2017年04月05日

B型肝炎予防接種の救済措置

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


B型肝炎の予防接種は昨年平成28年10月1日から定期接種化され、接種費用は公費負担となり、生後2か月から生後1歳になるまでのお子さんは無料で接種を受けられるようになりました。

B型肝炎の予防接種は3回接種が基本で、3回すべてを完了するのには5か月から6か月の期間を要します。しかし、3回目の接種は1歳になる前に行わなければならないので、昨年の10月1日に既に生後6か月を過ぎてしまったお子さんは接種可能な期間が短く、3回の接種を受けられないという事態が起こってしまいました。

江戸川区医師会や江戸川区小児科医会はこの不平等を解消すべく、江戸川区に対して「平成28年10月1日の時点で接種可能な月齢であったお子さんすべてに3回接種が可能になるような救済措置を」と陳情を重ねて参りました。

この度その要望が受け入れられ、次の条件を満たす方に対して3回接種を可能にするような救済措置(無料接種)が設けられることになりました。次の条件からはずれた方は残念ながら公費負担での接種は受けられません。

《接種可能なお子さんの条件》
平成28年4月1日から平成28年7月31日までの生まれで、B型肝炎予防接種を3回接種していない1歳以上のお子さん
《救済措置の実施期間と実施医療機関》
平成29年4月1日から平成29年7月31日まで、江戸川区内の指定医療機関で(江戸川区外では受けられません)
《接種票の発行》
各健康サポートセンターで発行(接種票に必要事項を記入し、今まで予防接種を受けていた医療機関で接種して下さい)


※ このご案内は広報「えどがわ」平成29年3月20日号と江戸川区のホームページに掲載されています。


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2015年09月09日

こども診療所でのインフルワクチン接種

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 さて、前回の予防接種講座でお話ししたように、今年から四種混合になったインフルエンザワクチンですが、こども診療所での接種についてご案内いたします。


こども診療所では今年も10月からほぼ年内いっぱいの予定でインフルエンザの予防接種を行います。

9月24日(木)予約開始
 10月 5日(月)接種開始(年内一杯で終了)


の予定で準備を進めています。

そこで気になる接種料金ですが、ワクチンの値段というのは接種量で決まるわけではありません。三種混合が四種混合に変われば、製造過程も複雑になりますし、手間もかかるようになります。それで、今シーズンのインフルエンザワクチンは昨年よりも値上がりすることになっています。そこに安全で確実な予防接種を行うための予診の診断料や注射の技術料などを加えて、各医療機関が独自に接種料金を決めることになっています。

こども診療所での接種料金は次の通りです。

  1回目が4000円(税別)
  2回目が2500円(税別)



《こども診療所のインフルエンザワクチン》

こども診療所で2015−2016シーズンに使用するインフルエンザワクチンはすべてプレフィルドシリンジの一人用ワクチンになります。プレフィルドワクチンというのは、ワクチンメーカーで無菌的に一人分を注射器に詰めて出荷し、医療機関では開封したらそのまま接種を行えるようにしたものです。

3歳未満のお子さん用には0.25ml入りのプレフィルドワクチンを、3歳以上の方用には0.5ml入りのプレフィルドワクチンを用意しますので、清潔面で気を使うことも少なくなりました。

それから、プレフィルドワクチンは製造から接種時まで無菌状態が保たれますから、保存剤(チメロサールとかフェノキシエタノールなど)が必要なくなります。もう一つの安心材料ですね。

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2015年09月02日

インフルエンザワクチンが変わった !

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今年は残暑もあまりなく、あっという間に秋になってしまいましたね。暑さのぶり返しはあるんでしょうか?

 ところで、秋になると皆さん思い出されるのがインフルエンザの予防接種ですね。

こども診療所では今年も10月からほぼ年内いっぱいの予定でインフルエンザの予防接種を行います。

そこでまず、2015-2016のインフルエンザシーズンに国内で使用されるインフルエンザワクチンの情報をお届けします。


《インフルエンザワクチンの組み合わせ》

ワクチンの組成は去年まで、Aソ連型(H1N1)とA香港型(H3N2)、それにB型を加えた3種混合ワクチンでした。ちなみに去年のワクチン製造のもととなったウイルスは次の通りです。ワクチンのもとになるので「株(かぶ)」と呼びます。

【 A型株 】  
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09
A/ニューヨーク/39/2012(Xー233A)(H3N2)
【 B型株 】  
B/マサチューセッツ/2/2012(BXー51B)

それでは今年のワクチン株はどうなっているでしょうか?

【 A型株 】  
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09
A/スイス/9715293/2013(NIBー88)(H3N2)
【 B型株 】  
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/テキサス/2/2013(ビクトリア系統)

ありゃりゃ?!
B型株が2種類に増えて四種混合ワクチンになっていますね。
その理由をご説明いたします。

従来のインフルエンザワクチンはA型に対してはそこそこの効果が期待できても、B型に対する効果はあまり期待できないというのが通説でした。B型インフルエンザウイルスにはA型のようにH1N5とかH3N2といった明確な違いがないので、とにかくB型という形でワクチンが作られていてB型インフルエンザウイルスの微妙な違いに対応できていなかったためと考えられます。

ところが近年B型インフルエンザウイルスの中でも、上に示したように「山形系統」と「ビクトリア系統」という群が混合で流行していることがわかってきました。それで2つの群のウイルス株を素に四種混合ワクチンを作ることになったというわけです。

今シーズンからはB型インフルエンザに対しても効果が期待できるようになることを期待しています。

ところで、ワクチン株が増えた分、接種量(注射の量)も増えるのでしょうか?

接種量は変わりません。
DPT三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンが加わって四種混合ワクチンになった時も、接種量はDPTの時と同じ0.5mlでした。でも、不活化ポリオワクチンを単独で接種する時は、単独であるにもかかわらず0.5mlを注射します。

え〜〜〜っ!どおしてぇ〜〜〜?

ワクチンの効果というのは、接種量の中に含まれる抗原物質の量で決まります。抗原物質が多く含まれた(濃い)ワクチンなら接種量は少なくてすみます。三種混合から四種混合にした時、それぞれのウイルス株を濃いめにすれば接種量全体を増やさなくてすみます。

といえば話は簡単なのですが、実際はもっと複雑な理由があります。それは余りにも専門的なのでここではお話ししません。とりあえずは上のような理由で接種量は変わらないのだと思っていてください。

(ホームページにもう少し詳しい内容を掲載しました)


《インフルエンザワクチンの接種量》

というわけで、インフルエンザワクチンの接種量を復習しておきましょう。

   ◎生後6か月以上3歳未満は0.25mLを2〜4週間隔で2回接種
   
   ◎3歳以上13歳未満は0.5mLを2〜4週間隔で2回接種

   ◎13歳以上のすべての年齢0.5mLを1回または2回接種
   (13歳以上の2回接種は希望者のみで2回接種の場合間隔は1〜4週)


以上です。


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2015年05月06日

1歳の誕生日からの予防接種スケジュール

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昨年10月から水痘ワクチンが定期接種化され、1歳のお誕生日から接種すべきワクチンが1つ増えるました。

 ところが、1歳から2歳の間というのは、元々接種すべきワクチンがたくさんありました。そこに水痘ワクチンを割り込ませるわけですから、スケジュールづくりにはけっこう頭を使わなければなりません。

 そこで、予防接種講座恒例の交通整理をしてみようと思います。あくまでも交通整理ですから、このスケジュール通りでなければいけないというわけではありません。いつも申し上げている通りです。


《1歳からの予防接種》

1歳のお誕生日から接種可能なワクチン(定期接種のみ)は次の通りです。

■ MR1期(麻疹風疹混合)
    2期(2回目は5・6歳で)
■ 水痘(水ぼうそう)1回目
    3歳までに2回接種
■ 肺炎球菌追加
    1歳から1歳3か月の間
■ ヒブ追加
    3回目接種後7か月〜13か月

*任意接種(有料)になりますが、おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンも1歳のお誕生日から接種可能になります。


《MRを優先する接種スケジュール》

こども診療所では、MR1期ワクチン」の接種を最優先(1歳になったらなるべく早く)でお勧めしています。
そのような前提での接種スケジュールは次の中から選んでください。

1−1)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

1−2)まずMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

1−3)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

1−4)MR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
  その4週間後に肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
(MR1期と水痘を同時に、そして肺炎球菌とヒブを同時に接種する方法です)

1−5)MR1期と水痘1回目と肺炎球菌とヒブの追加を同時接種
(すべてのワクチンを同時に接種する方法です)


《肺炎球菌とヒブを優先する接種スケジュール》

こども診療所ではMR1期の接種を最優先でお勧めしていますので、上記の1)〜5)の接種スケジュールがこども診療所の基本接種スケジュールとなりますが、肺炎球菌とヒブの追加を優先する接種スケジュールも不可能ではありません。

2−1)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(すべてのワクチンを別々に接種する方法です)

2−2)まず肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その4週間後にMR1期ワクチンを接種
  その4週間後に水痘ワクチン1回目を接種
(肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを同時に接種する方法です)

2−3)まず肺炎球菌ワクチン追加を接種
  その1週間後にヒブワクチン追加を接種
  その4週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(MR1期ワクチンと水痘ワクチンを同時に接種する方法です)

2−4)肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの追加を同時接種
  その1週間後にMR1期ワクチンと水痘ワクチン1回目を同時接種
(肺炎球菌とヒブを同時に、そしてMR1期と水痘を同時に接種する方法です)

肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンは不活化ワクチンですので、接種後1週間でほかのワクチンを接種することができます。MRワクチンと水痘ワクチンは生ワクチンですので、接種後4週間はほかのワクチンを接種することができません。なるべく短期間で接種を済まそうという効率主義で考えれば不活化ワクチンを先に接種したほうがずっと効率的です。

でも、予防接種を効率だけで考えるのは危険です。


《こども診療所がMRワクチンを優先する理由》

肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンや4種混合ワクチンは3回の接種が済んだあとそれぞれ一定の期間を置いて追加の接種を行うことになっています。

追加接種は以前に接種したワクチンの効果がなくなったから行うのではありません。まだ免疫効果が十分ある間に追加を接種して効果をより強くより長く効かせようとするものです。

ところが、MRワクチンに含まれる麻疹(はしか)の免疫は、生まれた時にはお母さんのおなかの中でで受け取った分で十分なのですが、生後6か月ごろからだんだん弱まって、1歳の誕生日を迎えるころにはすっかりなくなってしまいます。

麻疹(はしか)は現在日本のこどもたちを脅かす可能性のある病気としては最重症に分類される怖い病気です。

肺炎球菌やヒブ菌による感染症も怖い病気であることに変わりはありませんが、1歳になった時の予防接種の順序としては、まだまだ十分に免疫効果のある病気(肺炎球菌やヒブ菌)よりは、免疫のなくなってしまった病気(はしか)を優先するのは当然だと思いませんか?

でも、こうおっしゃる方もいらっしゃいます。
「不活化ワクチンの後は1週間で生ワクチンを接種できるのだから、肺炎球菌とヒブ菌を先にやってもいいんじゃないの?」
おっしゃる通りです。でも、その1週間の間にはしかにかからないという保証、私には絶対できません。


《接種スケジュールの選び方》

交通整理といいながらスケジュールの候補が9種類もあるのでは、どれを選べばいいのかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

選び方のヒントを差し上げます。

9種類とはいっても、子ども診療所ででお勧めしているのはMR1期を優先する5種類だけですから、その中で考えることにしましょう。

こども診療所ではもともと同時接種は1日2種類までを基本としています。ご希望があれば3種類でも4種類でも接種は行いますが、こちらからお勧めすることはありません。ですからスケジュール1−5)はお勧めスケジュールからは外れることになります。

残り4種類は、すべて別々に接種するか、同時接種を組み合わせるかという選択になります。

別々に接種すると、通院回数は増えますが、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりやすくなります。

同時接種を組み合わせると、通院回数は減りますが、ワクチンの種類が多くなればなるほど、副反応が出た時の原因ワクチンがわかりにくくなります。

どちらを優先するかが選択のポイントです。


《2歳になるまでに受けるその他の予防接種》

1歳になったらまずは今まで述べてきた4種類のワクチン接種を済ませましょう。

そのあとで2歳になるまでに接種するワクチンは次のようになります。

■ 水痘(水ぼうそう)ワクチン2回目
    1回目の接種から6か月〜12か月の間
    1回目の接種時期によって2歳を過ぎることがあります
    3歳までに2回終了させます

■ 4種混合ワクチン追加
    初回接種の3回目終了後1年〜1年6か月の間
    3回目の終了時期によって2歳を過ぎることがあります

■ おたふくかぜ(ムンプス)ワクチン
    定期接種ではありませんので(任意接種)有料となります
    1歳の誕生日から接種可能です
    集団生活(保育園など)に入るお子さんは早めの接種をお勧めしますが
    予定がなければ2歳過ぎの接種でもよいでしょう
    2歳前のお子さんのおたふくかぜはとても少ないのです
                   (ないとはいいません)
    おたふくかぜの接種は任意ですので
    受けるかどうかはご自分でお決めください   

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2014年11月12日

痛くない注射の秘密(課外編)

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 どんなに工夫をしても、注射が注射である限り、皮膚に針を刺すという宿命から逃れることはできないわけで、全く痛みがないというわけにはいきません。それに、痛みの感じ方は個人差がとても大きいので、ちょっとでも痛いと泣いてしまう子もいれば、相当痛くてもせせら笑っている子もいます。

 また、注射の痛みには、針を刺すことの痛みだけではなく、いくつかの要因があります。今回は痛くない注射の課外授業編として、その辺のところをお話ししてみます。

 まずは注射液(ワクチンなど)そのものによって起こる痛みです。注射液には酸性・アルカリ性の度合い(pH)とか、浸透圧とか、濃度とか、粘調度とか、液体であるが故に持っている物理化学的な性質があります。

 人間のからだも70%は水分ですから、液体としての性質を持っています。注射液の物理化学的性質と人間の体液の物理化学的性質が同じであればその液体が体内に入ってもそれほど痛みは感じません。

 一般的にいえば、不活化ワクチン(四種混合やインフルエンザなど)のほうが生ワクチン(MR、水痘、おたふくかぜなど)より、痛みが強いようです。特に肺炎球菌ワクチンは針の痛みよりワクチンがしみこむときの痛みが強く、たいていのお子さんは注射針を抜いてから泣き出します。お子さんを泣かさずに肺炎球菌ワクチンを注射し終えたときは「やったね!」という気分です。

 次は痛みに対する恐怖心です。

 痛みに対するというより、注射そのものに対する恐怖心は3歳以上の年齢にならないと湧いてきません。「痛くないから大丈夫」とか「この注射すると病気にならないよ」とか言ってごまかそうとしてもなかなか恐怖心を消し去ることはできません。

 恐怖がなくなるのは注射が終わったときです。そこで私は色々説得を試みるより、無理矢理でも注射をすませてしまうという方法を選んでいます。普段の診察の時はお子さんのいうことを辛抱強く聞くようにしていますが、注射の時ばかりは、ほとんど暴力的な医者に変身します。

 それから、赤ちゃんと上のお子さんが同じ日に注射(予防接種)を受けるときには、上のお子さんを先にするようにもしています。赤ちゃんの注射を見ている間に恐怖心をさらに募らせることになってしまうからです。ときどき「下の子は注射のこともよくわからないから先にお願いします」というご要望もありますが、わからないからこそ見ていても平気なのだと考えています。

 とまあ、色々工夫をしながら「痛くない注射」を目指しているわけですが、それでも注射ってやなもんですよね。昔、病院勤めの頃、病院全体の職員健診の責任者となったときなんか、採血されるのがいやで逃げ回っていて、「責任者がそれでは困ります」とお叱りを受けたことがありましたっけ・・・。



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2014年11月05日

痛くない注射の秘密(実践編)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 昔はちょっと病気が重くなるとすぐに注射をしたものですが、最近は重症の脱水とか吸入だけでは治まらない喘息発作とかのケースで点滴をする以外は、あまり注射をすることはなくなってきています。こどもの注射といえば予防接種ぐらいなものでしょう。

syringe2.jpg 注射の話とパスカルの原理と、いったい何の関係があるの?とお思いでしょうが、右の写真をご覧ください。いろんな注射器が並んでいますが、どれも皆ピストンなんですね。ピストンである注射器にも当然パスカルの原理は応用できるわけで、私はそこから痛くない注射を考え出したのです。

 でも、愛育幼稚園の園児達にお褒めの言葉をいただいた頃はまだパスカルの原理に気づいていませんでした。その当時の私の痛みを和らげる方法というのは、まず針を刺すときに皮膚を指で強くつまんで痛みを与え、気持ちがその痛みの方に向いている間に一瞬のうち(早ければ早い程よい)に注射をすませてしまうという方法だけでした。これは現在でも使っています。けっこう有効です。

 もう一つの方法は注射をする部位です。この場所は、一般的に予防接種の注射をする部位(腕の斜め後ろ)とほとんど変わらないのですが、私の場合そこよりもやや後ろの、肉が一番タプタプしているところに注射をします。これも現在使用中で有効です。

 そしてこれにパスカルの原理を加えた方法が加わってさらに私の注射は痛くなくなりました。ヒントを与えてくれたのは愛育病院小児科で私と一緒に働いていた若い女医さんでした。

 その当時愛育病院では上の写真の左から2番目、2.5ml用の注射器に23ゲージという太さの針をつけて注射を行っていました。ある時その女医さんが、「もっと細い針を使ったほうが痛みが少ないのではないか?」と疑問を投げかけてきたのです。なるほどと思って25ゲージという、もう一段階細い針で試してみました。確かに針を刺したときの痛みは細い針のほうが少ないようでしたが、針が細い分注射の時間がかかるし、力も必要なのでけっこう疲れるのです。一瞬のうちに注射をすますという私のやり方とは合わないようでした。それで私はまた元の太さの針にもどしてしまったのですが、「細い針のほうが痛みが少ない(かもしれない)」という思いは頭のどこかに残っていたのです。

 パスカルの原理に気づいたのは、私がこども診療所を開設してから。女医さんからの疑問の約5年後のことでした。

pascal_gojira_01.gif 小さなピストンで、大きなピストンに乗せた重い物(ゴジラ)を少ない力で持ち上げるというパスカルの原理ですが、注射というのはこれの逆だと気づいたのです。針の部分を小さなピストンと考えれば、液を押し込む注射器の部分は大きなピストンに当たります。大きなピストンのほうに力を加えるわけですから、注射器の直径と針の直径の差が大きければ大きいほど、必要な力は大きくなるのです。

