2007年09月22日

形見のレイアウト

 今日は金曜日ではありませんが特別に鉄道模型の日です。

hishi1-1.jpg 3年前に亡くなった東大小児科の友人の遺作であるZゲージのレイアウトのことは8月12日に掲載しました。そのレイアウトを頂戴することになったことも書きましたが、そのレイアウトが一昨日いよいよ我が家に到着しました。友人の奥様が一度都内某所まで運んでくださり、そこからまた東大小児科の古い仲間が我が家まで運んでくれました。左の写真が正面から見たレイアウトの全景です。コントローラーなんかが置いてあって今にも運転できそうですが、接続されていないので動きません。それよりもなによりもほこりがひどく、線路全体を磨き上げないと電源をつないでも通電しないでしょう。おまけに、私の鉄道模型はNゲージ、このレイアウトはZゲージで、私はZゲージの車両を1台も持っていませんから、レイアウト本体のお掃除が終わったら車両を買ってこなければなりません。友人の持っていた車両は菩提寺のご住職が譲り受けたことも前のブログに書きました。hishi1-2.jpg
 右の写真は真上から見たところ。幅120cm×奥行き60cmのサイズの中にびっしりとストラクチャーが配置されています。私が現在製作中のレイアウトを一回り大きくしたサイズですが、ゲージが小さい分より多くのストラクチャーを配置できます。偶然ですが、こども診療所(http://mizuechan.net/)のレイアウト展示スペースにパンパンですがはめ込めるサイズです。hishi1-3.jpgレール配置は一見複線のエンドレスレールに見えますが、実際は全体が大きなループを描いている単線のエンドレスレールに引き込み線がついたものです。
 台枠や山などの構造ストラクチャーはすべて発泡スチロールのブロックでできています。台枠には2001.5.21と製作年月日が記されています。その上の駅のホームでは列車を待つ人々が小さな待合室の椅子に腰掛けているなど芸の細かいところを見せています。駅の左手には藁葺きの古い日本の民家が置かれています。

hishi2-1.jpg このレイアウトの面白いところは、4つのコーナーにそれぞれ四季の風景が描かれているところです。右の写真は春のコーナー。赤い花をいっぱいつけた樹木や、左手の土手には紫色のスミレらしい花が咲き乱れ、新緑をつけた樹木も植わっています。普通春といえば満開に花をつけた桜の木をイメージしますが、ありきたりのことでは満足しなかった友人らしく桜らしいピンクの花はありません。
hishi2-2.jpg 次は夏のコーナーです(写真左)。こちら側から見るとなんの変哲もありませんが、裏側(写真右上)から見るとビーチで日光浴を楽しむ水着姿の人形や釣りをしている人形などが置かれていて夏を感じさせます。砂の色も南国の珊瑚礁のビーチ風ですね。hishi2-2-1.jpgそういえば、普通海を配置するときはレイアウトの手前に持ってくる人が多いのですが、友人は裏側に持っていって、水平線そしてその向こうに広がる大きな地球を象徴したかったのかもしれません。大型豪華客船が友人の夢を乗せているかもしれません。スケールの大きかった友人らしい発想だと思いました。大きな口を開けたトンネルのある山の頂上と左手の断崖の岬では馬が放牧されています。尻屋岬かなんかを旅したときの思い出かもしれません。hishi4-2.jpg
 ところで、このトンネル山はトンネル内で脱線したときやレールを補修するときのために山全体が着脱式になっています。山を取り去ると右下の写真のようになってそれまでトンネルで見えなかったレールがすべて見えるようになります。トンネルはレイアウトには是非とも欲しいアイテムなのですが、脱線や補修の問題があり誰でもその辺を苦心するんですね。このように山を着脱式にする方法や、レイアウトの裏側に窓を作ってそこから手を入れるという方法もあります。
hishi2-3.jpg 次は秋のコーナーです(写真左)。いくらありきたりのことでは満足しなかった友人も、この季節ばかりは紅葉の風景を描くしかなかったのでしょう。他のストラクチャー達がほこりにまみれてくすんだ色に変わってしまった中でも、この紅葉だけは色鮮やかに残っていました。微妙な色の取り合わせが見事です。この風景はどう見ても日本の秋の風景。ところが手前はヨーロッパ風の大きな家。庭ではブタとニワトリが餌をついばんでいます。なんか不似合いな印象です。もしかしたら秋のコーナーは紅葉の山だけなのかもしれません。
hishi2-4.jpg そして最後は冬のコーナーです(写真右)。どういうわけかこのコーナーだけ電化されていて架線を吊る支柱が立っています。確かに雪景色の鉄道写真には枯れ木の黒い影のように立つ架線支柱が似合うのです。冬場は太陽が低いですから、この架線支柱の影が長く雪の上を延びていく、そんな中を電気機関車に牽かれたローカルな客車が走り去るな〜んていうのは、鉄道ファンにはたまらない光景です。友人もこの辺は「世界の車窓から」のビデオを見ながら研究したのでしょうね。
 ところでレイアウトを雪景色にするには、まず霧吹きで水を撒いて、その上に石膏の粉を少しずつ振りかけていきます。石膏が水を吸って固まると雪景色の完成です。このとき一度に大量の石膏を振りかけるとドカ雪になってしまったり、雪にひびが入ってしまったりするのですが、せっかちな友人は一度に大量の石膏を振りまいてしまったらしく、左手大きな民家の奥の小さな民家などは雪で押しつぶれそうになっています。こういうところにも製作者の性格が出るんですね。

