2017年04月05日

B型肝炎予防接種の救済措置

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


B型肝炎の予防接種は昨年平成28年10月1日から定期接種化され、接種費用は公費負担となり、生後2か月から生後1歳になるまでのお子さんは無料で接種を受けられるようになりました。

B型肝炎の予防接種は3回接種が基本で、3回すべてを完了するのには5か月から6か月の期間を要します。しかし、3回目の接種は1歳になる前に行わなければならないので、昨年の10月1日に既に生後6か月を過ぎてしまったお子さんは接種可能な期間が短く、3回の接種を受けられないという事態が起こってしまいました。

江戸川区医師会や江戸川区小児科医会はこの不平等を解消すべく、江戸川区に対して「平成28年10月1日の時点で接種可能な月齢であったお子さんすべてに3回接種が可能になるような救済措置を」と陳情を重ねて参りました。

この度その要望が受け入れられ、次の条件を満たす方に対して3回接種を可能にするような救済措置(無料接種)が設けられることになりました。次の条件からはずれた方は残念ながら公費負担での接種は受けられません。

《接種可能なお子さんの条件》
平成28年4月1日から平成28年7月31日までの生まれで、B型肝炎予防接種を3回接種していない1歳以上のお子さん
《救済措置の実施期間と実施医療機関》
平成29年4月1日から平成29年7月31日まで、江戸川区内の指定医療機関で(江戸川区外では受けられません)
《接種票の発行》
各健康サポートセンターで発行(接種票に必要事項を記入し、今まで予防接種を受けていた医療機関で接種して下さい)


※ このご案内は広報「えどがわ」平成29年3月20日号と江戸川区のホームページに掲載されています。


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2015年09月09日

こども診療所でのインフルワクチン接種

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 さて、前回の予防接種講座でお話ししたように、今年から四種混合になったインフルエンザワクチンですが、こども診療所での接種についてご案内いたします。


こども診療所では今年も10月からほぼ年内いっぱいの予定でインフルエンザの予防接種を行います。

9月24日(木)予約開始
 10月 5日(月)接種開始(年内一杯で終了)


の予定で準備を進めています。

そこで気になる接種料金ですが、ワクチンの値段というのは接種量で決まるわけではありません。三種混合が四種混合に変われば、製造過程も複雑になりますし、手間もかかるようになります。それで、今シーズンのインフルエンザワクチンは昨年よりも値上がりすることになっています。そこに安全で確実な予防接種を行うための予診の診断料や注射の技術料などを加えて、各医療機関が独自に接種料金を決めることになっています。

こども診療所での接種料金は次の通りです。

  1回目が4000円(税別)
  2回目が2500円(税別)



《こども診療所のインフルエンザワクチン》

こども診療所で2015−2016シーズンに使用するインフルエンザワクチンはすべてプレフィルドシリンジの一人用ワクチンになります。プレフィルドワクチンというのは、ワクチンメーカーで無菌的に一人分を注射器に詰めて出荷し、医療機関では開封したらそのまま接種を行えるようにしたものです。

3歳未満のお子さん用には0.25ml入りのプレフィルドワクチンを、3歳以上の方用には0.5ml入りのプレフィルドワクチンを用意しますので、清潔面で気を使うことも少なくなりました。

それから、プレフィルドワクチンは製造から接種時まで無菌状態が保たれますから、保存剤(チメロサールとかフェノキシエタノールなど)が必要なくなります。もう一つの安心材料ですね。

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2015年09月02日

インフルエンザワクチンが変わった !

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今年は残暑もあまりなく、あっという間に秋になってしまいましたね。暑さのぶり返しはあるんでしょうか?

 ところで、秋になると皆さん思い出されるのがインフルエンザの予防接種ですね。

こども診療所では今年も10月からほぼ年内いっぱいの予定でインフルエンザの予防接種を行います。

そこでまず、2015-2016のインフルエンザシーズンに国内で使用されるインフルエンザワクチンの情報をお届けします。


《インフルエンザワクチンの組み合わせ》

ワクチンの組成は去年まで、Aソ連型(H1N1)とA香港型(H3N2)、それにB型を加えた3種混合ワクチンでした。ちなみに去年のワクチン製造のもととなったウイルスは次の通りです。ワクチンのもとになるので「株(かぶ)」と呼びます。

【 A型株 】  
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09
A/ニューヨーク/39/2012(Xー233A)(H3N2)
【 B型株 】  
B/マサチューセッツ/2/2012(BXー51B)

それでは今年のワクチン株はどうなっているでしょうか?

【 A型株 】  
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09
A/スイス/9715293/2013(NIBー88)(H3N2)
【 B型株 】  
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)

ありゃりゃ?!
B型株が2種類に増えて四種混合ワクチンになっていますね。
その理由をご説明いたします。

従来のインフルエンザワクチンはA型に対してはそこそこの効果が期待できても、B型に対する効果はあまり期待できないというのが通説でした。B型インフルエンザウイルスにはA型のようにH1N5とかH3N2といった明確な違いがないので、とにかくB型という形でワクチンが作られていてB型インフルエンザウイルスの微妙な違いに対応できていなかったためと考えられます。

ところが近年B型インフルエンザウイルスの中でも、上に示したように「山形系統」と「ビクトリア系統」という群が混合で流行していることがわかってきました。それで2つの群のウイルス株を素に四種混合ワクチンを作ることになったというわけです。

今シーズンからはB型インフルエンザに対しても効果が期待できるようになることを期待しています。

ところで、ワクチン株が増えた分、接種量(注射の量)も増えるのでしょうか?

接種量は変わりません。
DPT三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンが加わって四種混合ワクチンになった時も、接種量はDPTの時と同じ0.5mlでした。でも、不活化ポリオワクチンを単独で接種する時は、単独であるにもかかわらず0.5mlを注射します。

え〜〜〜っ!どおしてぇ〜〜〜?

ワクチンの効果というのは、接種量の中に含まれる抗原物質の量で決まります。抗原物質が多く含まれた(濃い)ワクチンなら接種量は少なくてすみます。三種混合から四種混合にした時、それぞれのウイルス株を濃いめにすれば接種量全体を増やさなくてすみます。

といえば話は簡単なのですが、実際はもっと複雑な理由があります。それは余りにも専門的なのでここではお話ししません。とりあえずは上のような理由で接種量は変わらないのだと思っていてください。

(ホームページにもう少し詳しい内容を掲載しました)


《インフルエンザワクチンの接種量》

というわけで、インフルエンザワクチンの接種量を復習しておきましょう。

   ◎生後6か月以上3歳未満は0.25mLを2〜4週間隔で2回接種
   
   ◎3歳以上13歳未満は0.5mLを2〜4週間隔で2回接種

   ◎13歳以上のすべての年齢0.5mLを1回または2回接種
   (13歳以上の2回接種は希望者のみで2回接種の場合間隔は1〜4週)


以上です。


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2015年05月06日

1歳の誕生日からの予防接種スケジュール

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昨年10月から水痘ワクチンが定期接種化され、1歳のお誕生日から接種すべきワクチンが1つ増えるました。

 ところが、1歳から2歳の間というのは、元々接種すべきワクチンがたくさんありました。そこに水痘ワクチンを割り込ませるわけですから、スケジュールづくりにはけっこう頭を使わなければなりません。

 そこで、予防接種講座恒例の交通整理をしてみようと思います。あくまでも交通整理ですから、このスケジュール通りでなければいけないというわけではありません。いつも申し上げている通りです。


《1歳からの予防接種》

1歳のお誕生日から接種可能なワクチン(定期接種のみ)は次の通りです。

■ MR1期(麻疹風疹混合)
    2期(2回目は5・6歳で)
■ 水痘(水ぼうそう)1回目
    3歳までに2回接種
■ 肺炎球菌追加
    1歳から1歳3か月の間
■ ヒブ追加
    3回目接種後7か月〜13か月

*任意接種(有料)になりますが、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンも1歳のお誕生日から接種可能になります。


