2017年10月18日

インフル予防接種の基礎知識(4)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

こども診療所では10月10日から接種を始めました。ほぼ年内いっぱい行う予定です。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。


このページは予防接種講座として「インフルエンザ予防接種」の理解を深めていただくためのものです。


《日本と世界のインフルエンザ予防接種》

日本の予防接種スケジュールは独特です。独特といえば聞こえはいいのですが、はっきり言って異端でした。
外国の方に日本の予防接種について説明すると、「Why?」という質問が必ずといっていいほど返ってきました。

私のつたない英語でそのことを正確に伝えることはとてもむずかしく、次から次へと「Why?」の質問攻めにあいました。あるとき「日本の予防接種はこどもを守るためではなく政府を守るためだ」と答えたら、どこの国でも事情は似ているらしく、ニヤッと笑ってそれ以上の質問は受けないですみました。

最近は新しいワクチンが次々に導入され、日本と世界の「ワクチンギャップ」はせばまりつつありますし、昔から使われていたワクチンの接種量やスケジュールに関しても、お役人様の好きな「我が国独自」がまかり通っていた時代に比べればかなり世界標準に近づきつつあります。

今回はインフルエンザワクチンに的を絞って、日本の現状と世界の標準を考えてみたいと思います。

まず、インフルエンザワクチンの接種量についてお話しいたします。

日本では、インフルエンザワクチンの接種量は2011ー2012シーズンからWHOの推奨接種量に増量されました。3歳未満は1回0.25ml、3歳以上は1回0.5mlと2段階のみになりました。WHOがこの年からこのような接種量を推奨し始めたわけではありません。WHOはずっと前からこの推奨接種量を加盟国すべてに呼びかけていて、ほとんどの国はそれを受け容れていたのです。日本は「我が国独自」路線で突っ走り、2011年にやっとこの勧告を受け入れたのです。

それ以前の接種量を「旧」、現在の接種量を「新」として、新旧の1回接種量を比較してみます。
                   旧      新
 生後6か月以上1歳未満       0.1ml    0.25ml
 1歳以上3歳未満          0.2ml    0.25ml
 3歳以上6歳未満          0.2ml    0.5ml
 6歳以上13歳未満          0.3ml    0.5ml
 13歳以上のすべての年齢層     0.5ml    0.5ml

なんと年齢によって4段階にも分かれていたのですね。これが我が国独自路線です。現在は世界の標準と同じになりました。

次は接種回数について見てみます。
まずは日本で現在行われている接種回数です。

   *生後6か月以上3歳未満は0.25mlを2〜4週間隔で2回接種
   *3歳以上13歳未満は0.25mlを2〜4週間隔で2回接種
   *13歳以上のすべての年齢は0.5mlを1回または2回接種
    (2回接種は希望者のみで2回接種の場合間隔は1〜4週)

日本では、13歳未満2回、13歳以上は1回または2回となっていますが、例えばアメリカでは(WHOの勧告も同じです)6か月〜8歳は1回または2回、9歳以上は1回となっています。大分違いますね。
6か月〜8歳が1回または2回となっていることについてはあとでお話しします。
この違いがどこから来ているかというと、先週お話しした「免疫の記憶」に対する考え方の違いと言えると思います。

このシリーズでも、実際にインフルエンザにかかるかインフルエンザワクチンを接種した場合には、免疫が記憶され、次にインフルエンザワクチンを接種したときに免疫の目覚め(抗体価の上昇)が早く起こり長持ちするということはお話ししました。

毎年インフルエンザの予防接種を受けている人たちだけのグループでは、年齢の高い人ほど免疫の記憶が多いと言えると思います。
ですから成人は1回接種でもかなり高い抗体価を獲得することが出来る、1回接種でいいという考えは割と理解しやすいですね。

次に、では一体何歳まで1回接種でいいという年齢を引き下げられるかという疑問が湧くのは当然です。

それを決めるのには、各年齢層で1回接種と2回接種とで、抗体価の上昇がどれくらい違うのかという調査研究が必要です。抗体価が高ければ必ず予防出来るというものではないのですが、調査研究ですから何か基準を決めなければなりません。それで比較的結果の出やすい「抗体価」という基準が選ばれたわけです。

その結果、WHOやアメリカでは6か月〜8歳は1回または2回、9歳以上は1回、日本では6か月から12歳までは2回、13歳以上は1回という接種法が選ばれたわけです。

WHOやアメリカでは6か月〜8歳は1回または2回となっていますが、1回でいいのか2回接種するのかを決めるのは過去の履歴です。
6ヶ月から8歳未満の子が過去に実際にインフルエンザにかかったか、または2回の接種歴があれば1回接種となります。インフルエンザにかかったことがない、予防接種を全く受けていないか1回しか受けていないという場合には2回接種となります。

日本という国はもともと予防接種には慎重な国でしたから、さらに安全(効果の確実さ)を考慮して「我が国独自」の接種回数が決められました。

この違いのどちらが正しいかを決めるのはとてもむずかしいと思います。国際比較で問題になるのはいつも人種差ということです。人種が違えばワクチンの効果に違いがあるかもしれないのです。ですから、日本方式をあながちお役人様の好きな我が国独自路線と決めつけるわけにもいきません。

日本でもWHO方式を採り入れて9歳以上は1回接種としている小児科医もいます。インフルエンザの予防接種は任意接種ですから、ある程度は接種医の判断を加えることが出来ます。
北海道のある小児科医(ホームページより)は、基本は日本方式だけれど、場合によっては、これまでの予防接種回数に関わらず、6か月から3歳未満は1回0.25mlで2回接種、3歳から8歳は1回0.5 mlで2回接種、9歳以上は1回0.5 mlで1回接種という方式を採り入れているそうです。
これはなかなかいいアイディアだと思えます。

でもこども診療所では、今シーズンの接種回数については、9歳以上13歳未満のお子さんでも特別な事情がない限りは2回接種の日本方式で接種を行います(将来はわかりません)。

1回接種か2回接種かは、注射される方の負担(痛みや恐怖心)もさることながら、費用という面でも重要な問題になりますが、「免疫の記憶」ということを考えれば、毎年接種を受けることが大切なのではないでしょうか。

「インフル予防接種の基礎知識」のシリーズは今回で終了です。ご愛読有り難うございました。
これからの予防接種をお決めになるのに少しでも参考になれば幸いです。


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2017年10月11日

インフル予防接種の基礎知識(3)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

こども診療所では10月10日から接種を始めました。ほぼ年内いっぱい行う予定です。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。

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《ワクチンに対するアレルギー反応》

1)卵アレルギー
ワクチン製造過程で鶏卵を使用使用しているため、極微量の卵成分が含めれている可能性がありますが、現在の国内ワクチンではほとんど考慮しなくてもよいと言われています(精製過程で卵の成分は問題のない程度まで取り除かれているということです)。
アナフィラキシーショックなどの重篤な症状の既往のある場合は慎重な接種対応が必要になりますが、その他の場合通常の接種と同様に接種してもよいと言われています。

しかし、こども診療所の予防接種の基本姿勢は安全第一です。卵アレルギーがあり、現在何らかの処置(摂取制限や投薬、減感作治療など)を行っている方への接種は控えさせていただいています。

以前は卵アレルギーで制限などをしていたけれど、現在は生卵も大丈夫という方には接種をいたします。

卵アレルギーの有無に関わらず、予防接種では予測できないアレルギー反応が起こる可能性がゼロとは言い切れません。そのような時に適切に対応できるよう、こども診療所ではその態勢を整えています。

2)ゼラチンアレルギー
昔のワクチンにはゼラチンの含まれたものがありました。そしてその頃はまだ食物アレルギーというものが今ほど多くなく、特にゼラチンに対するアレルギーというのはほとんど知られていませんでした。

ですから予防接種でアレルギー反応が起こっても、「予測できないアレルギー反応」とされて、別の病気に対するワクチンは大丈夫だろうと考えられて別のワクチンを接種され、たまたまそのワクチンにゼラチンが入っていなければ副反応なし、入っていればまたアレルギー反応を起こして、「ワクチン特異体質」というレッテルが貼られ、二度と予防接種を受けることができなくなってしまっていたのです。

その後ゼラチンアレルギーがよく知られるようになり、またワクチン製造の技術も進歩し、現在日本で接種されているワクチンはすべてゼラチンの入っていないものになっています。


《インフルエンザ予防接種はいつ受けるのがいいの?》

このことは本来もっと早くお知らせしたほうがいいに決まっているのですが、こんなに遅くなってしまったのには理由があります。

このシリーズの第1回でお知らせしたように、今年のインフルエンザワクチンの供給量は去年より少ないかもしれない、しかも出荷が多少遅れるかもしれないという事実があるほか、今年の流行はすでに始まっているという報道などもあり、インフルエンザワクチンの接種時期についてあまり早くお話をすると、ご希望の方が殺到して、予約をお受けできなくなる可能性があったからです。

現在その心配がなくなったわけではありませんので、これからお話しするのは、一般的な考え方とご理解ください。このブログをお読みになって「さあ、接種を受けよう」と思われても、今年に限ってはこども診療所に十分なワクチンがあるということではありません。

