2010年12月05日

緊急連載!!!感染性胃腸炎のすべて(2)

clinic.jpg 前回は、下痢・嘔吐が続いているときには、水分を飲ませることによってむしろ脱水を助長しかねないというお話をいたしました。そして、飲ませなければ、脱水になるまでに時間をかせげると申し上げました。でも、ずっと飲まないでいたらいつかは脱水になってしまいます。そこで今回は、もう少し積極的に脱水を予防する手だてについて考えてみましょう。

 ただし、下痢・嘔吐が始まった初日には「飲まない・食べない」が最良だと思ってください。脱水予防は2日目から考えてください。

 その前に、前回冬の胃腸風邪には色々な病名があると申し上げました。それぞれ病気の特徴や原因をもとに名付けられたものなのでそれなりに理由はあるのですが、保育園や幼稚園、学校などに提出する治癒証明書の病名の欄に様々な病名が入り乱れていてわかりにくいという声が挙がり、江戸川区医師会ではこの冬(2008年のことです)から病名を「感染性胃腸炎」で統一しようということになりました。英語圏の国ではInfectious Enterocolitis(まさに感染性胃腸炎という意味)という呼び名でほぼ統一されていますので、まあ妥当な病名だと言えるでしょう。

 さてそれでは本題に入りましょう。

 「下痢や嘔吐があるときには水分を補給する」。これはまったく正しい。ただ、皆さんが接する情報にはたいてい「下痢や嘔吐があるときには水分を十分補給する」と書いてありませんか?この「十分」が曲者なんです。この言葉に惑わされて皆さんついつい飲ませすぎになってしまうんですね。もちろん飲んでも吐いたり下痢したりしなければ十分に越したことはないのですが、感染性胃腸炎のときには飲めば飲むほど吐いたり下痢したりということになりがちです。それに食欲もなくて飲ませたいのに飲みたがらないということもあります。そこで私は「下痢や嘔吐があるときには脱水にならない最低限の水分を補給する」と説明しています。

 では脱水にならない最低限の水分というのはどの程度のものなのでしょうか?

 体重10kgのお子さんが仮に下痢も嘔吐もない状態で、ひどく汗をかくこともないとします。その場合、このお子さんが脱水にならない最低限の水分というのは24時間(1日)で約400mlなんです。単純に考えれば、体重(kg)×40=1日の最低水分量(ml)ということです。これを一度に飲ませてしまったら吐いたりしてしまいます。1回に飲む量をなるべく少なくしてなるべく回数を多く飲ませるのがコツです。

 たとえば、「この子を脱水にしないために1日や2日は徹夜してもいい」と決心してくださるならば、1時間毎に17mlの水分を取れば24時間で400mlを達成できます。17mlといえばほんの一口たらーっ(汗)ですが、これがいいんですね。

 ま、これは極端な例なので、ここまでやらなくてもいいですが「1回に飲む量をなるべく少なくしてなるべく回数を多く飲ませる」ことを心がけてください。

 もちろんこの数字はからだから出て行く水分(下痢・嘔吐)が全くない場合の数字ですから、吐いたり下痢をして水分が失われたときはその分を上乗せしなければなりません。そのとき気をつけなくてはいけないのは、下痢便や吐物のすべてが水分ではないということです。大雑把になりますが、下痢便や吐物の約80%が水分だと考えて1日の水分量を計算しなおしてください。

 大雑把でいいんですよ!下痢便や吐物をわざわざ量って計算する必要なんてありませんからね。そしてさらにいえば少なめに見積もって下さいね。

 
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2010年12月04日

緊急連載!!!感染性胃腸炎のすべて(1)

clinic.jpg ノロウイルスを初めとするウイルス性の胃腸炎=感染性胃腸炎が猛威をふるっています。国立感染症研究所からの情報では去年の3倍の勢いだそうです。

 感染性胃腸炎による嘔吐・下痢・脱水については、一昨年(2008年)の2月から3月にかけて、ヤブログ得意のシリーズものとして掲載したのですが、今更そんな古い記事を読み直して下さる方もいらっしゃらないだろうと思って、当時の記事に多少の加筆訂正を加えて緊急連載することにいたしました。

 一通り読み終わったところでは、内容的にはそんなに修正することがないようですので、一昨年の記事をお読みになった方はわざわざお読みいただかなくてもけっこうです。

 では、「感染性胃腸炎のすべて」焼き直し版のスタートです。

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 毎年冬になると「嘔吐下痢症」とか「冬季下痢症」とか「白色便性胃腸炎」とか「ウイルス性胃腸炎」とか「感染性胃腸炎」とか呼ばれる、ウイルス性のおなかに来るタイプの風邪(「胃腸風邪」という呼び方もあります)がはやります。

 嘔吐や下痢で来られたお子さんの診察が終わって、「風邪ですね」と申し上げると、「エーッ!がく〜(落胆した顔)だって咳も鼻汁も出てませんよ!?」とビックリされる方もおられます。でも、風邪は風邪なんです。のどが赤くなっているお子さんがほとんどですし、なによりも、これらの胃腸炎を起こすウイルスの中には、夏風邪の原因ウイルスとして有名なものもあるのです。

 アデノウイルスとかエコーウイルスとかコクサッキーウイルスとかは、三大夏風邪であるプール熱やヘルパンギーナや手足口病を引き起こすウイルスとして知られていますが、冬場の胃腸炎の原因にもなります。「胃腸風邪」という呼び方はなかなかいいアイディアだと思います。

 病名がたくさんあって、ウイルスの種類もたくさんあるので、特定のウイルスが特定の病名の風邪を起こすように思われるかもしれませんが、「風邪の原因になることもあるウイルスによって起こる下痢や嘔吐」という点ではみな共通なのです。そして、激しい下痢や嘔吐によって脱水になる恐れがあるという点でも共通しています。

 私が医者になりたての頃(30年以上前)、「こどもの下痢や嘔吐が長く続くと脱水状態になって、生命に危険が及ぶこともあるんだよ!」と一生懸命説明したのは医者のほうでした。最近では皆さんが脱水の知識を身につけられて、「下痢・嘔吐には水分補給」と医者が言う前に、「脱水の心配はありませんか?」とお訊きになる方が増えてきています。

これは医者としては喜ばしいわーい(嬉しい顔)ことなのですが、脱水を恐れるあまり「とにかくたくさん飲ませなきゃ・・・」と考えてしまう方もおられて、診察に来られると「飲ませるたびに吐いちゃうんです」とか「飲むとすぐ下痢しちゃうんです」と訴えるケースがけっこう見られます。
 
 そんなとき「じゃあ、飲まないときはどうなんですか?飲まなくても吐くんですか?飲まなくても下痢するんですか?」とお訊きすると、飲まなくても吐いたり下痢するというお答えも返ってきますが、「飲まないときは吐いてません、下痢してません」というお答もけっこう返ってきます。「だったら飲ませなきゃいいんですよ。」と申し上げると、「こいつホントに医者なんだろうか?脱水のこと知らないんじゃないだろうか?」と、「口には出さねど目が語る」という感じで見返されてしまいます。

 私はそういう冷たい視線には慣れていますから、少しもたじろがずに説明を始めます。「吐いたり下痢したら脱水にならないように水分を補給する。するとまた吐いたり下痢をしてしまう。また水分を補給しなきゃと飲ませる。また吐いたり下痢したりする。その気持ちはよくわかりますが、皆さん吐いたり下痢したときには飲んだ分だけが出て行くと思ってるでしょ。そうじゃないんです。吐いたり下痢したりすると胃液とか腸でせっかく吸収した水分とか、そのほかに電解質も一緒に出て行ってしまうんです。つまり1000円貯金して1万円おろしてるようなものなんです。これを繰り返してたら残高はドンドン少なくなっちゃいますよね。ところが、飲まなければ吐かない下痢しないというのは、貯金もしないし引出もしないということで残高はそのまま残ります。飲ませなければ、脱水になるまでに時間をかせげるということなんです。今おうちでやっていることは飲ませるから脱水になるということなんですね。」