《MRを優先する接種スケジュール》

こども診療所では、MR1期ワクチン」の接種を最優先(1歳になったらなるべく早く)でお勧めしています。
そのような前提での接種スケジュールは次の中から選んでください。

1−1)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

1−2)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

1−3)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

1−4)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
(MR1期と水痘を同時に、そして肺炎球菌とヒブを同時に接種する方法です)

1−5)MR1期と水痘1回目と肺炎球菌とヒブの追加を同時接種
(すべてのワクチンを同時に接種する方法です)


《肺炎球菌とヒブを優先する接種スケジュール》

こども診療所ではMR1期の接種を最優先でお勧めしていますので、上記の1)〜5)の接種スケジュールがこども診療所の基本接種スケジュールとなりますが、肺炎球菌とヒブの追加を優先する接種スケジュールも不可能ではありません。

2−1)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

2−2)まず肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

2−3)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

2−4)肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(肺炎球菌とヒブを同時に、そしてMR1期と水痘を同時に接種する方法です)

肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンは不活化ワクチンですので、接種後1週間でほかのワクチンを接種することができます。MRワクチンと水痘ワクチンは生ワクチンですので、接種後4週間はほかのワクチンを接種することができません。なるべく短期間で接種を済まそうという効率主義で考えれば不活化ワクチンを先に接種したほうがずっと効率的です。

でも、予防接種を効率だけで考えるのは危険です。


《こども診療所がMRワクチンを優先する理由》

肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンや4種混合ワクチンは3回の接種が済んだあとそれぞれ一定の期間を置いて追加の接種を行うことになっています。

追加接種は以前に接種したワクチンの効果がなくなったから行うのではありません。まだ免疫効果が十分ある間に追加を接種して効果をより強くより長く効かせようとするものです。

ところが、MRワクチンに含まれる麻疹(はしか)の免疫は、生まれた時にはお母さんのおなかの中でで受け取った分で十分なのですが、生後6か月ごろからだんだん弱まって、1歳の誕生日を迎えるころにはすっかりなくなってしまいます。

麻疹(はしか)は現在日本のこどもたちを脅かす可能性のある病気としては最重症に分類される怖い病気です。

肺炎球菌やヒブ菌による感染症も怖い病気であることに変わりはありませんが、1歳になった時の予防接種の順序としては、まだまだ十分に免疫効果のある病気(肺炎球菌やヒブ菌)よりは、免疫のなくなってしまった病気(はしか)を優先するのは当然だと思いませんか?

でも、こうおっしゃる方もいらっしゃいます。
「不活化ワクチンの後は1週間で生ワクチンを接種できるのだから、肺炎球菌とヒブ菌を先にやってもいいんじゃないの?」
おっしゃる通りです。でも、その1週間の間にはしかにかからないという保証、私には絶対できません。


《接種スケジュールの選び方》

交通整理といいながらスケジュールの候補が9種類もあるのでは、どれを選べばいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

選び方のヒントを差し上げます。

9種類とはいっても、子ども診療所ででお勧めしているのはMR1期を優先する5種類だけですから、その中で考えることにしましょう。

こども診療所ではもともと同時接種は1日2種類までを基本としています。ご希望があれば3種類でも4種類でも接種は行いますが、こちらからお勧めすることはありません。ですからスケジュール1−5)はお勧めスケジュールからは外れることになります。

残り4種類は、すべて別々に接種するか、同時接種を組み合わせるかという選択になります。

別々に接種すると、通院回数は増えますが、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりやすくなります。

同時接種を組み合わせると、通院回数は減りますが、ワクチンの種類が多くなればなるほど、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりにくくなります。

どちらを優先するかが選択のポイントです。


《2歳になるまでに受けるその他の予防接種》

1歳になったらまずは今まで述べてきた4種類のワクチン接種を済ませましょう。

そのあとで2歳になるまでに接種するワクチンは次のようになります。

■ 水痘(水ぼうそう)ワクチン2回目
    1回目の接種から6か月〜12か月の間
    1回目の接種時期によって2歳を過ぎることがあります
    3歳までに2回終了させます

■ 4種混合ワクチン追加
    初回接種の3回目終了後1年〜1年6か月の間
    3回目の終了時期によって2歳を過ぎることがあります

■ おたふくかぜ(ムンプス)ワクチン
    定期接種ではありませんので(任意接種)有料となります
    1歳の誕生日から接種可能です
    集団生活(保育園など)に入るお子さんは早めの接種をお勧めしますが
    予定がなければ2歳過ぎの接種でもよいでしょう
    2歳前のお子さんのおたふくかぜはとても少ないのです
                   (ないとはいいません)
    おたふくかぜの接種は任意ですので
    受けるかどうかはご自分でお決めください   

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2014年11月12日

痛くない注射の秘密(課外編)

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 どんなに工夫をしても、注射が注射である限り、皮膚に針を刺すという宿命から逃れることはできないわけで、全く痛みがないというわけにはいきません。それに、痛みの感じ方は個人差がとても大きいので、ちょっとでも痛いと泣いてしまう子もいれば、相当痛くてもせせら笑っている子もいます。

 また、注射の痛みには、針を刺すことの痛みだけではなく、いくつかの要因があります。今回は痛くない注射の課外授業編として、その辺のところをお話ししてみます。

 まずは注射液(ワクチンなど)そのものによって起こる痛みです。注射液には酸性・アルカリ性の度合い(pH)とか、浸透圧とか、濃度とか、粘調度とか、液体であるが故に持っている物理化学的な性質があります。

 人間のからだも70%は水分ですから、液体としての性質を持っています。注射液の物理化学的性質と人間の体液の物理化学的性質が同じであればその液体が体内に入ってもそれほど痛みは感じません。

 一般的にいえば、不活化ワクチン(四種混合やインフルエンザなど)のほうが生ワクチン(MR、水痘、おたふくかぜなど)より、痛みが強いようです。特に肺炎球菌ワクチンは針の痛みよりワクチンがしみこむときの痛みが強く、たいていのお子さんは注射針を抜いてから泣き出します。お子さんを泣かさずに肺炎球菌ワクチンを注射し終えたときは「やったね!」という気分です。

 次は痛みに対する恐怖心です。

 痛みに対するというより、注射そのものに対する恐怖心は3歳以上の年齢にならないと湧いてきません。「痛くないから大丈夫」とか「この注射すると病気にならないよ」とか言ってごまかそうとしてもなかなか恐怖心を消し去ることはできません。

 恐怖がなくなるのは注射が終わったときです。そこで私は色々説得を試みるより、無理矢理でも注射をすませてしまうという方法を選んでいます。普段の診察の時はお子さんのいうことを辛抱強く聞くようにしていますが、注射の時ばかりは、ほとんど暴力的な医者に変身します。

 それから、赤ちゃんと上のお子さんが同じ日に注射(予防接種)を受けるときには、上のお子さんを先にするようにもしています。赤ちゃんの注射を見ている間に恐怖心をさらに募らせることになってしまうからです。ときどき「下の子は注射のこともよくわからないから先にお願いします」というご要望もありますが、わからないからこそ見ていても平気なのだと考えています。

 とまあ、色々工夫をしながら「痛くない注射」を目指しているわけですが、それでも注射ってやなもんですよね。昔、病院勤めの頃、病院全体の職員健診の責任者となったときなんか、採血されるのがいやで逃げ回っていて、「責任者がそれでは困ります」とお叱りを受けたことがありましたっけ・・・。



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2014年11月05日

痛くない注射の秘密(実践編)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昔はちょっと病気が重くなるとすぐに注射をしたものですが、最近は重症の脱水とか吸入だけでは治まらない喘息発作とかのケースで点滴をする以外は、あまり注射をすることはなくなってきています。こどもの注射といえば予防接種ぐらいなものでしょう。

syringe2.jpg 注射の話とパスカルの原理と、いったい何の関係があるの?とお思いでしょうが、右の写真をご覧ください。いろんな注射器が並んでいますが、どれも皆ピストンなんですね。ピストンである注射器にも当然パスカルの原理は応用できるわけで、私はそこから痛くない注射を考え出したのです。

