2007年05月25日

はしか(麻疹)流行の拡大を防ぐ

 関東地方から始まった今年のはしか(麻疹)の流行はついに全国規模に広がりそうな気配を見せてきています。それにはゴールデンウィークの民族大移動(旅行・帰省など)が大きく関与していた可能性があります。はしか発症直前の人が行った先ではしかウイルスをお土産代わりに置いてきたかもしれないからです。その時期に感染を受けた人たちは先週あたりから発症します。北海道・関西・西日本ではしかが流行し始めたのも先週あたりからです。

 このように遠く離れた場所にはしかウイルスが運ばれてしまうことは防ぎようがありませんが、一つの地域や集団(学校や職場)の中ではしか流行の拡大を防ぐ方法はあります。

 それは「一人でもはしか患者が発生したらすぐに対応策を始める」ということです。

 ある人がはしかと診断されたときにはすでに何人かの人にはしかをうつしています。ですから、この段階ではしかをうつされた人の発症を抑えることはできません。しかし、はしかがこれらの人たちから次の人たちに感染するのを防ぐことは可能です。

 それは最初にはしかと診断された人が発症するまでの約2週間の間に誰と接触したかを徹底的に調べることです。限られた空間と集団の中でならそれは可能です。そして接触した人にどんな些細なことでも体調の変化が現れたら、その集団への参加をやめてもらう(欠席や欠勤)ことです。そうすることによって、最初の患者と第一の発症の波の段階で流行を封じ込める作戦です。

 発症の波は最初の患者が発生してから10日から2週間後に現れます。次の波もやはり10,日から2週間後に現れますが、波の大きさは比べものにならないほど大きくなってしまい、いかに限られた集団といえども全員に対策を講じることが難しくなります。集団全体を集まらせないようにする(学校閉鎖や休校措置)しかありません。

 日本ではいまだに「はしかは誰もが一生に一度はかかる病気」と考える風潮が残っています。でも世界は違います。「はしかは撲滅すべき病気」として各国政府が懸命な取り組みを行っています。学校や職場などでは「一人でもはしか患者が発生したらすぐに対応策を始める」ということを是非実践していただきたいと思います。
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2007年05月24日

修飾麻疹

 はしか(麻疹)ワクチンの不足が深刻な状況になっていることは、このブログでもお伝えしていますし、マスコミの報道でも採り上げられるようになり、医療サイドでは「はしか(麻疹)にかかってもいないし、今までに一度も麻疹予防接種を受けていない人に優先的に予防接種をしよう」というスタンスに変わってきています。

 はしか(麻疹)にかかったこともなくまたはしか(麻疹)予防接種を一度も受けていない人のことを「未罹患・未接種者」と言います。このような人たちは血液中に抗体(免疫)が全くないわけですから、感染のリスクが一番高いと言えます。そのような人たちに優先的にワクチンを提供することは現在のようにワクチン需給が逼迫しているときには必要かもしれませんが、病気の予防や治療に優先順位をつけることは医者としては心痛むことです。

 しかしここでは現実を見据えることにしましょう。過去に一度だけ麻疹ワクチンを接種して(もちろん実際のはしかにはかかっていない)、10年、20年という長い年月が過ぎてしまった人たちはどうなるかということです。これらの人たち(既接種者)は予防接種の優先順位からは2番目ということになります。過去に実際にはしかにかかったことのある人たち(既罹患者)は3番目です。既罹患者は感染を受けても発病しないと考えられるからです。

 既接種者や既罹患者には発病予防に十分な抗体価があるということは、全国調査でわかっています。しかし今年の流行ではしかの発病者を調べた結果では、未罹患・未接種者が一番多いのは当然なのですが、既接種者の中からも未罹患・未接種者に近い数の患者が出ています。さすがに既罹患者(確実な人)からの発病はほとんどゼロです。