さて、まずは今まで一度もインフルエンザにかかったことのない方(小児でも成人でも)が生まれて初めてインフルエンザワクチンを接種する場合を考えてみましょう。

この方には以前にお話しした免疫の記憶(実際の病気や予防接種の履歴)というのは全くありません。この方がインフルエンザワクチンの接種を受けると約4週間後に免疫力(抗体価)は最も高くなり、その後次第に低くなって約3か月で記憶だけが残るという低いレベルになってしまい、このレベルだけでは予防効果を期待することは出来ません。

この方が1回目のあと約4週間で追加接種を受けると、今度は約1〜2週間で抗体価はさらに高いレベルになり、しかもその時点から約4か月間は予防レベルを保つことが出来ます。2回接種を適切な間隔で行えば、抗体価はより高く・より長く維持されるのです。

それでは、免疫の記憶をお持ちの方の場合はどうなるでしょう。

免疫の記憶がある場合、1回目接種のあとの抗体価の上昇が速くなります。個人差はありますが、1〜2週間でピークに達すると言われています。ですから、免疫の記憶がある方の場合には4週よりも早めに2回目を受けたほうが効果は大きいということも言えますが、何分個人差がありますので、一概に早いほうがよいとは言えないのですが、2回接種の間隔については、13歳未満では2〜4週間、13歳以上では1〜4週間というように、年齢の高い方ほど記憶も多いだろう、だから少し早めでいいだろうという配慮はなされています。

では、誰でも受ける1回目の接種はいつ頃がいいのでしょうか?

インフルエンザワクチンは例年ですと9月下旬から供給が始まります。そして高齢者の公費補助などの接種が10月1日にスタートするために、それに合わせなければなりませんから、ほとんどの医療機関では10月初旬から接種を開始します。

免疫の記憶のない方が10月の初旬に1回だけ接種を受けた場合、予防効果を期待できるのは3〜4か月です。
高齢者の場合には免疫の記憶も沢山お持ちでしょうから、もっと長く予防効果を期待することが出来ます。ですから10月初旬の接種でもいいと思いますが、免疫の記憶のない方は最大の流行期である翌年1月頃には予防効果はかなり低くなってしまうと言えます。

ま、それだからこそ免疫の記憶の少ない若年者(13歳未満)には2回接種で効果の持続を図っているわけです。でも流行が春先まで長引いたら?という心配も当然あります。あるいは1月・2月の受験期にピークの状態にしたいという方もおられるでしょう。

このような場合、2回接種の対象となる年齢のお子さん(13歳未満)の場合には、1回目をいつスタートするかより、2回目をいつ終了するかで考えればよいかと思います。

免疫効果の持続を考えれば、2回目接種に適した時期というのは12月上旬、遅くとも12月中に終わらすということになります。

そこから逆算した1回目接種時期というのは、11月上旬、遅くとも11月中ということになります。1回だけ接種の対象の方の場合には、免疫の記憶に期待して11月中旬から12月上旬にかけてということになります。

最後にもう一度申し上げますが、ここでお話しした接種時期は、ワクチンが滞りなく入荷してくるという前提でのことですので、今年のようにワクチン不足が叫ばれている場合には、皆さんご自身の判断で予約なさったほうがよろしいと思います。


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2017年10月04日

インフル予防接種の基礎知識(2)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

こども診療所では10月2日から予約の受付を始めました。接種は10月10日からほぼ年内いっぱい行う予定です。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。

このページは予防接種講座として「インフルエンザ予防接種」の理解を深めていただくためのものです。


《インフルエンザワクチンの効果》

予防接種というと一般的には「病気にかからない」ことが第一の目的と考えられてきました。しかし、インフルエンザワクチンは「病気にかからない(発症を阻止する)」ことももちろん目標ではありますが、インフルエンザの重症化による健康被害を軽減することが主な目的のワクチンなのです。

「インフルエンザの重症化による健康被害を軽減する」なんていう難しい言葉が並んでいますが、これは厚生労働省のお役人言葉で、簡単にいえば「インフルエンザにかかっても軽くすむようにしましょう」ということです。

では、「軽くすむ」というのはどの程度のことなのでしょうか?
皆さんは「病気にかかってもあまり辛くなく治ってくれれば軽くすんだ」と思われるでしょう。でも、病気の重症度というのは同じ病気でも人それぞれに違います(個人差)から、予防接種をしたのにインフルエンザにかかって、「軽くすんだ」と思う方も、「ちっとも軽くならなかった」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかも、同じ人で予防接種を受けた場合と受けなかった場合とでの重症度を比較することなんてできませんから、「軽くすむ」というのはとても曖昧な表現だと言えます。

その点厚生労働省がどう考えているかというと、とても乱暴で極端な言い方ですが、「健康被害を軽減する」というのは「インフルエンザで亡くなる方を少なくする」ことを念頭に置いている節もみられます。
確かに、インフルエンザの予防接種を受けてインフルエンザ脳症で亡くなったお子さんと予防接種を受けずに亡くなったお子さんとを比べれば、私の知る限りでは、予防接種を受けて亡くなったお子さんのほうがはるかに少ないというのは事実です。
最初に言ったように、これは乱暴で極端な言い方ですから、厚生労働省が「亡くならなければいい」と考えているわけでは決してありません。

具体的にみてみますと、
・小児の発熱が20〜30%減少した
・健康な方のインフルエンザの発病割合が70〜90%減少した
・一般高齢者の肺炎・インフルエンザによる入院が30〜70%減少した
・老人施設入所者のインフルエンザによる死亡が80%減少した
などが報告されていて、この辺がインフルエンザワクチンの効果を示していると考えられます。

もちろん、ワクチンとして予測したウイルス株と実際に流行したウイルス株が大幅に違っていた場合には効果はあまり期待出来なくなります。
しかし、現在のウイルス株の予測精度はとても高いので、昔のように「今年のワクチンは効かない」ということはほとんどありません。

また、その年の流行には間に合わなくても、実際にかかってしまったウイルス株、あるいは予防接種を受けたウイルス株に対する免疫(抗体)は長年記憶として残ります。ですから、何年か経ってほとんど同じタイプのウイルス(あるいはワクチン)に出会うと記憶がよみがえり、高い抗体産生能力を発揮することも知られています。

ですから、毎年予防接種を受けるのは、その年の流行を予測した予防接種であるのと同時に、毎年毎年ちょっとずつ違ったタイプのウイルス株に対する免疫を記憶として保存することにもなるのです。
もちろん実際にインフルエンザにかかってしまっても、そのタイプのインフルエンザウイルスに対する記憶は保存されます。

こどもより大人、大人より高齢者と、人生が長くなるほど記憶されたウイルスのタイプは増えていきます。
2009年に新型インフルエンザとして多くの方がかかり大流行になったことは記憶に残っていると思いますが、その時60歳以上の高齢者は罹患率が低かった(あまりかからなかった)のです。
私もその一人でした。おまけにワクチンが不足していたために予防接種も受けられませんでした。
その時のウイルスの遺伝子型(タイプ)は60年以上前に流行したインフルエンザウイルスの遺伝子型と全く同じかとてもよく似たものだった可能性が高いのです。
60年前にはウイルスの遺伝子型を調べる技術はまだ開発されていませんでしたけどね。

インフルエンザの予防接種は、その年の流行に対して効果を発揮してほしいのは当然ですが、もっと長い目でみる必要もあるのだと思います。


《インフルエンザワクチンの副反応》

すべてのワクチンの副反応としては、接種した部分の腫れ・発赤・痛みといった局所反応と、接種後の発熱・倦怠感などの全身反応とが挙げられますが、インフルエンザワクチンでは局所反応が10〜20%程度認められ、全身反応が5〜10%程度認められます。しかしほとんどの場合これらの反応は通常2〜3日で自然に改善します。

ワクチン成分によるアレルギー反応も認められることもありますが、他の予防接種と比べ特に頻度が高いということはありません。
予防接種にはある程度の(軽度の)副反応はつきものだというのがこども診療所の考え方です。

もちろん滅多にないことですが、ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などの強い副反応はないほうがいいに決まっています。

ワクチン成分によるアレルギー反応については次回の予防接種講座で触れることにいたします。


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2017年09月27日

インフル予防接種の基礎知識(1)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

こども診療所では今年も10月からほぼ年内いっぱいの予定でインフルエンザの予防接種を行います。
接種についての詳細は9月25日掲載の記事「2017-2018インフル予防接種」をお読みください。

このページは予防接種講座として「インフルエンザ予防接種」の理解を深めていただくためのものです。


《インフルエンザワクチンの組み合わせ》

現在のインフルエンザワクチンはA型に対して2種類のウイルス株、B型に対しても2種類のウイルス株が使われています。

ウイルス株は生きたホンモノのウイルスです。これを培養によって大量に増殖させて弱毒化し、精製したものがワクチンとなります。ワクチンのもとになるので「株(かぶ)」と呼ばれています。