hishi3-1.jpg  大分長くなりましたが、もう少しストラクチャーを簡単にご紹介します。まず、春のコーナーの奥にある珊瑚礁の島々です(写真左)。珊瑚が環礁を形成している様子が実にうまく表現されていますね。海の色ときたら観光ポスターに出てくる珊瑚礁の島と同じじゃないですか!このレイアウトでは海にもほこりが積もっていて茶色に変色してますけど。
hishi3-3.jpg 次は幹線駅から支線のターミナル駅を望んだところ(写真右)。幹線駅のホームに人が倒れていて「すわ病人か?」と思ってしまいますが、人が倒れれば全部病人だと思ってしまうところが悲しい医者の性というものでしょうか。ただ単に立っていた人形が運搬途中とかに何かにぶつかって倒れただけなんですね。あとで治しておきます。じゃなかった直しておきます。
hishi3-2.jpg これはその支線のターミナル駅(写真左)。跨線橋の感じがいいですね。駅舎はどう見ても大きな洋館なんですが、駅舎だと思ってみればそう見えてきます。駅前に1階でパン屋をやっている洋風の家と、それに続く建て売り住宅みたいな洋風の家が見えています。その前がこの町のメインストリートらしく乗用車が3台走っています。
hishi3-4.jpg さらに視線を右に移していくと(写真右)、建て売り住宅のはす向かいには牧場があって牛と馬が飼われています。メインストリートのすぐ横に牧場があるという発想がいいですね。建て売り住宅の裏には池があって釣り人が糸を垂れています。よくよく見ると一人は髪の毛みたいに細い釣り竿を持っていますし、そのとなりの人物は釣った魚を自慢げに掲げています。いやはや細かいですな。
hishi3-5.jpg そして最後は頂に雪をかぶった山々です(写真左)。山頂の雪は、製作当初には純白だったでしょうが、今ではほこりが積もって春先のスキー場みたいな色になってしまっています。また元通りの純白の雪に戻しましょう。山肌を青く染めたのは遠くの山脈を遙かに望んでいるということなのだと思います。きっとヒマラヤ山脈を思い描きつつ作っていったのでしょう。そこは世界の最高峰、友人が眠る天国に一番近いところです。改めて友人の冥福を祈ります。合掌。


posted by YABOO!JAPAN at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤブログ鉄道模型入門 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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