2014年09月17日

予防接種:インフルと水痘どっちが先?

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 水痘ワクチンの定期接種化については再三再四お伝えしています。そしてそれが10月1日から開始されることも・・・。ところが10月1日というのはインフルエンザワクチン接種の解禁日でもあります。

 こども診療所では今年のインフルエンザ予防接種は水痘ワクチンの定期接種化の日と同じ10月1日(水)から開始の予定です。予約は9月24日(水)から受け付けます。

 今日のお話のタイトルは「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」です。予防接種講座恒例の交通整理です。

 一般的にいえば、病気の発生頻度や季節的なことを考えて、当然インフルが先になります。でも、インフルエンザの予防接種を先にしてしまうと、定期接種としての水痘ワクチン接種(無料)を受けられなくなってしまうお子さんがいらっしゃるのです。

 それで、どんなお子さんが水痘ワクチンの接種を優先させたほうがよいかの道しるべをお示ししようと思います。ただし、すでに水ぼうそうにかかってしまったお子さんは定期接種の対象になりませんので、インフルエンザの接種を優先(当たり前ですよね、それしかないんだから・・・)させてください。

 また、インフルエンザの予防接種は生後6か月から受けることができます。水痘の予防接種は1歳からです。インフルエンザの予防接種は大体10・11・12月の年内3か月間に行われますから、年内に1歳にならないお子さんは(もし受けるのであれば)インフルエンザしか選択肢はありません。

 水痘ワクチンの定期接種の対象年齢は1歳から3歳です。平成26年度(平成27年3月31日まで)に限って、3歳から5歳まで特例として接種を受けることができます。つまり今年度に限っていえば1歳から5歳までのお子さんが定期接種の対象になりうるということです。

 その中で、接種の順番が問題になるのは、10月から12月の年内3か月の間に1歳の誕生日を迎えるお子さんと、その3か月の間に定期接種の対象年齢を超えてしまうお子さんです。

 年内とは申しましたが、年明けの1週間は医療機関が正月休みで予防接種を受けられないことも考えられますから、以下「年内3か月」と書いてあっても、「来年の1月7日まで」と読み替えてください。

 対象年齢を超えてしまうお子さんのうち、年内3か月の間に3歳に達してしまうお子さんで、まだ一度も水痘ワクチンの接種受けたことがないお子さんと、任意接種で1回接種を受けたことのあるお子さんでは条件が変わってきます。年内3か月で5歳に達してしまうお子さんで、任意接種ですでに水痘ワクチンの1回接種が済んでいるお子さんは定期接種の対象外です。まだ一度も接種を受けていないお子さんは順番を考えなくてはいけません。

 ところで、この年齢のお子さんがインフルエンザの予防接種を受ける場合、接種量は年齢によって違ってきますが、接種間隔でいえば全員が2回接種で接種間隔は2〜4週間となります。また、インフルエンザワクチンを接種したあとは、インフルエンザ以外のワクチンは1週間後から接種することができます。しかし、水痘ワクチンは生ワクチンですから、接種後4週間は他のワクチンを接種することができません。

 これを踏まえて2つのワクチンを同じ時期に接種する方法としては次のようなスケジュールが考えられます。
(1)インフルエンザの2回接種を済ませてから1週間後以降水痘を接種する
(2)インフルエンザの1回目接種後1週間で水痘を接種する
(3)水痘を先に接種してから4週間後にインフルエンザの接種を開始する
(4)インフルエンザの1回目と水痘を同時接種にする
(5)インフルエンザの2回目と水痘を同時に接種する

これらのうち(2)はお勧めできません。というのは、水痘ワクチン接種後は4週間すべてのワクチン接種ができないからです。ジャスト4週間後にインフルエンザの2回目を接種したとしても、インフルエンザワクチンの接種間隔は5週間になってしまうからです。でもどうしてもそうせざるを得ない場合は、絶対ダメというわけではありません。

 では、それぞれの年齢について交通整理をしていきましょう。
(i) 年内3か月の間に1歳のお誕生日を迎えるお子さん
 1歳になったらすぐ水痘ワクチンと思われるかもしれませんが、受けるのだったらインフルエンザワクチンを2回済ましてからにしましょう。インフルエンザの1回目か2回目に水痘ワクチンを同時接種することも可能ですが、それほどあせって水痘ワクチンを接種する必要はないと考えます。

(ii) 年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん
 とにかく3歳にならないうちに水痘ワクチンの1回目を接種してください。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても3歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。
水痘ワクチンについては、今年度に限っては特例がありますので、2回目の接種が3歳を超えても2回目の接種票を使って2回目の接種を受けることができます。

(iii)年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度だけ水痘ワクチンの接種を受けているお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 今年度に限っては特例がありますので、来年の3月31日まで水痘ワクチン接種を1回だけ受けることができます。インフルエンザを優先させることをお勧めします。

(iv)年内3か月の間に5歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 とにかく5歳にならないうちに水痘ワクチンを接種してください。この年齢のお子さんは水痘ワクチンは1回だけの接種です。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても5歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。

 以上です。参考になさってください。

 なお、このようなスケジュールは今年度限りです。来年度は特例がなくなりますが、水痘ワクチンの接種は年間を通じて行われますので、時間的余裕は十分にあります。受けるべき時に受けるべきワクチンを受けるという考え方でよろしいと思います。


posted by YABOO!JAPAN at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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