2016年04月05日

こどもの花粉症(集中連載2)

dav.jpg 曜日は医学講座の日。
 なぜなら人間のからだを示す漢字には
 (肉づき)のつくものが多いから。

 脳・肺・肝・腎・腕・脚・腰・腹・骨・・・・・。
 あなたはいくつ書けますか?


 30億年前の地球の話です。その当時私は・・・、そんなわけありませんね。その当時地球上に「細菌」という生物(生命体)が発生(誕生)しました。これは生命体の歴史の中で画期的な出来事でした。どこが画期的かというと、細菌は生命の源であるDNAを包む殻(細胞膜)を持っていたからなんです。それまではDNAむき出しのままの生命体でしたから、物理的にも化学的にも生物的にも外敵に襲われて滅びてしまう危険がとても高かったのです。細胞膜を持つことによって外敵の侵入を一時的であるにせよ食い止めて生存の危機を乗り越えることができるようになりました。生命体が自分を守る(生体防御)機能を持ったという意味で細菌の出現は画期的な出来事だったのです。

 なんかすっご〜い難しそうな話でスタートしましたが、ただカッコつけてるだけです。ここから先はそんな難しい話ではありません。とにかく、生命体が自分を守ろうとする機能を持ったのが30億年前で、その後生物の進化にともなって様々な生体防御機能が備わっていった、発達していったということと、今私たちを苦しめているアレルギー性疾患も、この生体防御反応の進化の流れの中から出来てきたということを申し上げるための前置きなんです。

 30億年という歳月をかけて、生体防御反応は「殻に閉じこもってひたすら外敵が遠ざかるのを待つ」という消極的なものから、「侵入しようとする外敵を見つけて排除する・攻撃する・撃退する」という積極的あるいは攻撃的なものへと進化してきました。現在私たち人類を外敵から守っているのは、このような積極的・攻撃的な生体防御反応です。

 すべての生命体は外界にあるものを体内に採り入れて利用し生存しています。空気を吸うのも、食べ物を食べるのもそうです。ですから「侵入しようとする外敵を見つける」ためには、体内に入ろうとする様々なものが敵なのか味方なのかを区別しなければなりません。敵だったら侵入を阻止する、味方なら受け入れるということですね。

 外敵の侵入を阻止する方法もいくつかあります。まず、涙・鼻水・咳・くしゃみのように悪いことをしそうな奴を体の外に追い出してしまうというのも一つの方法です。体内に入ってきた細菌のところに白血球がワッと押し寄せてきて細菌を食べてしまうというのも一つの方法です。そしてもう一つが今日のお話の主人公である抗原抗体反応で、侵入してきた外敵(抗原)の一つ一つに対して、それぞれの必殺特殊部隊(抗体)を編成して、まずは外敵をやっつける、そしてこの抗体は体内に常駐して、その後同じ抗原が侵入しようとすると即座に攻撃を仕掛けてやっつけてしまうという仕組みです。

 はしかや水ぼうそうやおたふくかぜに一度かかると免疫ができてその後一生かからないというのは体内に抗体が常駐して見張っているからなんです。抗体は一人一殺主義ですから、はしかに対する抗体がおたふくかぜウイルスをやっつけるということはありません。一つ一つの抗原に対して一つ一つの抗体が作られるのです。

 ワクチンによる予防接種もこの抗原抗体反応を利用しています。発病しない程度に毒性を弱めたワクチンなるもの(抗原)を体内に入れて、平和のうちに(発病させずに)抗体を作り、その後の病気の予防に役立てようというものです。

 ここまでの話なら抗原抗体反応というのは生体防御反応だという説明も納得がいくと思います。ところが、まったく同じ抗原抗体反応でも、アレルギー反応と呼ばれる反応のしかたをしてしまうと天下の嫌われ者になってしまいます。「アレルギー」という言葉はもともとギリシャ語で、「異なった反応」とか「奇妙な反応」という意味です。本来自分を守るはずの抗原抗体反応が逆に自分を苦しめてしまうなんて、普通の抗原抗体反応とは異なってるな、奇妙だなという意味です。

 というところで今週も大分長くなってしまいました。花粉症の話とは関係なさそうですが、一度「アレルギー性疾患」というものについて私の考え方をまとめて書いてみたいと思っておりましたので、この機会に基本の部分からお話ししたいと思っています。


posted by YABOO!JAPAN at 19:00| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所医学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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