 でも、愛育幼稚園の園児達にお褒めの言葉をいただいた頃はまだパスカルの原理に気づいていませんでした。その当時の私の痛みを和らげる方法というのは、まず針を刺すときに皮膚を指で強くつまんで痛みを与え、気持ちがその痛みの方に向いている間に一瞬のうち(早ければ早い程よい)に注射をすませてしまうという方法だけでした。これは現在でも使っています。けっこう有効です。

 もう一つの方法は注射をする部位です。この場所は、一般的に予防接種の注射をする部位(腕の斜め後ろ)とほとんど変わらないのですが、私の場合そこよりもやや後ろの、肉が一番タプタプしているところに注射をします。これも現在使用中で有効です。

 そしてこれにパスカルの原理を加えた方法が加わってさらに私の注射は痛くなくなりました。ヒントを与えてくれたのは愛育病院小児科で私と一緒に働いていた若い女医さんでした。

 その当時愛育病院では上の写真の左から2番目、2.5ml用の注射器に23ゲージという太さの針をつけて注射を行っていました。ある時その女医さんが、「もっと細い針を使ったほうが痛みが少ないのではないか?」と疑問を投げかけてきたのです。なるほどと思って25ゲージという、もう一段階細い針で試してみました。確かに針を刺したときの痛みは細い針のほうが少ないようでしたが、針が細い分注射の時間がかかるし、力も必要なのでけっこう疲れるのです。一瞬のうちに注射をすますという私のやり方とは合わないようでした。それで私はまた元の太さの針にもどしてしまったのですが、「細い針のほうが痛みが少ない(かもしれない)」という思いは頭のどこかに残っていたのです。

 パスカルの原理に気づいたのは、私がこども診療所を開設してから。女医さんからの疑問の約5年後のことでした。

pascal_gojira_01.gif 小さなピストンで、大きなピストンに乗せた重い物(ゴジラ)を少ない力で持ち上げるというパスカルの原理ですが、注射というのはこれの逆だと気づいたのです。針の部分を小さなピストンと考えれば、液を押し込む注射器の部分は大きなピストンに当たります。大きなピストンのほうに力を加えるわけですから、注射器の直径と針の直径の差が大きければ大きいほど、必要な力は大きくなるのです。

 細い針のほうが痛みが少ないというのであれば、針を細くした分、あるいはそれ以上に注射器を細くしなければいけなかったのです。愛育病院では同じ注射器で針だけ細くしていました。だから力が必要で疲れてしまったのです。

syringe.jpg そこで私は、現在日本で使われている注射器の中では一番細いヤツ、上の写真の一番左の注射器に、愛育病院で試した25ゲージよりさらに細い26ゲージの針をつけて試してみました(写真右)。結果は良好でした。軽い力で短時間のうちに液を注射することができました。針の痛みも少ないようでした。

 ところが、何事もそう簡単には完成しないもので、同じ量の液を注射する場合、注射器が細くなればなるほど、液を押し込むピストンは長い距離を移動させなければならないのです。その間に注射器がぶれたりすると、針も皮膚の下でぶれるわけですから、その痛みたるや太い針の痛み以上のものになってしまいます。

 でも、解決法はわりと簡単でした。ピストンが動いている間針がぶれないように、注射をする部位と注射器をしっかりと固定するということです。もちろん私の技術力が問われるところですが、私はさらに一工夫して、注射を受けるお子さんをお母さん(保護者の方)だけに押さえていただくことにしたのです。

 注射のときにお子さんが泣くのは、注射の痛みもさることながら、他人に抑えこまれることへの恐怖感が大きいのです。押さえているのがお母さん(保護者)であればこの恐怖感を和らげることができ、ひいてはお子さんの動きも少なくなると考えたのです。そして結果はその通りでした。

 そこで、次の段階として、ほとんどマニュアル的にしっかりと押さえていただける方法を考え出しました。「こうやって、こうやって、こうやって、はい、そのまましっかり固まっててください」というだけでしっかりと固定のできる形(体位とでもいいましょうか)です。え?その体位を説明しろですって?それは企業秘密です。お出でいただけば一目瞭然です。

 こうしてこども診療所の痛くない注射は完成しました。ある時、それまで他の小児科で予防接種を受けていたお子さんがこども診療所で予防接種を受けられました。お母さんが「ここは予防接種なのに静かですね。前のところはこども達の泣き声が響き渡っていました。」とほめてくださいました。



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2014年10月29日

痛くない注射の秘密(予告編)

vaccine.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 インフルエンザの予防接種は今が真っ盛りで、こども診療所でも毎日たくさんのお子さんが「こわいよ〜」、「いたいよ〜」と泣いています。

 針を刺すのですからある程度痛いのはしかたないのですが、私の予防注射が痛くないのは昔から有名です。ひとつ20年ほど昔の自慢話をさせてください。

 現在ではすべての予防接種がかかりつけ医のところで受ける個別接種になっていますが、20年前の頃はまだいくつかの予防接種は幼稚園や保育園、あるいは小中学校で集団接種として行われていました。

 私は当時勤めていた愛育病院の小児科部長という立場上、愛育幼稚園の園医も兼務していましたので、年に何回か園児達に予防注射をしていました。その頃私はすでに「痛くない注射」の極意をある程度極めていましたから、注射で泣く子はほとんどいませんでした。卒園式の感謝の言葉では「痛くない予防注射をありがとう」と、園児達からお褒めの言葉を頂戴しました。

 ある年の一学期、その春卒園して小学校に入った女の子から一通の手紙が届きました。多分ツベルクリン検査のことだと思いますが、「今度学校で予防注射があります。先生の予防注射は痛くないので、私は先生に来て注射してもらいたいです」と、目頭が熱くなるような内容でした。私は「先生は愛育幼稚園の先生だから愛育幼稚園の子にしか注射できません。もう小学生だし、先生の注射で頑張れたんだから、学校の先生の注射でも頑張れるはずです。」と返事を出しました。しばらくしてその子からまた手紙が届き、「先生の注射より痛くありませんでした。」だって・・・。

 ガクッもうやだ〜(悲しい顔)

 でもツベルクリン検査とワクチン注射じゃ、痛みが違って当たり前です。その子にしてみれば私以外にも痛くない注射をする医者がいると思えるようになったことを喜びました。

 自慢話の次は理科のお勉強です。

pascal_gojira_01.gif

(体重1000Kgの重さのゴジラが断面積Bのピストンの上に載り、Pの圧力で浮いているとする、この時の圧力Pは(1000 / B) である。
 同じPという圧力が断面積Aの容器側に伝えられ、このAの断面積がBの1/2とした場合Pは一定である為、ゴジラを押し上げる力は500Kgの力があればよいということになる。
 逆の見方をすれば、小さな断面積Aの油圧ジャッキで重たい物を持ち上げたい場合は伝達する相手側に断面積Bの大きな油圧ピストンを用意すればよいということになる。)

pascal.jpg 皆さんはてこの原理というのをご存じですね。小さな力で重いものを動かす方法の説明に使われます。上に示した油圧ジャッキの話は、てこの原理の圧力版ともいえるもので、パスカルの原理というのを応用しています。

 パスカルというのはあの「人間は一本の葦にすぎない。自然のうちで最もひ弱い葦にすぎない。しかし、それは考える葦である。」(パスカル「パンセ」より)で有名な哲学者・思想家です。でも彼は多方面に天才ぶりを発揮して、数学(幾何学にパスカルの定理というのがあります)や物理学でも素晴らしい業績を残しています。

 圧力に関するこのパスカルの原理は重工業など実際面で油圧ジャッキ、アクチュエーター、油圧フォーク・リフトなどに幅広く応用され、圧力に関しての基本的な原理となっています。その他にも圧力に関係する言葉としては、気圧をあらわすヘクトパスカルという単位にも彼の名前が使われています。

syringe2.jpg 注射の話とパスカルの原理と、いったい何の関係があるの?とお思いでしょうが、右の写真をご覧ください。いろんな注射器が並んでいますが、どれも皆ピストンなんですね。ピストンである注射器にも当然パスカルの原理は応用できるわけで、私はそこから痛くない注射を考え出したのです。

 今週は予告編です。痛くない注射の実践編は来週お送りします。お楽しみに!



