2012年09月10日

こども診療所のインフルエンザワクチン

kanban600.jpg前回は今までこども診療所で使用していたインフルエンザワクチンが今シーズンからチメロサール入りになってしまった話でした。

そこで今回は、「ではいったいどうするか?」の結論をお話しするのですが、その前にインフルエンザワクチン購入の実態について説明させてください。

《バイアル入りとプレフィルド》

ワクチンの入った小さいガラスビンをご覧になったことがありますね。これをバイアルと呼びます。

一方、初めからワクチンが一人分だけ注射器に詰められているワクチンもあります。事前に(プレ)詰められている(フィルド)注射器(シリンジ)= pre-filled syrinnge、略してプレフィルドと呼びます。

インフルエンザワクチンにはバイアル入りとプレフィルドの2種類があります。

バイアル入りは1回の接種量より多いワクチンが入っていて、空の注射器の針を刺して何回かに分けてワクチンを吸い出して接種を行います。針を刺すことによって完全な無菌状態ではなくなります。そこで保存剤を混ぜてワクチンの汚染を防ぐ必要が出てくるわけです。チメロサールにせよフェノキシエタノールにせよ、日本で販売されているバイアル入りのインフルエンザワクチンで保存剤の全く使用されていないワクチンはありません。

去年までフェノキシエタノールを使用していたメーカーが今年からチメロサールを使用することになったので、日本のすべてのメーカーのバイアル入りインフルエンザワクチンにチメロサールが使用されることになってしまいました。

プレフィルドのワクチンは1人分=1回分を完全な無菌状態で製造し、開封と同時に接種してしまいますから保存剤は必要ありません。しかし1人1回分というのは大人の接種量ですから一昨年(一昨シーズン)までの接種量ですと小さなお子さんの場合半分以上を捨てなければなりません。また、1回分として製造されていますから普通の注射器のような目盛りはついていません。こどもの年齢に応じた正確なワクチンの量がわからないのです。

というわけで小児科中心の医療機関ではバイアル入りのインフルエンザワクチンを使用せざるを得ない状況があったわけです。

昨シーズンからこどもの接種量が増量され、3歳以上は大人の接種量と同じになりましたからプレフィルドのワクチンもこどもに使いやすくはなりましたが、こども診療所で使用しているワクチンのメーカーではプレフィルドを製造していませんでした。ただチメロサールを使わずにフェノキシエタノールを使用する国内唯一のメーカーでしたから、こども診療所ではこのメーカーのバイアル入りワクチンを昨シーズンも使って接種を行いました。


《前年度の購入実績》

そして今シーズン、このメーカーがフェノキシエタノールからチメロサールに切り替え、しかも、プレフィルドのワクチンを製造していない状況下で、こども診療所のワクチンをどうしようかという問題が浮上してきました。

「他のメーカーのプレフィルドワクチンにすりゃいいじゃん」

誰でもそう思いますよね。まったくその通りなのですが、インフルエンザワクチンに関しては、前年度までの実績という大きな壁があるのです。

メーカー側が前年度の納入実績に応じたワクチンの量しか売ってくれないのです。これはすべてのメーカーがそうで、大手病院による買い占めを防ぐというメリットもある反面、今回のこども診療所のようなケースでは、他のメーカーに発注してもなかなか希望の数だけ納入してもらえないというデメリットもあります。

「インフルエンザワクチンとチメロサール」について詳しく説明した2008年当時、こども診療所では現在とは違うメーカーのチメロサール入りのインフルエンザワクチンを使用していました。フェノキシエタノールを使用した現在のワクチンメーカーに切り替えようとしましたが、「前年度の購入実績」という壁に阻まれて、チメロサール入りのワクチンで接種をスタートせざるを得ませんでした。

八方手を尽くして、シーズンの途中からチメロサールフリーのワクチンで接種が行えるようになり、昨シーズンまでそのワクチンを使用していましたが、今シーズンまた他のメーカーに切り替えたくても「前年度の購入実績」がないメーカーからは容易に購入することができません。

そんなわけで4年前と同様、チメロサール入りのワクチンで接種をスタートさせなければならない現実となってしまいました。もちろん4年前と同様チメロサールフリーのプレフィルドワクチンを購入する努力は続けますが、いつ頃入手できるかは今のところめどが立っていません。

また、チメロサールフリーのプレフィルドワクチンが入手できたとしても、3歳未満のお子さんに正しい量のワクチンをできるだけ無菌的に接種するにはどうすればいいかについてはまだ結論が出ていません。

という非常に困った状況をご理解いただき、
こども診療所での今シーズンのインフルエンザ予防接種がチメロサール入りのワクチンでスタートする
ことをご了承いただきたいと思います。




posted by YABOO!JAPAN at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所だより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。