 既接種者の中には、発病予防に十分な抗体価を持っていない人もいるということを示しています。

 ところで、既接種者で発病予防に十分な抗体価を持っていない人がはしかにかかると、典型的なはしかの症状・経過をとる人と、あまり典型的ではない経過をとる人とに分かれます。あまり典型的でないはしかを修飾麻疹といいます。
 
 修飾麻疹は、上に述べた既接種者のようにはしかの免疫が発病予防には不十分な状態にある人にみられるもので、はしかに接触してから発病予防にガンマグロブリンを注射した人や、胎内でお母さんから受け取ったはしか免疫が薄れ始める生後4〜8ヶ月の赤ちゃんなどにみられます。一般的に典型的なはしかよりは軽症で済むことが多いのですが、合併症に関しては軽症になるとは限りません。修飾麻疹の一般的な経過を次に述べますが、普通のはしか(麻疹)の経過については5月9日掲載の記事「はしかってどんな病気?」をご参照ください。

 修飾麻疹では潜伏期間が約2〜3週間と長くなります。熱と風邪症状で発症しますが、熱は38℃以下のこともあり、鼻汁や痰の量も少なく、結膜炎がないこともあります。2〜3日後に一旦解熱しますが、その頃見られるはしか特有のコプリク斑という口の中のプツプツが見られないこともあります。一旦解熱後再び熱が上昇し発疹が出現しますが、この時期の発熱も39℃以下のことがあります。発疹はやや色あせた感じで、発疹が出ている期間がやや長く約1週間続きます。熱もその間下がらないことがあります。その後薄い色素沈着を残して回復します。普通のはしかの症状・経過を軽く、けれど長くしたと考えてもよいかもしれません。

 軽症で済むということは、かかってしまった方にとってはよいことなのですが、はしか流行の阻止という点では問題があります。軽症であるが故に「はしか(麻疹)」という診断を受けずに、普通の風邪(咽頭炎あるいは上気道炎)という診断を受けてしまって、本人ははしか(麻疹)と気づかずに登校したり出社してしまう人が出てしまうのです。症状は軽いけれど感染力は普通のはしかとほぼ同じですから、周囲の人にうつしてしまう危険性があるのです。

 学校や職場では、はしか(麻疹)患者が一人でも出たら、37.5℃以上の発熱がある人は必ず休む、場合によっては欠席(欠勤)扱いにしないというような取り決めをしていただけると流行の広がりを抑える上で大変有効ではないかと思います。
 
 
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2007年05月22日

はしか(麻疹)ワクチンの必要度

 関東地方に端を発した今年のはしか(麻疹)の流行は次第に全国的な広がりを見せ、西日本や北海道でも集団発生の事例が報告されるようになってきています。そしてワクチン(麻疹単独抗原ワクチン)不足もさらに深刻な状況に追い込まれつつあり、厚生労働省は全国の医療機関に対してワクチンの買い占めをしないよう昨日通達を出しました。

 ワクチン不足下での買い占め行為はインフルエンザワクチンで以前みられたことがありますが、私のような町医者のレベルでは買い占めどころか必要なワクチンを入手することがすでに難しくなっている(ほとんど不可能)というのが実情です。

 そこでやむなく麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種をお願いすることになるのですが、それとても接種希望者が殺到した場合には麻疹単独抗原ワクチン同様品不足になる心配があります。じゃあ今のうちに買い込んでおきなよと思うかもしれませんが、町医者レベルで高価なワクチンを何十人分も買い込んだら、支払いも大変ですが、もし使い切れなかったときのことの方がもっと心配です。生ワクチンは有効期限が1年もありませんから、需要を考えて購入しないと期限切れで廃棄という憂き目にあってしまうのです。