皆さんご存じのようにインフルエンザウイルスはどんどん変異を起こしますので、毎年その年の流行を予測して使用するウイルス株を決めます。

その年の秋以降に実際に流行を始めたウイルスをウイルス株にすれば効果はかなり確実になるのですが、それからワクチンを作ったのでは流行期に間に合いません。ですから予測でウイルス株を決めて製造を始めるのです。
そのため、昔はウイルス株の当たり外れがあるなんていわれていましたが、現在では医学や生物科学が進歩してインフルエンザの変異の流れがわかるようになっています。

しかし、インフルエンザウイルスの変異のスピードはウイルスの型によって違うので、あまり大きく変異しなさそうな型は前の年と同じウイルス株を使います。大きな変異が予想される型については、過去の流行時に採取され保存されていた莫大な種類のウイルスの中から予測される変異に一番近そうなウイルスをウイルス株とします。

今年のワクチン株は去年の組合せ(A型2+B型2)の中でA型のH1N1というタイプのウイルス株が変更になりました。(詳しくは次の文字列をクリックしホームページのトピックスをご覧下さい)

4種のウイルス株のうち3つが去年と同じなら去年のワクチンでも効くんじゃないかと思われるかもしれませんが、ワクチンの有効期間というのは次の年の流行期より前に期限が来てしまいます。ですから今年の流行に対しては今年のワクチンを使わないといけないのです。


《インフルエンザワクチンの接種量と接種回数》

   ◎生後6か月以上3歳未満は0.25mLを2〜4週間隔で2回接種
   
   ◎3歳以上13歳未満は0.5mLを2〜4週間隔で2回接種

   ◎13歳以上のすべての年齢0.5mLを1回または2回接種
   (13歳以上の2回接種は希望者のみで2回接種の場合間隔は1〜4週)


ということになっていますが、皆さんすでにニュースなどでご存じと思いますが、今年のインフルエンザワクチンの供給量は去年の供給量を下回ることが予想されています。

その原因は後で述べますが、ワクチンの供給不足を起こさないために厚生労働省は13歳以上の方はなるべく1回接種でとどめてくれるよう要望しています。

インフルエンザの予防接種はなるべく多くの方に受けていただいて流行をなるべく小さくするのが目的ですから、こども診療所でも、厚生労働省の要望を考慮して13歳以上の方には原則1回接種をお勧めしようと思っています。

さて、ワクチンの供給不足が生じそうになった原因ですが、一つは、ワクチン製造会社のうちの1社の工場が熊本にあり、地震によって壊滅的な被害を受け、いまだに再建されていないということです。ワクチン製造会社というのは数が限られていますから、1社でも製造を停滞させてしまうと全体の供給量に大きな影響を与えてしまうのです。

昨年はその影響で、一人分のワクチンを工場で注射器に入れ、無菌状態で出荷するというプレフィルドワクチンがすべての製造会社で製造できない状態でした。プレフィルドワクチンは製造に手間がかかるためにそんなことをしていたら必要な時期までに必要なワクチンを出荷できないというのが理由でした。

もう一つは、ワクチン製造のためにウイルス株を培養・増殖させるのですが、今年のウイルス株は思ったより増殖が遅く、予定の時期までに予定の量まで達しなかったことです。ウイルス株は生きたウイルスですから、生き物相手では人間の思惑通りに事が運ばないことがあるということでしょう。


さて、次回の予防接種講座では、インフルエンザワクチンの効果や副反応についてお話ししようと思います。


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2017年04月05日

B型肝炎予防接種の救済措置

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


B型肝炎の予防接種は昨年平成28年10月1日から定期接種化され、接種費用は公費負担となり、生後2か月から生後1歳になるまでのお子さんは無料で接種を受けられるようになりました。

B型肝炎の予防接種は3回接種が基本で、3回すべてを完了するのには5か月から6か月の期間を要します。しかし、3回目の接種は1歳になる前に行わなければならないので、昨年の10月1日に既に生後6か月を過ぎてしまったお子さんは接種可能な期間が短く、3回の接種を受けられないという事態が起こってしまいました。

江戸川区医師会や江戸川区小児科医会はこの不平等を解消すべく、江戸川区に対して「平成28年10月1日の時点で接種可能な月齢であったお子さんすべてに3回接種が可能になるような救済措置を」と陳情を重ねて参りました。

この度その要望が受け入れられ、次の条件を満たす方に対して3回接種を可能にするような救済措置(無料接種)が設けられることになりました。次の条件からはずれた方は残念ながら公費負担での接種は受けられません。

《接種可能なお子さんの条件》
平成28年4月1日から平成28年7月31日までの生まれで、B型肝炎予防接種を3回接種していない1歳以上のお子さん
《救済措置の実施期間と実施医療機関》
平成29年4月1日から平成29年7月31日まで、江戸川区内の指定医療機関で(江戸川区外では受けられません)
《接種票の発行》
各健康サポートセンターで発行(接種票に必要事項を記入し、今まで予防接種を受けていた医療機関で接種して下さい)


※ このご案内は広報「えどがわ」平成29年3月20日号と江戸川区のホームページに掲載されています。


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2015年05月06日

1歳の誕生日からの予防接種スケジュール

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昨年10月から水痘ワクチンが定期接種化され、1歳のお誕生日から接種すべきワクチンが1つ増えるました。

 ところが、1歳から2歳の間というのは、元々接種すべきワクチンがたくさんありました。そこに水痘ワクチンを割り込ませるわけですから、スケジュールづくりにはけっこう頭を使わなければなりません。

 そこで、予防接種講座恒例の交通整理をしてみようと思います。あくまでも交通整理ですから、このスケジュール通りでなければいけないというわけではありません。いつも申し上げている通りです。


《1歳からの予防接種》

1歳のお誕生日から接種可能なワクチン(定期接種のみ)は次の通りです。

■ MR1期(麻疹風疹混合)
    2期(2回目は5・6歳で)
■ 水痘(水ぼうそう)1回目
    3歳までに2回接種
■ 肺炎球菌追加
    1歳から1歳3か月の間
■ ヒブ追加
    3回目接種後7か月〜13か月

*任意接種(有料)になりますが、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンも1歳のお誕生日から接種可能になります。


《MRを優先する接種スケジュール》

こども診療所では、MR1期ワクチン」の接種を最優先(1歳になったらなるべく早く)でお勧めしています。
そのような前提での接種スケジュールは次の中から選んでください。

1−1)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

1−2)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

1−3)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

1−4)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
(MR1期と水痘を同時に、そして肺炎球菌とヒブを同時に接種する方法です)

1−5)MR1期と水痘1回目と肺炎球菌とヒブの追加を同時接種
(すべてのワクチンを同時に接種する方法です)


《肺炎球菌とヒブを優先する接種スケジュール》

こども診療所ではMR1期の接種を最優先でお勧めしていますので、上記の1)〜5)の接種スケジュールがこども診療所の基本接種スケジュールとなりますが、肺炎球菌とヒブの追加を優先する接種スケジュールも不可能ではありません。

2−1)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

2−2)まず肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

2−3)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

2−4)肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(肺炎球菌とヒブを同時に、そしてMR1期と水痘を同時に接種する方法です)

肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンは不活化ワクチンですので、接種後1週間でほかのワクチンを接種することができます。MRワクチンと水痘ワクチンは生ワクチンですので、接種後4週間はほかのワクチンを接種することができません。なるべく短期間で接種を済まそうという効率主義で考えれば不活化ワクチンを先に接種したほうがずっと効率的です。

でも、予防接種を効率だけで考えるのは危険です。


《こども診療所がMRワクチンを優先する理由》

肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンや4種混合ワクチンは3回の接種が済んだあとそれぞれ一定の期間を置いて追加の接種を行うことになっています。

追加接種は以前に接種したワクチンの効果がなくなったから行うのではありません。まだ免疫効果が十分ある間に追加を接種して効果をより強くより長く効かせようとするものです。

ところが、MRワクチンに含まれる麻疹(はしか)の免疫は、生まれた時にはお母さんのおなかの中でで受け取った分で十分なのですが、生後6か月ごろからだんだん弱まって、1歳の誕生日を迎えるころにはすっかりなくなってしまいます。

麻疹(はしか)は現在日本のこどもたちを脅かす可能性のある病気としては最重症に分類される怖い病気です。

肺炎球菌やヒブ菌による感染症も怖い病気であることに変わりはありませんが、1歳になった時の予防接種の順序としては、まだまだ十分に免疫効果のある病気(肺炎球菌やヒブ菌)よりは、免疫のなくなってしまった病気(はしか)を優先するのは当然だと思いませんか?

