2012年09月28日

ドビュッシー生誕150年

今年はフランスの作曲家ドビュッシーの生誕150年にあたるそうで、ブリヂストン美術館で「ドビュッシー、音楽と美術」と銘打った美術展が開かれています(10月14日(日)まで)。この美術展の公式サイトはこちらです。

「ドビュッシーがなんで美術展なんだよ???」と思いましたが、ドビュッシーの音楽は嫌いではないし、そう思えば彼の音楽は絵画的でもあるな、ということで、積極的参加の相棒に引っ張られて行ってきました。

この美術展の出品作でもありポスターにも使われているのはルノアールの絵です。
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二人の娘がピアノを弾いている絵で、ルノアールとドビュッシーは同時期にパリで活動していたし、音楽に関係ある絵だし、ルノアールなら客寄せにもなるし、ということでこの絵をポスターに選んだのかと思いましたが、それはそうとしてそれ以外にももっと大きな理由があったのです。

というところで、ここからはドビュッシ−の音楽を聴きながら読んでください。(すごいサービス!)


ドビュッシーという人は交友関係のものすごく広い人だったらしく、それは公式サイトの中に掲載されていますが、音楽家のみならず、画家・詩人・舞台芸術家など様々なジャンルの芸術家やその愛好者と親交があったようです。

その中の一人物の娘2人がポスターに選ばれたルノアールの絵のモデルなんだそうです。ドビュッシーとルノアールはそれほど深い親交があったようではないのですが、ドビュッシーと娘達の父親は終生の友人だったらしく、またドビュッシーは娘のうちの一人に曲を送ったりしています。

そんなわけでこの美術展の出品作品の中では最もドビュッシーに縁が深いと言えるのではないでしょうか。

もっとも、20世紀に入ると写真という物が登場してきますので、パリのサロンの様子や寄宿舎の様子など、記念写真的な作品も出品されていました。その中にはドビュッシー自身も撮影されたものがありますからそっちのほうが縁が深いといえば言えます。

また、ドビュッシーの肖像画も何点か出品されていてそれらもドビュッシーとの縁が深いことは深いですが、ドビュッシーの写真や肖像画では客が来ませんからね。

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左が出品された肖像画の一つ。右がこの美術展用に誕生したキャラの「ドビュちゃん」です。ミュージアムショップにはこのキャラクターグッズが色々と用意してありました。それらも公式サイトで見ることができます。

そんなわけで、出品された作品もドビュッシーの交友関係に負けず劣らず多岐にわたっていて、絵画・版画・彫刻・工芸品・楽譜・詩集、ありとあらゆるジャンルの芸術作品が展示されていました。

中でも特筆すべきはジャポニスムの影響力の大きさだと思います。ドビュッシーが活躍した時代というのはジャポニスムの最盛期ともいう頃でした。ドビュッシーも「ワタシニッポンダイスキ」人間だったらしく、書斎には仏像が置いてあったり、友人に浮世絵をプレゼントしたりしたようですが、彼の作曲した有名な「海」の楽譜の表紙は北斎の「神奈川沖波裏」の大波の部分をそのままトレースした図案でした。ズル〜イ!
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オリジナルも楽譜も両方出品されていました。

ま、それはともかく、この美術展を見終わって感じたことはジャポニスムの偉大さ、奥の深さです。ジャポニスムというと「あ、浮世絵ね。あの大胆な構図や日本的なものへの憧れね。」などと簡単に美術の世界だけで考えていましたが、いえいえそんなことはありません。ジャポニスムは単に美術の分野にとどまらない、それ以上に、芸術の分野にとどまらない社会文化ともいえる広がりと奥行きを持っていたのだと思いました。しかも100年以上も前の頃に!

確かにドビュッシーが憧れたのは日本の美術工芸品だったかもしれません。でもその日本的なるものはきっと彼の感性に吸い込まれて彼の音楽の中に息づいていたと思うのです。「海」の楽譜の表紙はパクリかもしれないけれど、ジャポニスムは世紀末から20世紀初頭のヨーロッパに、社会文化として強い影響力を発揮したと感じられたのです。

そう感じられたのは、この美術展がドビュッシーという音楽家を通して見た美術展だったからだと思います。ただ単に「印象派から近代へ」とか「世紀末ジャポニスム展」とかいうタイトルで画家だけの美術展だったら、昔ながらに「あ、浮世絵ね。あの大胆な構図や日本的なものへの憧れね。」で終わっていたかもしれません。

我々は日本的なものにもっと誇りを持たなければならない。そのためには日本的なものをもっとよく知らなければならない。日本的なものには確かにあまり好ましくない側面もあるけれど、社会文化としてのジャポニスム、あるいはジャパネスクなるものは、今こそ世界に向けて発信していかなければならない。

昼食抜きの空腹を抱えながら、そんなことを考えつつ夕べの日本橋を帰路についたのでありました。






posted by YABOO!JAPAN at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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