 それはともかく、昨晩江戸川区医師会で国立感染症情報センターの先生をお招きして、麻疹の流行状況と予防接種のあり方についてお話を伺いました。それによると、2歳以上の日本人ではしかの抗体(免疫)を持っていない人はわずか数%に過ぎないというのです。今集団発生が問題になっている10代後半から20代前半の世代でも同様で、抗体不十分は7〜8%に過ぎないそうです。40歳以上だと、予防接種を受けた人の率はとても低いのですが、実際にはしかにかかった人が多く、95%以上の人が十分な抗体価を示しているそうです。

 私は自分の経験から、麻疹ワクチン接種の効果は、途中でブースター(パワーアップ)がなければ10年程度と信じていましたので、本当かなと思って帰宅して感染症情報センターのホームページから、昨年行われた「麻疹抗体保有率全国調査」を見てみたらホントでした。とはいえ、日本人1億2千万人の仮に5%とすれば約600万人が感染するかもしれないわけで、感染予防の重要性が減るわけではありません。かといって、逆にMRワクチンを使ってですら600万人に予防接種をすることは不可能です。東京都だけに限っても約60万人が接種の対象になる計算ですから、それだけの数のワクチンはまず用意できないでしょう。

 そこでこども診療所では、ワクチン不足という状況の中で抗体のない人を優先的にと考え、40歳以上の方には接種をご遠慮いただく、15歳以上の方には必ず抗体検査を受けていただいて抗体マイナスの方だけ接種する、という方針に切り替えさせていただきました。それでも麻疹単独ワクチンがなくなればMRワクチンを接種していただくしかないのですが…。

 江戸川区では、区内の小・中学生については学校単位での予防接種を検討中なので、検討結果がはっきりするまでしばらく待っていただくことにしました。

 このように優先順位をつけることは医者としては心苦しいのですが、一度はしかにかかった人はまず感染しない、予防接種を少なくとも一度受けている人は感染しても軽症ですむ可能性がある、ということで、未罹患・未接種(かかってもいないし一度も予防接種を受けていない)の方を優先させていただくことにしたのです。
 
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2007年05月21日

はしか(麻疹)ワクチンが足りない!

 関東地方のはしか(麻疹)は流行が広がりつつあります。予防にはワクチンの接種がもっとも効果的なのですが、希望者が殺到してワクチンが不足してきました。

 こども診療所でも、すでに予約をいただいている方の分を除くとあと数名分しかなく、薬品会社に発注をかけてもいつ入荷するかわからないという返事です。

 麻疹単独ワクチンが入手できなくなった場合には、昨年春から使われるようになった麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種しても麻疹単独ワクチンと同様の効果を得ることができます。しかし、MRワクチンは医療機関での購入価格が、麻疹単独ワクチンと風疹単独ワクチンの両方を別個に購入するよりも高く、そのためほとんどの医療機関では麻疹単独ワクチンの2倍の料金で接種しているようです。

 予防接種料金は各医療機関が独自に定めることになっていますが、約1万円(税別)の料金設定のところが多いようです。こども診療所でも10,500円(税込)で接種しています。

 ワクチンは製造ロット毎に必ず国の検定を受けなければ出荷できないようになっているため、製薬会社がフル稼働してワクチンを製造してもすぐに市場に出回るわけではありません。感染の危険が緊急にある方はMRワクチンの接種をしていただくしかないのですが、値段のことを考えると、医療サイドから是非とは言えないところがあります。
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2007年05月20日

ガレノスの名誉回復

 血液循環説では、ガレノスは誤った考えを持っていたとお話ししてしまいましたが、だからといって彼がいい加減なイカサマ野郎だったというわけではありません。古代ギリシャという古い時代ではありましたが、ガレノスは人間の体とその体の各器官の働きを系統立てて、しかもお互いの関連もきちんと整理して、体系化された生理学を完成させたのです。今でもガレノスは「生理学の祖」と呼ばれてその功績をたたえられています。
 ガレノスの名誉のために付け加えておきます。
 ちなみに「医学の祖」と呼ばれているのは、やはり古代ギリシャのヒポクラテスです。西洋文明の多くは古代ギリシャにその起源を持っているのです。
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2007年05月19日

それでも血液は循環している!