 細い針のほうが痛みが少ないというのであれば、針を細くした分、あるいはそれ以上に注射器を細くしなければいけなかったのです。愛育病院では同じ注射器で針だけ細くしていました。だから力が必要で疲れてしまったのです。

syringe.jpg そこで私は、現在日本で使われている注射器の中では一番細いヤツ、上の写真の一番左の注射器に、愛育病院で試した25ゲージよりさらに細い26ゲージの針をつけて試してみました(写真右)。結果は良好でした。軽い力で短時間のうちに液を注射することができました。針の痛みも少ないようでした。

 ところが、何事もそう簡単には完成しないもので、同じ量の液を注射する場合、注射器が細くなればなるほど、液を押し込むピストンは長い距離を移動させなければならないのです。その間に注射器がぶれたりすると、針も皮膚の下でぶれるわけですから、その痛みたるや太い針の痛み以上のものになってしまいます。

 でも、解決法はわりと簡単でした。ピストンが動いている間針がぶれないように、注射をする部位と注射器をしっかりと固定するということです。もちろん私の技術力が問われるところですが、私はさらに一工夫して、注射を受けるお子さんをお母さん(保護者の方)だけに押さえていただくことにしたのです。

 注射のときにお子さんが泣くのは、注射の痛みもさることながら、他人に抑えこまれることへの恐怖感が大きいのです。押さえているのがお母さん(保護者)であればこの恐怖感を和らげることができ、ひいてはお子さんの動きも少なくなると考えたのです。そして結果はその通りでした。

 そこで、次の段階として、ほとんどマニュアル的にしっかりと押さえていただける方法を考え出しました。「こうやって、こうやって、こうやって、はい、そのまましっかり固まっててください」というだけでしっかりと固定のできる形(体位とでもいいましょうか)です。え?その体位を説明しろですって?それは企業秘密です。お出でいただけば一目瞭然です。

 こうしてこども診療所の痛くない注射は完成しました。ある時、それまで他の小児科で予防接種を受けていたお子さんがこども診療所で予防接種を受けられました。お母さんが「ここは予防接種なのに静かですね。前のところはこども達の泣き声が響き渡っていました。」とほめてくださいました。



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2014年10月29日

痛くない注射の秘密(予告編)

vaccine.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 インフルエンザの予防接種は今が真っ盛りで、こども診療所でも毎日たくさんのお子さんが「こわいよ〜」、「いたいよ〜」と泣いています。

 針を刺すのですからある程度痛いのはしかたないのですが、私の予防注射が痛くないのは昔から有名です。ひとつ20年ほど昔の自慢話をさせてください。

 現在ではすべての予防接種がかかりつけ医のところで受ける個別接種になっていますが、20年前の頃はまだいくつかの予防接種は幼稚園や保育園、あるいは小中学校で集団接種として行われていました。

 私は当時勤めていた愛育病院の小児科部長という立場上、愛育幼稚園の園医も兼務していましたので、年に何回か園児達に予防注射をしていました。その頃私はすでに「痛くない注射」の極意をある程度極めていましたから、注射で泣く子はほとんどいませんでした。卒園式の感謝の言葉では「痛くない予防注射をありがとう」と、園児達からお褒めの言葉を頂戴しました。

 ある年の一学期、その春卒園して小学校に入った女の子から一通の手紙が届きました。多分ツベルクリン検査のことだと思いますが、「今度学校で予防注射があります。先生の予防注射は痛くないので、私は先生に来て注射してもらいたいです」と、目頭が熱くなるような内容でした。私は「先生は愛育幼稚園の先生だから愛育幼稚園の子にしか注射できません。もう小学生だし、先生の注射で頑張れたんだから、学校の先生の注射でも頑張れるはずです。」と返事を出しました。しばらくしてその子からまた手紙が届き、「先生の注射より痛くありませんでした。」だって・・・。

 ガクッもうやだ〜(悲しい顔)

 でもツベルクリン検査とワクチン注射じゃ、痛みが違って当たり前です。その子にしてみれば私以外にも痛くない注射をする医者がいると思えるようになったことを喜びました。

 自慢話の次は理科のお勉強です。

pascal_gojira_01.gif

(体重1000Kgの重さのゴジラが断面積Bのピストンの上に載り、Pの圧力で浮いているとする、この時の圧力Pは(1000 / B) である。
 同じPという圧力が断面積Aの容器側に伝えられ、このAの断面積がBの1/2とした場合Pは一定である為、ゴジラを押し上げる力は500Kgの力があればよいということになる。
 逆の見方をすれば、小さな断面積Aの油圧ジャッキで重たい物を持ち上げたい場合は伝達する相手側に断面積Bの大きな油圧ピストンを用意すればよいということになる。)

pascal.jpg 皆さんはてこの原理というのをご存じですね。小さな力で重いものを動かす方法の説明に使われます。上に示した油圧ジャッキの話は、てこの原理の圧力版ともいえるもので、パスカルの原理というのを応用しています。

 パスカルというのはあの「人間は一本の葦にすぎない。自然のうちで最もひ弱い葦にすぎない。しかし、それは考える葦である。」(パスカル「パンセ」より)で有名な哲学者・思想家です。でも彼は多方面に天才ぶりを発揮して、数学(幾何学にパスカルの定理というのがあります)や物理学でも素晴らしい業績を残しています。

 圧力に関するこのパスカルの原理は重工業など実際面で油圧ジャッキ、アクチュエーター、油圧フォーク・リフトなどに幅広く応用され、圧力に関しての基本的な原理となっています。その他にも圧力に関係する言葉としては、気圧をあらわすヘクトパスカルという単位にも彼の名前が使われています。

syringe2.jpg 注射の話とパスカルの原理と、いったい何の関係があるの?とお思いでしょうが、右の写真をご覧ください。いろんな注射器が並んでいますが、どれも皆ピストンなんですね。ピストンである注射器にも当然パスカルの原理は応用できるわけで、私はそこから痛くない注射を考え出したのです。

 今週は予告編です。痛くない注射の実践編は来週お送りします。お楽しみに!



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2014年09月26日

2歳8か月以上のお子さんの水痘予防接種

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 今日は水曜日ではありませんが、来週の水曜日まで待っていると、インフルエンザの予防接種も水痘ワクチンの定期接種も始まってしまいますので、臨時増刊号です。

 9月17日の「インフルと水痘どっちが先?」という記事の中で、年内3か月の間に3歳の誕生日を迎える、あるいは5歳の誕生日を迎えるお子さんの接種の順番について、「特例」による接種のことに触れましたが、この「特例」の対象となるお子さんにはかなりの制限があるということがわかりました。

 それで、現在2歳8か月以上のお子さんで水痘の接種票が郵送されてきたお子さんはとにかくすぐに1回は水痘ワクチンの接種を受けてください。

 そのあとのことは1回目の接種のときご相談させていただきます。


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2014年09月17日

予防接種:インフルと水痘どっちが先?

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 水痘ワクチンの定期接種化については再三再四お伝えしています。そしてそれが10月1日から開始されることも・・・。ところが10月1日というのはインフルエンザワクチン接種の解禁日でもあります。

 こども診療所では今年のインフルエンザ予防接種は水痘ワクチンの定期接種化の日と同じ10月1日(水)から開始の予定です。予約は9月24日(水)から受け付けます。

 今日のお話のタイトルは「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」です。予防接種講座恒例の交通整理です。

 一般的にいえば、病気の発生頻度や季節的なことを考えて、当然インフルが先になります。でも、インフルエンザの予防接種を先にしてしまうと、定期接種としての水痘ワクチン接種(無料)を受けられなくなってしまうお子さんがいらっしゃるのです。

 それで、どんなお子さんが水痘ワクチンの接種を優先させたほうがよいかの道しるべをお示ししようと思います。ただし、すでに水ぼうそうにかかってしまったお子さんは定期接種の対象になりませんので、インフルエンザの接種を優先(当たり前ですよね、それしかないんだから・・・)させてください。

 また、インフルエンザの予防接種は生後6か月から受けることができます。水痘の予防接種は1歳からです。インフルエンザの予防接種は大体10・11・12月の年内3か月間に行われますから、年内に1歳にならないお子さんは(もし受けるのであれば)インフルエンザしか選択肢はありません。

 水痘ワクチンの定期接種の対象年齢は1歳から3歳です。平成26年度(平成27年3月31日まで)に限って、3歳から5歳まで特例として接種を受けることができます。つまり今年度に限っていえば1歳から5歳までのお子さんが定期接種の対象になりうるということです。

 その中で、接種の順番が問題になるのは、10月から12月の年内3か月の間に1歳の誕生日を迎えるお子さんと、その3か月の間に定期接種の対象年齢を超えてしまうお子さんです。

 年内とは申しましたが、年明けの1週間は医療機関が正月休みで予防接種を受けられないことも考えられますから、以下「年内3か月」と書いてあっても、「来年の1月7日まで」と読み替えてください。

 対象年齢を超えてしまうお子さんのうち、年内3か月の間に3歳に達してしまうお子さんで、まだ一度も水痘ワクチンの接種受けたことがないお子さんと、任意接種で1回接種を受けたことのあるお子さんでは条件が変わってきます。年内3か月で5歳に達してしまうお子さんで、任意接種ですでに水痘ワクチンの1回接種が済んでいるお子さんは定期接種の対象外です。まだ一度も接種を受けていないお子さんは順番を考えなくてはいけません。

