2016年04月07日

こどもの花粉症(集中連載4)

dav.jpg 曜日は医学講座の日。
 なぜなら人間のからだを示す漢字には
 (肉づき)のつくものが多いから。

 脳・肺・肝・腎・腕・脚・腰・腹・骨・・・・・。
 あなたはいくつ書けますか?


 スギ花粉症が抗原抗体反応の一種であるアレルギー反応によって起こるという、どなたもご存じの基本から「なぜ近年花粉症、そしてこどもの花粉症(そっくりの病気)が増えているのか?」を考えてみましょう。

 今回は抗原抗体反応の抗原側、つまりアレルゲンとなるスギ花粉について私の考えをお話しさせていただきます。

 「お山の杉の子」という歌をご存じでしょうか?第二次世界大戦中に作られた歌なのでご存じの方は少ないと思いますが、その一番の歌詞は次のようになっています。実際は六番まである長い歌です。もともとは傷痍軍人や戦死者の遺族を慰め励ますという戦意高揚の歌でしたが、戦後GHQによって放送禁止となり、その後国土(自然)の回復(緑化)を目指すように二番以下の歌詞を変えて歌い継がれたものです。

一、
昔々の その昔 椎の木林の すぐそばに
小さなお山が あったとさ あったとさ
丸々坊主の 禿山は いつでもみんなの 笑いもの
これこれ杉の子 起きなさい
お日さま にこにこ 声かけた 声かけた

sugi2.jpg 戦争による国土の荒廃で禿山がいっぱいできてしまいました。戦後政府は国策として杉の植林を奨励して国土の緑化を推進しました。その杉の木は30年、40年、50年とたつうちにどんどん大木となって多くの花を咲かせたくさんの花粉をまき散らすようになりました。(写真はクリックで拡大されます)

 それだけではありません。戦後日本の林業は安い外国産の木材に押されて衰退の一途をたどっています。本来林業というのは、植林した木々が成長するのに合わせて木と木の間隔を適度に保つため間伐という作業を必要とします。読んで字のごとく「間の木を伐採する」という意味です。林業従事者の少なくなった日本の山々では植えられた杉の木が間伐されずに密集して立っています。これも花粉の量を増やす一因になっていると考えられます。

sugi1.jpg さらに私は自然環境の悪化も花粉量増加の原因になっていると考えています。(写真はクリックで拡大されます)

 すべての植物は生存の危機に瀕するとたくさんの花を咲かせて子孫をたくさん残そうとします。間伐が行われずにギュウギュウ詰めの杉の木にとって生存すること自体が困難になってきているのかもしれません。さらに自然環境の悪化が生存の危機に拍車をかけていることは十分に考えられることです。生存の危機にさらされた杉の木はたくさんの花を咲かせ、たくさんの花粉を飛散させることになります。

 では、花粉の量が増えるとどうなるでしょうか?

 本来花粉症というのは少量のスギ花粉に10年、20年と長期間さらされ、感作されることによって発症する病気であるということはすでに申し上げました。もし花粉の量が大量だったら、感作のための期間が5年、あるいはもっと短く3年ぐらいに短縮されてしまう可能性はあると思うのです。そうすれば小学校低学年あるいは幼稚園児でさえも花粉症を発症するようになってしまうでしょう。

 この考えが正しければ、「こどもの花粉症(そっくりの病気)は感作期間が短くなった大人の花粉症そのものである」という結論も導き出せるのですが、この辺は理論的裏付けがあるわけではありませんので、私の個人的な意見として受け止めてください。

 今日はこどもの花粉症(そっくりの病気)が増えている原因をアレルゲン(抗原)であるスギ花粉の側から、スギ花粉の量の増加という観点で考えてみました。次回は抗体を作る側であるこども達を中心に考えてみたいと思います。

posted by YABOO!JAPAN at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | こども診療所医学講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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