 5月15日に高校3年生の時に作ったHOゲージの「血液循環レイアウト」を紹介しましたが、その後私は小児科の医者になり、循環器を専門に研究するグループに属するようになったのです。小児循環器専門医になったのは偶然で「血液循環レイアウト」とは全く無関係です。

 今日は、循環器専門医として、血液の循環についてウンチクを傾けてみようと思います。
 
 血液が体の中を循環しているなんてことは今どきの小学生でもわかっていることかもしれません。中学校の理科では血液の循環ということをきちんと教えることになっていますから、15歳以上の日本人は少なくとも「血液が全身を循環している」ということを知っているはずです。

 循環というのは、バスによく「○○循環」というのがあるように、出発点を出て行ったものが再び元の位置に戻ってくることをいいます。でも、17世紀の初頭まで、血液が循環しているということは誰も考えてはいなかったのです。

心臓や腎臓、神経など人間の体の中にあるいろいろな器官の働きを研究する学問を生理学といいますが、16世紀までの生理学はなんと古代ギリシャのガレノスという人が打ち立てた理論が最大唯一の権威で、ガレノスの生理学によれば血液は肝臓で作られ、酸素は通気系という血管によって運ばれ、吸収された栄養は栄養配分系という通気系とは全く独立した別の血管によって運ばれ、血液は体の隅々で消費されてしまうとされていました。

ronbun それに対してロンドン王立医科大学解剖学教授のウィリアム・ハーヴェイは、人間の体を流れる大量の血液が肝臓だけで作られているはずはないと睨み、血液が流れる血管の系統は一つしかなく、しかも血液は循環しているのではないだろうかという仮説を立て、もしその仮説が正しければ血液の流れは一方通行であるはずだとして、腕の血管の各所を縛っては解くという実験を繰り返し、ついに1628年「動物における心臓と血液の動態に関する解剖学的試論」という論文(写真)で「血液循環説」を発表したのです。論文はラテン語で書かれていて、一番下の「ANNO M. DC. XXVIII.」というのが1628年という意味です。

この説は、あの偉大なガレノスの説を真っ向から否定するもので、ハーヴェイは、天動説に対して地動説を唱えたガリレオ・ガリレイみたいな非難を浴びたということです。ハーヴェイはそれらの非難や反論に対する再反論の論文を1649年に発表し、その中で「それでも血液は循環している」と言ったとか言わないとか。ま、これは冗談ですが、その後ハーヴェイの血液循環説は多くの人々によって証明され、現在に至っているのです。

余談になりますが、私の循環器病学のお師匠さんが医学部の学生の試験に「血液循環の経路を述べよ」という問題を出し、私に採点を命じました。お師匠さんは私が丸を付けた解答の半分以上をペケにして、再採点を命じました。そのときにおっしゃった言葉は「これらの解答では血液が出発点に戻ってきていない。つまり循環していないのだよ。」でした。5月15日のイラストを見てみましょう。

circulation.jpgたとえば、左心室から出発した血液は大動脈・全身・大静脈・右心房・右心室・肺動脈・肺・肺静脈・左心房を経て左心室まで戻ると書かなければ循環にならないのです。私が丸をつけた間違い解答はすべて、その一歩手前の左心房までしか書いてありませんでした。そこまで来てるんだからいいじゃないかと思ってしまいますが、学問に対して常に謙虚で厳しいお師匠さんでした。
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2007年05月17日

はしかにご用心!(4)−40歳以上は安心?−

 昨晩江戸川区小児科医会の講演会があり、区内の小児科医十数名が一堂に会しました。講演のテーマは喘息の治療薬についてでしたが、講演のあとの懇親会では喘息の話はほとんど出ず、もっぱらはしかの話題で持ちきりでした。