 そして最後に、河島英伍の「酒と泪と男と女」の替え歌、るんるん「飲んで〜飲んで〜吐いても〜飲んで〜、吐いて〜吐き続けて脱水よ〜〜〜」るんるんと歌って説明を終わります。というのは嘘です。いくら何でも心配なさっている親御さんの前でそんな不謹慎なことはしません。でも、飲んだら吐く、飲んだら下痢をするというときには、皆さんにこの歌を思い出してほしいと思っているのは事実です。

 まだまだ感染性胃腸炎の流行は続きそうです。そこで、皆さんの「酒と泪と男と女」、じゃなかった「下痢と嘔吐と脱水と」についての知識を交通整理するシリーズをお送りしたいと思います。


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2010年11月11日

インフルエンザ:早期受診ではなく適時受診を

昨日の夜、夕食を食べながらNHKのニュースウォッチ9を見ていましたら、インフルエンザの話題が採り上げられていました。

その中で専門家が「抗インフルエンザ薬は発病して48時間以内に開始しないと効果がない」と発言したのを受けて、女性キャスターが「早期受診を心がけて下さい」と呼びかけていました。

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去年の新型インフルエンザ大流行の時も各メディアが同じようなことを呼びかけ、それを信じた人たちが発熱直後に医療機関に押しかけ、各所で「検査をしろ、しない」のもめ事を起こしました。

昨今のインフルエンザ治療は必ずといっていいほどインフルエンザ抗原迅速診断に基づいて開始されます。そしてその検査は発熱直後ではインフルエンザであったとしても反応が出ないか診断に迷うほど弱いのが通常です。

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では、発熱後どれくらい時間が経てば確実な診断が出来るかというと、従来の季節性インフルエンザでは「体温が38℃を超えてから8時間以上経過した時点(8度を超えて8時間)」というのがこども診療所の一応の基準でした。

去年の新型インフルエンザではこの時間がさらに長く、発熱後早くても12時間、ケースによっては48時間ぎりぎりになってようやく反応するというのが現実でした。そのため最初の検査で陰性であっても再度検査をした方がかなりの数に上りましたし、2度目の検査で陽性になった方もいらっしゃいました。

それでも、WHOの調査では「日本で重症者や死亡者が少なかったのは発症後早期に治療を開始した症例が多かったから」という結果が示されたのです。この調査でいう早期とは48時間以内のことです。

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「早期診断早期治療」という言葉からは「早ければ早いほどよい」という印象を受けてしまいますが、ことインフルエンザに関しては48時間というのは早期なんだと考えて下さい。

確かに早く診断がついて、早く治療を開始すれば、高熱の苦痛から開放されるまでの時間はそれだけ短縮されます。しかし、正しく診断がつかなければ基本的には抗インフルエンザ薬を使用することにはならないという事実をしっかりと認識して欲しいと思います。

園や学校の先生、そしてマスコミがどんなに「早く病院に行け」といっても、「発熱してから48時間(早期)は抗インフルエンザ薬の効果を期待できる」と考えて、適切な時期に受診するよう心がけていただきたいと思います。


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2009年11月15日

さまよえるインフルエンザワクチン(8)

pvac.jpg 新型インフルエンザワクチンに対する「いちゃもん(?)シリーズ」も今回で終わりにするつもりです。いちゃもんとは言っても再三申し上げているように、ワクチンそのものにいちゃもんをつけているわけではなく、そのワクチン接種の基盤となるワクチン行政のあまりのお粗末さにいちゃもんをつけてきたわけです。

 今回はその最後のいちゃもんです。

 どういういちゃもんかというと、日本のワクチン行政のスタンスです。これは何も今回の新型インフルエンザワクチンに限ったことではなく、昔からそうだったのですが、日本の予防接種の仕組みというのは、「厚生労働省(昔は厚生省だけでした)が非難の矢面に立たないですむ」ということが一番大切にされてきました。

 今回の新型インフルエンザワクチンの迷走もそういう見方で眺めればすべてなるほどとうなづけることばかりです。こういうことにかけてはホントに日本の官僚は頭いいですね。

 ところで、このシリーズではいちゃもんをつけながらも新型インフルエンザワクチンにまつわる疑問点についても触れてきたつもりです。その中でまだ触れていない点がありました。それは、国産ワクチンと輸入ワクチンの違いです。

 輸入ワクチンの中にも日本と同じ製法で作られたワクチンが含まれるのかもしれませんが、輸入ワクチンと国産ワクチンの大きな違いは二つあります。一つはアジュバント(免疫補強剤)の含まれたワクチンがあること、もう一つは日本のような鶏卵を使った製法ではなく細胞培養によって製造するワクチンがあることです。

 前者の場合接種するワクチンの量が少なくてすみますから、より多くの人々にワクチンを接種することが可能になります。後者の場合には鶏卵製法より効率がよいので、短期間に多くのワクチンを製造することができ、やはりより多くの人々にワクチンを接種することが可能になります。

 今回のように短期間にできるだけ多くの人々に新型ワクチンを接種したいというときには有利な製法ですが、日本国内ではこのような製法で作られたワクチンはありません。そこが接種上の問題点となっているわけです。

 その他には、ワクチンそのものではなく、接種法の違いもあります。日本では、予防接種の注射といえば皮下注射が当たり前ですが、諸外国では筋肉注射で行われるワクチンが少なくありません。B型肝炎ワクチンなどは皮下注射より筋肉注射のほうが免疫獲得率が高いというデータがありますので、私は乳児のB型肝炎ワクチンは筋肉注射で行っています。でも、日本全体としては馴染みのない注射法なので、インフルエンザワクチンが筋肉注射だといわれると、これも一つのネックにはなっています。

 ではこれらの製法や接種法がなぜ日本で採用されないかというと、先程申し上げた日本のワクチン行政の事なかれ主義ですね。ワクチンに余分な物(アジュバント)を入れて何か副反応上の問題が出たら大変だ、ウイルスを培養する細胞株には発癌性はないものの腫瘍発現性があるかもしれないじゃないか、そんなことで訴えられたら大変だ、筋肉注射をして昔のように大腿四頭筋短縮症や三角筋短縮症なんていう訴訟問題が起きたら大変だというわけです。

 これらの懸念を安全第一という観点から見ればとてもいいことなのですが、厚労省の態度はどう見ても保身的ですからね。今までこれらの製法や接種法が日本で受け入れられなかったのは「問題が起きるぐらいならやらないほうがいい」という基本理念(?)に基づいているのです。

 でも、日本のワクチン行政が悪いとばかりは言えない面もあるのです。それは日本と外国の予防接種に対する考え方の違いです。

 予防接種(ワクチン)というのはもともとは病原体(細菌やウイルス)から作られます。いくら十分安全になるまでに弱毒化してあるとはいえ、完璧に無毒化してしまったら免疫(抗体)は作られないのです。ということはある程度の毒性を持たせたまま(危険因子)できるだけ安全に接種を行っている(効果因子)ということです。

 ワクチンは効果因子と危険因子という相反する要素を常に持っているということです。

themis.jpg 左の写真をご覧ください。ローマ神話に登場する正義の女神テミスです。西洋人にとっての正義とは、「相反する利害が天秤でバランスが取れること、そしてそれを力(剣)で守ること」なんです。女神の左手にあるのが剣です。私情を挟まないという意味で女神は目をつぶっているか目隠しをしています。この像は目をつぶっています。右下の写真は目隠しをした女神テミスです。