でも、こうおっしゃる方もいらっしゃいます。
「不活化ワクチンの後は1週間で生ワクチンを接種できるのだから、肺炎球菌とヒブ菌を先にやってもいいんじゃないの?」
おっしゃる通りです。でも、その1週間の間にはしかにかからないという保証、私には絶対できません。


《接種スケジュールの選び方》

交通整理といいながらスケジュールの候補が9種類もあるのでは、どれを選べばいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

選び方のヒントを差し上げます。

9種類とはいっても、子ども診療所ででお勧めしているのはMR1期を優先する5種類だけですから、その中で考えることにしましょう。

こども診療所ではもともと同時接種は1日2種類までを基本としています。ご希望があれば3種類でも4種類でも接種は行いますが、こちらからお勧めすることはありません。ですからスケジュール1−5)はお勧めスケジュールからは外れることになります。

残り4種類は、すべて別々に接種するか、同時接種を組み合わせるかという選択になります。

別々に接種すると、通院回数は増えますが、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりやすくなります。

同時接種を組み合わせると、通院回数は減りますが、ワクチンの種類が多くなればなるほど、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりにくくなります。

どちらを優先するかが選択のポイントです。


《2歳になるまでに受けるその他の予防接種》

1歳になったらまずは今まで述べてきた4種類のワクチン接種を済ませましょう。

そのあとで2歳になるまでに接種するワクチンは次のようになります。

■ 水痘(水ぼうそう)ワクチン2回目
    1回目の接種から6か月〜12か月の間
    1回目の接種時期によって2歳を過ぎることがあります
    3歳までに2回終了させます

■ 4種混合ワクチン追加
    初回接種の3回目終了後1年〜1年6か月の間
    3回目の終了時期によって2歳を過ぎることがあります

■ おたふくかぜ(ムンプス)ワクチン
    定期接種ではありませんので(任意接種)有料となります
    1歳の誕生日から接種可能です
    集団生活(保育園など)に入るお子さんは早めの接種をお勧めしますが
    予定がなければ2歳過ぎの接種でもよいでしょう
    2歳前のお子さんのおたふくかぜはとても少ないのです
                   (ないとはいいません)
    おたふくかぜの接種は任意ですので
    受けるかどうかはご自分でお決めください   

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2014年11月06日

痛くない注射の秘密(実践編)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昔はちょっと病気が重くなるとすぐに注射をしたものですが、最近は重症の脱水とか吸入だけでは治まらない喘息発作とかのケースで点滴をする以外は、あまり注射をすることはなくなってきています。こどもの注射といえば予防接種ぐらいなものでしょう。

syringe2.jpg 注射の話とパスカルの原理と、いったい何の関係があるの?とお思いでしょうが、右の写真をご覧ください。いろんな注射器が並んでいますが、どれも皆ピストンなんですね。ピストンである注射器にも当然パスカルの原理は応用できるわけで、私はそこから痛くない注射を考え出したのです。

 でも、愛育幼稚園の園児達にお褒めの言葉をいただいた頃はまだパスカルの原理に気づいていませんでした。その当時の私の痛みを和らげる方法というのは、まず針を刺すときに皮膚を指で強くつまんで痛みを与え、気持ちがその痛みの方に向いている間に一瞬のうち(早ければ早い程よい)に注射をすませてしまうという方法だけでした。これは現在でも使っています。けっこう有効です。

 もう一つの方法は注射をする部位です。この場所は、一般的に予防接種の注射をする部位(腕の斜め後ろ)とほとんど変わらないのですが、私の場合そこよりもやや後ろの、肉が一番タプタプしているところに注射をします。これも現在使用中で有効です。

 そしてこれにパスカルの原理を加えた方法が加わってさらに私の注射は痛くなくなりました。ヒントを与えてくれたのは愛育病院小児科で私と一緒に働いていた若い女医さんでした。

 その当時愛育病院では上の写真の左から2番目、2.5ml用の注射器に23ゲージという太さの針をつけて注射を行っていました。ある時その女医さんが、「もっと細い針を使ったほうが痛みが少ないのではないか?」と疑問を投げかけてきたのです。なるほどと思って25ゲージという、もう一段階細い針で試してみました。確かに針を刺したときの痛みは細い針のほうが少ないようでしたが、針が細い分注射の時間がかかるし、力も必要なのでけっこう疲れるのです。一瞬のうちに注射をすますという私のやり方とは合わないようでした。それで私はまた元の太さの針にもどしてしまったのですが、「細い針のほうが痛みが少ない(かもしれない)」という思いは頭のどこかに残っていたのです。

 パスカルの原理に気づいたのは、私がこども診療所を開設してから。女医さんからの疑問の約5年後のことでした。

pascal_gojira_01.gif 小さなピストンで、大きなピストンに乗せた重い物(ゴジラ)を少ない力で持ち上げるというパスカルの原理ですが、注射というのはこれの逆だと気づいたのです。針の部分を小さなピストンと考えれば、液を押し込む注射器の部分は大きなピストンに当たります。大きなピストンのほうに力を加えるわけですから、注射器の直径と針の直径の差が大きければ大きいほど、必要な力は大きくなるのです。

 細い針のほうが痛みが少ないというのであれば、針を細くした分、あるいはそれ以上に注射器を細くしなければいけなかったのです。愛育病院では同じ注射器で針だけ細くしていました。だから力が必要で疲れてしまったのです。

syringe.jpg そこで私は、現在日本で使われている注射器の中では一番細いヤツ、上の写真の一番左の注射器に、愛育病院で試した25ゲージよりさらに細い26ゲージの針をつけて試してみました(写真右)。結果は良好でした。軽い力で短時間のうちに液を注射することができました。針の痛みも少ないようでした。

 ところが、何事もそう簡単には完成しないもので、同じ量の液を注射する場合、注射器が細くなればなるほど、液を押し込むピストンは長い距離を移動させなければならないのです。その間に注射器がぶれたりすると、針も皮膚の下でぶれるわけですから、その痛みたるや太い針の痛み以上のものになってしまいます。

 でも、解決法はわりと簡単でした。ピストンが動いている間針がぶれないように、注射をする部位と注射器をしっかりと固定するということです。もちろん私の技術力が問われるところですが、私はさらに一工夫して、注射を受けるお子さんをお母さん(保護者の方)だけに押さえていただくことにしたのです。

 注射のときにお子さんが泣くのは、注射の痛みもさることながら、他人に抑えこまれることへの恐怖感が大きいのです。押さえているのがお母さん(保護者)であればこの恐怖感を和らげることができ、ひいてはお子さんの動きも少なくなると考えたのです。そして結果はその通りでした。

 そこで、次の段階として、ほとんどマニュアル的にしっかりと押さえていただける方法を考え出しました。「こうやって、こうやって、こうやって、はい、そのまましっかり固まっててください」というだけでしっかりと固定のできる形(体位とでもいいましょうか)です。え?その体位を説明しろですって?それは企業秘密です。お出でいただけば一目瞭然です。

 こうしてこども診療所の痛くない注射は完成しました。ある時、それまで他の小児科で予防接種を受けていたお子さんがこども診療所で予防接種を受けられました。お母さんが「ここは予防接種なのに静かですね。前のところはこども達の泣き声が響き渡っていました。」とほめてくださいました。



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2014年09月26日

2歳8か月以上のお子さんの水痘予防接種

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今日は水曜日ではありませんが、来週の水曜日まで待っていると、インフルエンザの予防接種も水痘ワクチンの定期接種も始まってしまいますので、臨時増刊号です。

 9月17日の「インフルと水痘どっちが先?」という記事の中で、年内3か月の間に3歳の誕生日を迎える、あるいは5歳の誕生日を迎えるお子さんの接種の順番について、「特例」による接種のことに触れましたが、この「特例」の対象となるお子さんにはかなりの制限があるということがわかりました。

 それで、現在2歳8か月以上のお子さんで水痘の接種票が郵送されてきたお子さんはとにかくすぐに1回は水痘ワクチンの接種を受けてください。

 そのあとのことは1回目の接種のときご相談させていただきます。


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2014年09月17日

予防接種:インフルと水痘どっちが先?

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 水痘ワクチンの定期接種化については再三再四お伝えしています。そしてそれが10月1日から開始されることも・・・。ところが10月1日というのはインフルエンザワクチン接種の解禁日でもあります。

 こども診療所では今年のインフルエンザ予防接種は水痘ワクチンの定期接種化の日と同じ10月1日(水)から開始の予定です。予約は9月24日(水)から受け付けます。

 今日のお話のタイトルは「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」です。予防接種講座恒例の交通整理です。

 一般的にいえば、病気の発生頻度や季節的なことを考えて、当然インフルが先になります。でも、インフルエンザの予防接種を先にしてしまうと、定期接種としての水痘ワクチン接種(無料)を受けられなくなってしまうお子さんがいらっしゃるのです。

 それで、どんなお子さんが水痘ワクチンの接種を優先させたほうがよいかの道しるべをお示ししようと思います。ただし、すでに水ぼうそうにかかってしまったお子さんは定期接種の対象になりませんので、インフルエンザの接種を優先(当たり前ですよね、それしかないんだから・・・)させてください。

 また、インフルエンザの予防接種は生後6か月から受けることができます。水痘の予防接種は1歳からです。インフルエンザの予防接種は大体10・11・12月の年内3か月間に行われますから、年内に1歳にならないお子さんは(もし受けるのであれば)インフルエンザしか選択肢はありません。

 水痘ワクチンの定期接種の対象年齢は1歳から3歳です。平成26年度(平成27年3月31日まで)に限って、3歳から5歳まで特例として接種を受けることができます。つまり今年度に限っていえば1歳から5歳までのお子さんが定期接種の対象になりうるということです。

 その中で、接種の順番が問題になるのは、10月から12月の年内3か月の間に1歳の誕生日を迎えるお子さんと、その3か月の間に定期接種の対象年齢を超えてしまうお子さんです。