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2014年09月26日

2歳8か月以上のお子さんの水痘予防接種

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 今日は水曜日ではありませんが、来週の水曜日まで待っていると、インフルエンザの予防接種も水痘ワクチンの定期接種も始まってしまいますので、臨時増刊号です。

 9月17日の「インフルと水痘どっちが先?」という記事の中で、年内3か月の間に3歳の誕生日を迎える、あるいは5歳の誕生日を迎えるお子さんの接種の順番について、「特例」による接種のことに触れましたが、この「特例」の対象となるお子さんにはかなりの制限があるということがわかりました。

 それで、現在2歳8か月以上のお子さんで水痘の接種票が郵送されてきたお子さんはとにかくすぐに1回は水痘ワクチンの接種を受けてください。

 そのあとのことは1回目の接種のときご相談させていただきます。


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2014年09月17日

予防接種:インフルと水痘どっちが先?

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 水痘ワクチンの定期接種化については再三再四お伝えしています。そしてそれが10月1日から開始されることも・・・。ところが10月1日というのはインフルエンザワクチン接種の解禁日でもあります。

 こども診療所では今年のインフルエンザ予防接種は水痘ワクチンの定期接種化の日と同じ10月1日(水)から開始の予定です。予約は9月24日(水)から受け付けます。

 今日のお話のタイトルは「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」です。予防接種講座恒例の交通整理です。

 一般的にいえば、病気の発生頻度や季節的なことを考えて、当然インフルが先になります。でも、インフルエンザの予防接種を先にしてしまうと、定期接種としての水痘ワクチン接種(無料)を受けられなくなってしまうお子さんがいらっしゃるのです。

 それで、どんなお子さんが水痘ワクチンの接種を優先させたほうがよいかの道しるべをお示ししようと思います。ただし、すでに水ぼうそうにかかってしまったお子さんは定期接種の対象になりませんので、インフルエンザの接種を優先(当たり前ですよね、それしかないんだから・・・)させてください。

 また、インフルエンザの予防接種は生後6か月から受けることができます。水痘の予防接種は1歳からです。インフルエンザの予防接種は大体10・11・12月の年内3か月間に行われますから、年内に1歳にならないお子さんは(もし受けるのであれば)インフルエンザしか選択肢はありません。

 水痘ワクチンの定期接種の対象年齢は1歳から3歳です。平成26年度(平成27年3月31日まで)に限って、3歳から5歳まで特例として接種を受けることができます。つまり今年度に限っていえば1歳から5歳までのお子さんが定期接種の対象になりうるということです。

 その中で、接種の順番が問題になるのは、10月から12月の年内3か月の間に1歳の誕生日を迎えるお子さんと、その3か月の間に定期接種の対象年齢を超えてしまうお子さんです。

 年内とは申しましたが、年明けの1週間は医療機関が正月休みで予防接種を受けられないことも考えられますから、以下「年内3か月」と書いてあっても、「来年の1月7日まで」と読み替えてください。

 対象年齢を超えてしまうお子さんのうち、年内3か月の間に3歳に達してしまうお子さんで、まだ一度も水痘ワクチンの接種受けたことがないお子さんと、任意接種で1回接種を受けたことのあるお子さんでは条件が変わってきます。年内3か月で5歳に達してしまうお子さんで、任意接種ですでに水痘ワクチンの1回接種が済んでいるお子さんは定期接種の対象外です。まだ一度も接種を受けていないお子さんは順番を考えなくてはいけません。

 ところで、この年齢のお子さんがインフルエンザの予防接種を受ける場合、接種量は年齢によって違ってきますが、接種間隔でいえば全員が2回接種で接種間隔は2〜4週間となります。また、インフルエンザワクチンを接種したあとは、インフルエンザ以外のワクチンは1週間後から接種することができます。しかし、水痘ワクチンは生ワクチンですから、接種後4週間は他のワクチンを接種することができません。

 これを踏まえて2つのワクチンを同じ時期に接種する方法としては次のようなスケジュールが考えられます。
(1)インフルエンザの2回接種を済ませてから1週間後以降水痘を接種する
(2)インフルエンザの1回目接種後1週間で水痘を接種する
(3)水痘を先に接種してから4週間後にインフルエンザの接種を開始する
(4)インフルエンザの1回目と水痘を同時接種にする
(5)インフルエンザの2回目と水痘を同時に接種する

これらのうち(2)はお勧めできません。というのは、水痘ワクチン接種後は4週間すべてのワクチン接種ができないからです。ジャスト4週間後にインフルエンザの2回目を接種したとしても、インフルエンザワクチンの接種間隔は5週間になってしまうからです。でもどうしてもそうせざるを得ない場合は、絶対ダメというわけではありません。

 では、それぞれの年齢について交通整理をしていきましょう。
(i) 年内3か月の間に1歳のお誕生日を迎えるお子さん
 1歳になったらすぐ水痘ワクチンと思われるかもしれませんが、受けるのだったらインフルエンザワクチンを2回済ましてからにしましょう。インフルエンザの1回目か2回目に水痘ワクチンを同時接種することも可能ですが、それほどあせって水痘ワクチンを接種する必要はないと考えます。

(ii) 年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん
 とにかく3歳にならないうちに水痘ワクチンの1回目を接種してください。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても3歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。
水痘ワクチンについては、今年度に限っては特例がありますので、2回目の接種が3歳を超えても2回目の接種票を使って2回目の接種を受けることができます。

(iii)年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度だけ水痘ワクチンの接種を受けているお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 今年度に限っては特例がありますので、来年の3月31日まで水痘ワクチン接種を1回だけ受けることができます。インフルエンザを優先させることをお勧めします。

(iv)年内3か月の間に5歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 とにかく5歳にならないうちに水痘ワクチンを接種してください。この年齢のお子さんは水痘ワクチンは1回だけの接種です。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても5歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。

 以上です。参考になさってください。

 なお、このようなスケジュールは今年度限りです。来年度は特例がなくなりますが、水痘ワクチンの接種は年間を通じて行われますので、時間的余裕は十分にあります。受けるべき時に受けるべきワクチンを受けるという考え方でよろしいと思います。


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2014年09月10日

水痘ワクチンについて

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


 水痘ワクチンが10月1日から定期接種化されること、そしてそれはどのように実施されるかという制度的なことについては、ホームページの「トピックス」で具体的に詳しくご説明いたしました。

 また、水痘(水ぼうそう)がどんな病気かというおさらいは、一昨日の医学講座でスタートいたしました。

 そこで今日は、水ぼうそうにかからないようにする水痘ワクチンについて勉強してみましょう。

    《水痘ワクチンって?》

水痘ワクチンは1974年に日本で開発された、日本で唯一の水ぼうそう予防のための生ワクチンです。このワクチンは岡クンという男の子が水ぼうそうにかかった時に採取されたウイルスを基に作られたので、「岡株」と呼ばれています。

岡株は水痘ワクチンを製造するのにふさわしい唯一の株としてWHOに承認されています。いま世界中で使われているすべての水痘ワクチンが岡株から作られています。

水痘ワクチンは1986年に製造販売の承認を受け、1987年から販売が開始されました。当初このワクチンは白血病や重症の腎臓病など、水ぼうそうにかかると生命の危険が大きい病気にかかっているリスクの高い小児を対象に接種が行われていました。

もともと重い病気のお子さんですから、ワクチン接種の副反応が重いともとの病気そのものが悪化しかねません。ですから、このワクチンは副反応の心配がほとんどない、現在我が国で使用されているワクチンの中で最も安全なワクチンと言っていいと思います。

