2017年10月04日

インフル予防接種の基礎知識(2)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

こども診療所では10月2日から予約の受付を始めました。接種は10月10日からほぼ年内いっぱい行う予定です。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。

このページは予防接種講座として「インフルエンザ予防接種」の理解を深めていただくためのものです。


《インフルエンザワクチンの効果》

予防接種というと一般的には「病気にかからない」ことが第一の目的と考えられてきました。しかし、インフルエンザワクチンは「病気にかからない(発症を阻止する)」ことももちろん目標ではありますが、インフルエンザの重症化による健康被害を軽減することが主な目的のワクチンなのです。

「インフルエンザの重症化による健康被害を軽減する」なんていう難しい言葉が並んでいますが、これは厚生労働省のお役人言葉で、簡単にいえば「インフルエンザにかかっても軽くすむようにしましょう」ということです。

では、「軽くすむ」というのはどの程度のことなのでしょうか?
皆さんは「病気にかかってもあまり辛くなく治ってくれれば軽くすんだ」と思われるでしょう。でも、病気の重症度というのは同じ病気でも人それぞれに違います(個人差)から、予防接種をしたのにインフルエンザにかかって、「軽くすんだ」と思う方も、「ちっとも軽くならなかった」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかも、同じ人で予防接種を受けた場合と受けなかった場合とでの重症度を比較することなんてできませんから、「軽くすむ」というのはとても曖昧な表現だと言えます。

その点厚生労働省がどう考えているかというと、とても乱暴で極端な言い方ですが、「健康被害を軽減する」というのは「インフルエンザで亡くなる方を少なくする」ことを念頭に置いている節もみられます。
確かに、インフルエンザの予防接種を受けてインフルエンザ脳症で亡くなったお子さんと予防接種を受けずに亡くなったお子さんとを比べれば、私の知る限りでは、予防接種を受けて亡くなったお子さんのほうがはるかに少ないというのは事実です。
最初に言ったように、これは乱暴で極端な言い方ですから、厚生労働省が「亡くならなければいい」と考えているわけでは決してありません。

具体的にみてみますと、
・小児の発熱が20〜30%減少した
・健康な方のインフルエンザの発病割合が70〜90%減少した
・一般高齢者の肺炎・インフルエンザによる入院が30〜70%減少した
・老人施設入所者のインフルエンザによる死亡が80%減少した
などが報告されていて、この辺がインフルエンザワクチンの効果を示していると考えられます。

もちろん、ワクチンとして予測したウイルス株と実際に流行したウイルス株が大幅に違っていた場合には効果はあまり期待出来なくなります。
しかし、現在のウイルス株の予測精度はとても高いので、昔のように「今年のワクチンは効かない」ということはほとんどありません。

また、その年の流行には間に合わなくても、実際にかかってしまったウイルス株、あるいは予防接種を受けたウイルス株に対する免疫(抗体)は長年記憶として残ります。ですから、何年か経ってほとんど同じタイプのウイルス(あるいはワクチン)に出会うと記憶がよみがえり、高い抗体産生能力を発揮することも知られています。

ですから、毎年予防接種を受けるのは、その年の流行を予測した予防接種であるのと同時に、毎年毎年ちょっとずつ違ったタイプのウイルス株に対する免疫を記憶として保存することにもなるのです。
もちろん実際にインフルエンザにかかってしまっても、そのタイプのインフルエンザウイルスに対する記憶は保存されます。

こどもより大人、大人より高齢者と、人生が長くなるほど記憶されたウイルスのタイプは増えていきます。
2009年に新型インフルエンザとして多くの方がかかり大流行になったことは記憶に残っていると思いますが、その時60歳以上の高齢者は罹患率が低かった(あまりかからなかった)のです。
私もその一人でした。おまけにワクチンが不足していたために予防接種も受けられませんでした。
その時のウイルスの遺伝子型(タイプ)は60年以上前に流行したインフルエンザウイルスの遺伝子型と全く同じかとてもよく似たものだった可能性が高いのです。
60年前にはウイルスの遺伝子型を調べる技術はまだ開発されていませんでしたけどね。

インフルエンザの予防接種は、その年の流行に対して効果を発揮してほしいのは当然ですが、もっと長い目でみる必要もあるのだと思います。


《インフルエンザワクチンの副反応》

すべてのワクチンの副反応としては、接種した部分の腫れ・発赤・痛みといった局所反応と、接種後の発熱・倦怠感などの全身反応とが挙げられますが、インフルエンザワクチンでは局所反応が10〜20%程度認められ、全身反応が5〜10%程度認められます。しかしほとんどの場合これらの反応は通常2〜3日で自然に改善します。

ワクチン成分によるアレルギー反応も認められることもありますが、他の予防接種と比べ特に頻度が高いということはありません。
予防接種にはある程度の(軽度の)副反応はつきものだというのがこども診療所の考え方です。

もちろん滅多にないことですが、ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などの強い副反応はないほうがいいに決まっています。

ワクチン成分によるアレルギー反応については次回の予防接種講座で触れることにいたします。




posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(0) | こども診療所予防接種講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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