Themis225.jpg 予防接種でいえば、効果は当然あるべきだが、それにともなう危険(副反応)はバランスが取れる範囲で許容するということでしょうか。極端な言い方をすれば、予防接種に副反応はあって当たり前(?)だが、それは許される範囲内であるべきだということです。

 一方日本での正義はどうかというと、「正義は正義、悪は悪」です。正義はバランスではなく100%純粋に正義でなくてはならないのです。ワクチンの効果は正義、副反応は悪と見なされてしまいます。

 西洋と日本の違いは他の面でも見られます。西洋では正義を貫くためには多少の犠牲は払わざるを得ないと考えるのに対して、日本では、正義を守るのは重要だが、すべての人にとっていい結果となるよう丸く収めなければ意味がないと考えます。

 過去のハイジャック事件や人質籠城事件に対する警察や軍の対応を見ればその違いは鮮明にわかるでしょう。もっとも最近は日本の警察もわりとすぐ突入するようにはなってきていますけどね。

 それはともかく、ワクチンでいえば、病気を予防するという目的達成のためには多少の副反応があるのはやむを得ないと西洋人が考えるのに対して、病気予防という目的達成はもちろん大切だが、副反応が出るのは極力避けたいと考えるのが日本人です。

 昔、日本でMMR(はしか・おたふく風邪・風疹の三種混合)ワクチンが、髄膜炎という副反応の問題で使用中止になった頃、「アメリカのワクチンには、頭痛と吐き気が出るって書いてあるよ」と教えてくれた外国人がいました。頭痛と吐き気は髄膜炎の重要な兆候の一つです。アメリカでは頭痛と吐き気ですむような髄膜炎は許容範囲だったんですね。

 また、予防接種のあと必ず解熱剤を持たせて帰すという国もあります。つい最近の医者向けサイトに、「チェコでは新型インフルエンザのワクチン接種のあとに解熱剤の投与は必要ないという結論が出た」と書いてありました。熱が出るか出ないかではなく、最初から熱が出たときどうするかで考える、それくらい副反応については寛容なんですね。

 だからといって副反応ぐらい我慢しろというつもりは毛頭ありません。こういった考え方の違いは、どちらがいい悪いの問題ではなく、それぞれの歴史や文化の違いが現れているということなんです。でもそうやって考えると、外国産のワクチンにアジュバントが入っていたり、細胞培養でワクチンを作ったり、筋肉注射で接種したリということが理解はできますよね。それをそのまま受け入れるのにはちょっと抵抗がありますけど・・・。

 いちゃもんシリーズの最後はなんだか読みようによっては、ワクチン行政を擁護するような文章になってしまいましたけど、今回の新型インフルエンザワクチン接種を巡るワクチン行政の迷走に、私はホントに腹を立ててるんですよっ!ちっ(怒った顔)
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2009年11月13日

さまよえるインフルエンザワクチン(7)

pvac.jpg 11月11日、厚生労働省においてまたまた接種回数の見直しが行われました。内容はどうせまた変更になるに決まってますからここには掲載しませんが、接種回数の見直しというのは、2回目を接種するかどうかの問題です。

 今現場で行われているのは第1回目の接種で、推奨通りに接種すれば2回目の接種は3週間も4週間も先のことです。それよりももっと深刻な問題は第1回目の接種ですら十分なワクチンが供給されないということです。

 そのことには目をつぶって、あるいは聞こえない振りをして2回目の議論をしたってまるっきり意味のないことだと思いませんか?

 医学講座と呼ぶにはふさわしくない内容でしたが、あまりにも頭に来たのでつい書いちゃいました。
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2009年11月12日

さまよえるインフルエンザワクチン(6)

pvac.jpg 今週月曜日から医療従事者以外の方への優先接種が始まりました。コロコロ変わる御上からの指示で医療現場は混乱していて、開始時期以前から予約を受け付けていた医療機関と開始時期に入ってから予約を受け付けた医療機関が混在しているようで、接種を希望される方のほうも混乱しているようです。

 さらに小学生以下のお子さんの接種時期を早めるということがいつの間にか決められたようですが、医療機関の接種能力(主に1週間に何人に接種できるかという問題)が追いつくのかどうかとか、果たしてそれに見合うワクチンが配布されるのかどうかなど、まさに五里霧中、それどころか一寸先は見えないという状況です。

 こども診療所では事前に予約だけをしていただき、優先接種の時期が来たら順番にお知らせして接種を行うという方法で接種を開始しましたが、10月中のお申し込みだけで、江戸川区が発表した接種スケジュール通りに接種を行うための接種能力が目一杯になってしまうほどたくさんの方からご予約をいただきました。約2週間の間にその数なんと200名以上です。

 なぜ多くの方がこんなにワクチン接種に関心を寄せるのかというと、猫の目のように変わる接種計画を発表するたびに厚労省から発せられる「ワクチン接種」の大号令とそれをそのまま垂れ流す未熟なマスコミのおかげ(?)なのですが、流行の初期に対策を間違えなければこんなに躍起になってワクチン接種を呼びかけなくてもすんだのではないかと思えます。もちろん私の全く個人的な感想ですが・・・。

 去年の秋頃、トリインフルエンザ(H5N1)がヒトからヒトへの感染を起こし、新型インフルエンザとしてのパンデミックを起こすのではないかと騒がれていた当時、盛んにいわれていたのが90年前の「スペイン風邪」大流行のときの封じ込め政策です。

 アメリカのセントルイス市では流行の初期に市民の集会を禁止したり、劇場など人が多く集まる場所を閉鎖させたりといった封じ込め政策を採り、経済の停滞という近隣都市からの非難をものともせずに小規模な流行で押さえきったのに対し、フィラデルフィア市ではそういった対策をとらなかったために多数の死者を出したという事実です。

 去年の秋頃はもう「コレッキャナイ」という感じで、多くの国民が籠城を覚悟したほどでした。

 今年の春、神戸市から始まった新型インフルエンザの流行の初期にはこれに似た政策が採られ、全地域の学校の休校措置などがとられましたが、90年前とは比較にならないほどの人や物の移動の速さや経済の規模の大きさ、そして何よりも日本経済が金融危機の影響で大停滞している時期に90年前のセントルイスの真似はできないと判断した政府は早々に封じ込め政策を放棄してしまい、それ以降、誰もこの封じ込め政策のことは口にしなくなってしまいました。まるで御上が箝口令を敷いたかのようにピタッと止まってしまいました。

 確かに90年前のセントルイスのようなことをしたら日本経済は破綻していたと思います。でも地域の全学校の休校措置など、経済に対する影響を最小限に抑えての封じ込め政策はできなかったのかと思えてなりません。厚労省と文科省はもともと仲が悪いですからね。それもできなかったんでしょうね。国土交通省や経済産業省なんか大反対するに決まってますもんね。今さら言ってもしょうがないですけどね・・・。

 そして迎えたのがこの秋以降の大流行です。

 もはや残された手段は「早期診断・早期治療」と「ワクチン接種」しかありません。そこで始まったのが厚労省の「ワクチン接種」大キャンペーンで、それに乗ったマスコミのおかげ(?)でワクチンブームが起ったことは最初に申し上げた通りです。

 もしかしたら、接種計画がコロコロ変わるのは、その都度マスコミに騒いでもらおうという厚労省の作戦なのかもしれませんね。
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2009年11月11日

さまよえるインフルエンザワクチン(5)

pvac.jpg こども診療所へのワクチン配布は11月6日(金)、優先接種開始のわずか3日前のことでした。ワクチンの量は36人分ということで、小児科優先という原則に則って、1週間分の接種量としては十分な量でした。