その反面、免疫効果の持続という点では同じ生ワクチンである麻疹ワクチンや風疹ワクチンより少し劣ります。そのため、ワクチンを接種したのに水ぼうそうにかかってしまったということが時々見られます。

欧米各国では、遅くとも2000年代前半には水痘ワクチンは定期接種として導入されましたが、我が国ではずっと任意接種のままでした。10月1日からやっと定期接種に導入されることは再三お伝えしているところです。

    《水痘ワクチンの接種回数》

我が国より早く水痘ワクチンの定期接種を始めた欧米各国でも、当初接種回数は1回だけでした。しかし現在では2回接種が常識になっています。1回接種では発病を完全には防げないからです。

我が国では、水痘ワクチンの有効性と2回接種の必要性はかなり前から確認されていましたが、政策として現場に反映されることはありませんでした。しかもかなり高価なワクチンですから、医者のほうも「接種してもかかってしまうことがあります」とまでは言えても、「2回接種すればほぼ確実に発病を予防することができます」とは言いにくい面がありました。

我が国の調査では、水痘ワクチン1回接種後に水ぼうそうにかかってしまう方の割合は約15%と言われています。そして、症状的にはワクチン接種を受けなかった場合に比べて軽症で終わる場合が多いということもよく知られていました。

それで我々医者たちは「接種してもかかっちゃうかもしれないんだけど、軽く済むからまあ我慢してね」とか何とか言って1回接種を続けてきました。

欧米各国に比べて日本では予防接種によって病気そのものを撲滅してしまおうという発想が国民にも行政にもあまりなかったということが言えます。「ワクチンによって防げる病気からこども達を守ろう」という発想です。「守る」というのは極端に言えば「命を守る」ことで、「かかっても軽く済むなら…」というのが日本人的感覚だったこともあります。

今回の定期化にあたって、始めから2回接種でスタートすることは、世界の潮流とはいえ日本の予防接種行政もそれなりに進歩したと評価してもいいのではないでしょうか。

    《2回接種の間隔》

ところで、水痘ワクチンと同じ生ワクチンで、接種開始時期(1歳の誕生日から)も同じMR(麻疹風疹混合)ワクチンも2回接種です。でも、1回目の接種と2回目の接種の間隔は4〜5年となっています。水痘ワクチンの接種間隔は標準で6か月〜12か月(最低3か月)です。ずいぶん違いますね。

この大きな違いの理由はどこにあるのでしょうか?

数年前に高校生や大学生の間で麻疹(はしか)の大流行があったことはまだ記憶にあると思います。その時の高校生や大学生が子どもだったころ麻疹ワクチン(単独だった)の接種は1回だけでした。そしてその当時は「麻疹ワクチンは生ワクチンだから接種後体内でゆっくりと増殖するので免疫は一生持続する」と言われていました。

でも免疫が一生持続しないことは事実として突きつけられてしまったのですね。そこで、麻疹ワクチンを2回接種することになり、その間隔をどうするかが議論されました。でも、数年前の大流行の中心が10代後半以降の青少年だったということは、1回接種の後約10年程度は免疫があると考えてもいいということだと思います。そこで、麻疹単独ではないMRワクチンの2回目の接種は小学校入学前の1年間(5歳〜6歳)ということになりました。

一方、水痘ワクチンではどうかと言いますと、アメリカでは日本のMRワクチン(アメリカではおたふくかぜワクチンも入ったMMRワクチン)と同じように、水痘ワクチンの2回目の接種は4〜6歳で、これは1回目に獲得した免疫がなくならないうちに2回目の接種を行うという考え方です。

ところがドイツでは、1回目を1歳になってすぐ接種したら、2回目は1歳3か月から2歳未満の間に接種することになっています。間隔は最低4〜6週とされています。こちらは10月1日から実施される日本の定期接種の間隔に似ていますが、間隔は最低3か月としている日本よりももっと短いですね。

ドイツと日本の接種間隔が短い理由を説明します。

水痘ワクチンは、1回目の接種で体内に十分な免疫(抗体)が作られないことが他のワクチンよりやや高率であります。ワクチンを接種したのに水痘にかかってしまうことがあるのは、このことが大きな理由になっています。「免疫があるのにかかる」のではなく「免疫がないからかかる」という当たり前のことが起こってしまうのです。

しかもドイツでは水ぼうそう罹患のピークが1歳〜4歳と低いので、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことが必要になっています。2回目の接種を行うことで十分な免疫が作られ、発病をほぼ100%予防することができます。

日本では水ぼうそう罹患のピークは以前は4〜5歳でしたが、乳児保育の増加によって低年齢児の発病が増加しています。ですから事情はドイツに似ていて、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことで十分な免疫を与え、発病をほぼ100%予防しようという戦略です。

水痘ワクチンについてのお勉強、いかがでしたか?
水痘ワクチンの理解を深めていただけたものと思いますが、接種時期について疑問をお持ちの方も多いと思います。なぜなら、1歳というのは、MRワクチン、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの追加などと、ワクチンラッシュのときでもあります。

ましてや今年の定期接種化の時期はインフルエンザ予防接種の開始時期と重なっていますから、ますます複雑です。

そこで来週以降の予防接種講座では「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」というお話と「1歳の誕生日からの予防接種スケジュール」というお話でいつもの交通整理をしてみたいと思います。どうぞお楽しみに。




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2014年09月03日

水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期接種化

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今まで任意接種(有料)だった水痘の予防接種が、10月1日から定期接種に追加されることになりました。これにより10月1日以降、接種対象となるお子さんは水痘ワクチンを無料で接種できることになります。

 このたび実施の詳細が発表されましたのでお知らせいたします。

(1)対象者:
生後12か月から生後36か月に至るまで(1歳以上3歳未満)の間にある者(標準では生後12か月から15か月の間)。
(2)接種方法:
乾燥弱毒生水痘ワクチン1回0.5mLを3か月以上(標準では6か月から12か月)の間隔をおいて2回皮下に注射する。
(3)既接種者の取扱い:
@平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月以上の間隔をおいて乾燥弱毒生水痘ワクチンを2回接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。
A平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に乾燥弱毒生水痘ワクチンを1回接種した者は、当該定期接種を1回受けたものとみなす。
B平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月未満の期間内に2回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を1回受けたものとみなす。この場合は生後12か月以降の初めての接種から3か月以上の間隔をおいて1回の接種を行う。
(4)経過措置:
平成26年度(平成27年3月31日まで)に限り、生後36か月から生後60か月に至る者は1回接種する。ただし、生後12か月以降に1回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。

例によってお役所言葉の連続で簡単には理解できないと思いますが、江戸川区で実施方法などの詳細が近々はっきりすると思いますので、そのあとでわかりやすく解説を加えながら説明したいと思います。

今日のところは厚生労働省からのお達しをそのままお伝えいたします。


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2014年01月29日

BCG接種の個別化(2)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今週はこども診療所でのお勧めBCG接種時期についてのお話です。こども診療所ではすでに1月からBCGの個別接種を行っていますので参考になさって予約をして下さい。

 具体的な接種日などは後ほどご説明するとしてまずは、BCGについての一般的な予備知識を・・・。

 BCGはご承知のように結核を予防するワクチンです。結核菌を何代も何代も培養を続けて、ほとんど毒性がなくなった生きた結核菌(その名前の略がBCGというのです)を皮膚に植え付けます。この方法は日本独自のもので、BCG接種を行っている諸外国では注射による接種が行われています。

 ちなみに、BCGのBは細菌という意味のフランス語の頭文字、CとGはこの菌を作った2人のフランス人のお医者さんの名前の頭文字です。

 日本での方法を「管針法」と呼んでいますが、この方法は注射よりも接種した部位の副反応が少ないというメリットがある反面、たくさんの小さな接種痕が大人になっても残るので、外国人からは奇異の目で見られることもあります。