 年内とは申しましたが、年明けの1週間は医療機関が正月休みで予防接種を受けられないことも考えられますから、以下「年内3か月」と書いてあっても、「来年の1月7日まで」と読み替えてください。

 対象年齢を超えてしまうお子さんのうち、年内3か月の間に3歳に達してしまうお子さんで、まだ一度も水痘ワクチンの接種受けたことがないお子さんと、任意接種で1回接種を受けたことのあるお子さんでは条件が変わってきます。年内3か月で5歳に達してしまうお子さんで、任意接種ですでに水痘ワクチンの1回接種が済んでいるお子さんは定期接種の対象外です。まだ一度も接種を受けていないお子さんは順番を考えなくてはいけません。

 ところで、この年齢のお子さんがインフルエンザの予防接種を受ける場合、接種量は年齢によって違ってきますが、接種間隔でいえば全員が2回接種で接種間隔は2〜4週間となります。また、インフルエンザワクチンを接種したあとは、インフルエンザ以外のワクチンは1週間後から接種することができます。しかし、水痘ワクチンは生ワクチンですから、接種後4週間は他のワクチンを接種することができません。

 これを踏まえて2つのワクチンを同じ時期に接種する方法としては次のようなスケジュールが考えられます。
(1)インフルエンザの2回接種を済ませてから1週間後以降水痘を接種する
(2)インフルエンザの1回目接種後1週間で水痘を接種する
(3)水痘を先に接種してから4週間後にインフルエンザの接種を開始する
(4)インフルエンザの1回目と水痘を同時接種にする
(5)インフルエンザの2回目と水痘を同時に接種する

これらのうち(2)はお勧めできません。というのは、水痘ワクチン接種後は4週間すべてのワクチン接種ができないからです。ジャスト4週間後にインフルエンザの2回目を接種したとしても、インフルエンザワクチンの接種間隔は5週間になってしまうからです。でもどうしてもそうせざるを得ない場合は、絶対ダメというわけではありません。

 では、それぞれの年齢について交通整理をしていきましょう。
(i) 年内3か月の間に1歳のお誕生日を迎えるお子さん
 1歳になったらすぐ水痘ワクチンと思われるかもしれませんが、受けるのだったらインフルエンザワクチンを2回済ましてからにしましょう。インフルエンザの1回目か2回目に水痘ワクチンを同時接種することも可能ですが、それほどあせって水痘ワクチンを接種する必要はないと考えます。

(ii) 年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん
 とにかく3歳にならないうちに水痘ワクチンの1回目を接種してください。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても3歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。
水痘ワクチンについては、今年度に限っては特例がありますので、2回目の接種が3歳を超えても2回目の接種票を使って2回目の接種を受けることができます。

(iii)年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度だけ水痘ワクチンの接種を受けているお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 今年度に限っては特例がありますので、来年の3月31日まで水痘ワクチン接種を1回だけ受けることができます。インフルエンザを優先させることをお勧めします。

(iv)年内3か月の間に5歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 とにかく5歳にならないうちに水痘ワクチンを接種してください。この年齢のお子さんは水痘ワクチンは1回だけの接種です。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても5歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。

 以上です。参考になさってください。

 なお、このようなスケジュールは今年度限りです。来年度は特例がなくなりますが、水痘ワクチンの接種は年間を通じて行われますので、時間的余裕は十分にあります。受けるべき時に受けるべきワクチンを受けるという考え方でよろしいと思います。


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2014年09月10日

水痘ワクチンについて

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


 水痘ワクチンが10月1日から定期接種化されること、そしてそれはどのように実施されるかという制度的なことについては、ホームページの「トピックス」で具体的に詳しくご説明いたしました。

 また、水痘(水ぼうそう)がどんな病気かというおさらいは、一昨日の医学講座でスタートいたしました。

 そこで今日は、水ぼうそうにかからないようにする水痘ワクチンについて勉強してみましょう。

    《水痘ワクチンって?》

水痘ワクチンは1974年に日本で開発された、日本で唯一の水ぼうそう予防のための生ワクチンです。このワクチンは岡クンという男の子が水ぼうそうにかかった時に採取されたウイルスを基に作られたので、「岡株」と呼ばれています。

岡株は水痘ワクチンを製造するのにふさわしい唯一の株としてWHOに承認されています。いま世界中で使われているすべての水痘ワクチンが岡株から作られています。

水痘ワクチンは1986年に製造販売の承認を受け、1987年から販売が開始されました。当初このワクチンは白血病や重症の腎臓病など、水ぼうそうにかかると生命の危険が大きい病気にかかっているリスクの高い小児を対象に接種が行われていました。

もともと重い病気のお子さんですから、ワクチン接種の副反応が重いともとの病気そのものが悪化しかねません。ですから、このワクチンは副反応の心配がほとんどない、現在我が国で使用されているワクチンの中で最も安全なワクチンと言っていいと思います。

その反面、免疫効果の持続という点では同じ生ワクチンである麻疹ワクチンや風疹ワクチンより少し劣ります。そのため、ワクチンを接種したのに水ぼうそうにかかってしまったということが時々見られます。

欧米各国では、遅くとも2000年代前半には水痘ワクチンは定期接種として導入されましたが、我が国ではずっと任意接種のままでした。10月1日からやっと定期接種に導入されることは再三お伝えしているところです。

    《水痘ワクチンの接種回数》

我が国より早く水痘ワクチンの定期接種を始めた欧米各国でも、当初接種回数は1回だけでした。しかし現在では2回接種が常識になっています。1回接種では発病を完全には防げないからです。

我が国では、水痘ワクチンの有効性と2回接種の必要性はかなり前から確認されていましたが、政策として現場に反映されることはありませんでした。しかもかなり高価なワクチンですから、医者のほうも「接種してもかかってしまうことがあります」とまでは言えても、「2回接種すればほぼ確実に発病を予防することができます」とは言いにくい面がありました。

我が国の調査では、水痘ワクチン1回接種後に水ぼうそうにかかってしまう方の割合は約15%と言われています。そして、症状的にはワクチン接種を受けなかった場合に比べて軽症で終わる場合が多いということもよく知られていました。

それで我々医者たちは「接種してもかかっちゃうかもしれないんだけど、軽く済むからまあ我慢してね」とか何とか言って1回接種を続けてきました。

欧米各国に比べて日本では予防接種によって病気そのものを撲滅してしまおうという発想が国民にも行政にもあまりなかったということが言えます。「ワクチンによって防げる病気からこども達を守ろう」という発想です。「守る」というのは極端に言えば「命を守る」ことで、「かかっても軽く済むなら…」というのが日本人的感覚だったこともあります。

今回の定期化にあたって、始めから2回接種でスタートすることは、世界の潮流とはいえ日本の予防接種行政もそれなりに進歩したと評価してもいいのではないでしょうか。

    《2回接種の間隔》

ところで、水痘ワクチンと同じ生ワクチンで、接種開始時期(1歳の誕生日から)も同じMR(麻疹風疹混合)ワクチンも2回接種です。でも、1回目の接種と2回目の接種の間隔は4〜5年となっています。水痘ワクチンの接種間隔は標準で6か月〜12か月(最低3か月)です。ずいぶん違いますね。

この大きな違いの理由はどこにあるのでしょうか?

数年前に高校生や大学生の間で麻疹(はしか)の大流行があったことはまだ記憶にあると思います。その時の高校生や大学生が子どもだったころ麻疹ワクチン(単独だった)の接種は1回だけでした。そしてその当時は「麻疹ワクチンは生ワクチンだから接種後体内でゆっくりと増殖するので免疫は一生持続する」と言われていました。

でも免疫が一生持続しないことは事実として突きつけられてしまったのですね。そこで、麻疹ワクチンを2回接種することになり、その間隔をどうするかが議論されました。でも、数年前の大流行の中心が10代後半以降の青少年だったということは、1回接種の後約10年程度は免疫があると考えてもいいということだと思います。そこで、麻疹単独ではないMRワクチンの2回目の接種は小学校入学前の1年間(5歳〜6歳)ということになりました。

一方、水痘ワクチンではどうかと言いますと、アメリカでは日本のMRワクチン(アメリカではおたふくかぜワクチンも入ったMMRワクチン)と同じように、水痘ワクチンの2回目の接種は4〜6歳で、これは1回目に獲得した免疫がなくならないうちに2回目の接種を行うという考え方です。

ところがドイツでは、1回目を1歳になってすぐ接種したら、2回目は1歳3か月から2歳未満の間に接種することになっています。間隔は最低4〜6週とされています。こちらは10月1日から実施される日本の定期接種の間隔に似ていますが、間隔は最低3か月としている日本よりももっと短いですね。

ドイツと日本の接種間隔が短い理由を説明します。

水痘ワクチンは、1回目の接種で体内に十分な免疫(抗体)が作られないことが他のワクチンよりやや高率であります。ワクチンを接種したのに水痘にかかってしまうことがあるのは、このことが大きな理由になっています。「免疫があるのにかかる」のではなく「免疫がないからかかる」という当たり前のことが起こってしまうのです。