 その中で、大人の方の予防接種は何歳ぐらいまでやるべきか、逆に言うと、何歳以上の方は予防接種をしなくてもはしかにかからないかという話が出ました。

 昔はこどものうちに誰もがかかる病気の代表としてはしかをとらえていましたから、初恋の悩みなど成長の中で誰もが経験する出来事を「はしかにかかったようなものだよ」などと言っていました。事実私が小児科医になった30年ほど前からしばらくは、4〜6年に一度はしかの流行が見られていました。はしかの予防接種が今ほど普及していなかったからです。

 ほとんどの人が実際のはしかにかかってしまうか、あるいは予防接種をしていて発病はしないけれど、はしかウイルスに出会って免疫がパワーアップされる(ブースター効果)チャンスがあったということです。

 はしかワクチンの効果(免疫)は時間とともにだんだん弱まってしまいます。しかしホンモノのはしかウイルスに出会うことによってブースター効果が生まれパワーアップが行われる、これを繰り返すことによって一生免疫が続くとされてきました。4〜6年に一度のはしか流行はこのブースター効果をもたらしていたわけです。

 ところがはしかの予防接種が普及するにつれて、はしかの流行はだんだん見られなくなってしまいました。小さい頃にはしかの予防接種を受けたけれどブースター効果が得られないまま大人になってしまった人たちが今はしかにかかっているのです。大学生のような若い人たちはまさにそれを物語っています。

 それで、はしかの流行を経験して、ブースター効果によって確固たる免疫を持っている世代は何歳ぐらいかということが話題になったのです。

 確かな根拠はありませんが、昨晩の結論では「40歳以上なら大丈夫だろう」ということになりました。100%の保証はできませんが、私の経験からも現在40歳以上の方々は何回かのはしか流行に出会っているはずです。その中で一度も発病せずに乗り越えてきたということは、しっかりした免疫を持っていたからだと言えますし、その都度ブースター効果によって免疫のパワーアップが行われ終生免疫(一生かからない)を獲得しているとも言えるのです。

 でも、40歳以上でもはしかウイルスに出会っていない方もおられると思います。心配な方はどうぞ予防接種を受けてください。
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2007年05月16日

はしかにご用心!(3)ー はしかの予防接種 ー

 日本大学・上智大学・創価大学などで大学全体の閉鎖が行われるなど、関東地方のはしか流行は深刻さと緊急性を増してきました。

 はしかの予防には予防接種が一番! では、どのような人がどのように接種を受ければいいのでしょうか?

 予防接種の目安をこども診療所のホームページに掲載しました。

 http://mizuechan.net/からサイトに入り、トップページの右側にある更新情報の中から「はしか(麻疹)予防接種の目安」をクリックするか、トップページの最上段にある木の立て札の「トピックス」をクリックすると、記事にアクセスします。

 生まれたばかりの赤ちゃんから大人の方まで各年齢毎に説明してありますので参考になると思います。是非アクセスしてみてください。
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2007年05月11日