 だからといってなるべく目立たない部位に接種することは出来ません。決められた部位(上腕の外側)以外の場所に接種するとケロイドになったり、感染を起こしたりする危険性があるからです。

 現在BCGの接種は、生後3か月から1歳までの間に1回接種することになっています。この期間内でしたら定期接種として無料で接種を受けることが出来ます。この期間外は任意接種として有料になりますが、有効性と安全性を考えると生後3か月以前と1歳以降の接種は全くお勧めできません。必ず定期接種の期間内に接種を済ませてください。

 生後3か月から1歳までの中でも、生後5か月から8か月の間というのが標準的な接種期間として推奨されています。この期間内には6・7か月健診という全員が受けるべき健診が入っています。

 そこでこども診療所のお勧め接種時期は6・7か月健診の時に一緒にBCGを受けましょうということになります。

 「6か月健診まで待っても大丈夫?」とご心配な方には「大丈夫ですよ」としか申し上げようがありません。

 世の中「予防接種!予防接種!」と大騒ぎで保護者の皆さんをせき立てていますが、「ロタウイルスワクチン」の記事でもお話ししたように、現実はそんなに切羽詰まったものでもないのです。「自分は追い立てられていないか?」もう一度考え直して、それでも心配だとおっしゃる方は申し訳ありませんがこども診療所以外の医療機関で接種を受けて下さい。こども診療所では6・7か月健診の日にBCGの接種を受けるのがベストだと信じています。

 では、現在すでに8か月以上になっていてまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 世の中うまく出来ているもので、9・10か月健診というのがあります。この日に接種を受ければいいのです。

 ではさらに11か月になってしまってもまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 この場合には致し方ありません。ご予約の際に担当の者にその旨お話し下さい。必ず1歳の誕生日の前の日までに接種を受けられるようにいたします。

 こども診療所での乳幼児健診は毎週金曜日の午後1時30分・1時45分・2時と15分刻みでご予約を承っております。電話(03-5662-5055)でのご予約も可能です。

 予防接種はあせらずじっくり安全確実にexclamation×2




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2014年01月22日

BCG接種の個別化(1)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今週はBCG接種についてのお話です。
先週お話ししたように、B型肝炎ワクチンの接種開始時期の確認が終わっておりませんので、全部のワクチンスケジュールはその確認がとれ次第掲載いたします。

 今年の4月から江戸川区ではBCG接種が個別化されます。従来のように健康サポートセンターでの接種ではなく、区内の指定医療機関での接種となります。おとなりの江東区などではすでに個別化が行われています。

 「えっ?1月からもう個別化が始まってるよっ!」と思われる方もいらっしゃると思います。
その通りです。1月から区内のいくつかの医療機関では個別接種が行われています。でもこれは正式スタートではなく、健康サポートセンターでの接種希望者が多くなり混雑がひどいので、それを緩和するための臨時措置なのです。

 それで接種できる医療機関も区内の約30の医療機関に限られています。臨時措置ですから健康サポートセンターでの接種も併行して行われます。接種対象の月齢のお子さんがいらっしゃる方はご都合に合わせて接種会場を選ぶことができますが、指定でない医療機関や江戸川区以外の医療機関では接種できません。

 健康サポートセンターも各指定医療機関もほとんどが予約制になっていると思いますので、事前にお問い合わせの上接種を受けて下さい。

 そしていよいよ4月からは本格的な個別接種がスタートします。

 4月以降健康サポートセンターでの接種はなくなります。

 接種可能な医療機関は約50カ所に増えます。でも他のワクチンのようにどの医療機関でも接種可能というわけではありませんので、指定医療機関をよく確認してから接種を受けるようにして下さい。

 というところで、ではこども診療所での接種はどうなのかという話しはまた来週。


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2013年10月09日

肺炎球菌ワクチンが変わります

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

すでに定期接種として定着した感のある《肺炎球菌ワクチン》ですが、来月11月1日から使用するワクチンが変わります

現在定期接種として使用されているワクチンは「プレベナー」という輸入ワクチンで、約90種類ある肺炎球菌の血清型のうち7つの血清型に対して有効な7価のワクチンです。この7価だけでも小さなお子さんの侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できると考えられています。
血清型とか7価とかいう言葉の意味については2010年4月22日から同年7月31日まで13回にわたってこのブログで連載した「肺炎球菌ワクチンのすべて」という記事の第3回(2010年4月28日掲載)と第6回(2010年5月28日)に掲載した記事をご参照下さい。

今回変更になる新しいワクチンはやはり「プレベナー」です。どこが変わるかというと、今まで7つの血清型に対して有効だったワクチンが13の血清型に対して有効な13価のワクチンに変わるという点です。

90分の7よりは90分の13のほうが予防できる範囲が広がりますからね。より安心というわけでしょうね。ちなみに高齢者用の肺炎球菌ワクチンは23価です。13価の倍近い広がりがあるならそっちのほうがもっと安心と思われるかもしれませんが、製造方法が全く違っていてお子さんに接種しても免疫を作ることができません。プレベナーは小さなお子さんにも免疫が作れるように製造されたワクチンなのです。

10月いっぱい使用されるワクチンは「プレベナー7」、11月1日から使用されるワクチンは「プレベナー13」と呼ばれ区別されます。11月1日以降「プレベナー7」は定期接種用のワクチンとしては使用できなくなります(任意接種として有料になるということです)。

なんだ、ウルトラマン7がゴルゴ13に変わるのか。
違うってexclamation×2ちっ(怒った顔)

肺炎球菌ワクチンについての詳細はすでに(2010年4月〜7月)このブログに連載いたしました。7価が13価に変わっても基本的な点は変わりませんし、その違いについては専門的になりすぎますので、今回は省略いたします。


《接種スケジュールは?》
今回は接種のスケジュールについてご説明いたしますが、こちらも基本的な点での変更はありません。ただ、プレベナー7は9歳になるまで接種可能でしたが、プレベナー13は6歳になるまでしか接種できません。

でも、定期接種として無料で接種を受けられるのは元々5歳まででしたから、スケジュール的な変更はないと考えてよいでしょう。


《ワクチンの切り替えは?》
ワクチンは11月1日をもってきっぱりと入れ替わります。1回目あるいは2回目をプレベナー7で受けたのだから、そのあとの接種も同じワクチンで受けたい。そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、定期接種はそういう一人一人の希望には応えてくれません。

それで問題(不都合なこと)は起きないの?
起きません。でも、プレベナー7は元々注射した部位が赤くなったり腫れたり、発熱があったりしやすいワクチンですから、プレベナー13でもその点は変わりありません。新しく6価を追加してプレベナー13になったがために今までになかった不都合が生じることはないということです。

追加した6価の分の予防効果は?
プレベナー7で初回接種をスタートして、途中からプレベナー13を接種した場合、追加した6価の分の予防効果はどうなるのか気になりますよね。でも残念ながらまだ正確な調査データがありません。ありませんが、一般的な常識としては、1回接種しただけでは長期にわたる予防効果はほとんど期待できないだろうとは言えると思います。しかし、接種直後(期間はわかりません)に限ればそれなりの効果は期待できるかもしれません。
では2回接種だとどうなるか?
こちらは1回接種よりは長い期間効果を期待できると思います。
では3回接種だったら?
こちらは始めからプレベナー13を接種したのと同程度の効果を期待してもいいのではないかと思えます。
あくまでも私の個人的な予想です。

追加した6価の分だけのワクチンってないの?
そうですよね。そう思いますよね。でも残念ながら追加した6価分だけのワクチンというのはありません。


《プレベナー13の接種回数を増やしたい!》
逆にプレベナー7より予防できる血清型が多いのなら、なるべく多くプレベナー13を接種したいと考える方がいらっしゃるのも当然です。
プレベナー13の発売日は10月28日と予定されています。10月中に医療機関に納入されるかは難しいところですし、もし仮に10月中にプレベナー13が接種できたとしても定期接種とは見なされませんから全額自費で接種を受けることになります。
11月1日まであと約3週間。11月1日になれば黙っていてもプレベナー13が無料で接種できます。ではそれまで接種を先送りしますか?
そうしたい方は大勢いらっしゃると思いますが、これは危険なことで決してお勧めできることではありません
故意にではなくいろいろな事情でスケジュール通りに接種を受けられなかったことが関係していると思われる侵襲性(重症)肺炎球菌感染症にかかったお子さんのリストというのが厚生労働省から発表されています。
プレベナー7でも侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できるという数字を信じて、接種はスケジュール通りに行うことを強くお勧めします。
ただし、肺炎球菌ワクチンの接種間隔は4週間から8週間ということになっています。4週間間隔で接種をしている医療機関が多いと思いますが、8週までなら接種を延ばしてもそれは問題ありません。でも、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、4種混合ワクチンと乳児期の予防接種は最近急に増えましたから、慎重にスケジュールを考えないと、他のワクチンの効果を妨げる結果にもなりかねませんからよくよく考えてから決めて下さい。



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2013年06月19日

子宮頸癌予防ワクチン勧奨中止????