 ところで、この年齢のお子さんがインフルエンザの予防接種を受ける場合、接種量は年齢によって違ってきますが、接種間隔でいえば全員が2回接種で接種間隔は2〜4週間となります。また、インフルエンザワクチンを接種したあとは、インフルエンザ以外のワクチンは1週間後から接種することができます。しかし、水痘ワクチンは生ワクチンですから、接種後4週間は他のワクチンを接種することができません。

 これを踏まえて2つのワクチンを同じ時期に接種する方法としては次のようなスケジュールが考えられます。
(1)インフルエンザの2回接種を済ませてから1週間後以降水痘を接種する
(2)インフルエンザの1回目接種後1週間で水痘を接種する
(3)水痘を先に接種してから4週間後にインフルエンザの接種を開始する
(4)インフルエンザの1回目と水痘を同時接種にする
(5)インフルエンザの2回目と水痘を同時に接種する

これらのうち(2)はお勧めできません。というのは、水痘ワクチン接種後は4週間すべてのワクチン接種ができないからです。ジャスト4週間後にインフルエンザの2回目を接種したとしても、インフルエンザワクチンの接種間隔は5週間になってしまうからです。でもどうしてもそうせざるを得ない場合は、絶対ダメというわけではありません。

 では、それぞれの年齢について交通整理をしていきましょう。
(i) 年内3か月の間に1歳のお誕生日を迎えるお子さん
 1歳になったらすぐ水痘ワクチンと思われるかもしれませんが、受けるのだったらインフルエンザワクチンを2回済ましてからにしましょう。インフルエンザの1回目か2回目に水痘ワクチンを同時接種することも可能ですが、それほどあせって水痘ワクチンを接種する必要はないと考えます。

(ii) 年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん
 とにかく3歳にならないうちに水痘ワクチンの1回目を接種してください。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても3歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。
水痘ワクチンについては、今年度に限っては特例がありますので、2回目の接種が3歳を超えても2回目の接種票を使って2回目の接種を受けることができます。

(iii)年内3か月の間に3歳を超えてしまうお子さんで一度だけ水痘ワクチンの接種を受けているお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 今年度に限っては特例がありますので、来年の3月31日まで水痘ワクチン接種を1回だけ受けることができます。インフルエンザを優先させることをお勧めします。

(iv)年内3か月の間に5歳を超えてしまうお子さんで一度も水痘ワクチンの接種を受けていないお子さん(この中には外国などで、3か月未満の間隔で2回接種を受けたお子さんも含まれます)
 とにかく5歳にならないうちに水痘ワクチンを接種してください。この年齢のお子さんは水痘ワクチンは1回だけの接種です。インフルエンザを4週間隔で2回接種しても5歳までに1週間以上余裕のあるお子さんはインフルエンザ優先でもいいでしょう。

 以上です。参考になさってください。

 なお、このようなスケジュールは今年度限りです。来年度は特例がなくなりますが、水痘ワクチンの接種は年間を通じて行われますので、時間的余裕は十分にあります。受けるべき時に受けるべきワクチンを受けるという考え方でよろしいと思います。


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2014年09月10日

水痘ワクチンについて

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。


 水痘ワクチンが10月1日から定期接種化されること、そしてそれはどのように実施されるかという制度的なことについては、ホームページの「トピックス」で具体的に詳しくご説明いたしました。

 また、水痘(水ぼうそう)がどんな病気かというおさらいは、一昨日の医学講座でスタートいたしました。

 そこで今日は、水ぼうそうにかからないようにする水痘ワクチンについて勉強してみましょう。

    《水痘ワクチンって?》

水痘ワクチンは1974年に日本で開発された、日本で唯一の水ぼうそう予防のための生ワクチンです。このワクチンは岡クンという男の子が水ぼうそうにかかった時に採取されたウイルスを基に作られたので、「岡株」と呼ばれています。

岡株は水痘ワクチンを製造するのにふさわしい唯一の株としてWHOに承認されています。いま世界中で使われているすべての水痘ワクチンが岡株から作られています。

水痘ワクチンは1986年に製造販売の承認を受け、1987年から販売が開始されました。当初このワクチンは白血病や重症の腎臓病など、水ぼうそうにかかると生命の危険が大きい病気にかかっているリスクの高い小児を対象に接種が行われていました。

もともと重い病気のお子さんですから、ワクチン接種の副反応が重いともとの病気そのものが悪化しかねません。ですから、このワクチンは副反応の心配がほとんどない、現在我が国で使用されているワクチンの中で最も安全なワクチンと言っていいと思います。

その反面、免疫効果の持続という点では同じ生ワクチンである麻疹ワクチンや風疹ワクチンより少し劣ります。そのため、ワクチンを接種したのに水ぼうそうにかかってしまったということが時々見られます。

欧米各国では、遅くとも2000年代前半には水痘ワクチンは定期接種として導入されましたが、我が国ではずっと任意接種のままでした。10月1日からやっと定期接種に導入されることは再三お伝えしているところです。

    《水痘ワクチンの接種回数》

我が国より早く水痘ワクチンの定期接種を始めた欧米各国でも、当初接種回数は1回だけでした。しかし現在では2回接種が常識になっています。1回接種では発病を完全には防げないからです。

我が国では、水痘ワクチンの有効性と2回接種の必要性はかなり前から確認されていましたが、政策として現場に反映されることはありませんでした。しかもかなり高価なワクチンですから、医者のほうも「接種してもかかってしまうことがあります」とまでは言えても、「2回接種すればほぼ確実に発病を予防することができます」とは言いにくい面がありました。

我が国の調査では、水痘ワクチン1回接種後に水ぼうそうにかかってしまう方の割合は約15%と言われています。そして、症状的にはワクチン接種を受けなかった場合に比べて軽症で終わる場合が多いということもよく知られていました。

それで我々医者たちは「接種してもかかっちゃうかもしれないんだけど、軽く済むからまあ我慢してね」とか何とか言って1回接種を続けてきました。

欧米各国に比べて日本では予防接種によって病気そのものを撲滅してしまおうという発想が国民にも行政にもあまりなかったということが言えます。「ワクチンによって防げる病気からこども達を守ろう」という発想です。「守る」というのは極端に言えば「命を守る」ことで、「かかっても軽く済むなら…」というのが日本人的感覚だったこともあります。

今回の定期化にあたって、始めから2回接種でスタートすることは、世界の潮流とはいえ日本の予防接種行政もそれなりに進歩したと評価してもいいのではないでしょうか。

    《2回接種の間隔》

ところで、水痘ワクチンと同じ生ワクチンで、接種開始時期(1歳の誕生日から)も同じMR(麻疹風疹混合)ワクチンも2回接種です。でも、1回目の接種と2回目の接種の間隔は4〜5年となっています。水痘ワクチンの接種間隔は標準で6か月〜12か月(最低3か月)です。ずいぶん違いますね。

この大きな違いの理由はどこにあるのでしょうか?

数年前に高校生や大学生の間で麻疹(はしか)の大流行があったことはまだ記憶にあると思います。その時の高校生や大学生が子どもだったころ麻疹ワクチン(単独だった)の接種は1回だけでした。そしてその当時は「麻疹ワクチンは生ワクチンだから接種後体内でゆっくりと増殖するので免疫は一生持続する」と言われていました。

でも免疫が一生持続しないことは事実として突きつけられてしまったのですね。そこで、麻疹ワクチンを2回接種することになり、その間隔をどうするかが議論されました。でも、数年前の大流行の中心が10代後半以降の青少年だったということは、1回接種の後約10年程度は免疫があると考えてもいいということだと思います。そこで、麻疹単独ではないMRワクチンの2回目の接種は小学校入学前の1年間(5歳〜6歳)ということになりました。

一方、水痘ワクチンではどうかと言いますと、アメリカでは日本のMRワクチン(アメリカではおたふくかぜワクチンも入ったMMRワクチン)と同じように、水痘ワクチンの2回目の接種は4〜6歳で、これは1回目に獲得した免疫がなくならないうちに2回目の接種を行うという考え方です。

ところがドイツでは、1回目を1歳になってすぐ接種したら、2回目は1歳3か月から2歳未満の間に接種することになっています。間隔は最低4〜6週とされています。こちらは10月1日から実施される日本の定期接種の間隔に似ていますが、間隔は最低3か月としている日本よりももっと短いですね。

ドイツと日本の接種間隔が短い理由を説明します。

水痘ワクチンは、1回目の接種で体内に十分な免疫(抗体)が作られないことが他のワクチンよりやや高率であります。ワクチンを接種したのに水痘にかかってしまうことがあるのは、このことが大きな理由になっています。「免疫があるのにかかる」のではなく「免疫がないからかかる」という当たり前のことが起こってしまうのです。

しかもドイツでは水ぼうそう罹患のピークが1歳〜4歳と低いので、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことが必要になっています。2回目の接種を行うことで十分な免疫が作られ、発病をほぼ100%予防することができます。

日本では水ぼうそう罹患のピークは以前は4〜5歳でしたが、乳児保育の増加によって低年齢児の発病が増加しています。ですから事情はドイツに似ていて、1回目の接種で十分な免疫が作れなかったこども達に早めに2回目の接種を行うことで十分な免疫を与え、発病をほぼ100%予防しようという戦略です。

水痘ワクチンについてのお勉強、いかがでしたか?
水痘ワクチンの理解を深めていただけたものと思いますが、接種時期について疑問をお持ちの方も多いと思います。なぜなら、1歳というのは、MRワクチン、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの追加などと、ワクチンラッシュのときでもあります。