しかもドイツでは水ぼうそう罹患のピークが1歳〜4歳と低いので、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことが必要になっています。2回目の接種を行うことで十分な免疫が作られ、発病をほぼ100%予防することができます。

日本では水ぼうそう罹患のピークは以前は4〜5歳でしたが、乳児保育の増加によって低年齢児の発病が増加しています。ですから事情はドイツに似ていて、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことで十分な免疫を与え、発病をほぼ100%予防しようという戦略です。

水痘ワクチンについてのお勉強、いかがでしたか?
水痘ワクチンの理解を深めていただけたものと思いますが、接種時期について疑問をお持ちの方も多いと思います。なぜなら、1歳というのは、MRワクチン、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの追加などと、ワクチンラッシュのときでもあります。

ましてや今年の定期接種化の時期はインフルエンザ予防接種の開始時期と重なっていますから、ますます複雑です。

そこで来週以降の予防接種講座では「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」というお話と「1歳の誕生日からの予防接種スケジュール」というお話でいつもの交通整理をしてみたいと思います。どうぞお楽しみに。




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2014年09月03日

水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期接種化

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今まで任意接種(有料)だった水痘の予防接種が、10月1日から定期接種に追加されることになりました。これにより10月1日以降、接種対象となるお子さんは水痘ワクチンを無料で接種できることになります。

 このたび実施の詳細が発表されましたのでお知らせいたします。

(1)対象者:
生後12か月から生後36か月に至るまで(1歳以上3歳未満)の間にある者(標準では生後12か月から15か月の間)。
(2)接種方法:
乾燥弱毒生水痘ワクチン1回0.5mLを3か月以上(標準では6か月から12か月)の間隔をおいて2回皮下に注射する。
(3)既接種者の取扱い:
@平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月以上の間隔をおいて乾燥弱毒生水痘ワクチンを2回接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。
A平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に乾燥弱毒生水痘ワクチンを1回接種した者は、当該定期接種を1回受けたものとみなす。
B平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月未満の期間内に2回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を1回受けたものとみなす。この場合は生後12か月以降の初めての接種から3か月以上の間隔をおいて1回の接種を行う。
(4)経過措置:
平成26年度(平成27年3月31日まで)に限り、生後36か月から生後60か月に至る者は1回接種する。ただし、生後12か月以降に1回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。

例によってお役所言葉の連続で簡単には理解できないと思いますが、江戸川区で実施方法などの詳細が近々はっきりすると思いますので、そのあとでわかりやすく解説を加えながら説明したいと思います。

今日のところは厚生労働省からのお達しをそのままお伝えいたします。


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2014年01月29日

BCG接種の個別化(2)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今週はこども診療所でのお勧めBCG接種時期についてのお話です。こども診療所ではすでに1月からBCGの個別接種を行っていますので参考になさって予約をして下さい。

 具体的な接種日などは後ほどご説明するとしてまずは、BCGについての一般的な予備知識を・・・。

 BCGはご承知のように結核を予防するワクチンです。結核菌を何代も何代も培養を続けて、ほとんど毒性がなくなった生きた結核菌(その名前の略がBCGというのです)を皮膚に植え付けます。この方法は日本独自のもので、BCG接種を行っている諸外国では注射による接種が行われています。

 ちなみに、BCGのBは細菌という意味のフランス語の頭文字、CとGはこの菌を作った2人のフランス人のお医者さんの名前の頭文字です。

 日本での方法を「管針法」と呼んでいますが、この方法は注射よりも接種した部位の副反応が少ないというメリットがある反面、たくさんの小さな接種痕が大人になっても残るので、外国人からは奇異の目で見られることもあります。

 だからといってなるべく目立たない部位に接種することは出来ません。決められた部位(上腕の外側)以外の場所に接種するとケロイドになったり、感染を起こしたりする危険性があるからです。

 現在BCGの接種は、生後3か月から1歳までの間に1回接種することになっています。この期間内でしたら定期接種として無料で接種を受けることが出来ます。この期間外は任意接種として有料になりますが、有効性と安全性を考えると生後3か月以前と1歳以降の接種は全くお勧めできません。必ず定期接種の期間内に接種を済ませてください。

 生後3か月から1歳までの中でも、生後5か月から8か月の間というのが標準的な接種期間として推奨されています。この期間内には6・7か月健診という全員が受けるべき健診が入っています。

 そこでこども診療所のお勧め接種時期は6・7か月健診の時に一緒にBCGを受けましょうということになります。

 「6か月健診まで待っても大丈夫?」とご心配な方には「大丈夫ですよ」としか申し上げようがありません。

 世の中「予防接種!予防接種!」と大騒ぎで保護者の皆さんをせき立てていますが、「ロタウイルスワクチン」の記事でもお話ししたように、現実はそんなに切羽詰まったものでもないのです。「自分は追い立てられていないか?」もう一度考え直して、それでも心配だとおっしゃる方は申し訳ありませんがこども診療所以外の医療機関で接種を受けて下さい。こども診療所では6・7か月健診の日にBCGの接種を受けるのがベストだと信じています。

 では、現在すでに8か月以上になっていてまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 世の中うまく出来ているもので、9・10か月健診というのがあります。この日に接種を受ければいいのです。

 ではさらに11か月になってしまってもまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 この場合には致し方ありません。ご予約の際に担当の者にその旨お話し下さい。必ず1歳の誕生日の前の日までに接種を受けられるようにいたします。

 こども診療所での乳幼児健診は毎週金曜日の午後1時30分・1時45分・2時と15分刻みでご予約を承っております。電話(03-5662-5055)でのご予約も可能です。

 予防接種はあせらずじっくり安全確実にexclamation×2




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2014年01月22日

BCG接種の個別化(1)

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 今週はBCG接種についてのお話です。
先週お話ししたように、B型肝炎ワクチンの接種開始時期の確認が終わっておりませんので、全部のワクチンスケジュールはその確認がとれ次第掲載いたします。

 今年の4月から江戸川区ではBCG接種が個別化されます。従来のように健康サポートセンターでの接種ではなく、区内の指定医療機関での接種となります。おとなりの江東区などではすでに個別化が行われています。

 「えっ?1月からもう個別化が始まってるよっ!」と思われる方もいらっしゃると思います。
その通りです。1月から区内のいくつかの医療機関では個別接種が行われています。でもこれは正式スタートではなく、健康サポートセンターでの接種希望者が多くなり混雑がひどいので、それを緩和するための臨時措置なのです。

 それで接種できる医療機関も区内の約30の医療機関に限られています。臨時措置ですから健康サポートセンターでの接種も併行して行われます。接種対象の月齢のお子さんがいらっしゃる方はご都合に合わせて接種会場を選ぶことができますが、指定でない医療機関や江戸川区以外の医療機関では接種できません。

 健康サポートセンターも各指定医療機関もほとんどが予約制になっていると思いますので、事前にお問い合わせの上接種を受けて下さい。

 そしていよいよ4月からは本格的な個別接種がスタートします。

 4月以降健康サポートセンターでの接種はなくなります。

 接種可能な医療機関は約50カ所に増えます。でも他のワクチンのようにどの医療機関でも接種可能というわけではありませんので、指定医療機関をよく確認してから接種を受けるようにして下さい。

 というところで、ではこども診療所での接種はどうなのかという話しはまた来週。


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2013年10月09日

肺炎球菌ワクチンが変わります

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

すでに定期接種として定着した感のある《肺炎球菌ワクチン》ですが、来月11月1日から使用するワクチンが変わります

現在定期接種として使用されているワクチンは「プレベナー」という輸入ワクチンで、約90種類ある肺炎球菌の血清型のうち7つの血清型に対して有効な7価のワクチンです。この7価だけでも小さなお子さんの侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できると考えられています。
血清型とか7価とかいう言葉の意味については2010年4月22日から同年7月31日まで13回にわたってこのブログで連載した「肺炎球菌ワクチンのすべて」という記事の第3回(2010年4月28日掲載)と第6回(2010年5月28日)に掲載した記事をご参照下さい。

今回変更になる新しいワクチンはやはり「プレベナー」です。どこが変わるかというと、今まで7つの血清型に対して有効だったワクチンが13の血清型に対して有効な13価のワクチンに変わるという点です。

90分の7よりは90分の13のほうが予防できる範囲が広がりますからね。より安心というわけでしょうね。ちなみに高齢者用の肺炎球菌ワクチンは23価です。13価の倍近い広がりがあるならそっちのほうがもっと安心と思われるかもしれませんが、製造方法が全く違っていてお子さんに接種しても免疫を作ることができません。プレベナーは小さなお子さんにも免疫が作れるように製造されたワクチンなのです。

10月いっぱい使用されるワクチンは「プレベナー7」、11月1日から使用されるワクチンは「プレベナー13」と呼ばれ区別されます。11月1日以降「プレベナー7」は定期接種用のワクチンとしては使用できなくなります(任意接種として有料になるということです)。

なんだ、ウルトラマン7がゴルゴ13に変わるのか。
違うってexclamation×2ちっ(怒った顔)

肺炎球菌ワクチンについての詳細はすでに(2010年4月〜7月)このブログに連載いたしました。7価が13価に変わっても基本的な点は変わりませんし、その違いについては専門的になりすぎますので、今回は省略いたします。