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

今までに何度も何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。先月も風疹の猫の目接種制度に関して同じことを申し上げたばかりです。

今度は子宮頸癌予防ワクチンです。現在日本で使われている子宮頸癌予防ワクチンは2種類ありますが、そのどちらもです。

6月14日に合同開催された厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマ様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度などがより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまで、定期接種を積極的に勧奨すべきでないとされ、この通知が同日から適用されることになりました。(東京都医師会から各地区医師会長宛に発信された文書のほぼ原文通り)

例によってわかりにくいお役所言葉の羅列ですが、この文だけを読めば「ああ、これで当分子宮頸癌予防ワクチンの接種は行われないんだな」と普通は思いますよね。

ところがこのあとに但し書きがあって、定期接種を中止するものではないので対象者で希望する者については接種機会の確保を図るものとしているんだそうです。

一体全体ドォユウコト?

「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」と言っているようなものですよね。無責任きわまりない決定だと思いますちっ(怒った顔)

そして、接種を希望してきた人にはきちんと説明をしてから接種を行うように、ご親切にも説明文まで作ってくれています。下の2枚の画像がそうです。

kan1.jpg

kan2.jpg

画像をクリックすると拡大されます。また、下のURLをクリックするとネット上で見ることもできます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/pdf/kankoku_h25_6_02.pdf

お読みになればおわかりと思いますが、未練タラタラの文章ですよね。「子宮頸癌予防ワクチンってホントはとってもいいワクチンなんだけどちょっと問題があるんでお勧めできないんだよ」という切ない気持ちが伝わってきますね。

そして最後の締めくくりが副反応による健康被害の救済制度です。「あなたが勝手に希望してやったんだから副反応が出てもあなたの責任ですよ。でも健康被害があれば救済制度ってのがありますからね。国って親切でしょう。」と言っているんですね。

と、ここまでお話ししてきた内容だけでも相当に腹は立つのですが、専門家の集まりである厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会では、なぜ、すでに1回ないし2回接種を受けてしまった人たちがどうすればいいのかについて議論しなかったんでしょう???ほんとは議論したんだけどよくわからないから黙ってることにしたのでしょうか???

私たちが一番知りたいのはそこのところなのにねぇ。冷たく突き放していますもんねぇ。「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」ですからねぇ。

仕方がないのでいろいろ情報を集めてこども診療所としての見解をまとめました。あくまでもこども診療所だけの見解です。

この見解の基礎となったのはアメリカで報告されたあるデータです。でもこのデータはまだ世界的に認められているわけではありません。どうすればよいのか途方に暮れる中で一つの拠り所になると思って採用しました。

そのデータというのは次のようなものです。

『子宮頚癌予防ワクチンを6か月以内の間隔で2回接種した被接種者を調べたところ、被接種者のかなりの率でワクチンが予防効果を発揮できると推定される程度の抗体価を維持していた』

このデータに基づいて考えるとこども診療所の見解は次のようになります。

1.まだ1回も接種を受けていない未接種の方:厚生労働省の調査の結果が出るまで接種を見合わせましょう。

2.1回だけ接種を受けている方:当分接種を見合わせ、1回目の接種から6か月たたないうちに勧奨が再開されたら2回目の接種を受けて、3回目は接種しないことにしましょう。また、1回目の接種から6か月が過ぎてしまいそうになったらご相談下さい。

3.2回目まで接種が済んでいる方:2回目の接種から5か月たたないうちに勧奨が再開されたら、ご相談下さい。また、2回目の接種から6か月たっても勧奨が再開されなかったら、2回目までで終了としましょう。

4.3回の接種が済んでいる方:もちろん何の問題もありません。

ご相談の場合は保護者の方だけでけっこうですから来院して下さい。電話でのご相談はご遠慮下さい。



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2013年05月01日

年齢別風疹予防接種実施状況

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何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。今大問題になっている風疹の大流行に関しても、猫の目接種制度が最大の理由であるとさえいわれています。

そこでご参考までに、各年齢層における予防接種制度の表を掲載いたしますので、ご自分の予防接種歴を判断する材料になさってください。

rubella.jpg

なお、江戸川区における風疹(実際はMRワクチンを使用)予防接種公費補助については4月11日の記事をご覧ください。



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2013年01月30日

3ワクチンが定期化?

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子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・水痘ワクチン・おたふくかぜワクチン・B型肝炎ワクチン・成人用肺炎球菌ワクチンの7種類を定期接種化するよう国(厚生労働省)に働きかけようという署名活動へのご協力有り難うございます。

こども診療所では2月9日(土)までご署名を受け付けておりますので、ご来院の折りには是非ご協力下さい。

この署名活動の成果というわけではありませんが、平成25年度から子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの3つのワクチンを「定期接種」(全額公費負担)に組み入れるための法改正が行われることになりました。

平成25年度といっても、これから法改正が行われるわけですから、実際の実施は秋以降になる公算が強いのですが、嬉しいニュースとしてお知らせいたします。

自己負担という観点でいえば、現在江戸川区では子宮頸癌ワクチンは全額補助、ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンは半額補助となっています。ですから子宮頸癌ワクチンに関しては定期接種化されても自己負担は今までどおり0円です。ではどこが変わるかというと、「定期接種」「任意接種」では、万が一予防接種によって健康被害が生じた場合、適用される補償制度が異なります。健康被害は起こらないほうがいいのですが、起こっちゃった場合「定期接種」の補償制度のほうが手厚くできています。

ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンに関しては、現在ヒブワクチンで必要な4000円の自己負担と小児用肺炎球菌ワクチンで必要な5000円の自己負担がなくなります(0円になります)。

初回接種の3回分だけでも合計で27000円の負担減になるわけです。これはかなりな金額です。

むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)
では、「定期接種」が実施されるまでヒブワクチン
小児用肺炎球菌ワクチンの接種を待ちますか?
むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)

ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
《私の答え》
接種時期を遅らせることは絶対にしてはいけませんexclamation×2
ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

そもそもヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンは1歳未満の赤ちゃんを細菌性髄膜炎から守るために生後2か月からでも接種可能なように開発したワクチンです。これらの細菌による髄膜炎は月齢(年齢)が低いほど生命の危険度は高くなります。生命は金銭には換えられません。

それに最近のような政治情勢では、確実に法改正が行われるまではいつ何が起こるかわかりませんからね。

これらのワクチンの接種を受けようと決めたら、あせる必要はありませんが、赤ちゃんの状態を見極めながらなるべく早い時期に接種をスタートさせて下さい。

先日「もう3か月になっちゃったんですけど今からでも予防接種間に合いますか?」とご相談に見えた方がいらっしゃいました。「2か月から接種可能=2か月からスタートしなければならない」と勘違いなさっておられたようですが、一部のマスコミや専門家達が「早くしないと間に合わない。同時接種じゃないと間に合わない。」などと煽り立てるものですから、このように思い込んでいる方って意外と多いのです。