 ところが届いたのは10ml入りのバイアルです(写真の左側のバイアル)。マスコミでは18人分などと報道されていますが、それは大人の量であって、13歳未満のお子さんの場合には6歳以上が1回0.3ml、1歳から5歳が1回0.2mlですから、両者が半々に接種すると仮定すれば36人分になります。

 しかも、一度封を切ったバイアルはその日限りの使用とし、それ以上時間がたった場合の残りは廃棄するようにと何度も何度もきついお達しが届けられています。

 それを見越して、こども診療所では、1日に30人以上の方の接種を行うスケジュールを組んでいますが、未就学児優先ということになるとほとんどのお子さんは6歳未満で、10mlバイアルは約50人分ということになります。しかも、新型インフルエンザワクチンだけを接種する時間を設けるようにとのお達しもありますから、10mlバイアルを1日で使い切ることはまず不可能な状況です。

 10mlバイアルは昔々二種混合(小学5年生から6年生で接種するジフテリアと破傷風の混合ワクチン)で使われていましたが、現在では1mlバイアルになっています。他のワクチンもプレフィルドワクチンの普及など個別化の方向に進んでいるというのに、なぜ新型インフルエンザワクチンで10mlバイアルが復活したのか大きな謎です。

 多分、短期間に大量のワクチンを出荷するには10mlバイアルのほうが効率が良かったのだろうと思いますが、昔学校で一斉に予防接種が行われていた、あるいは現在も行われているポリオの集団接種のように、一カ所にたくさんの人々を集めての一斉接種ということも想定していたかもしれません。

 いずれにしてもかなりな量のワクチンが廃棄されるのは確実に思われます。国産ワクチンだけでは足りないから使用経験のない輸入ワクチンも使うといいながら、一方ではこんな無駄なことも平気でする日本のワクチン行政はまったく世界のワーストクラスと呼ぶにふさわしいものがあります。
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2009年11月08日

新型インフル:検査の時期

mizueyubisashi.jpg 新型インフルエンザが猛威を振るっています。迅速診断キット(簡易検査)のおかげで診断そのものは確実にできるようになりましたが、医療機関では検査キットの品薄で大変困っています。

 ところで、新型インフルエンザが国内発生してから約半年が過ぎ、医者としてもだんだん相手の性質がわかってきました。季節性インフルエンザに比べると新型インフルエンザでは検査に反応するまでの時間がとても長いということもその中の一つで、このことはかなり多くの方々にもご理解いただけるようになりました。

 そうなると「発熱して何時間たてば検査でわかりますか?」というお問い合わせが増えます。それがわかればこちらも苦労はしないのですが、早い方は季節性インフルエンザ同様発熱後8時間もたてば陽性反応が出ますし、遅い方は抗インフルエンザ薬による治療開始のタイムリミットである48時間を過ぎてからやっと陽性反応が出るというケースもあります。ばらつきがとても大きいのです。

 それから一度38.5℃とか39℃以上発熱し、次の日には37℃台あるいはそれ以下に熱が下がる方もかなり多くいらっしゃいます。そのまま下がってしまえばインフルエンザではないと判断していますが、インフルエンザの方はたいていその日の夜にもう一度高熱になる傾向もあります。その場合には翌日検査するとかなりの確率で陽性反応を確認することができます。

 それと、最近私が注目しているのは熱もそうですが、患者さんのしんどさ加減です。待合室で椅子に座っていられずに横になってしまう方、自分一人では歩けずに支えられながら診察室に入ってこられる方は季節性インフルエンザ並みの時間で陽性反応が出る傾向があります。あくまでも傾向ですので絶対ではありません。

 そこでこども診療所では、「我慢できるなら、治療開始のタイムリミットである48時間ぎりぎりまで待ってください。その間1回ぐらい解熱剤を使ってもいいでしょう。でも、目つきがトロンとしているとか、ふらついて歩けないとか、からだのあちこちが痛くて(特に頭痛)我慢できないというような状況になったらその時点でお連れください」というのを検査時期の目安にしています。

 とはいっても、最初に申し上げたように検査キットの品不足は深刻で、検査をするかしないかの判断はすべて私にお任せいただいています。ご希望に添えずご不満な方が大勢いらっしゃることは重々承知しておりますが、なにとぞご理解いただきたいと思います。

 マスコミや学校・園などでは早期受診と早期治療(タミフルやリレンザの投与)を呼びかけています。厚労省としても早期受診と早期治療を呼びかけていて、検査キット不足とあいまって、検査抜きでも医師の判断で抗インフルエンザ薬を投与してもよいという通達を出しました。でも小児科医としては、未解決の問題(異常行動との関連)を抱えた抗インフルエンザ薬を確実な診断抜きでお子さんに投与することは極力避けたいと思っています。このことについてもどうかご理解いただきたいと思います。
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2009年11月06日

さまよえる新型インフルエンザワクチン(4)

pvac.jpg 新型インフルエンザワクチンの接種上の注意が改訂されました。いつ?10月18日です。これじゃこの前の記事とおんなじじゃん。

 実はもう一つ改訂された部分があったんです。それは、他のワクチンと同時に接種してよいかどうかという部分です。この前と同じように改訂前の文章をまずご覧ください。

 「2.他のワクチン製剤との接種間隔
   生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上の間隔を置いて本剤を接種すること。」

 これがどうなったかというと・・・。

 「2.他のワクチン製剤との接種間隔
   生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上の間隔を置いて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合してはならない)。」

 「ただし、」以下、他のワクチンと同時に接種してもいいよという部分が追加になっています。

 ここでいう他のワクチンというのは何でもいいのですが、今回改訂になった理由は主に季節性インフルエンザと接種時期が重なるからです。

 接種時期が重なって新型インフルエンザの接種が間に合わなくなると困るから、同時に接種できるように改訂するなんてのは本末転倒も甚だしい限りですが、今回改訂されたのはこの新型インフルエンザワクチンだけではありません。

 主に高齢者の肺炎予防に接種されている肺炎球菌ワクチン(10月に輸入販売が承認された乳幼児用の肺炎球菌ワクチンとは違います)も他のワクチンと同時接種ができるように改訂されました。だったらいいじゃないかと思うかもしれませんが、これも新型インフルエンザがらみです。高齢者がインフルエンザにかかって肺炎を合併すると重症化しやすく亡くなる方も多くなるという背景があるのです。これは何も新型インフルエンザに限ったことではなく季節性インフルエンザの場合にも当てはまることです。

 ではなぜこの時期に改訂されたのか?

 「いや、ちょうど改訂の時期にきていたんだよ」と言われてしまえばそれまでですが、前回の妊婦への安全性といい、同時接種といい、「そんなにまでしてみんなにワクチン接種を受けさせたいのかよ!?」と勘ぐりたくなりますよね。

 諸外国では小児への複数ワクチンの同日接種はごく当たり前のこととなっていますが、日本ではまだまだ抵抗が強いこの時期に何も慌てて改訂しなくてもいいじゃないかと思ってしまいます。

 ところで、こども診療所では保護者の方の合意があれば今までもDPT三種混合とHibワクチンの同時接種を行っていましたし、大人の方にはA型肝炎ワクチンとB型肝炎ワクチンの同時接種など、数は少ないですけれど同日接種が可能なワクチンでは私自身は抵抗なく同時に接種していました。

 でも、新型インフルエンザワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種は頼まれてもやりません。固くお断りします。外国であれ国内であれ使用経験が蓄積され、安全性が確認されているならともかく、添付文書に「新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンとしては使用経験がなく、添付文書中の副反応、臨床成績、薬効薬理などの情報については季節性インフルエンザワクチンとしての成績を記載している」なんてなことを堂々と(?)書いているようなワクチンの同時接種は行いません。いっそのこと「新型インフルエンザA型(H1N1)ワクチンとしては使用経験がなく、添付文書中の副反応、臨床成績、薬効薬理などの情報については記載することができない」と正直に書いてほしいですよね。

