
感染性胃腸炎が激増しました。報告数が1週間で100例近く増加しました。ノロウイルスによるものも散見されますが、感染性胃腸炎というのは、感染性病原体(細菌やウイルスなど)によって起こる胃腸炎の総称ですので、広い意味では食中毒も感染性胃腸炎と言えないこともありません。でも普通感染性胃腸炎というとウイルス性胃腸炎のことを指します。ウイルスの種類はたくさんあります。その中の一つがノロウイルスというわけです。毎年今頃から年明けにかけて大流行を繰り返しています。うがい・手洗いによる予防がとても重要です。
先週わずかに減少した小児インフルエンザも大幅な増加を見せています。こちらは1週間で報告数が50例近く増加しました。先週はA型15例・B型8例でA型とB型の比率が逆転しましたが、今週はA型47例・B型21例でA型がB型の2倍以上に増えました。今シーズンも例年通りしばらくA型優位で流行が続くものと思われます。
成人インフルエンザはA型11例・B型6例の17例が報告されています。こちらもA型優位がはっきりしてきました。
先週2桁の報告数だったRSウイルス感染症は今週1桁台の報告に後退しましたが、まだまだ本格的な流行期が続きますので、1歳未満の小さいお子さんでは厳重な警戒が必要です。発熱とゼイゼイいう咳き込みが出たらなるべく早く小児科を受診しましょう。
はやり目はさらに減少しましたが、この時期にはやり目の報告があること自体要注意です。
季節外れの三大夏風邪(手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱)は手足口病がついに1桁台に減少し、残るはプール熱だけとなりましたが、2桁の報告数を維持しています。むしろ増加傾向です。
今週報告数が2桁増加した疾患は感染性胃腸炎(+82例)、小児インフルエンザ(+45例)、溶連菌感染症(+18例)の3疾患でした。2桁減少した疾患は手足口病(-10例)1疾患でした。
この週2桁以上の報告数があったのは、成人インフルエンザの報告数が2桁に達しましたが、手足口病、水痘、RSウイルス感染症と3疾患の報告数が一挙に1桁台に後退したため、先週より2疾患少ない5疾患でした。
順位は次の通りで、トップ3は先週と変わりありませんでした。インフルエンザが小児・成人共に順位表に顔を揃えました。
第1位《1》感染性胃腸炎 ↑↑(報告数237)
第2位《2》溶連菌感染症 ↑↑(報告数84)
第3位《3》小児インフルエンザ ↑↑(報告数68)
第4位《6》プール熱 ↑(報告数17)
第4位《0》成人インフルエンザ ↑(報告数17)
《 》内の数字は先週の順位で、数字ゼロ(0)は先週の報告数が1桁だった疾患です。
赤い矢印は先週の報告数との比較で矢印1つが1桁を表しています(↑は増加、↓は減少、→は不変です)。
報告数というのは定点指定医療機関だけの集計で江戸川区内全医療機関からの報告数ではありません。大雑把に見て区内全域ではここに示した報告数の約10倍の疾患が発生しているとお考え下さい。
定期予防接種の対象となっている疾患としては、麻疹と風疹と百日咳の3疾患すべてが報告数ゼロでした。23週連続になります。
同じ定期接種の対象疾患である水痘の報告数は今週は2例減って報告数は1桁の8例になりましたが、定期接種対象の疾患がこれだけ報告されるというのは望ましいことではありません。予防接種を受けずに大きくなってしまったお子さんの間での感染なのでしょうが、定期接種の対象疾患は一日も早く感染症の順位表に顔を出さないように、さらに言えば報告数ゼロの行進が続くようになってほしいものです。