ましてや今年の定期接種化の時期はインフルエンザ予防接種の開始時期と重なっていますから、ますます複雑です。

そこで来週以降の予防接種講座では「予防接種:インフルと水痘どっちが先?」というお話と「1歳の誕生日からの予防接種スケジュール」というお話でいつもの交通整理をしてみたいと思います。どうぞお楽しみに。




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2014年09月03日

水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期接種化

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今まで任意接種(有料)だった水痘の予防接種が、10月1日から定期接種に追加されることになりました。これにより10月1日以降、接種対象となるお子さんは水痘ワクチンを無料で接種できることになります。

 このたび実施の詳細が発表されましたのでお知らせいたします。

(1)対象者:
生後12か月から生後36か月に至るまで(1歳以上3歳未満)の間にある者(標準では生後12か月から15か月の間)。
(2)接種方法:
乾燥弱毒生水痘ワクチン1回0.5mLを3か月以上(標準では6か月から12か月)の間隔をおいて2回皮下に注射する。
(3)既接種者の取扱い:
@平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月以上の間隔をおいて乾燥弱毒生水痘ワクチンを2回接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。
A平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に乾燥弱毒生水痘ワクチンを1回接種した者は、当該定期接種を1回受けたものとみなす。
B平成26年10月1日より前に、生後12か月以降に3か月未満の期間内に2回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を1回受けたものとみなす。この場合は生後12か月以降の初めての接種から3か月以上の間隔をおいて1回の接種を行う。
(4)経過措置:
平成26年度(平成27年3月31日まで)に限り、生後36か月から生後60か月に至る者は1回接種する。ただし、生後12か月以降に1回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできない。

例によってお役所言葉の連続で簡単には理解できないと思いますが、江戸川区で実施方法などの詳細が近々はっきりすると思いますので、そのあとでわかりやすく解説を加えながら説明したいと思います。

今日のところは厚生労働省からのお達しをそのままお伝えいたします。


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2014年01月29日

BCG接種の個別化(2)

inj.jpg 曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 今週はこども診療所でのお勧めBCG接種時期についてのお話です。こども診療所ではすでに1月からBCGの個別接種を行っていますので参考になさって予約をして下さい。

 具体的な接種日などは後ほどご説明するとしてまずは、BCGについての一般的な予備知識を・・・。

 BCGはご承知のように結核を予防するワクチンです。結核菌を何代も何代も培養を続けて、ほとんど毒性がなくなった生きた結核菌(その名前の略がBCGというのです)を皮膚に植え付けます。この方法は日本独自のもので、BCG接種を行っている諸外国では注射による接種が行われています。

 ちなみに、BCGのBは細菌という意味のフランス語の頭文字、CとGはこの菌を作った2人のフランス人のお医者さんの名前の頭文字です。

 日本での方法を「管針法」と呼んでいますが、この方法は注射よりも接種した部位の副反応が少ないというメリットがある反面、たくさんの小さな接種痕が大人になっても残るので、外国人からは奇異の目で見られることもあります。

 だからといってなるべく目立たない部位に接種することは出来ません。決められた部位(上腕の外側)以外の場所に接種するとケロイドになったり、感染を起こしたりする危険性があるからです。

 現在BCGの接種は、生後3か月から1歳までの間に1回接種することになっています。この期間内でしたら定期接種として無料で接種を受けることが出来ます。この期間外は任意接種として有料になりますが、有効性と安全性を考えると生後3か月以前と1歳以降の接種は全くお勧めできません。必ず定期接種の期間内に接種を済ませてください。

 生後3か月から1歳までの中でも、生後5か月から8か月の間というのが標準的な接種期間として推奨されています。この期間内には6・7か月健診という全員が受けるべき健診が入っています。

 そこでこども診療所のお勧め接種時期は6・7か月健診の時に一緒にBCGを受けましょうということになります。

 「6か月健診まで待っても大丈夫?」とご心配な方には「大丈夫ですよ」としか申し上げようがありません。

 世の中「予防接種!予防接種!」と大騒ぎで保護者の皆さんをせき立てていますが、「ロタウイルスワクチン」の記事でもお話ししたように、現実はそんなに切羽詰まったものでもないのです。「自分は追い立てられていないか?」もう一度考え直して、それでも心配だとおっしゃる方は申し訳ありませんがこども診療所以外の医療機関で接種を受けて下さい。こども診療所では6・7か月健診の日にBCGの接種を受けるのがベストだと信じています。

 では、現在すでに8か月以上になっていてまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 世の中うまく出来ているもので、9・10か月健診というのがあります。この日に接種を受ければいいのです。

 ではさらに11か月になってしまってもまだBCGの接種を受けていない場合はどうしましょう?

 この場合には致し方ありません。ご予約の際に担当の者にその旨お話し下さい。必ず1歳の誕生日の前の日までに接種を受けられるようにいたします。

 こども診療所での乳幼児健診は毎週金曜日の午後1時30分・1時45分・2時と15分刻みでご予約を承っております。電話(03-5662-5055)でのご予約も可能です。

 予防接種はあせらずじっくり安全確実にexclamation×2




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2014年01月22日

BCG接種の個別化(1)

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 今週はBCG接種についてのお話です。
先週お話ししたように、B型肝炎ワクチンの接種開始時期の確認が終わっておりませんので、全部のワクチンスケジュールはその確認がとれ次第掲載いたします。

 今年の4月から江戸川区ではBCG接種が個別化されます。従来のように健康サポートセンターでの接種ではなく、区内の指定医療機関での接種となります。おとなりの江東区などではすでに個別化が行われています。

 「えっ?1月からもう個別化が始まってるよっ!」と思われる方もいらっしゃると思います。
その通りです。1月から区内のいくつかの医療機関では個別接種が行われています。でもこれは正式スタートではなく、健康サポートセンターでの接種希望者が多くなり混雑がひどいので、それを緩和するための臨時措置なのです。

 それで接種できる医療機関も区内の約30の医療機関に限られています。臨時措置ですから健康サポートセンターでの接種も併行して行われます。接種対象の月齢のお子さんがいらっしゃる方はご都合に合わせて接種会場を選ぶことができますが、指定でない医療機関や江戸川区以外の医療機関では接種できません。

 健康サポートセンターも各指定医療機関もほとんどが予約制になっていると思いますので、事前にお問い合わせの上接種を受けて下さい。

 そしていよいよ4月からは本格的な個別接種がスタートします。

 4月以降健康サポートセンターでの接種はなくなります。

 接種可能な医療機関は約50カ所に増えます。でも他のワクチンのようにどの医療機関でも接種可能というわけではありませんので、指定医療機関をよく確認してから接種を受けるようにして下さい。

 というところで、ではこども診療所での接種はどうなのかという話しはまた来週。


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2014年01月15日

ロタウイルスワクチン(4)

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 今回は接種スケジュールのお話です。こども診療所では3回接種の「ロタテック」を採用しましたから、「ロタウイルスワクチン」に関しては3回接種ということでお話を進めさせていただきます。「ロタリックス」の接種を受ける方は3回目を省いて考えればいいわけですから問題はないと思います。

 具体的なスケジュールの話に入る前に日本小児科学会ご推奨の接種スケジュールに関してちょっと触れます。

 日本小児科学会ご推奨の予防接種スケジュールは同時接種を念頭に置いて作られています。そして接種時期に関しては生後何ヶ月と生後何歳という表現で、生後6週という「週」の文字は、ロタウイルスワクチンの開始可能な時期のところに1回だけ登場します。でも、お勧め接種開始時期は生後2か月です。生後8週からと書かれたスケジュール表もあります。

 生後6週から接種できて、しかも生後24週あるいは32週までにという制限のあるワクチンを、なぜわざわざ2週間以上も遅らせる必要があるのか私には疑問です。

 理由はあると思います。

 一つは、日本人には「週」という単位のとらえ方がまだ馴染みが薄いということです。妊娠についても今ではほとんどの人が「妊娠何週」と言いますが、一昔前までは「妊娠何か月」でした。「月」という単位の方がまだまだ馴染み深いのです。それに今までのワクチンがすべて「生後何ヶ月」と「生後何歳」という表現でしたから、それに合わせたということも考えられます。

 二つ目は、誰が言い出したか知りませんが、「赤ちゃんの2か月はワクチンデビュー」という言葉が有名になりすぎて、「2か月前にデビューするワクチンもあります」と言っても浸透しない恐れがあったこと。意地悪くいえば「生後2か月デビュー」に便乗したのではないかということ。

 三つ目は、生後6週から予防接種を開始するには、産婦人科にお願いして妊娠中から、あるいは遅くとも現在ほとんど産婦人科で行われている生後1か月健診の場で保護者の方にお知らせしないとなかなか皆さんに広く伝わらないのだけれど、産婦人科への働きかけが弱くて十分な宣伝効果が現れていないということ。私にはこれは日本小児科学会の怠慢だと思えます。あるいは医学の世界の縄張り意識かもしれません。でもこの問題はロタウイルスワクチンが任意接種だからで、定期接種に組み込まれれば当然生後6週以前に接種票が送られてくるようになって問題解決につながるだろうとは思っています。