 ま、来年には新型インフルエンザワクチンと季節性インフルエンザワクチンを一緒にして1回の接種で両方の効果が得られるワクチンになるという情報もありますから、そうなってくれれば同時接種がどうのこうのという話もなくなるわけで、是非実現してほしいと思うし、そうなる可能性があるならなおさら今年は同時接種は行わない方が身のためだと思っています。
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2009年11月03日

さまよえる新型インフルエンザワクチン(3)

pvac.jpg 新型インフルエンザワクチンの接種上の注意が改訂されました。いつ?10月18日です。

 「妊婦、産婦、授乳婦などへの接種」の項目です。医療従事者用に届いたワクチンの箱の中には改訂前の注意が印刷されていました。

 「妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益製が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。」と書いてあります。

 改訂後の文章は次の通りです。「妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には予防接種上の有益製が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。※
※出典:Birth Defects and Drugs in Pregnancy, 1977」

 原則接種禁止が削除され、接種しても先天異常の発生率は高くならないという文が追加されました。でも、ここで参考にした文献というのは1977年に発表されたものですよ!世界的に認められた論文ならともかく、今どき30年前の論文引っ張り出してきても誰も本気にしませんよ!

 しかもそういうことをわざわざ書き足すところがなぁ〜んかうさんくさいですね。

 それに妊娠している方が最優先の接種対象になるって決まったのは改訂が行われた10月18日よりずっと前のことですもんね。お役所仕事とはいえ、遅すぎるんじゃないですか?ま、実際に接種が始まる前だからいいんだと言われてしまえばそれまでですけど・・・。

 こども診療所には産科がありませんから、妊娠している方にワクチン接種をしないですむわけで、内心ホッとしているっていうのが本音です。
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2009年10月31日

さまよえる新型インフルエンザワクチン(2)

pvac.jpg 江戸川区では今年の6月22日に最初の新型インフルエンザの患者さんが確認されました。以来約4か月で、区内31の定点医療機関だけで累積報告数は3,500名に達しようとしています。こども診療所でもお子さんを中心にすでに何十人もの方がA型インフルエンザと診断され治療を受けられています。江戸川区全体ではすでに何万人という数の方がA型インフルエンザにかかっただろうと予測されます。

 流行の初期にはインフルエンザの診断がつくと引き続き遺伝子検査などで新型インフルエンザであることが確認されるようになっていましたが、流行の拡大にともなって遺伝子検査は行われなくなりました。

 一般の医療機関でA型インフルエンザと診断されれば、それは新型インフルエンザなのだという暗黙の了解となったからです。

《受けるべきか?受けざるべきか?》
 しかし厳密に言えば、一般の医療機関ではA型インフルエンザと診断はしたけれど、新型か季節性かの診断は行っていないわけで、この4か月の間にA型インフルエンザにかかってしまった方々が今直面しているのは、新型インフルエンザワクチンの接種を受けたほうがいいのか、それとも受けなくても大丈夫なのかという問題だと思います。

 まず原則論だけをお話しすれば、新型インフルエンザにすでにかかった方は短期間の免疫を獲得していますから、ウイルスがよほど大きな変異を遂げない限り、今季の予防接種は不要です。もっともウイルスが大きな変異を遂げてしまったら、現在のワクチンも無効になってしまいますから、条件なしで「新型インフルエンザにすでにかかった方は今季の予防接種は不要である」と申し上げていいでしょう。

 問題はかかったA型インフルエンザが新型だったのか季節性だったのかがわからないということです。

 今年の8月31日から10月25日までの間に東京都健康安全研究センターに持ち込まれた463検体のうち261検体でインフルエンザウイルスが検出され、そのうち季節性インフルエンザウイルスは1検体のみであったというデータが公表されています。260/261=0.99617、つまりこの時期にインフルエンザと診断された方の99.6%は新型インフルエンザであったという数字です。

 この数字を参考になさって、ご自分が、あるいはお子さんがかかったA型インフルエンザは新型だったのか季節性だったのかを判断していただくしかありません。

 また逆にこの数字はインフルエンザにかかった方が1,000人に達したらそのうちの4名は季節性インフルエンザだったという数字でもあります。数字だけでいえば、江戸川区で今年の6月22日以降インフルエンザにかかった約3.500名(定点医療機関からの報告のみ)の方の中に14名の季節性インフルエンザの患者さんがいらしった可能性があるということでもあります。江戸川区全体で単純計算すれば100名から150名程度の方が新型インフルエンザだったかもしれないのです。

 もしその中の一人だったら・・・!?

 と不安を感じた方は接種を受けたいと思われるでしょうが、その時に気になるのが副反応の問題でしょう。

 国産の新型インフルエンザワクチンは今まで何十年も季節性インフルエンザワクチンを製造してきた会社が今までと全く同じ製法で製造したものです。今までの季節性インフルエンザワクチンも、毎年ウイルス株が変わっていたわけですから、今回もウイルス株が新型インフルエンザウイルスに変わっただけと考えることができます。ですから理論的には今までのワクチン以上の副反応はないはずです。

 しかし、人間の体の中に入れる物質(薬品やワクチンなど)は使ってみないとわからないという面もあります。同じインフルエンザでいえば、使い始めには何もないと思われていたタミフルが「異常行動」という問題を引き起こしたことは記憶に新しいでしょう。

 というわけで、といっても結論の出せる問題ではないのですが、まったく個人的な感想としては、今年の6月以降にA型インフルエンザと診断された方にはあまり積極的に接種をお勧めしたくないなというのが私の本音です。
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2009年10月30日

さまよえる新型インフルエンザワクチン(1)

pvac.jpg 日本のワクチン製造技術は世界のトップクラスです。DPT三種混合と水痘(水ぼうそう)ワクチンは日本で開発され世界中で使われています。ですから、現在医療従事者を対象として接種が始まった新型インフルエンザワクチンの効果については、それなりのものを期待できると信じています。

 一方、日本のワクチン行政は世界のワーストクラスです。もっとも「技術も金もあるのに」という条件がつきます。技術もお金もないために十分なワクチン接種を行えない世界の最貧国に比べればずっとましです。でもその程度です。

 今回の新型インフルエンザワクチンの接種についてもそのワーストさが随所に出て、特に接種回数に至ってはまだ迷走しています。

《1回接種?2回接種?》
 当初新型インフルエンザワクチンの接種回数は全員2回と言われていました。

 季節性インフルエンザの場合には13歳以上だったら過去の感染歴などで基礎免疫があるから1回接種でも大丈夫ということになっています。これはこれで医学的に筋は通っています。

 三種混合(DPT)のように、小さい頃に基礎免疫をつけておけば、小学校高学年になってから1回だけ追加接種をすれば効果が増強されるというのと同じで、ブースター効果といわれています。

 ところが新型インフルエンザは今まで誰もかかったことがない、つまり誰も基礎免疫を持っていないわけです。それで「新型インフルエンザには今まで誰もかかったことがなくて誰も免疫を持っていないのだから全員2回接種を行う」というのがワクチン接種回数の出発点でした。

 しばらくして、実際にワクチンが完成し臨床試験を行ったところ、日本の優秀な技術で作られたワクチンですから1回の接種でもかなり高い効果(抗体価だけの話ですが)が得られることがわかってきました。その頃から1回接種案が出始めたのですが、その頃はまだ現在のようなすさまじい流行期には入っていませんでした。