接種医と相談しながら、なるべく早くて同時に適切な時期に接種を始めるようにしてください。


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2013年01月16日

ワクチン定期接種化への署名活動

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

ここ数年の間に我が日本でも多くのワクチンが承認され国内でも使用できるようになりましたが、WHO(世界保健機関)が求める「定期接種」(全額公費負担)として採用されたワクチンは一つもありません。「不活化ポリオワクチンが採用になったじゃないか!」とおっしゃる向きもあろうかと思いますが、ポリオの予防接種自体はすでに定期接種に組み込まれていたわけで、ただワクチンの種類が変わっただけの話です。

ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンや子宮頚癌予防ワクチンのように、国としては「任意接種」だけれど各自治体が費用の全額あるいは一部を補助しているワクチンはあるにはあります。江戸川区では子宮頸癌ワクチンは全額補助、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンは半額補助となっていますが、すべてのワクチンを自治体の経費でまかなっている自治体もあれば、財政困難を理由に全く補助を行っていない自治体もあるなど、現在の予防接種制度のもとでは、自治体あるいは個人の経済状態によって予防接種を受けられる子もいれば受けられない子もいるというとても不平等な状態が続くことになります。

それで、多くのワクチンを定期接種化するよう国(厚生労働省)に働きかける活動は数年前から行われているのですが、いまだに成果が見られていません。今回は色々あるワクチンの中で子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・水痘ワクチン・おたふくかぜワクチン・B型肝炎ワクチン・成人用肺炎球菌ワクチンの7種類を定期接種化するよう働きかけようということで、広く国民の声を署名として国に届けようという活動が始まりました。

これがそのポスターです。
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こども診療所でもこの趣旨に賛同して署名簿を置いてあります。場所は受付カウンターの左にある本棚の上、壁掛け時計の下です。

署名は全国民を対象としていますので、お子さんの代筆でもかまいません。氏名・住所を備え付けのボールペン(鉛筆は不可)で署名簿への記入をお願いいたします。印鑑やサインなどは必要ありませんが、ご家族のお名前をご記入いただくときは、同じ苗字や同じ住所でも必ず一人一人全部を記入し、「〃」とか「同右」とかいった略号は使わないで下さい。

一人でも多くの方が署名して下さるようお願いいたします

ところで下のポスターは2010年の9月から10月にかけて皆さんに署名をお願いしたときのものです。このブログにも掲載いたしました。
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このときはお子さんを対象にして成人用肺炎球菌ワクチン以外の6種類のワクチンの定期接種化を求める署名活動でしたが、2年たった現在でも状況は全く変わっていません。なんか無力感を感じてしまいますが、何もしなければ状況はなおさら変わりません。是非今回も署名活動へのご協力をお願いいたします。

それにしても、ワクチンが7種類になったのでワクチンくんが一人増えて7人になっただけ、また、成人用肺炎球菌ワクチンを加えたので、「子ども」とか「子どもたち」という文言が「ひと」とか「ひとたち」に変わっただけというポスターも、インパクトがないというか、パワー不足というか、ノウがないような気もしますが、大切なのは署名です。どうぞよろしくお願いいたします。



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2012年11月07日

4価ワクチン(DPT+不活化ポリオ)の接種

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


11月1日からDPT3種混合ワクチンにさらに不活化ポリオワクチンを加えた4価ワクチンが定期接種として導入されました。

ところが品不足で十分な数のワクチンを入手することが困難な状況になっています。そこでこども診療所では、

    11月15日(木)予約受け付け開始
    12月 1日(土)接種開始

の予定で準備を進めています。しばらくお待ちください。


4価ワクチンの接種対象》

接種の対象となるのは原則として今年8月1日以降に生まれたお子さんで、8月中に生まれたお子さんに対してはすでに接種票が届けられています。9月以降に生まれたお子さんの場合、4価ワクチンの標準接種時期が生後3か月からとなっていますので、3か月に達する月に送られてくるはずです。

今年の7月31日以前に生まれたお子さんは原則としてDPT3種混合ワクチンと9月から使用されている単独不活化ポリオワクチンを別々に接種することになっています。さらに、使用ワクチンを途中で変える(4価ワクチンに切り替える)ことはしないよう厚生労働省は求めています。

しかし、どうしてもという保護者の強い要望があれば途中から4価ワクチンに切り替えることを認めてもよいことにはなっています。(いい加減だなぁ〜)ただし、4価ワクチンを使うことによってDPTとポリオのどちらかの接種回数が法定回数を超えることはできません。

江戸川区の場合、4価ワクチンへの変更がご希望であれば健康サポートセンターで柔軟に対応するとのことですので、必ずDPT3種混合ワクチンと単独不活化ポリオワクチンの接種票を両方持って行って4価ワクチン用の接種票に交換してもらってください。

医療機関にDPT3種混合ワクチンと単独不活化ポリオワクチンの接種票を両方持ってきて、4価ワクチンの接種を希望なさってもお受けすることはできません。必ず4価ワクチン用の接種票をお持ちください。


4価ワクチンの接種間隔》

ここからは今年の10月10日に掲載した「不活化ポリオワクチンの接種(5)」を要約したものですので、詳しくはそちらの記事をご覧ください。

厚生労働省から提示のあった4価ワクチンの接種間隔(省令で規定する)と標準的な接種年齢(通知で示す)をご覧下さい。省令と通知では省令のほうが圧倒的な拘束力があります。

【接種間隔】
 ・1期初回接種は、20日から56日までの間隔をおいて3回
  (発熱等の接種不適当要因により接種不可だった場合を除く
   56日以上の取り扱いはない
 ・1期追加接種は、初回接種終了後6月以上の間隔をおいて1回
【標準的な接種年齢】
 ・1期初回接種は、生後3月から12月に達するまでの期間
 ・1期追加接種は、初回接種終了後12月から18月に達するまで


標準的な接種年齢というのはいわばお勧め年齢のことで、定期接種対象年齢は生後3月から90月未満と規定されています。ですから接種年齢には幅がありますが、接種間隔については(注)として「56日以上の取り扱いはない」と明記されています。しかも省令で規定されてしまうわけですから、かなり厳密だと言えます。

つまり、「初回接種において間隔が56日以上あいてしまったら、たとえ接種対象年齢のお子さんでも定期接種とは認めず任意接種として有料になりますよ」ということなのです。

ここでは日数で記載されていますが、週数でいえば3週から8週以内ということになります。以前から行われていたDPTの接種間隔と同じです。

実は、DPTの接種間隔についても同じようにかなり厳密な規定があって、江戸川区以外の区市町村の中には接種間隔が8週を超えた場合には任意接種として有料化させているところもあるのです。江戸川区は今までこれを大目に見逃してくれていたわけです。

4価ワクチンでも今までのDPTワクチン同様、接種間隔については大目に見てもらえるよう区のほうに要望は出してありますが、今のところ色よい返事は帰ってきていません。

というわけで皆さんには何とか56日以内に次の接種を受けられるよう協力していただきたいのですが、こども診療所ではDPTの接種間隔として、免疫獲得に最適で世界的にも広く採用されている4週から6週間隔をお勧めしてきました。今後も同じ間隔での接種をお勧めしていくつもりです。



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2012年11月05日

単独不活化ポリオワクチン追加免疫も承認

inj.jpg単独不活化ポリオワクチン(イモバックス)は初回免疫の3回目までは承認されていましたが、日本国内での使用期間が短く効果と安全性の確認ができていないという理由で追加免疫としての使用が認められていませんでしたが、10月下旬に厚生労働省からの承認が得られました。


今年の9月からイモバックスの接種をはじめたお子さんはまだまだ先のことですが、輸入ワクチンで初回免疫の接種を受けたお子さんにも定期接種として無料で接種を受けていただくことができるようになりました。

お手元に接種票がないお子さんは健康サポートセンターにお問い合わせください。接種票の交付が受けられます。



タグ:ワクチン
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