 ま、理由はともあれ、遅くなればなるほど腸重積を起こす懸念が強まるワクチンを、6週から接種できるのにわざわざ8週以降に遅らせるのは許されることではないと思います。でも日本小児科学会ご推奨予防接種スケジュールに従えば現実には接種開始が遅れるわけですから、こういうことも考慮してこども診療所では「ロタテック」を採用したわけです。最終接種まで8週間の余裕がありますからね。

 というところでこども診療所ご推奨の予防接種スケジュールの発表です。パンパカパ〜〜〜ンるんるん

 こども診療所の予防接種スケジュールは「なるべく別々に接種、どうしてもダメな時だけ同時接種」というコンセプトで作られています。

 まず生後6週で「ロタテック」1回目を接種します。4週間たったら「ロタテック」2回目ではなく、ヒブワクチンか肺炎球菌ワクチンのそれぞれ1回目を1週間ごとに接種します。このとき赤ちゃんはワクチンデビュー生後2か月真っ最中です。そしてそのあと1週間たったら、「ロタテック」2回目を接種します。このときロタテック1回目からの間隔は6週間になりますが問題ありません。「4週間以上の間隔をあけて」とは書いてありますが、「4週間たった時に」とは書いてありません。

 「ロタテック」2回目から4週間たったら、「ロタテック」3回目ではなく、ヒブワクチンか肺炎球菌ワクチンのそれぞれ2回目を1週間ごとに接種します。このとき赤ちゃんは生後3か月の後半です。そしてそのあと1週間たったら、DPTとポリオの4種混合1回目を接種します。このとき赤ちゃんは4か月に入っています。4種混合は3か月でのスタートが可能ですから「とにかく早くやりたい」という方は、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチン2回目の前に4種混合を接種することも可能です。ヒブワクチンと肺炎球菌の1回目と2回目の間隔には問題がありません。そしてこの三つのワクチン接種が終わってから1週間後に「ロタテック」3回目を接種します。このときロタテック2回目からの間隔は7週間になりますが問題ありません。「4週間以上の間隔をあけて」とは書いてありますが、「4週間たった時に」とは書いてありません。

 4種混合の1回目をヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの2回目より先にすると、4種混合の3回の終了を2週間早くすることができます。生後6か月に入って約1週間後に3回目の接種を終了させることができ、そのためにBCGの接種を生後6か月の半ばにまで早めることができます。でもその分ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの間隔が厳しくなりますので、こども診療所としてはあまりお勧めではありません。

 さて、「ロタテック」3回目から4週間たったら、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの3回目と4種混合の2回目を1週間ごとに接種します。順番はその前の回に接種した順番になります。このとき赤ちゃんは生後5か月真っ最中です。そして4種混合の2回目のあと4週間たったら、4種混合の3回目を接種します。このとき赤ちゃんは6か月ですが、接種んの順番によっては6か月の前半かあるいは後半と別れます。

 そして残るはBCGです。BCGの接種期間は現在生後3ヶ月から1歳までとなっています。そしてお勧めは生後5か月から8か月の間です。

 江戸川区の場合BCGは平成26年4月から各医療機関での個別接種になります。こども診療所でも接種を受けられるようになります。詳細については後日この予防接種講座に掲載しますが、こども診療所では6・7か月健診か9・10か月健診の日にのみ接種を行います。ですから4種混合ワクチンの3回目が終了して1週間がたてば6・7か月健診とBCGを同じ日に受けることができます。体調不良とかの理由で接種が受けられなかった場合には次の9・10か月健診で受けていただきます。

 先ほどの4種混合を先に接種するという方法を採れば6・7か月健診でBCGの接種を受ける機会は2回増えることになります。でも、9・10か月健診のときにBCGの接種を受けても何の問題もないわけですから、あまり先のことを考えずに、まずはヒブワクチンと肺炎球菌をしっかりと接種することを考えたほうがいいと思います。

 以上で1日に1種類のワクチン接種でも何の問題もなくすべての予防接種を受けられることがはっきりしました。もしこのスケジュール通りに進まなかったら、その時は仕方がないから同時接種を行えばよいのです。何も同時接種を前提としたスケジュールだけが最良だみたいなことを言う必要はないのです。

 確かに予防接種を効率よく進めるのに同時接種は適しています。病院に出向く回数も少なくてすみます。これはに保護者の負担を減らすという意味と病院で病気をうつされる機会を減らすという意味があります。ですが、そもそも病気の子の診察時間に予防接種や健診もやってしまおうという発想がおかしいのであって、先進的な病院ではウェルベビークリニック(健康な赤ちゃんのためのクリニック)といって、予防接種や健診や育児相談などだけを行う部屋や時間帯を設けています。

 そういった場所や時間帯で予防接種を受けるようにすれば、病気をうつされる心配はほとんどありません。病院に行く回数が少なくなっても、赤ちゃんが痛い思いをする回数には変わりがありません。だったら専門家達は昨今のように「同時接種!同時接種!」と大騒ぎするのではなく、多種混合ワクチン(1回の接種でいくつかの病気を予防することができる)の開発にこそ力を注ぐべきだと私には思えるのです。

 というところでロタウイルスワクチン接種に伴う各種予防接種のスケジュールについては一件落着・・・・ではありませんね。B型肝炎ワクチンが残っていました。

 B型肝炎ワクチンの接種開始時期については、今まで生後2か月からとされていましたが、つい最近生直後(生まれてすぐ)からと変わった可能性があります。その辺を確認した上で「接種スケジュールにB型肝炎ワクチンを加えたらどうなるか?」について、次回お話しさせていただきます。

 


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2014年01月08日

ロタウイルスワクチン(3)

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 お正月で間に1週間のお休みが入りましたが、今回はこども診療所が「ロタリックス」ではなくて「ロタテック」を採用した理由についてお話しいたします。

 まずは第1回の時にご覧いただいた「ロタリックス」と「ロタテック」の違い一覧表を再度掲載いたします。下のリンクをクリックしてご覧下さい。

   rota.pdf

 ロタウイルスのどんな血清型に効果を発揮するかという難しい問題は飛ばしまして、接種料金のことも後回しにいたしまして、違いを見ますと、1回の接種量と回数の違い、これは大きいですね。

 「ロタリックス」は1.5mlを2回、「ロタテック」は2.0mlを3回接種(経口接種=飲む)することになっています。

 2回ですむなら2回のほうが早く終わっていいと思いますよね。なんせ生後間もなくから始めなければいけない予防接種の種類が増えましたからね。おまけにロタウイルスワクチン接種後は4週間他のワクチンの接種が出来ないことになっていますから、わざわざ回数の多いワクチンを選ぶのはおかしいと思われるかもしれません。

 もしかしたら金儲けのため?2回接種より3回接種のほうが収入が増えるから?いえいえそんなことはありません。「ロタリックス」は一般的に「ロタテック」より接種料金が高いため、接種が終わった時点では両方とも同じぐらいの金額になってしまいます。

 では次の違いを見てみましょう。

 「ロタリックス」も「ロタテック」も接種開始は生後6週からで同じですが、接種完了が違っています。「ロタリックス」は生後24週までに、「ロタテック」は生後32週までにとなっています。接種回数が多いのだから当然ともいえます。でも私にはこの8週の差はとても大きく感じられます。

 日本小児科学会をはじめいくつかの団体から乳児期のおすすめ予防接種スケジュールが発表されています。これらのほとんどは同時接種を前提としていますし、ほとんどの保護者の方もそういうもんだと思っています。でも中には同時接種に不安や疑問を抱いている方もいらっしゃいますし、何か不都合が生じてスケジュールが狂うことだってあるでしょう。さらには、選択の自由度を高めるという点からも、それぞれのワクチンを別個に接種するスケジュールを考えてもいいんじゃないかと私は考えます。

 そうすると病院に来る回数も増えますし、接種期間は当然長くなります。その時に8週間の余裕があるというのは大きいと思いませんか?

 これがこども診療所で「ロタテック」を採用した第1の理由です。

 それだけ?

 いえいえまだあります。

 こども診療所で「ロタテック」を採用した第2の理由は、接種(ワクチンを飲んだ)直後に吐いてしまったときの対応です。これは経口ワクチンでは常につきまとう問題で、生ポリオワクチンが経口で接種されていた時にも時々判断に苦しむことがありました。すぐに追加するか、あるいはそのままでよいかという判断です。

 「ロタリックス」の添付文書には「接種直後にワクチンの大半を吐き出した場合は、改めて本剤1.5mLを接種させることができる」と書いてあります。曖昧ですよね。「もう1回追加してもいいけどその判断はあなた(医者)がしなさい」ということです。

 「ロタテック」の添付文書の記載は次の通りです。

 「接種直後に本剤を吐き出した場合は、その回の追加接種は行わないこと(臨床試験において検討が行われていない)」

 検討されていないから追加しないというところはちょっと気に入らないのですが、一応はっきりと「追加しない」と明記されていますから判断に迷うことはありません。

 「何だ、お前が楽だからじゃないか!」と思われるかもしれませんが、先に引き合いに出した生ポリオワクチンの追加に関しては、医者だけでなく保護者の方もしっくりこない面もあったのです。

 追加接種したらしたで「量が多すぎないか」という不安な表情を浮かべる方もいらっしゃいましたし、追加接種をしなかったらしなかったで「十分な免疫ができるのだろうか」という不安な表情を浮かべる方もいらっしゃいました。

 その点はっきりと「追加しない」という記載があれば保護者の方も医者のほうも双方納得がいくというものです。

 というわけで、こども診療所では「ロタテック」を使用して接種を行います。すでにご予約を受け付けています。電話でも予約可能です。お問い合わせ下さい。

 次回は他のワクチンと組み合わせた接種スケジュールなどについてお話ししてみたいと思います。



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2013年12月25日

ロタウイルスワクチン(2)

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 今回は、こども診療所では我が国でロタウイルスワクチンが接種可能になってから1年以上接種を行わなかったのはなぜかというお話です。


 第1の理由は、前回お話ししたロンドン大学公衆衛生学教授の実用化はされなかったけれどある目的を持って開発が進められた初代ロタワクチンについての「ロタウイルスワクチンの開発は途上国のこども達のため」という一言です。

 すべてのウイルス性疾患で言えることですが、けいれんや脳炎を合併すれば当然重症になります。でもこれらの合併症はごくまれにしか起こりません。脱水に限ってはまれではありません。小さな赤ちゃんにとっては胃腸炎と脱水は常にウラハラの関係です。特にロタウイルス胃腸炎のように治るまでに1週間も時間のかかる胃腸炎では常に脱水に陥る危険性をはらんでいると言えるでしょう。

 でも先進国では脱水だけだったら点滴という最強の治療手段に簡単にアクセスすることができます。

 だったらなぜワクチンを作ってまで予防する意味があるのでしょうか?