 1回の接種で高い抗体価が得られるなら1回の接種でいいじゃないかと思われるかもしれませんが、話はそう簡単ではないのです。

 問題はその高い抗体価がどれぐらいの期間持続するかです。季節性インフルエンザワクチンでは、3週間隔で2回接種すると約3か月は有効抗体価が持続すると言われています。ただし基礎免疫がないと約2か月程度に短縮してしまうとも言われています。では基礎免疫のない状態で1回接種だったらどうなるのか?資料がないために正確な数字は出せませんが、2か月より短いであろうことは容易に推測されます。

 これではインフルエンザの流行期を乗り切ることは難しいと言わざるを得ません。

 それで1回接種案は「案」のままでしばらく議論が続いていたわけです。

 ところがそうこうするうちに日本国内でも大流行が起こってしまいました。そうなると、流行期全体をカバーする抗体価も必要ですが、大流行期に少しでも感染する人を減らすということも同じくらい重要になってきます。

 後者の考え方に沿えば、「1回接種をなるべく早くなるべく多くの人に」という結論は当然導き出されてきます。そこで専門家会議で一旦は「1歳から12歳までは2回接種、それ以外は1回接種(妊婦に関しては検討を続ける)」という結論が出されました。

 今までの話を読んできた方にはこの結論が「理にかなっている」と感じられるはずです。

 ところがところが、ここで厚労省政務官からの天の声が下りました。その一声で「医療従事者のみ1回接種、他は全員2回接種」ということに変わってしまったのです。1回にされてしまった医療従事者だから言うんじゃありませんが、この決定のどこに医学的根拠があるのか皆目見当がつきません。

 むしろ、「医療従事者は流行期を通して患者に接するから2回、他は全員1回接種にして少しで多くの人が少しでも早く接種を受けられるようにする」というほうが、我田引水のように思われるかもしれませんが筋としては通っていると思いませんか?

 そしてやはりというか当然というか、日本ウイルス学会から非難の声が挙がりました。新型インフルエンザ予防接種に関する専門家会議のメンバーには日本ウイルス学会の会員が多数参加しています。その人達が専門的な知識と現在の日本でのインフルエンザ流行状況を勘案して出した結論を政治家の一言でひっくり返されたら腹立ちますよね。

 それで結局どうなるのかはまだ結論が出ていないということになるんだと思います。さすがに民主党といえども「マニュフェストに書いてあるから」とは言わないでしょうからね。

 結論がどっちに転んでも、ワクチンそのものを国が押さえて配給しているわけで、私一人が1回接種か2回接種か悩んでも、結局は届けられたワクチンを黙々と接種していくだけの話なんですけどね。
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2009年09月23日

新型インフルの診断

clinic.jpg 新型インフルエンザの流行拡大はとどまるところを知らないという勢いです。私たち町医者も新型インフルエンザの患者さんを診察する機会が増えてきて、新型ならではの特徴や季節性インフルとの違いなどがおぼろげながらわかってきました。

 流行の初期には、新型とはいっても季節性と同じA型(H1N1)で、タミフルやリレンザといった抗インフルエンザ剤がよく効くといったことから、診断に関しても今までの季節性インフルエンザと同じように考えてきました。

 ところが、症例を重ねるにつれて季節性インフルエンザとどうも違うという点がいくつか感じられるようになってきました。しかし、こども診療所での経験だけで判断はできないと思って、胸の内にしまっておいたのですが、先日の日曜日に江戸川区医師会休日診療所の当番で多くのインフルエンザの患者さんを診察するにつれ、私の感じていたことはほぼ間違いないだろうと思えるようになってきました。

 インフルエンザの診断は今では季節性・新型を問わず迅速診断キット(簡易検査)によって行われるのが当たり前になっています。こども診療所でも医師会休日診療所でもそのようにしていますが、新型インフルエンザの場合季節性に比べるとこの診断キットでの反応が弱いと思います。それから発症後(発熱後)診断キットでの反応が陽性になるまでの時間が季節性インフルエンザより長くかかる(陽性になるのが遅い)と思います。

 具体的にいうと、新型インフルエンザでは、陽性になるのに24〜48時間、時にはそれ以上かかるということです。今までこども診療所では熱が38.0℃(8度)を超えて8時間(8ー8)というのを検査を行う目安としていましたが、この目安で検査をすると、本当はインフルエンザなのに検査上はそうでないと判断されるケースが増えてしまう恐れがあるということです。

 今のところ、新型インフルエンザウイルスの抗原性が季節性インフルエンザウイルスの抗原性よりも弱いという情報はないようなので、「お前の印象にすぎないだろう」と言われてしまえばそれはそうなのですが、現場で直接診療にあたっている医者の印象は時として理論以上の真実を見ていることがあるのです。

  実際には全員がこのように遅れて反応するわけではないので、いつ検査をすればよいのかという一律の基準を決めるのは難しいと思います。診察から得られた所見や、所属している園や学校での発生状況、ご家族内の感染者の有無など、ケーズバイケースで決めていくしかないと思いますが、患者さんの全身状態さえ許せば、検査の時期は、治療開始のタイムリミットである発症後48時間以内でなるべく遅い方がいいと思います。
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2009年08月26日

新型インフルエンザ対策(医療編)

mizueyubisashi.jpg 先週厚生労働省はついに我が国は新型インフルエンザの流行期に突入したと発表しました。

 今日は流行期における医療機関の対応(対策)についてお話ししますが、その前に患者さんの側にお願いすることがあります。

 発熱、のどの痛み、頭痛、せき、全身倦怠感、関節痛など、インフルエンザかもしれないと思われた方はもちろんですが、そうでない方も発熱があれば必ずマスクをして医療機関を受診してください。

 さて、新型インフルエンザが流行期に入った場合ですが、お近くの医療機関を受診することは可能です。封じ込め期のように発熱外来を受診するということはありません。

 医療機関では可能であれば迅速診断キットによって検査を行い、インフルエンザであることを確実に診断して、タミフルなりリレンザといった抗インフルエンザ薬を処方いたしますが、流行状況によっては検査キットがなくなる恐れもあります。そのような場合には医師の診察によってインフルエンザが疑われる場合には検査なしで抗インフルエンザ薬を投与するということになっています。

 大流行期になってしまったら(すでになっているわけですが)、「熱あらばインフルエンザ」というわけです。

 世の中が大人だけでできているのであればこれでいいかもしれません。大人は滅多に熱を出しませんから、「この時期熱を出すようならもうそれはインフルエンザだよ」で通用するかもしれません。

 でも、小児科の医者から見れば「そんな単純にできるわけないじゃん」です。今の季節高熱が出たら、ヘルパンギーナかもしれないしプール熱かもしれないし扁桃炎かもしれないし、とにかくこどもはしょっちゅう熱を出すんです。たいていは診察だけで区別はできますが、それでも、異常行動が問題になっているタミフルを診察だけで自信を持って出せる小児科医はまずいないでしょう。

 「国(政府)の方針だから」と割り切れる医者もいるかもしれませんが、5月以来の数々の新型インフルエンザ対策の中には「こどもをどうするか?」という視点が全くないんです。そりゃ大人がたくさんインフルエンザにかかって社会活動が停滞してしまったら大変なことになるのはわかっています。でも、子育て支援だ少子化対策だと口では言いながら結局は大人のための政策だということがこういうところでばれてしまうんですね。

 文部科学省の事務次官が記者会見しましたが、こども達を守ろうという姿勢は全く見られず、「厚生労働省に、文部科学省がしっかりやらなかったから新型インフルエンザが大流行したなんて言われたくない」というのが見え見えの会見でした。

 国の新型インフルエンザ対策の最後の最後でいいから、「小児の場合はこうする」っていう項目を入れてほしいですよね。
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2009年07月16日

超カンタン!手作りマスクの作り方

 東京都では新型インフルエンザ対策の診療体制を変更し、7月11日(土)から発熱外来をなくし、すべての発熱者が一般の医療機関を直接受診してもよいということにしました。

