化ポリオワクチンは接種出来なくなるのでしょうか?
ずっと輸入してくれるのでしょうか?
Posted by N at 2012年09月19日 12:31
こども診療所の方針は「まず目の前の予防接種を済ませてから次の接種を考えましょう」で、皆さんにそのようにしていただいています。

ですからお宅のようにまだ一度も接種を受けていないお子さんの場合、「まず初回接種をスタートさせましょう/先のことはそのときに考えましょう」がこども診療所の答えになります。

もし先のことをはっきりさせてから接種を始めたいとお考えなのでしたら、残念ながら明確に答えられる人はいないと思います。

また、ご自分の考えたスケジュールで接種を完了させたいのでしたら、任意接種にするとか、個人輸入を医療機関に依頼するとか、そのときの状況によって道は開けると思います。
Posted by YABOO!JAPAN at 2012年09月19日 16:13
ご回答ありがとうございます。
先生の仰る通り、まずは接種スタートさせます。
もし、ワクチンが無くなった場合は、先生のアドバイスを参考にしてみます。
お忙しい所どうもありがとうございました。
Posted by N at 2012年09月19日 22:18
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