 もちろん点滴を受けるとはいっても入院が必要なほどの脱水に陥った場合には本人の負担もご家族の負担もかなり大きくなります。入院するというのはやはり重症であると言わざるを得ません。また、脱水だけとはいっても最強度の脱水になったり、急激に進行する脱水だったりすれば、ショック状態に陥り生命の危険にさらされることはあり得ます。

 でも今の日本の状況を見てみれば、私が医者に成り立ての頃(私が医者に成り立ての頃は医者のほうが一生懸命脱水の危険性を訴えていました)とは全く変わって、下痢や嘔吐が見られた時に「脱水」という言葉を先に口にするのは医者ではなくてむしろ親御さんのほうです。「点滴しなくても大丈夫ですか」という質問(要望?)もよく耳にします。

 特に私の場合には、医学講座「感染性胃腸炎の治療」の中でも述べたように、ロタウイルス胃腸炎の診断がついた場合には治療法として自由飲食法を採用していて、それによって点滴を必要とするお子さんがとても少ないという経験を持っています。

 だったらやはり日本のような先進国ではワクチンを作ってまで予防する意味は薄いのではないかと考えたわけです。

 第2の理由は、前回最後にお話しした腸重積の問題です。

 ロタリックスもロタテックも腸重積との関連はないとされていますが、ワクチンの添付文書には「腸重積にならないか注意が必要」とちゃんと書いてあります。やはり少しは心配しているのです。

 私がロタウイルスワクチンの採用を遅らせた理由はただ単に心配だからというのではなく、ある程度は医学的な根拠があります。

 ロタリックスは生後24週までに接種を済ませる、ロタテックは生後32週までに接種を済ませる、ということになっています。それはなぜでしょう?それ以降の接種だと腸重積になりやすいかもしれないからです。前回3か月から2歳頃までのこどもの腸重積の起こり方のところでお話しした小腸のリンパ濾胞というのが形成されてくるからです。

 生後24週未満だったり32週未満だったらリンパ濾胞がまだ十分に形成されていないから腸重積になる心配はないというわけです。

 でもこの生後24週とか32週とかいうデータは日本人の赤ちゃんから得られたデータでしょうか?これらのワクチンが日本に導入された時点ではほとんどは外国(白人の赤ちゃん)で得られたデータでした。

 私は「日本人の赤ちゃんの小腸のリンパ濾胞は西洋人の赤ちゃんよりも早く形成される」という話をある大学の小児科の教授から聞いていましたので、外国のデータをそのまま日本人の赤ちゃんにあてはめるのは危険かもしれないと感じたのです。

 それで日本での接種者が増えるまで様子を見ようと決めたのです。

 以上2つがこども診療所でロタウイルスワクチンの接種開始を遅らせていた理由です。

 2種類のロタウイルスワクチンのどちらも承認から1年以上が経過し、腸重積が多発したという話もないことから接種を始めることにしたのです。「ワクチンを作ってまで予防する意味がどの程度あるのか?」という自分自身に対する疑問が完全に消えたわけではありませんが・・・。

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 次回の来週水曜日は元日ですので再来週の水曜日に、こども診療所が「ロタリックス」ではなくて「ロタテック」を採用した理由についてお話しいたします。



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2013年12月18日

ロタウイルスワクチン(1)

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

 ウイルスによる感染性胃腸炎の治療については一昨日終了した医学講座の最新のシリーズでお話をいたしました。例として採り上げたのはノロウイルスとロタウイルスの2種類でしたが、その他にも原因となるウイルスはサポウイルスとかアデノウイルスとかいくつか挙げることができます。その中で予防ワクチンがあるのはロタウイルスだけです。

 ロタウイルスワクチンは1980年代に一度開発が行われたことがあります。ところが実際に使ってみたら副反応として腸重積を起こす率が高いことがわかって結局実用化されないまま消え去ってしまいました。

 丁度この初代ロタウイルスワクチンが開発されている頃に、私はイギリスのロンドン大学公衆衛生学教授にイギリスの予防接種の現状のお話を伺う機会があり、その先生の「我々は今ロタウイルスのワクチンの研究開発に取り組んでいる」という言葉に思わず「イギリスではロタウイルスの胃腸炎はそんなに重症化するのですか?」と質問してしまいました。

 30年近く前の話ですから、まだ若かった私は臨床バリバリの小児科医で、病気を治すことに情熱を傾け予防接種のことにそれほど詳しくなかったため、予防接種というのは生命に関わるかもしれないような重症の病気を予防するために行うものという程度の認識しかなかったのです。

 教授は私の質問に対して即座に「いや、イギリスのこどものためというよりむしろ途上国のこども達のためだ」と答えました。確かに途上国ではごく普通の下痢や嘔吐でも小さなこどもはすぐに脱水を起こして生死に関わることがありますからロタウイルスワクチンが開発されれば多くのこどもの生命を守ることができます。

 この経験は現在使われている2種類のロタウイルスワクチン(ロタリックスとロタテック)が日本へも導入された時の私の対応に影響を与えましたが、それはまたあとでお話しいたします。

 さて、現在使われている2代目ロタウイルスワクチンは初代ロタウイルスワクチンとは製法が違うため、腸重積を起こす心配はとても少ないということで、我が国でも2011年秋にロタリックスが、そして2012年8月からはロタテックが承認され接種可能となりました。

 この二つのワクチンのどこがどう違うのかについては多くのサイトで紹介されているようですので、そちらを参考になさってください。「ロタリックスとロタテックの違い」で検索すると見つけやすいと思います。

 あまり細かいことをいってもしょうがないので比較的簡単でわかりやすい宇都宮市の説明書をコピーさせていただきましたのでご覧下さい。クリックすると別ウインドウが開きます。

rota.pdf

 こども診療所では2013年12月の時点ではロタウイルスワクチンの接種を行っていませんが、2014年1月から接種を始める予定です。2種類のワクチンの内「ロタテック」を採用します。接種料金は1回9,450円(税込み)で、ロタテックは3回の接種が必要ですから合計で28,350円になります。予約制ですので、他の予防接種同様前日までに予約をしてください。

 なぜ今まで接種を行っていなかったのか、またなぜロタテックを採用することにしたかはあとでお話しいたします。

 どうも話が長くなりそうなので、ロタウイルスワクチンについての講座もシリーズものにすることにしました。それで第1回の今日は最後に「腸重積」について解説をして終わりにしたいと思います。

 長袖の洋服を脱ぐ時に、袖が袖の中に入ってしまって重なってしまった経験はありませんか?腸重積というのは袖ではなくて「腸が腸の中に入ってしまって重なった状態になること」なのです。

invagi1.jpg

 上の図のように小腸と大腸の接続部分で起こります。小腸が大腸の中に潜り込んでしまうのです。

invagi2.gif

 その結果潜り込んだ小腸が大腸によって締め付けられ、長時間放置すると小腸が壊死を起こし、破れて腸の内容物が腹膜腔に出てしまうと腹膜炎を起こしてしまいます。

 このようなことが起こる原因としては、3ヵ月から2歳頃までの年齢では主に風邪などのウイルス感染により腸の壁のリンパ組織(リンパ濾胞)が大きく腫れ、これが腸の蠕動運動により内側に引きずり込まれるためと考えられています。3歳以上になると小腸のポリープやメッケル憩室(腸管の一部が袋状に残ったもの)などが原因となる割合が高くなります。

 乳児で起こる腸重積の原因ウイルスとしてはロタウイルスが筆頭に挙げられます。ですからロタウイルスによる胃腸炎の合併症としても、ロタウイルスから作られるワクチンの副反応としても腸重積は十分に注意しなければならないのです。

 というところで今回はおしまいです。続きはまた来週。



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2013年10月09日

肺炎球菌ワクチンが変わります

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

すでに定期接種として定着した感のある《肺炎球菌ワクチン》ですが、来月11月1日から使用するワクチンが変わります

現在定期接種として使用されているワクチンは「プレベナー」という輸入ワクチンで、約90種類ある肺炎球菌の血清型のうち7つの血清型に対して有効な7価のワクチンです。この7価だけでも小さなお子さんの侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できると考えられています。
血清型とか7価とかいう言葉の意味については2010年4月22日から同年7月31日まで13回にわたってこのブログで連載した「肺炎球菌ワクチンのすべて」という記事の第3回(2010年4月28日掲載)と第6回(2010年5月28日)に掲載した記事をご参照下さい。

