2017年03月13日

こどもの発熱 −パート1−

clinic.jpg月曜日は医学講座の日。なぜなら人間のからだを表す言葉には「月」(ニクヅキ)のつく漢字が多いから。

 日々の診療ではこんなことも時々あります。「鼻水が出たので耳鼻科に行って薬をもらっていたけど、熱いい気分(温泉)が出たので小児科に来た」というケースです。熱が出ると全身の病気かもしれないという心配が出るためと思われます。全身の病気というよりも、生命に関わるような重大な病気だったらどうしようという心配といったほうがよいでしょう。

 20世紀以前、人々の健康を脅かしてきたのは感染症です。感染症は細菌やウイルスがヒトからヒトへとうつってかかる病気で、高熱をともなうことが多いのが特徴です。病原体(細菌やウイルスなど)の発見や、予防接種法の確立、抗生物質や抗ウイルス剤の開発などによって、20世紀を通して医学は大きく進歩し多くの感染症が克服されてきました。それでも人々の記憶から「感染症=高熱=生命の危険」という図式が消え去るにはまだまだ長い時間が必要でしょう。それに生命には関わらないまでも、こどもがかかる病気としては今でも発熱をともなう感染症が最も多いというのも事実です。

 そこで久しぶりのこども診療所医学講座では「こどもの発熱」についてシリーズで考えてみたいと思います。

 個人差はありますが、熱が出ると元気がなくなり、食欲も落ち、十分な睡眠が取れなくなるなど、こどもの暮らしは熱のために大きく障害されます。逆に熱が下がると急に元気になったり、熱が下がっている間だけ食欲が出たりします。ですから熱が出たら一刻も早く下げてあげたいと願うのは当然といえます。

 熱を下げる手っ取り早い方法は解熱剤(熱さまし)を使うことでしょう。ただし、熱さましで一時的に熱を下げても病気そのものが早く治るわけではないこと、病気の勢いが強いパンチときには熱さましが効かないこともあるということ、さらに、日本のこどもの薬害(一時的な副作用)の中では、解熱剤と抗生物質が東西の両横綱であると言えるほど多いということも忘れないでください。

 解熱剤は、お子さんの熱が高くて眠れずつらそうとか、熱と一緒に痛みも出てきてかわいそうといったようなときに、ふらふら一時的に熱を下げることによってわーい(嬉しい顔)気分を和らげてあげるクスリだと考えてください。「解熱剤」というのですからクスリを使う目的は熱を下げることなのですが、熱が高ければすぐ解熱剤と考えるのではなく、熱が高くてかわいそうな子のつらさを短時間だけでも楽にしてあげるのが真の目的だと考えてください。

 ですから、「熱が何度になったら使うんですか?」というご質問に私は、「熱が高くてつらそうでかわいそうと思ったら使ってください。世の中には熱が40℃ぐらいあっても平気でテレビを見て笑ってられる子もいるんです。そういう子にとっては熱さましのためにテレビを中断させられることのほうがつらいですよね。」とお答えしています。

 もう一つ、「何時間おき時計に使ってもいいですか?」というご質問もあります。解熱剤の効果が続くのはせいぜい4〜5時間なので、その後再び熱が上がってきます。そうするとこのような心配が出てくるのです。座薬にせよ頓服にせよ、解熱剤の1回分は1日に飲んでもいい量の3分の1が基本になっています。ということは、必要なときには8時間毎に使用するのがいいということになります。効き目の続く4〜5時間と使ってもいい間隔の8時間との差に悩んでしまうわけですね。そのときも、「どうしてもつらそうでかわいそうだったら5〜6時間で使ってもいいですよ。でも1日3回以上は絶対に使わないでくださいね。」とご説明しています。



posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | こども診療所医学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うちも解熱剤使ったことないのですが結構熱に強いですね!!そんな子に解熱剤を飲ませる手間のほうが心身ともに負担をかけてしまいます。先生の考え方私は大好きです。薬をたくさん使うから早く治るわけじゃないし。無理に熱を下げるほうが体に負担をかけるのです。
Posted by ナッツまま at 2007年08月28日 20:20
うちも解熱剤使ったことないのですが結構熱に強いですね!!そんな子に解熱剤を飲ませる手間のほうが心身ともに負担をかけてしまいます。先生の考え方私は大好きです。薬をたくさん使うから早く治るわけじゃないし。無理に熱を下げるほうが体に負担をかけるのです。
Posted by ナッツまま at 2007年08月28日 20:21
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