 これにともない医療機関の側も患者さんの側も今まで以上に医療機関内での感染予防を心がけなければいけないのですが、ご承知のようにマスクの入手が困難な状況が続いています。

 そこで今日は、こども診療所特製「超カンタン!手作りマスクの作り方」をご紹介します。写真をクリックすると拡大されます。

mask1.jpg まず30cm角のガーゼ2枚と輪ゴム2本を用意します。ガーゼがなければハンカチでもペーパータオルでもいいのですが、お子さんの呼吸の妨げにならないという点ではガーゼがお勧めです。


mask2.jpg そのうちの1枚を四つ折りにします。大人用でしたら三つ折りがいいでしょう。年齢や顔のサイズに合わせていかようにも折ることができます。



mask3.jpg 両端から輪ゴムをくぐらせます。輪ゴムと輪ゴムの間が口と鼻に当たる部分ですので、口と鼻の両方が隠れる大きさになるようにします。



mask4.jpg 片側を輪ゴムの位置から内側へ折りたたみます。





mask5.jpg 反対側も輪ゴムの位置から内側へ折りたたみます。





mask6.jpg もう1枚のガーゼ(あてガーゼ)をマスクと同じサイズになるように折りたたみます。このときティッシュぺーパーを一緒に折り込めば予防効果はさらに高まりますが、息苦しさを増します。予防効果と呼吸のしやすさは反比例とお考えください。

mask7.jpg あてガーゼを内側に重ね置きします。マスクによって顔に軽く押しつけられますから、このあてガーゼを固定する必要はありません。



mask8.jpg 外側にみずえちゃんシールを貼って出来上がり!みずえちゃんシールに予防効果はありません。おまじないですね。

 耳にかける部分が輪ゴムなので長時間かけていると耳が痛くなってしまいますが、診療所に入って診察をして外へ出るまでの時間ぐらいなら痛くはありません。また、この部分を他の素材にすることで痛みを和らげることも可能ですが、手に入りやすさからすると輪ゴムが一番だと思います。
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2009年06月27日

新型インフルエンザワクチン情報

vac100.jpg 新型インフルエンザに対するワクチン製造についての最新情報です。

 厚生労働省(厚労省)は6月19日に、新型インフルエンザワクチンの製造を7月中旬から開始すると発表しました。政府の新型インフルエンザ対策本部の専門家諮問委員会から「季節性インフルエンザワクチンの製造を中止し、新型に切り替えるのが適当」という答申を受け、これに沿った決定を行ったものです。

 厚労省の試算では、すでに国内メーカーに配布されたワクチンを作る新型インフルエンザウイルスの候補株が、季節性インフルエンザウイルスと同程度に増殖すると仮定した場合、12月末までに約2500万人分を製造できるんだそうです。そして早ければ10月から一般に供給できるようになり、接種が可能になるんだそうですが、ウイルスの増殖が思うように行かなければ当然供給は遅れることになります。

 では、季節インフルエンザのワクチンはどうなるかといいますと、7月中旬で製造中止になってしまうのですが、それまでに約4000万人分を製造できる見通しだそうで、例年の製造量より約20%少なくなるそうですが、厚労省は、去年の接種実績から見ると大きな影響はないだろう、つまり品薄になることはないだろうと見ているようです。

 ところで、新型ワクチン2500万人分というのは十分なんでしょうか?

 今でもかなりの方が「いつものワクチン受ければ新型にも効きますよね」と質問なさいます。これは大間違いです!今までのワクチンは今までのインフルエンザ(新型の登場で季節性と呼ばれるようになったインフルエンザ)にしか効きません。

 新型インフルエンザにかかりたくなかったら新型インフルエンザワクチンを接種しればいけません。新型ワクチンは新型にしか効きませんから、新型も季節性もかかりたくないと思ったら両方のワクチンを接種しなければなりません。

 もし、4000万人近い人が両方のワクチンを接種したいと考えたら、新型ワクチンは約1500万人分足りなくなります。何年か前のように、ワクチンの争奪戦が起こり、一部の大手病院には十分在庫があるのに、私達町医者の所には全く回ってこないなんて事態になるかもしれません。

 こども診療所でもすでに内々の発注はしてあるのですが、まだワクチンの値段すら決まっていない状況ですから、入荷できるのかできないのか、皆目見当もつきません。十分な量のワクチンが手にはいるよう祈るばかりです。
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2009年06月02日

新型インフルエンザウイルスの遺伝子解析

mizueyubisashi.jpg 神戸で発症した新型インフルエンザ患者9名から採取したウイルスの遺伝子解析が完了したと報道されています。その結果、新型インフルエンザが国内に持ち込まれたのはゴールデンウィークの始め頃、4月の末か5月の始めである可能性がでてきたということです。

 理由は、遺伝子の塩基配列がゴールデンウィーク明けに成田の検疫で見つかったウイルスのそれよりも古く(といっても2週間程度の違いですが)、4月中最初にメキシコやアメリカで新型インフルエンザが騒がれ出した頃の配列に近いということです。

 傍証としては、神戸地区の薬剤師会のサーベイランスで、4月末から抗インフルエンザ薬(タミフルやリレンザ)の処方数が急に増えだしたという事実があるそうです。

 これが事実だとすると、新型インフルエンザは4月末にはすでに日本に上陸していて、かなりな流行を起こしていたけれど、一般の医療機関で、多分A型インフルエンザとして治療されていたということになります。それでもニュースになるほどの大きな流行にはならなかったということです。

 それじゃあ、今までの大騒ぎは何だったんだ!?

 と、思ってはいけません。

 インフルエンザウイルスの変異の速さに注目してください。わずか半月の間に違いがわかるほどに変異するこの速さは驚くべきものがあります。現時点での日本での新型インフルエンザはこれから終息に向かうと思います。だからといって新型インフルエンザウイルスが地上から消滅するわけではありません。驚くほどのスピードで変異を遂げながら、冬が来るのを待っていると考えてください。特に南半球ではこれからが冬です。そこでの変異によって今は弱毒株であるこのウイルスがいつ強毒株になってもおかしくはないのです。

 新型インフルエンザを甘く見てはいけません。今回の騒動は冬にはやってくるであろう第2波へ向けての予行演習だったと考えてください。そして冬にやってくるウイルスは人間にもっと適応した(変異した)ウイルスだと考えてください。

 ところで、60歳以上の人は新型インフルエンザにかかりにくいといわれていますが、そのことについて私なりに考えてみました。

 今回解析したウイルスの塩基数は約13,000だったそうです。地球上のすべての生き物の遺伝子は、アデニン・グアニン・チミン・シトシンという4種の塩基だけでできていて、その並ぶ順序によって細胞の特徴が作られていきます。並び方が1カ所でも違えばそれは変異ということになるのです。

 では、変異の起こる回数はどうなるでしょう?塩基の種類が4種類で塩基数が13,000ですから、新型インフルエンザウイルスの場合、4の13,000乗の変異が起こりうるということです。4の13,000乗というのがどういう数字になるかというと、4の10乗が1,048,576(100万ですよ!)ですから、それにさらに4を1,300回かけた数字ということになり、とても計算できそうにありません。きっと摩訶とか不思議という単位になるんでしょうね。

 ですから、今までと同じ塩基配列が登場する確率はほとんどないといってもいいんです。でも、でもですよ。もし仮に60年前にはやっていたインフルエンザウイルスの塩基配列と今の新型インフルエンザウイルスの塩基配列がとても似ているという偶然が起こったとしたら、60年前のインフルエンザウイルスに遭遇したことのある人には免疫の記憶が残っているということになり、新型インフルエンザに対しても有効であるということは考えられなくもないのです。