今回変更になる新しいワクチンはやはり「プレベナー」です。どこが変わるかというと、今まで7つの血清型に対して有効だったワクチンが13の血清型に対して有効な13価のワクチンに変わるという点です。

90分の7よりは90分の13のほうが予防できる範囲が広がりますからね。より安心というわけでしょうね。ちなみに高齢者用の肺炎球菌ワクチンは23価です。13価の倍近い広がりがあるならそっちのほうがもっと安心と思われるかもしれませんが、製造方法が全く違っていてお子さんに接種しても免疫を作ることができません。プレベナーは小さなお子さんにも免疫が作れるように製造されたワクチンなのです。

10月いっぱい使用されるワクチンは「プレベナー7」、11月1日から使用されるワクチンは「プレベナー13」と呼ばれ区別されます。11月1日以降「プレベナー7」は定期接種用のワクチンとしては使用できなくなります(任意接種として有料になるということです)。

なんだ、ウルトラマン7がゴルゴ13に変わるのか。
違うってexclamation×2ちっ(怒った顔)

肺炎球菌ワクチンについての詳細はすでに(2010年4月〜7月)このブログに連載いたしました。7価が13価に変わっても基本的な点は変わりませんし、その違いについては専門的になりすぎますので、今回は省略いたします。


《接種スケジュールは?》
今回は接種のスケジュールについてご説明いたしますが、こちらも基本的な点での変更はありません。ただ、プレベナー7は9歳になるまで接種可能でしたが、プレベナー13は6歳になるまでしか接種できません。

でも、定期接種として無料で接種を受けられるのは元々5歳まででしたから、スケジュール的な変更はないと考えてよいでしょう。


《ワクチンの切り替えは?》
ワクチンは11月1日をもってきっぱりと入れ替わります。1回目あるいは2回目をプレベナー7で受けたのだから、そのあとの接種も同じワクチンで受けたい。そう思われる方もいらっしゃるでしょうが、定期接種はそういう一人一人の希望には応えてくれません。

それで問題(不都合なこと)は起きないの?
起きません。でも、プレベナー7は元々注射した部位が赤くなったり腫れたり、発熱があったりしやすいワクチンですから、プレベナー13でもその点は変わりありません。新しく6価を追加してプレベナー13になったがために今までになかった不都合が生じることはないということです。

追加した6価の分の予防効果は?
プレベナー7で初回接種をスタートして、途中からプレベナー13を接種した場合、追加した6価の分の予防効果はどうなるのか気になりますよね。でも残念ながらまだ正確な調査データがありません。ありませんが、一般的な常識としては、1回接種しただけでは長期にわたる予防効果はほとんど期待できないだろうとは言えると思います。しかし、接種直後(期間はわかりません)に限ればそれなりの効果は期待できるかもしれません。
では2回接種だとどうなるか?
こちらは1回接種よりは長い期間効果を期待できると思います。
では3回接種だったら?
こちらは始めからプレベナー13を接種したのと同程度の効果を期待してもいいのではないかと思えます。
あくまでも私の個人的な予想です。

追加した6価の分だけのワクチンってないの?
そうですよね。そう思いますよね。でも残念ながら追加した6価分だけのワクチンというのはありません。


《プレベナー13の接種回数を増やしたい!》
逆にプレベナー7より予防できる血清型が多いのなら、なるべく多くプレベナー13を接種したいと考える方がいらっしゃるのも当然です。
プレベナー13の発売日は10月28日と予定されています。10月中に医療機関に納入されるかは難しいところですし、もし仮に10月中にプレベナー13が接種できたとしても定期接種とは見なされませんから全額自費で接種を受けることになります。
11月1日まであと約3週間。11月1日になれば黙っていてもプレベナー13が無料で接種できます。ではそれまで接種を先送りしますか?
そうしたい方は大勢いらっしゃると思いますが、これは危険なことで決してお勧めできることではありません
故意にではなくいろいろな事情でスケジュール通りに接種を受けられなかったことが関係していると思われる侵襲性(重症)肺炎球菌感染症にかかったお子さんのリストというのが厚生労働省から発表されています。
プレベナー7でも侵襲性(重症)肺炎球菌感染症の80%から90%は予防できるという数字を信じて、接種はスケジュール通りに行うことを強くお勧めします。
ただし、肺炎球菌ワクチンの接種間隔は4週間から8週間ということになっています。4週間間隔で接種をしている医療機関が多いと思いますが、8週までなら接種を延ばしてもそれは問題ありません。でも、ロタウイルスワクチン、ヒブワクチン、4種混合ワクチンと乳児期の予防接種は最近急に増えましたから、慎重にスケジュールを考えないと、他のワクチンの効果を妨げる結果にもなりかねませんからよくよく考えてから決めて下さい。



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2013年06月19日

子宮頸癌予防ワクチン勧奨中止????

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

今までに何度も何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。先月も風疹の猫の目接種制度に関して同じことを申し上げたばかりです。

今度は子宮頸癌予防ワクチンです。現在日本で使われている子宮頸癌予防ワクチンは2種類ありますが、そのどちらもです。

6月14日に合同開催された厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマ様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度などがより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまで、定期接種を積極的に勧奨すべきでないとされ、この通知が同日から適用されることになりました。(東京都医師会から各地区医師会長宛に発信された文書のほぼ原文通り)

例によってわかりにくいお役所言葉の羅列ですが、この文だけを読めば「ああ、これで当分子宮頸癌予防ワクチンの接種は行われないんだな」と普通は思いますよね。

ところがこのあとに但し書きがあって、定期接種を中止するものではないので対象者で希望する者については接種機会の確保を図るものとしているんだそうです。

一体全体ドォユウコト?

「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」と言っているようなものですよね。無責任きわまりない決定だと思いますちっ(怒った顔)

そして、接種を希望してきた人にはきちんと説明をしてから接種を行うように、ご親切にも説明文まで作ってくれています。下の2枚の画像がそうです。

kan1.jpg

kan2.jpg

画像をクリックすると拡大されます。また、下のURLをクリックするとネット上で見ることもできます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/pdf/kankoku_h25_6_02.pdf

お読みになればおわかりと思いますが、未練タラタラの文章ですよね。「子宮頸癌予防ワクチンってホントはとってもいいワクチンなんだけどちょっと問題があるんでお勧めできないんだよ」という切ない気持ちが伝わってきますね。

そして最後の締めくくりが副反応による健康被害の救済制度です。「あなたが勝手に希望してやったんだから副反応が出てもあなたの責任ですよ。でも健康被害があれば救済制度ってのがありますからね。国って親切でしょう。」と言っているんですね。

と、ここまでお話ししてきた内容だけでも相当に腹は立つのですが、専門家の集まりである厚生労働省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会では、なぜ、すでに1回ないし2回接種を受けてしまった人たちがどうすればいいのかについて議論しなかったんでしょう???ほんとは議論したんだけどよくわからないから黙ってることにしたのでしょうか???

私たちが一番知りたいのはそこのところなのにねぇ。冷たく突き放していますもんねぇ。「お勧めはしませんけどやりたい方はご勝手にどうぞ!」ですからねぇ。

仕方がないのでいろいろ情報を集めてこども診療所としての見解をまとめました。あくまでもこども診療所だけの見解です。

この見解の基礎となったのはアメリカで報告されたあるデータです。でもこのデータはまだ世界的に認められているわけではありません。どうすればよいのか途方に暮れる中で一つの拠り所になると思って採用しました。

そのデータというのは次のようなものです。

『子宮頚癌予防ワクチンを6か月以内の間隔で2回接種した被接種者を調べたところ、被接種者のかなりの率でワクチンが予防効果を発揮できると推定される程度の抗体価を維持していた』

このデータに基づいて考えるとこども診療所の見解は次のようになります。

1.まだ1回も接種を受けていない未接種の方:厚生労働省の調査の結果が出るまで接種を見合わせましょう。

2.1回だけ接種を受けている方:当分接種を見合わせ、1回目の接種から6か月たたないうちに勧奨が再開されたら2回目の接種を受けて、3回目は接種しないことにしましょう。また、1回目の接種から6か月が過ぎてしまいそうになったらご相談下さい。

3.2回目まで接種が済んでいる方:2回目の接種から5か月たたないうちに勧奨が再開されたら、ご相談下さい。また、2回目の接種から6か月たっても勧奨が再開されなかったら、2回目までで終了としましょう。

4.3回の接種が済んでいる方:もちろん何の問題もありません。

ご相談の場合は保護者の方だけでけっこうですから来院して下さい。電話でのご相談はご遠慮下さい。



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2013年05月01日

年齢別風疹予防接種実施状況

inj.jpg曜日は「予防接種講座の日」。なぜなら予防接種に使うワクチンは液体()だから・・・。

何度も申し上げたことですが、日本の予防接種政策というのには一貫性がなく、その時の状況によってコロコロ変わります。今大問題になっている風疹の大流行に関しても、猫の目接種制度が最大の理由であるとさえいわれています。

そこでご参考までに、各年齢層における予防接種制度の表を掲載いたしますので、ご自分の予防接種歴を判断する材料になさってください。

rubella.jpg

なお、江戸川区における風疹(実際はMRワクチンを使用)予防接種公費補助については4月11日の記事をご覧ください。



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