はしかにご用心!(2)−ついに江戸川区で学校閉鎖−

 医師会からの依頼で昼休みに或る区立小学校でのはしか(麻疹)の臨時予防接種に行ってきました。この学校では5月1日に最初のはしか患児が発生し、今日までの10日間に約10人の児童がはしかと診断されたそうです。事態を重く見た江戸川保健所は今まで一度もはしかの予防接種を受けていない児童16名に急遽予防接種をすることにしたのです。この小学校の校医は私ではないのですが、医師会の仕事が入っていて都合がつかないということで、私がピンチヒッターで行ったわけです。
 帰りに校長先生が玄関まで送ってきてくれたので、別れ際に「このペースだともう学校が成り立たないでしょうね」と半分冗談を言って帰ってきました。
 ところが夕方になって、私が校医をやっている小学校の養護の先生から電話がかかってきて、昼休みに私が行った小学校が学校閉鎖になったというメールが来たが本校ではどのような対策を講じたらよいかという相談でした。校長先生に言った冗談が本当になってしまったわけです。
 インフルエンザの流行期に学級閉鎖が行われるのはよく聞くと思いますが、学校閉鎖というのは重大事件です。インフルエンザでは一つのクラスで10人欠席してもその学級が閉鎖されるだけです。学校全体が閉鎖されることはありません。では、この小学校では学校全体で10人ちょっとがはしかになっただけでなぜ学校全体が閉鎖されたのでしょうか?
 はしかはうつされてから約10日間の潜伏期があることと、最初の発熱から2〜3日たたないと診断が難しいという特徴があります。つまり大雑把に言うとはしかをうつされてから診断がつくまでに約2週間かかるということです。5月1日にはしかと診断された児童は4月18日頃はしかに感染したと推測されます。最初の発熱は多分4月28日頃ですが、その2〜3日前から他の人にうつすようになりますから、4月25・26・27の3日間は本人は元気で登校し、クラスの他の児童にはしかをうつした可能性があるのです。本人の責任ではありません。この時期はまだ潜伏期ですから病気の兆候は全くないのです。登校するのは当然です。そして28日から始まる3連休の間に発病します。
 一方、3連休前にはしかをうつされた児童たちは5月5日頃から次々と発熱します。5月3日からは4連休ですが、5月1日と2日にはすでに誰かにうつす時期に入っていた可能性が高いのです。この2日間にはしかをうつされた児童たちは5月10日頃から発熱期に入ります。ですから昨日・今日と発熱する児童が増えていれば、はしかの感染が拡大しているということになり、この児童たちがゴールデンウィーク明けにすでに人にうつる時期に入っているとなれば、感染はさらに拡大します。この連鎖反応をどこかで断ち切らなければ学校中にはしかが蔓延することになります。
 どこで断ち切るかは、ゴールデンウィーク明けの5月7・8・9・10・11日にうつされた児童たちが発病前の感染期に入る5月14日から18日ぐらいまでは誰も学校に来させないという処置が必要になります。
 インフルエンザと違って潜伏期の長いはしかは感染の拡大防止にも大なたを振るわなくてはならないのです。
タグ:はしか 麻疹
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2007年05月09日

はしかってどんな病気?

 はしか(麻疹)はウイルスによって人から人へとうつる感染症です。感染の仕方は空気感染(飛沫感染)で、はしかにかかっている人のセキ・ハナ・痰・唾液などが近くの人に飛び移って感染します。日本では年間20万人近くの人がはしかにかかり、20人から40人が亡くなっています。
 長く続く高熱や強いセキ・ハナ、結膜炎など、はしか固有の症状だけでもとてもつらい重症の感染症ですが、肺炎や脳炎など生命に関わる合併症を起こしやすい病気でもあり、はしかの流行はなんとしても防がなければならない重大問題です。

 典型的なはしかは次のように進行します。
 はしかにかかっている人と接触してウイルスの感染を受けると、8〜12日の潜伏期のあとに、38〜39℃の熱と痰のからむ強いセキ、沢山の鼻汁、結膜炎にともなう目ヤニなどで発症します。これらはいわゆる風邪症状なので、この時点ではしかと診断することはほとんど不可能ですが、2・3日後にほっぺの裏側や歯ぐきに「コプリク斑」というはしか特有の細かいプツプツが現れ診断可能になります。
 コプリク斑が現れた約2日後に一旦熱が37〜38℃に下がり、半日から1日後に再び上昇します。これもはしかに特徴的で、二度目の熱は一度目より高く39.5℃以上になります。二度目の熱とほぼ同時に顔や首から鮮紅色の発疹が現れ、3・4日かかってだんだん全身に広がります。この間は39.5度以上の高熱が続きます。
 発疹が全身に広がると今度は、現れたときと同じ順序で発疹が消え始めます。色合いもだんだん暗赤色に変わってきます。熱もだんだん下がってきます。合併症がなければこのまま回復に向かいます。
 完全に解熱したあとも発疹の跡が茶色になって残ります(色素沈着)が、1〜2週間で自然に消えていきます。

