2016年04月04日

こどもの花粉症(集中連載1)

dav.jpg 曜日は医学講座の日。
 なぜなら人間のからだを示す漢字には
 (肉づき)のつくものが多いから。

 脳・肺・肝・腎・腕・脚・腰・腹・骨・・・・・。
 あなたはいくつ書けますか?


 先週の医学講座でこどもの花粉症についてちょっとだけお話しました。もともとが「花粉症にワセリン?」というのが本題でしたから、こどもの花粉症についてはあっさりと流したのですが、実は私、こどもの花粉症についてはものすごい独断と偏見を持っていまして、なかなかそれを話す機会がないのをとても残念に思っていたのです。先週の話は私の思いの導火線に火をつけてしまいました。

 そしてとうとう爆発してしまいました。「毎週月曜日は・・・」ではなく、これから毎日集中連載で話をさせていただきます。

 今まさにスギ花粉症のシーズン真っ只中。街の中、電車の中でマスクと時にはゴーグルに身を固めた方が目につきます。ほとんどは大人の方なのですが、近年お子さんがこの季節に鼻水や鼻づまりが止まらない、くしゃみが止まらない、涙が止まらない、目がかゆいといった花粉症と全く同じ症状を訴えて受診なさるケースが増えつつあります。中にはスギ花粉に対してアレルギー反応を起こすことが検査で確認されているお子さんもいらっしゃって、「花粉症」という診断をつけてしまうことが多いのですが、厳密に言えばこどもに花粉症は起こらないのです。

 そもそも「スギ花粉症」が一個の独立した病気であると認められたときには、「スギの花粉に10年、20年という長期にわたってさらされた結果、スギ花粉に対してアレルギー反応を起こすようになった(感作された)のが花粉症である」ということが定義として受け入れられたのです。患者さんは有名な日光杉並木の近くに住む女性の方でした。

 当時はこのように長期間かけて感作されるアレルギーというのが医学的にはあり得ないとされていましたので、「スギ花粉症」はしばらくの間学会には認められなかったのです。

 逆に言えば、この定義に従う病気が小学校低学年のこどもに出ることはあり得ないということになります。「こどもに花粉症はあり得ない」のです。ですから、今花粉症そっくりの症状で悩んでいるお子さんに診断名をつけるとしたら、「季節性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性結膜炎の合併」というのが正しいということになります。

 しかし、「スギ花粉症」を引き起こすアレルギーのメカニズムが存在するということが永年かけて認められたように、こどもに「スギ花粉症」を引き起こす新たなアレルギーのメカニズムが発見されないとも限りません。その時には「小児花粉症」とか何か別の病名が命名されるでしょう。少なくとも大人に起こる「スギ花粉症」とは別物だと私は考えています。

 一方で、スギ花粉によって喘息発作を起こしてしまう子というのは以前から存在していましたから、アレルギーマーチという言葉があるように、お子さんの年齢や体質、あるいは生活環境などによって、今までに知られているアレルギーのメカニズムの中で、喘息ではない別の症状を呈するアレルギー反応が引き起こされて「季節性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性結膜炎の合併」=「スギ花粉症(そっくりの病気)」になるという可能性はあると思います。

 ちなみに、アレルギーマーチというのは、アトピー性皮膚炎の子が年齢によって気管支喘息になったりアレルギー性鼻炎になったりと別の病気を連鎖的(次から次へと)に起こしてくることを指しています。

 アレルギーマーチの一環として「スギ花粉症(そっくりの病気)」が起こっているとすればお子さんが一生この症状に悩まされるかどうかは何とも言えません。いずれ年齢とともに消えてしまうか、別のアレルギー性疾患に移行するという可能性も考えられるということです。

 いずれにしても治療は大人の「スギ花粉症」と全く同じです。抗アレルギー薬と点眼薬と点鼻薬を症状によって組み合わせて使うということです。使うクスリはこどもであるという点を考慮して大人とは多少違う種類のものを使うこともありますが、基本的な治療方針は同じです。このような治療を続けながら、こどもの「スギ花粉症(そっくりの病気)」の本質の解明を待つということだと思います。

 次回は「なぜこどもの花粉症(そっくりの病気)が増えているのか」ということをお話したいと思います。


posted by YABOO!JAPAN at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所医学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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