
こども診療所では10月10日から接種を始めました。ほぼ年内いっぱい行う予定です。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。
このページは予防接種講座として「インフルエンザ予防接種」の理解を深めていただくためのものです。
《ワクチンに対するアレルギー反応》
1)卵アレルギー
ワクチン製造過程で鶏卵を使用使用しているため、極微量の卵成分が含めれている可能性がありますが、現在の国内ワクチンではほとんど考慮しなくてもよいと言われています(精製過程で卵の成分は問題のない程度まで取り除かれているということです)。
アナフィラキシーショックなどの重篤な症状の既往のある場合は慎重な接種対応が必要になりますが、その他の場合通常の接種と同様に接種してもよいと言われています。
しかし、こども診療所の予防接種の基本姿勢は安全第一です。卵アレルギーがあり、現在何らかの処置(摂取制限や投薬、減感作治療など)を行っている方への接種は控えさせていただいています。
以前は卵アレルギーで制限などをしていたけれど、現在は生卵も大丈夫という方には接種をいたします。
卵アレルギーの有無に関わらず、予防接種では予測できないアレルギー反応が起こる可能性がゼロとは言い切れません。そのような時に適切に対応できるよう、こども診療所ではその態勢を整えています。
2)ゼラチンアレルギー
昔のワクチンにはゼラチンの含まれたものがありました。そしてその頃はまだ食物アレルギーというものが今ほど多くなく、特にゼラチンに対するアレルギーというのはほとんど知られていませんでした。
ですから予防接種でアレルギー反応が起こっても、「予測できないアレルギー反応」とされて、別の病気に対するワクチンは大丈夫だろうと考えられて別のワクチンを接種され、たまたまそのワクチンにゼラチンが入っていなければ副反応なし、入っていればまたアレルギー反応を起こして、「ワクチン特異体質」というレッテルが貼られ、二度と予防接種を受けることができなくなってしまっていたのです。
その後ゼラチンアレルギーがよく知られるようになり、またワクチン製造の技術も進歩し、現在日本で接種されているワクチンはすべてゼラチンの入っていないものになっています。
《インフルエンザ予防接種はいつ受けるのがいいの?》
このことは本来もっと早くお知らせしたほうがいいに決まっているのですが、こんなに遅くなってしまったのには理由があります。
このシリーズの第1回でお知らせしたように、今年のインフルエンザワクチンの供給量は去年より少ないかもしれない、しかも出荷が多少遅れるかもしれないという事実があるほか、今年の流行はすでに始まっているという報道などもあり、インフルエンザワクチンの接種時期についてあまり早くお話をすると、ご希望の方が殺到して、予約をお受けできなくなる可能性があったからです。
現在その心配がなくなったわけではありませんので、これからお話しするのは、一般的な考え方とご理解ください。このブログをお読みになって「さあ、接種を受けよう」と思われても、今年に限ってはこども診療所に十分なワクチンがあるということではありません。
さて、まずは今まで一度もインフルエンザにかかったことのない方(小児でも成人でも)が生まれて初めてインフルエンザワクチンを接種する場合を考えてみましょう。
この方には以前にお話しした免疫の記憶(実際の病気や予防接種の履歴)というのは全くありません。この方がインフルエンザワクチンの接種を受けると約4週間後に免疫力(抗体価)は最も高くなり、その後次第に低くなって約3か月で記憶だけが残るという低いレベルになってしまい、このレベルだけでは予防効果を期待することは出来ません。
この方が1回目のあと約4週間で追加接種を受けると、今度は約1〜2週間で抗体価はさらに高いレベルになり、しかもその時点から約4か月間は予防レベルを保つことが出来ます。2回接種を適切な間隔で行えば、抗体価はより高く・より長く維持されるのです。
それでは、免疫の記憶をお持ちの方の場合はどうなるでしょう。
免疫の記憶がある場合、1回目接種のあとの抗体価の上昇が速くなります。個人差はありますが、1〜2週間でピークに達すると言われています。ですから、免疫の記憶がある方の場合には4週よりも早めに2回目を受けたほうが効果は大きいということも言えますが、何分個人差がありますので、一概に早いほうがよいとは言えないのですが、2回接種の間隔については、13歳未満では2〜4週間、13歳以上では1〜4週間というように、年齢の高い方ほど記憶も多いだろう、だから少し早めでいいだろうという配慮はなされています。
では、誰でも受ける1回目の接種はいつ頃がいいのでしょうか?
インフルエンザワクチンは例年ですと9月下旬から供給が始まります。そして高齢者の公費補助などの接種が10月1日にスタートするために、それに合わせなければなりませんから、ほとんどの医療機関では10月初旬から接種を開始します。
免疫の記憶のない方が10月の初旬に1回だけ接種を受けた場合、予防効果を期待できるのは3〜4か月です。
高齢者の場合には免疫の記憶も沢山お持ちでしょうから、もっと長く予防効果を期待することが出来ます。ですから10月初旬の接種でもいいと思いますが、免疫の記憶のない方は最大の流行期である翌年1月頃には予防効果はかなり低くなってしまうと言えます。
ま、それだからこそ免疫の記憶の少ない若年者(13歳未満)には2回接種で効果の持続を図っているわけです。でも流行が春先まで長引いたら?という心配も当然あります。あるいは1月・2月の受験期にピークの状態にしたいという方もおられるでしょう。
このような場合、2回接種の対象となる年齢のお子さん(13歳未満)の場合には、1回目をいつスタートするかより、2回目をいつ終了するかで考えればよいかと思います。
免疫効果の持続を考えれば、2回目接種に適した時期というのは12月上旬、遅くとも12月中に終わらすということになります。
そこから逆算した1回目接種時期というのは、11月上旬、遅くとも11月中ということになります。1回だけ接種の対象の方の場合には、免疫の記憶に期待して11月中旬から12月上旬にかけてということになります。
最後にもう一度申し上げますが、ここでお話しした接種時期は、ワクチンが滞りなく入荷してくるという前提でのことですので、今年のようにワクチン不足が叫ばれている場合には、皆さんご自身の判断で予約なさったほうがよろしいと思います。
かなり痛いのでしょうか。また、痛くないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
痛くないようにする方法はありません。我慢するしかありません。
痛みの強さは感じる方の個人差もありますし、ワクチンの種類によっても違いますから、痛みの程度を論じるのは意味がありません。
注射の痛みは我慢しなければならないことはわかりました。
出来ればその痛みを軽減できる方法はないでしょうか。
同じ我慢でも少しでも軽減出来たらよいのにと考えてしまいます。
注射だけでなく、採血の時にも有効です。
つねった痛みで注射の痛みを紛らわすわけですから、相当強くつねらなければなりませんが、自分でつねった時は他人につねられるより我慢できるものです。