《接種スケジュールは?》
今回は接種のスケジュールについてご説明いたしますが、こちらも基本的な点での変更はありません。ただ、プレベナー7は9歳になるまで接種可能でしたが、プレベナー13は6歳になるまでしか接種できません。

でも、定期接種として無料で接種を受けられるのは元々5歳まででしたから、スケジュール的な変更はないと考えてよいでしょう。


《ワクチンの切り替えは?》
ワクチンは11月1日をもってきっぱりと入れ替わります。1回目あるいは2回目をプレベナー7で受けたのだから、そのあとの接種も同じワクチンで受けたい。そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、定期接種はそういう一人一人の希望には応えてくれません。

それで問題(不都合なこと)は起きないの?
起きません。でも、プレベナー7は元々注射した部位が赤くなったり腫れたり、発熱があったりしやすいワクチンですから、プレベナー13でもその点は変わりありません。新しく6価を追加してプレベナー13になったがために今までになかった不都合が生じることはないということです。

追加した6価の分の予防効果は?
プレベナー7で初回接種をスタートして、途中からプレベナー13を接種した場合、追加した6価の分の予防効果はどうなるのか気になりますよね。でも残念ながらまだ正確な調査データがありません。ありませんが、一般的な常識としては、1回接種しただけでは長期にわたる予防効果はほとんど期待できないだろうとは言えると思います。しかし、接種直後(期間はわかりません)に限ればそれなりの効果は期待できるかもしれません。
では2回接種だとどうなるか?
こちらは1回接種よりは長い期間効果を期待できると思います。
では3回接種だったら?
こちらは始めからプレベナー13を接種したのと同程度の効果を期待してもいいのではないかと思えます。
あくまでも私の個人的な予想です。

追加した6価の分だけのワクチンってないの?
そうですよね。そう思いますよね。でも残念ながら追加した6価分だけのワクチンというのはありません。


《プレベナー13の接種回数を増やしたい!》
逆にプレベナー7より予防できる血清型が多いのなら、なるべく多くプレベナー13を接種したいと考える方がいらっしゃるのも当然です。
プレベナー13の発売日は10月28日と予定されています。10月中に医療機関に納入されるかは難しいところですし、もし仮に10月中にプレベナー13が接種できたとしても定期接種とは見なされませんから全額自費で接種を受けることになります。
11月1日まであと約3週間。11月1日になれば黙っていてもプレベナー13が無料で接種できます。ではそれまで接種を先送りしますか?
そうしたい方は大勢いらっしゃると思いますが、これは危険なことで決してお勧めできることではありません
故意にではなくいろいろな事情でスケジュール通りに接種を受けられなかったことが関係していると思われる侵襲性(重症)肺炎球菌感染症にかかったお子さんのリストというのが厚生労働省から発表されています。
プレベナー7でも侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できるという数字を信じて、接種はスケジュール通りに行うことを強くお勧めします。
ただし、肺炎球菌ワクチンの接種間隔は4週間から8週間ということになっています。4週間間隔で接種をしている医療機関が多いと思いますが、8週までなら接種を延ばしてもそれは問題ありません。でも、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、4種混合ワクチンと乳児期の予防接種は最近急に増えましたから、慎重にスケジュールを考えないと、他のワクチンの効果を妨げる結果にもなりかねませんからよくよく考えてから決めて下さい。



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2013年06月19日

子宮頸癌予防ワクチン勧奨中止????

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

今までに何度も何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。先月も風疹の猫の目接種制度に関して同じことを申し上げたばかりです。

今度は子宮頸癌予防ワクチンです。現在日本で使われている子宮頸癌予防ワクチンは2種類ありますが、そのどちらもです。

6月14日に合同開催された厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマ様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度などがより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまで、定期接種を積極的に勧奨すべきでないとされ、この通知が同日から適用されることになりました。(東京都医師会から各地区医師会長宛に発信された文書のほぼ原文通り)

例によってわかりにくいお役所言葉の羅列ですが、この文だけを読めば「ああ、これで当分子宮頸癌予防ワクチンの接種は行われないんだな」と普通は思いますよね。

ところがこのあとに但し書きがあって、定期接種を中止するものではないので対象者で希望する者については接種機会の確保を図るものとしているんだそうです。

一体全体ドォユウコト?

「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」と言っているようなものですよね。無責任きわまりない決定だと思いますちっ(怒った顔)

そして、接種を希望してきた人にはきちんと説明をしてから接種を行うように、ご親切にも説明文まで作ってくれています。下の2枚の画像がそうです。

kan1.jpg

kan2.jpg

画像をクリックすると拡大されます。また、下のURLをクリックするとネット上で見ることもできます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/pdf/kankoku_h25_6_02.pdf

お読みになればおわかりと思いますが、未練タラタラの文章ですよね。「子宮頸癌予防ワクチンってホントはとってもいいワクチンなんだけどちょっと問題があるんでお勧めできないんだよ」という切ない気持ちが伝わってきますね。

そして最後の締めくくりが副反応による健康被害の救済制度です。「あなたが勝手に希望してやったんだから副反応が出てもあなたの責任ですよ。でも健康被害があれば救済制度ってのがありますからね。国って親切でしょう。」と言っているんですね。

と、ここまでお話ししてきた内容だけでも相当に腹は立つのですが、専門家の集まりである厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会では、なぜ、すでに1回ないし2回接種を受けてしまった人たちがどうすればいいのかについて議論しなかったんでしょう???ほんとは議論したんだけどよくわからないから黙ってることにしたのでしょうか???

私たちが一番知りたいのはそこのところなのにねぇ。冷たく突き放していますもんねぇ。「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」ですからねぇ。

仕方がないのでいろいろ情報を集めてこども診療所としての見解をまとめました。あくまでもこども診療所だけの見解です。

この見解の基礎となったのはアメリカで報告されたあるデータです。でもこのデータはまだ世界的に認められているわけではありません。どうすればよいのか途方に暮れる中で一つの拠り所になると思って採用しました。

そのデータというのは次のようなものです。

『子宮頚癌予防ワクチンを6か月以内の間隔で2回接種した被接種者を調べたところ、被接種者のかなりの率でワクチンが予防効果を発揮できると推定される程度の抗体価を維持していた』

このデータに基づいて考えるとこども診療所の見解は次のようになります。

1.まだ1回も接種を受けていない未接種の方:厚生労働省の調査の結果が出るまで接種を見合わせましょう。

2.1回だけ接種を受けている方:当分接種を見合わせ、1回目の接種から6か月たたないうちに勧奨が再開されたら2回目の接種を受けて、3回目は接種しないことにしましょう。また、1回目の接種から6か月が過ぎてしまいそうになったらご相談下さい。

3.2回目まで接種が済んでいる方:2回目の接種から5か月たたないうちに勧奨が再開されたら、ご相談下さい。また、2回目の接種から6か月たっても勧奨が再開されなかったら、2回目までで終了としましょう。

4.3回の接種が済んでいる方:もちろん何の問題もありません。

ご相談の場合は保護者の方だけでけっこうですから来院して下さい。電話でのご相談はご遠慮下さい。



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2013年05月01日

年齢別風疹予防接種実施状況

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。今大問題になっている風疹の大流行に関しても、猫の目接種制度が最大の理由であるとさえいわれています。

そこでご参考までに、各年齢層における予防接種制度の表を掲載いたしますので、ご自分の予防接種歴を判断する材料になさってください。

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なお、江戸川区における風疹(実際はMRワクチンを使用)予防接種公費補助については4月11日の記事をご覧ください。



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2013年01月30日

3ワクチンが定期化?

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・水痘ワクチン・おたふくかぜワクチン・B型肝炎ワクチン・成人用肺炎球菌ワクチンの7種類を定期接種化するよう国(厚生労働省)に働きかけようという署名活動へのご協力有り難うございます。

こども診療所では2月9日(土)までご署名を受け付けておりますので、ご来院の折りには是非ご協力下さい。

この署名活動の成果というわけではありませんが、平成25年度から子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの3つのワクチンを「定期接種」(全額公費負担)に組み入れるための法改正が行われることになりました。

平成25年度といっても、これから法改正が行われるわけですから、実際の実施は秋以降になる公算が強いのですが、嬉しいニュースとしてお知らせいたします。

自己負担という観点でいえば、現在江戸川区では子宮頸癌ワクチンは全額補助、ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンは半額補助となっています。ですから子宮頸癌ワクチンに関しては定期接種化されても自己負担は今までどおり0円です。ではどこが変わるかというと、「定期接種」「任意接種」では、万が一予防接種によって健康被害が生じた場合、適用される補償制度が異なります。健康被害は起こらないほうがいいのですが、起こっちゃった場合「定期接種」の補償制度のほうが手厚くできています。

ヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンに関しては、現在ヒブワクチンで必要な4000円の自己負担と小児用肺炎球菌ワクチンで必要な5000円の自己負担がなくなります(0円になります)。

初回接種の3回分だけでも合計で27000円の負担減になるわけです。これはかなりな金額です。

むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)
では、「定期接種」が実施されるまでヒブワクチン
小児用肺炎球菌ワクチンの接種を待ちますか?
むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)むかっ(怒り)

ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
《私の答え》
接種時期を遅らせることは絶対にしてはいけませんexclamation×2
ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)

そもそもヒブワクチン小児用肺炎球菌ワクチンは1歳未満の赤ちゃんを細菌性髄膜炎から守るために生後2か月からでも接種可能なように開発したワクチンです。これらの細菌による髄膜炎は月齢(年齢)が低いほど生命の危険度は高くなります。生命は金銭には換えられません。

それに最近のような政治情勢では、確実に法改正が行われるまではいつ何が起こるかわかりませんからね。

これらのワクチンの接種を受けようと決めたら、あせる必要はありませんが、赤ちゃんの状態を見極めながらなるべく早い時期に接種をスタートさせて下さい。

先日「もう3か月になっちゃったんですけど今からでも予防接種間に合いますか?」とご相談に見えた方がいらっしゃいました。「2か月から接種可能=2か月からスタートしなければならない」と勘違いなさっておられたようですが、一部のマスコミや専門家達が「早くしないと間に合わない。同時接種じゃないと間に合わない。」などと煽り立てるものですから、このように思い込んでいる方って意外と多いのです。

接種医と相談しながら、なるべく早くて同時に適切な時期に接種を始めるようにしてください。


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2013年01月16日

ワクチン定期接種化への署名活動

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

ここ数年の間に我が日本でも多くのワクチンが承認され国内でも使用できるようになりましたが、WHO(世界保健機関)が求める「定期接種」(全額公費負担)として採用されたワクチンは一つもありません。「不活化ポリオワクチンが採用になったじゃないか!」とおっしゃる向きもあろうかと思いますが、ポリオの予防接種自体はすでに定期接種に組み込まれていたわけで、ただワクチンの種類が変わっただけの話です。

ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンや子宮頚癌予防ワクチンのように、国としては「任意接種」だけれど各自治体が費用の全額あるいは一部を補助しているワクチンはあるにはあります。江戸川区では子宮頸癌ワクチンは全額補助、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンは半額補助となっていますが、すべてのワクチンを自治体の経費でまかなっている自治体もあれば、財政困難を理由に全く補助を行っていない自治体もあるなど、現在の予防接種制度のもとでは、自治体あるいは個人の経済状態によって予防接種を受けられる子もいれば受けられない子もいるというとても不平等な状態が続くことになります。

それで、多くのワクチンを定期接種化するよう国(厚生労働省)に働きかける活動は数年前から行われているのですが、いまだに成果が見られていません。今回は色々あるワクチンの中で子宮頚癌予防ワクチン・ヒブワクチン・小児用肺炎球菌ワクチン・水痘ワクチン・おたふくかぜワクチン・B型肝炎ワクチン・成人用肺炎球菌ワクチンの7種類を定期接種化するよう働きかけようということで、広く国民の声を署名として国に届けようという活動が始まりました。

これがそのポスターです。
7-vaccines.jpg

こども診療所でもこの趣旨に賛同して署名簿を置いてあります。場所は受付カウンターの左にある本棚の上、壁掛け時計の下です。

署名は全国民を対象としていますので、お子さんの代筆でもかまいません。氏名・住所を備え付けのボールペン(鉛筆は不可)で署名簿への記入をお願いいたします。印鑑やサインなどは必要ありませんが、ご家族のお名前をご記入いただくときは、同じ苗字や同じ住所でも必ず一人一人全部を記入し、「〃」とか「同右」とかいった略号は使わないで下さい。

一人でも多くの方が署名して下さるようお願いいたします

ところで下のポスターは2010年の9月から10月にかけて皆さんに署名をお願いしたときのものです。このブログにも掲載いたしました。
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このときはお子さんを対象にして成人用肺炎球菌ワクチン以外の6種類のワクチンの定期接種化を求める署名活動でしたが、2年たった現在でも状況は全く変わっていません。なんか無力感を感じてしまいますが、何もしなければ状況はなおさら変わりません。是非今回も署名活動へのご協力をお願いいたします。

それにしても、ワクチンが7種類になったのでワクチンくんが一人増えて7人になっただけ、また、成人用肺炎球菌ワクチンを加えたので、「子ども」とか「子どもたち」という文言が「ひと」とか「ひとたち」に変わっただけというポスターも、インパクトがないというか、パワー不足というか、ノウがないような気もしますが、大切なのは署名です。どうぞよろしくお願いいたします。



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2012年11月07日

4価ワクチン(DPT+不活化ポリオ)の接種

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


11月1日からDPT3種混合ワクチンにさらに不活化ポリオワクチンを加えた4価ワクチンが定期接種として導入されました。

ところが品不足で十分な数のワクチンを入手することが困難な状況になっています。そこでこども診療所では、

    11月15日(木)予約受け付け開始
    12月 1日(土)接種開始

の予定で準備を進めています。しばらくお待ちください。


4価ワクチンの接種対象》

接種の対象となるのは原則として今年8月1日以降に生まれたお子さんで、8月中に生まれたお子さんに対してはすでに接種票が届けられています。9月以降に生まれたお子さんの場合、4価ワクチンの標準接種時期が生後3か月からとなっていますので、3か月に達する月に送られてくるはずです。

今年の7月31日以前に生まれたお子さんは原則としてDPT3種混合ワクチンと9月から使用されている単独不活化ポリオワクチンを別々に接種することになっています。さらに、使用ワクチンを途中で変える(4価ワクチンに切り替える)ことはしないよう厚生労働省は求めています。

しかし、どうしてもという保護者の強い要望があれば途中から4価ワクチンに切り替えることを認めてもよいことにはなっています。(いい加減だなぁ〜)ただし、4価ワクチンを使うことによってDPTとポリオのどちらかの接種回数が法定回数を超えることはできません。

江戸川区の場合、4価ワクチンへの変更がご希望であれば健康サポートセンターで柔軟に対応するとのことですので、必ずDPT3種混合ワクチンと単独不活化ポリオワクチンの接種票を両方持って行って4価ワクチン用の接種票に交換してもらってください。

医療機関にDPT3種混合ワクチンと単独不活化ポリオワクチンの接種票を両方持ってきて、4価ワクチンの接種を希望なさってもお受けすることはできません。必ず4価ワクチン用の接種票をお持ちください。


4価ワクチンの接種間隔》

ここからは今年の10月10日に掲載した「不活化ポリオワクチンの接種(5)」を要約したものですので、詳しくはそちらの記事をご覧ください。

厚生労働省から提示のあった4価ワクチンの接種間隔(省令で規定する)と標準的な接種年齢(通知で示す)をご覧下さい。省令と通知では省令のほうが圧倒的な拘束力があります。

【接種間隔】
 ・1期初回接種は、20日から56日までの間隔をおいて3回
  (発熱等の接種不適当要因により接種不可だった場合を除く
   56日以上の取り扱いはない
 ・1期追加接種は、初回接種終了後6月以上の間隔をおいて1回
【標準的な接種年齢】
 ・1期初回接種は、生後3月から12月に達するまでの期間
 ・1期追加接種は、初回接種終了後12月から18月に達するまで


標準的な接種年齢というのはいわばお勧め年齢のことで、定期接種対象年齢は生後3月から90月未満と規定されています。ですから接種年齢には幅がありますが、接種間隔については(注)として「56日以上の取り扱いはない」と明記されています。しかも省令で規定されてしまうわけですから、かなり厳密だと言えます。

つまり、「初回接種において間隔が56日以上あいてしまったら、たとえ接種対象年齢のお子さんでも定期接種とは認めず任意接種として有料になりますよ」ということなのです。

ここでは日数で記載されていますが、週数でいえば3週から8週以内ということになります。以前から行われていたDPTの接種間隔と同じです。

実は、DPTの接種間隔についても同じようにかなり厳密な規定があって、江戸川区以外の区市町村の中には接種間隔が8週を超えた場合には任意接種として有料化させているところもあるのです。江戸川区は今までこれを大目に見逃してくれていたわけです。

4価ワクチンでも今までのDPTワクチン同様、接種間隔については大目に見てもらえるよう区のほうに要望は出してありますが、今のところ色よい返事は帰ってきていません。

というわけで皆さんには何とか56日以内に次の接種を受けられるよう協力していただきたいのですが、こども診療所ではDPTの接種間隔として、免疫獲得に最適で世界的にも広く採用されている4週から6週間隔をお勧めしてきました。今後も同じ間隔での接種をお勧めしていくつもりです。



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2012年11月05日

単独不活化ポリオワクチン追加免疫も承認

inj.jpg単独不活化ポリオワクチン(イモバックス)は初回免疫の3回目までは承認されていましたが、日本国内での使用期間が短く効果と安全性の確認ができていないという理由で追加免疫としての使用が認められていませんでしたが、10月下旬に厚生労働省からの承認が得られました。


今年の9月からイモバックスの接種をはじめたお子さんはまだまだ先のことですが、輸入ワクチンで初回免疫の接種を受けたお子さんにも定期接種として無料で接種を受けていただくことができるようになりました。

お手元に接種票がないお子さんは健康サポートセンターにお問い合わせください。接種票の交付が受けられます。



ラベル:ワクチン
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