 インフルエンザに対するタミフルやリレンザのような特効薬がないため、治療はセキ・ハナを鎮めるクスリ、粘膜の炎症を抑えるクスリ、抗生物質(二次感染の予防・はしかウイルスには無効)、点眼薬などのいわゆる対症療法が中心になります。
 診断がついてすぐに症状を和らげる目的でガンマグロブリンという免疫物質を筋肉注射することもありますが、1歳前後の子で2〜3ml、6・7歳で4〜6ml、大人ですと約10mlもの大量を注射しなければなりません。もともととても痛い上に量が多いので、2・3か所に分けて注射しますが、注射されるほうも注射するほうもとてもつらい治療法です。
 静脈注射用のガンマグロブリンもあり、これは針を刺すときだけの痛みですみますが、健康保険が使えないので、量にもよりますが、2万円から6万円ぐらいの負担になるでしょう。
タグ:はしか 麻疹
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2007年05月08日

はしかにご用心!

 マスコミの報道やテレビのワイドショウなどで話題になっているように大人のはしかが流行の兆しを見せています。厚生労働省からは麻疹(はしか)の流行に警戒するようお達しが出ていて、私の地元の江戸川保健所からも麻疹と診断したらすぐにファックスで知らせるようにと連絡票のひな形が送られてきました。

 江戸川区では4月中に29人がはしかと診断された(保健所からの情報)そうですが、そのうちの77%は16歳以上の大人です。また、29人中はしかの予防接種を受けていなかった人は38%、受けたかどうかわからない人が45%です。予防接種を受けたにもかかわらずはしかにかかってしまった人は14%で、さすがに数は少ないのですが、それでもはしかの予防接種で得られた免疫は一生続かないことを物語っています。

 はしかは今でも日本全国で年間数十人が死亡するという重症化しやすい感染症です。年間患者数は20万人近いそうです。診断がついてすぐに症状を和らげる目的でガンマグロブリンという免疫物質を筋肉注射することもありますが、1歳前後の子で2〜3ml、6・7歳で4〜6ml、大人ですと約10mlもの大量を注射しなければなりません。もともととても痛い上に量が多いので、2・3か所に分けて注射しますが、注射されるほうも注射するほうもとてもつらい治療法です。静脈注射用のガンマグロブリンもあり、これは針を刺すときだけの痛みですみますが、健康保険が使えないので、量にもよりますが、2万円から6万円ぐらいの負担になるでしょう。

 こども診療所では、今年はまだ一人もはしかの患者さんは出ていませんが、何年か前に小学校高学年と中学生の何人かがはしかと診断されました。はしかの予防接種は1歳過ぎに行いますので、免疫が10年ぐらいすると消えてしまうものと考えられます。

 それを受けて今年小学校に入学した新一年生からははしかの予防接種を2回受けることになりましたが、それ以上の年齢の子(特に小学校高学年以上)や大人は、自主的に予防接種を受けることを考えた方が良さそうです。

 予防接種の料金はそれぞれの医療機関が独自に決めることになっていますが、4000円から5000円ぐらいでやっているところが多いようです。こども診療所は5250円(税込)でやっています。

 ただ、ホンモノのはしかにかかってできた免疫は一生続きますので、そういう人は予防接種を受けなくていいのですが、江戸川区では29人中一人だけ以前はしかにかかったはず(確かではない)なのにまたかかってしまった人がいます。確実にかかったと言えない人は予防接種を考えるべきでしょう。一度はしかにかかった人が予防接種を受けても特別副反応が出やすいということはありません。それでも心配だという人は血液検査で免疫の有無を確かめることもできます。免疫がなければ予防接種を受けたほうがいいでしょう。
タグ:はしか 麻疹
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