 ウイルスの先祖がえりといえなくもありませんが、あくまでも私の推論です。
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2009年05月24日

新型インフル 東京都も国内発生期に

mizueyubisashi.jpg 2日前までは、「東京都はまだ海外発生期」とお伝えしていましたが、関西を旅行した方が帰京後発症したことで、東京都も国内発生期として対策を講じる必要が出てきました。

 国内発生期には発熱のある患者さんは一般の医療機関を直接受診するのではなく、各市区町村に設置された「発熱相談センター」に電話やファックスで連絡を取り、発熱までの経過などによって、「発熱外来」のある医療機関を受診するか、あるいは一般の医療機関でもよいかの判断と指示を受けることになります。

 江戸川区の場合、「発熱相談センター」は今までもお伝えしているように、江戸川保健所内に設置されていています。電話は午後9時まで受け付けています。

平日9時〜21時は江戸川区保健所発熱相談センター(保健予防課感染症第一係)へ
   電話     5661−2475
   ファックス  3655−9925


夜間・休日は東京都休日夜間発熱相談センターへ
   電話     5320−4509


 また江戸川区では新型インフルエンザに関する一般的な相談を区内すべての健康サポートセンター(HSC)で平日9時から17時まで受け付けています。電話とファックスは次の通りです。

 中央 HSC:電話 5661-2467 / ファックス 3655-9925
 小岩 HSC:電話 3658-3171 / ファックス 3671-5798
 葛西 HSC:電話 3688-0154 / ファックス 3878-9834
 清新町HSC:電話 3878-1221 / ファックス 3878-9847
 小松川HSC:電話 3683-5531 / ファックス 3683-5664
 なぎさHSC:電話 5675-2515 / ファックス 5675-2519
 東部 HSC:電話 3678-6441 / ファックス 3678-6444
 鹿骨 HSC:電話 3678-8711 / ファックス 3678-8714

 また、国内における新型インフルエンザ症例の蓄積から、当初予想されたよりも比較的軽症例の多いことがわかってきたため、対策指針が下の図のように改訂されました。

shishin.jpg

 東京都は左側の「患者が少数の地域」となります。新しい指針に沿ってこども診療所では、38℃以上のお熱のある方の診療について以下のようにさせていただくことにいたしました。

 中学生以上で38℃以上の熱のある方は付き添いの保護者の方も含めて、診療所内に入らないようお願いします。事前に発熱相談センターに電話をしていただき、一般の診療所を受診して差し支えないという指示が出た方は必ずマスク着用の上診療所内に入っていただきます発熱外来を受診するよう指示された方はこども診療所で診察することはできません。発熱外来がどこに設置されているかは公表されていません。

 小学生以下のお子さんの発熱の場合には、保護者の方が発熱していない場合に限って、直接こども診療所を受診して下さい。その際必ずマスク着用の上診療所内に入るようにして下さい。マスクはご自分で用意していただきます

 お熱のない方の診療については今まで通りですが、診療所内では全員にアルコールによる手の消毒をお願いします。さらに、全員にお熱を測っていただきます。新型インフルエンザ蔓延阻止のためご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 再三申し上げているように、政府機関による検査の結果、新型インフルエンザウイルスはタミフルにもリレンザにも耐性がないことが報告されています。つまり感染したとしても季節性インフルエンザ同様の治療薬が効果的だということです。いたずらに恐怖心をあおるような情報に惑わされず冷静に対処していただきたいと思います。
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2009年05月22日

新型インフル 東京都は海外発生期

mizueyubisashi.jpg 八王子に続いて目黒区でも新型インフルエンザの感染者が確認されました。東京都では各地区の医師会などを通じて感染拡大防止策を次々と打ち出しています。

 これらの封じ込め作戦は、都内在住の二人の感染者から他の人への感染を防ぐ、あるいはすでに感染が起こっていれば発病する前に隔離できるよう、二人の感染者と濃厚に接触した人たちを捜し出す、というものです。

 二人の感染者はどちらもアメリカに感染源があると見られているからで、国内の感染者からの二次感染ではないのです。ですから、下の図を見ていただくとお分かりのように、東京都の場合はまだ海外発生期であり、この二人からうつされた、あるいは国内の別の場所でうつされたという人が現れてからが国内発生期になるとご理解下さい。ただし、病気の発生が図のようにきっちりと段階づけられるわけではありませんから、国内発生期の方針である「ウイルスの限局化」(ウイルスをその人や場所だけに封じ込める)も同時進行で行われているわけです。

phase_jp.gif

 もちろん、いつどこで国内二次感染者が出現するかわかりませんから、その時に備えて医療機関側でも万全の準備を進めていますし、一般の方々にもうがい・手洗い・マスクの着用などで予防に努めていただきたいと思います。

 こども診療所では、季節性インフルエンザの流行期には待合室に使い捨てのマスクを置いて待合室での感染防止に努めていますが、このところの国内感染騒ぎで、マスクの入手が困難になっています。感染予防のマスクはご自分でご用意下さいますようお願いいたします。

 また、政府機関による検査の結果、新型インフルエンザウイルスはタミフルにもリレンザにも耐性がないことが報告されています。つまり感染したとしても季節性インフルエンザ同様の治療薬が効果的だということです。いたずらに恐怖心をあおるような情報に惑わされず冷静に対処していただきたいと思います。
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2009年05月20日

新型インフルエンザ流行地域拡大

clinic.jpg 国内での新型インフルエンザ流行地域の最新情報をお伝えします。流行地域だけでなく、新型インフルエンザに関する最新情報は厚生労働省のホームページに逐次掲載されています。(黄色の文字がリンクしています)

 また、4月25日(土)夕方より厚生労働省は一般の方からの電話相談窓口を開設いたしました。
○開設期間  平成21年4月25日(土)〜当面の間
  ※土曜日・日曜日・祝日を含む
○受付時間   9:00〜21:00
○電話番号   03−3501−9031
○FAX番号  03−3501−9044

 上記のホームページには都道府県や政令指定都市の相談窓口に関する情報も掲載されています。

 さて、5月18日午前2時現在の国内での流行地域は兵庫県神戸市(東灘区、灘区、中央区、兵庫区、長田区、北区の区域に限る)、兵庫県芦屋市の全域、大阪府豊中市の全域、大阪府池田市の全域、大阪府吹田市の全域、大阪府高槻市の全域、大阪府茨木市の全域、大阪府八尾市の全域、大阪府箕面市の全域、大阪府三島郡島本町の全域となっています。

 この地域に出かけた方、あるいは出かけた方と接触した方は体調に十分注意し、発熱や風邪症状が現れた場合には、一般の医療機関を受診せず、まず、江戸川区発熱相談センターにご連絡ください。

平日9時〜17時は江戸川区保健所発熱相談センター(保健予防課感染症第一係)へ
   電話     5661−2475
   ファックス  3655−9925


夜間・休日は東京都休日夜間発熱相談センターへ
   電話     5320−4509


 また江戸川区では新型インフルエンザに関する一般的な相談を区内すべての健康サポートセンター(HSC)で平日9時から17時まで受け付けています。電話とファックスは次の通りです。

 中央 HSC:電話 5661-2467 / ファックス 3655-9925
 小岩 HSC:電話 3658-3171 / ファックス 3671-5798
 葛西 HSC:電話 3688-0154 / ファックス 3878-9834
 清新町HSC:電話 3878-1221 / ファックス 3878-9847
 小松川HSC:電話 3683-5531 / ファックス 3683-5664
 なぎさHSC:電話 5675-2515 / ファックス 5675-2519
 東部 HSC:電話 3678-6441 / ファックス 3678-6444
 鹿骨 HSC:電話 3678-8711 / ファックス 3678-8714
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